Jw_cadで平面図を描く完全手順|通り芯から寸法記入まで

Jw_cadで建築平面図を描く作業は、すべての建築図面の出発点です。2026年1月にリリースされたVersion 10.02.1(2026年4月現在)でも基本的な作図の流れは変わらず、通り芯を引いてから柱・壁・建具・寸法を順に描いていく手順が実務の定跡になっています。

ただし、操作を知っているだけでは確認申請に耐える品質の図面にはなりません。レイヤの分け方や線種の使い分け、包絡処理の丁寧さが、修正しやすく読みやすい図面を左右します。初めて平面図を描いたときに、レイヤを分けずに全部同じレイヤで描いてしまい、建具を変えるだけで壁まで描き直すはめになった経験のある方も少なくありません。

この記事を読むと、Jw_cadで平面図を描く手順を通り芯・柱・壁・建具・寸法の5段階で確認できます。

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目次

Jw_cadで平面図を描く前の準備

用紙サイズ・縮尺・レイヤ構成の3つを最初に決めておくことが、後工程のトラブルを防ぐ鍵。作図を始めてから設定を変えると、寸法のずれやレイヤの混在が起きやすくなります。

準備項目推奨設定補足
用紙サイズA3住宅平面図の実務標準
縮尺1/100(詳細図は1/50)レイヤグループ単位で設定
レイヤ0通り芯・基準線一点鎖線(線種4)
レイヤ1実線・太線
レイヤ2実線・中〜太線
レイヤ3建具実線・中線
レイヤ4設備機器・家具実線・細線
レイヤ5寸法・文字実線・細線

用紙サイズと縮尺の設定

住宅の平面図であれば、A3用紙に縮尺1/100で描くのが最も一般的です。各部屋の納まりを詳しく検討したい場合は1/50を使います。

Jw_cadでは縮尺をレイヤグループ単位で設定します。画面右下の縮尺表示をクリックし、「1/100」と入力してください。グループレイヤ0を1/100にすると、その配下のレイヤ0〜Fがすべて1/100になる仕組みです。

作図後に縮尺を変えると寸法値がずれる原因になるので、必ず最初に設定しましょう。

レイヤ構成の設計

平面図では、通り芯・柱・壁・建具・設備・寸法をそれぞれ別レイヤに分けるのが実務の基本です。たとえば施主から「リビングのドアを引き戸に変更したい」と言われたとき、建具だけが独立したレイヤにあれば、壁や柱を触らずに建具だけ修正できます。

Jw_cadは16グループ x 16レイヤで最大256レイヤを使えますが、住宅の平面図なら6〜10レイヤ程度で十分。レイヤを細かく分けすぎると、描画中のレイヤ切り替えに手間がかかり、かえって効率が落ちます。

実務では、上の表のようにレイヤ0〜5の6レイヤ構成に落ち着くケースが多く見られます。このルールを図面テンプレートとして保存しておけば、案件ごとに毎回設定する手間も省けます。レイヤの詳細な操作方法はJw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説で詳しく扱っています。

ステップ1: 通り芯と図面枠を描く

通り芯(グリッドライン)は建物全体の骨格を決める基準線で、すべての寸法と配置はこの通り芯を起点に測ります。

図面枠の作成

まず「矩形」コマンドでA3用紙サイズの外枠を描きます。次に「複線」コマンドで内側に10mm程度オフセットした線を引き、右下にタイトルブロック用の区画を設けてください。

タイトルブロックには「文字」コマンドで図面名称(1階平面図など)、縮尺(S=1/100)、日付、設計者名を記入します。完成した図面枠は「図形登録」で保存しておくと、別の図面を描くときにそのまま読み込んで再利用できます。最初の1回だけ丁寧に作る価値がある部分です。

通り芯グリッドの作成

通り芯は一点鎖線(線種4)で描くのが建築図面の慣例です。レイヤ0番に配置し、線色は他の要素と区別しやすい色(たとえば水色)に設定します。

通り芯の符号管理は、水平方向をX1・X2・X3…、垂直方向をY1・Y2・Y3…と振るのが標準です。木造在来工法の住宅では910mm(3尺)モジュールが基本間隔。ツーバイフォー工法やRC造では1,000mmメーターモジュールを使うことが多いため、構造種別に応じてグリッド間隔を選んでください。

「複線」コマンドを使えば、最初の1本から等間隔にコピーして正確なグリッドを手早く描けます。たとえば間口7,280mm(8スパン x 910mm)の住宅なら、複線間隔に「910」と入力して8回コピーするだけです。

ステップ2: 柱と壁を描く

柱は通り芯の交点に配置し、壁は通り芯を基準にオフセットして描きます。この順番を守ることで、構造的に正確な図面になります。

柱の配置

木造在来工法の場合、柱は105mm角が標準サイズです。「矩形」コマンドを選び、寸法に「105,105」と入力してください。配置時には「中心点指定」オプションを有効にすると、通り芯の交点を中心として正確に配置できます。

RC造では柱が400〜600mm角になるため、設計図に記載されたサイズを確認しながら入力します。レイヤは1番に切り替えてから描きましょう。

すべての通り芯交点に柱が必要なわけではありません。構造図を参照し、必要な位置だけに柱を置いてください。

壁の描画と包絡処理

壁は「複線」コマンドで通り芯から壁厚の半分だけオフセットした線を両側に引いて描きます。木造在来で柱幅が105mmなら、通り芯から52.5mmずつ両側にオフセットすると壁厚105mmの壁線が完成。

壁同士が交差する部分(L字やT字の角)では線が重なって見苦しくなります。ここで使うのが「包絡」コマンドです。壁の交差部分を範囲選択すると、外周の輪郭だけを残して内側の余分な線を自動消去してくれます。

包絡コマンドの注意点として、処理対象の線は同一レイヤ・同一線色・同一線種でなければなりません。壁をレイヤ2番にまとめ、線色と線種も統一しておくことが、包絡処理を一発で決めるコツです。

外壁と内壁で線の太さを変えると図面の視認性が上がります。外壁はやや太い線(印刷幅0.5mm程度)、内壁はそれより細い線(印刷幅0.35mm程度)にするのが実務での目安です。

ステップ3: 建具を配置する

建具(窓・ドア)は壁に開口部を設けて記号を挿入する作業です。平面図の中で建物の使い勝手を最も左右する要素なので、位置と開き方向を慎重に決めましょう。

建具種別図面記号の特徴主な使用箇所
引違い窓2本の平行線+端部マークリビング・居室の掃き出し窓
片開きドア円弧(開き軌跡)+直線居室・トイレ・洗面所
両開きドア左右対称の円弧+直線玄関(親子ドアの場合)
片引き戸矢印付き平行線和室・廊下
折れ戸ジグザグ線クローゼット
FIX窓1本線+端部マーク吹抜け・高窓

建具記号の種類と描き方

Jw_cadには「建具平面」コマンドが標準で搭載されています。メニューバーの「作図」から「建具平面」を選ぶと、建具データの一覧が表示されます。引違い窓や片開きドアなど、よく使う建具はあらかじめ登録されているので、ファイルを選んで寸法を入力するだけで配置可能。

建具の幅は実際のサッシ・ドアのカタログ寸法に合わせるのが原則です。引違い窓なら幅1,650mmや幅2,600mm、片開きドアなら幅750mmや幅800mmがよく使うサイズになります。

建具はレイヤ3番に描きます。壁とは別レイヤにしておくことで、後から建具だけを選択して移動・変更する作業がスムーズになります。

壁への建具挿入手順

建具を壁に入れるには、まず壁線の該当箇所を「消去」コマンドの「節間消し」で建具幅分だけ切り取ります。次に空いた開口部に建具記号を配置してください。

片開きドアの場合、開き方向(内開きか外開きか)を図面上で正しく表現する必要があります。日本の住宅では居室のドアは廊下側に開く内開きが一般的ですが、玄関ドアは外開き、トイレのドアは外開きまたは引き戸が多い傾向です。

「この部屋のドアは、家具の配置を考えると引き戸にした方がよいのでは」という判断も平面図の段階で検討します。開き方向は動線計画と家具配置に直結するため、ここでの決定が住み心地を左右する重要な工程です。

ステップ4: 設備機器・家具と寸法を記入する

設備機器と寸法線は、平面図を「読める図面」に仕上げる最終工程。ここまで描けば、施主や現場に見せられる状態になります。

設備機器・家具の配置

キッチン、ユニットバス、洗面台、トイレなどの住宅設備を配置します。代表的な設備の標準サイズは以下のとおりです。

設備奥行備考
システムキッチン(I型)2,550mm650mm標準サイズ
ユニットバス1,600mm1,600mm1616サイズ、戸建主流
洗面台750mm500〜600mm一般的なサイズ
トイレ約400mm約700mm壁排水タイプ

Jw_cadの「図形」コマンドを使えば、登録済みのシンボルデータを呼び出して配置できます。YKK APやLIXILの公式サイトからJw_cad形式のCADデータをダウンロードできるので、実務で積極的に活用してみてください。

設備機器はレイヤ4番に描き、意匠図要素と分離します。設備の配置変更があっても、壁や建具に影響しない状態を保てます。

寸法線と室名の記入

「寸法」コマンドで建物の外形寸法(全体の幅・奥行き)と内法寸法(各部屋のサイズ)を記入します。寸法の基点は通り芯上に置くのが標準です。

寸法線は建物の外周から300〜500mm離した位置に配置し、外形寸法は最も外側、部分寸法はその内側に並べます。3段階の寸法ライン(全体、区間、個別)が整然と並ぶと、審査担当者にも施主にも伝わりやすい図面に仕上がります。

室名は「文字」コマンドで各部屋の中央付近に記入します。文字サイズは3〜5mmが標準で、「LDK」「和室6帖」「洋室1」のように用途と面積がわかる表記にしましょう。寸法の詳しい記入方法はJw_cad寸法・文字・引出線の使い方で解説しています。

平面図の品質を上げる実務テクニック

操作手順を覚えた次の段階で差が出るのは、確認申請や施主プレゼンに使える品質に仕上げるコツです。

線種・線色の使い分け

線の太さと種類を正しく使い分けるだけで、図面の読みやすさは格段に向上します。実務での推奨は以下のとおりです。

  • 通り芯: 一点鎖線(線種4)、印刷幅0.13mm程度の細線
  • 外壁: 実線(線種1)、印刷幅0.5mm程度の太線
  • 内壁: 実線(線種1)、印刷幅0.35mm程度の中線
  • 建具: 実線(線種1)、印刷幅0.25mm程度の細線
  • 寸法線: 実線(線種1)、印刷幅0.13mm程度の細線

Jw_cadの「基本設定」から「色・画面」タブを開くと、線色ごとの印刷幅を設定できます。画面表示の色と印刷時の色は独立して設定できるため、画面上では見やすい配色にしつつ、印刷時には黒一色で太さだけ変えるという運用が可能です。

確認申請図面では線の太さの使い分けが審査担当者の読みやすさに影響します。ここは手を抜かないようにしてください。

よくあるミスと対処法

Jw_cadのサポートフォーラムや実務者の投稿を見ていると、平面図の作図で特に多いミスは次の3つに集約されます。

縮尺の設定忘れ: 作図後に気づくと全体の修正が必要になります。新しい図面を開いたら、最初に画面右下の縮尺表示を確認する習慣をつけましょう。Jw_cadのデフォルト縮尺は1/1なので、そのまま描き始めると実寸サイズの巨大な図面ができてしまいます。

壁の包絡漏れ: 印刷すると壁の交差部に隙間や余計な線が残る現象。包絡処理は「同一レイヤ・同一線色・同一線種」が条件です。壁を描く際にレイヤや線色が混在していると包絡が効かないため、壁を描き始める前にレイヤと線色を統一してください。

レイヤの混在: すべてを同じレイヤに描くと、後から特定の要素だけを修正するのが困難になります。「描き始める前にレイヤ構成を決める」という準備工程を省略しないことが、修正に強い図面への近道です。

まとめ

Jw_cadで平面図を描く手順は、「通り芯・柱・壁・建具・寸法」の5段階が基本です。各段階でレイヤを分けて描くことで、修正しやすく他の図面にも展開しやすい品質の図面が仕上がります。

作図中のミスと修正の手間は、作図前の準備(用紙・縮尺・レイヤ構成)を丁寧に行うだけで大幅に減ります。後からの修正が効かない縮尺設定とレイヤ分けは、最初にしっかり決めておいてください。

線種・線色の使い分けと包絡処理の丁寧さは、確認申請に耐える図面かどうかを分けるポイントになります。特に包絡コマンドは同一レイヤ・同一線色・同一線種が条件なので、壁の描画ルールを事前に統一しておいてください。

平面図が描けるようになったら、次は立面図・断面図へのステップに進みましょう。平面図で決めた通り芯と壁の位置がそのまま立面図の基準になるため、平面図の精度が後続図面の品質を左右します。

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