Jw_cad完全解説ガイド 日本建築設計の現場に根付く無料CAD

Jw_cadは2026年1月にVersion 10.02.1がリリースされ、64bit対応・Unicode対応・DXF(Drawing Exchange Format、CAD図面を異なるソフト間でやり取りするための共通フォーマット)2010形式出力など約10年ぶりの大型アップデートが反映されました(2026年4月現在)。大手ゼネコンや組織設計事務所ではBIM導入が進む一方で、中小設計事務所・工務店・施工管理・在宅副業の現場では、無料で配布され続けているJw_cadが「日本建築設計の共通言語」としての立ち位置を失わずにいます。

Jw_cadは無料・Windows専用・日本建築2D特化という独自ポジションのCADです。AutoCADやRevitと単純比較できる相手ではなく、「日本国内×無料×2D図面」の領域で唯一無二の存在として機能してきました。

この記事では、Jw_cadの全体像を「歴史・強み・弱み・他CADとの位置関係・BIM時代での役割・学習ロードマップ」の6つの視点で通して把握し、配下7テーマ(基本操作/図面作成/応用機能/データ連携/実務活用/比較/学習・キャリア)の詳細記事へ進むための地図を提供します。

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目次

Jw_cadとは|日本建築設計の「共通言語」として機能する無料2D-CAD

Jw_cadは、日本の建築設計現場で30年以上使われ続けている無料の2D-CADソフトです。Windows専用・商用利用可・機能制限なしという稀有な条件で配布されており、中小設計事務所・工務店・施工管理・在宅副業の現場で広く普及しています。

Jw_cadの基本定義と最新版(Version 10.02.1)

Jw_cad(ジェイダブリュー・キャド)は、日本の建築設計実務に最適化された無料の2次元CADソフトです。尺貫法による寸法入力、三斜求積による敷地面積算定、レイヤグループ16×レイヤ16=256という独自構造など、日本の建築基準法・確認申請業務に沿った機能が標準搭載されています。

2026年4月現在の最新版はVersion 10.02.1(2026年1月公開)。64bit対応によって大規模図面の安定性が向上し、Unicode対応でφ・°・㎡などの特殊記号が文字コマンドで直接扱えるようになりました。DXF 2010形式出力のサポートも加わり、AutoCAD事務所との図面受け渡しもスムーズになっています。

実務では、旧版8.25aを指定する発注元もまだ残っています。最新版と旧版を別フォルダ(例:C:jww10C:jww8)にインストールして共存させる運用が現実的です。

1988年DOS版からの歴史と開発継続性

Jw_cadは1988年にDOS版(JW_CAD for DOS)として誕生しました。開発者は清水治郎氏と田中善文氏で、建築実務者自身が自分たちの現場で使うために開発したという出自を持ちます。

DOS版の開発は長く続き、Windows版への移行後もバージョンアップが途切れず続けられてきました。Version 10.02.1(2026年1月)は、8.25a(2019年)から約10年ぶりの大型更新に相当します。開発が止まっていた期間があっても「日本建築実務の標準」として現場で使われ続けた背景には、有料CADでは代替しにくい独自機能が揃っていた点があります。

なぜ「無料で商用利用可」なのか

Jw_cadは公式サイト「Jw_cadの小屋」から無料でダウンロードでき、商用利用にも制限がありません。ライセンスは厳密なGPL(General Public License、オープンソースソフトウェアの代表的なライセンス)ではなく、個人・法人・受託業務のいずれでも自由に使える独自配布形態をとっています。

この「無料・商用利用可」という条件が、中小設計事務所の導入ハードルを決定的に下げてきました。AutoCADが年間約9万円、Vectorworksが年間約14万円〜、ArchiCADが年間約27万円というCAD市場のなかで、Jw_cadは0円で実務に投入できる選択肢として機能し続けています。

Jw_cadの5つの強み|日本実務で選ばれ続ける理由

Jw_cadが日本の中小建築実務で選ばれ続ける理由は、尺貫法対応・独自レイヤ構造・クロックメニュー・求人母数・軽量動作という5つの強みに集約できます。

日本建築特有の表記への最適化

Jw_cadは尺貫法(910mm=3尺モジュール)での寸法入力に標準対応しており、木造在来工法の住宅設計では特に威力を発揮します。寸法を「910」と打つ代わりに「3,3」(3尺3寸)のような入力形式も可能で、大工棟梁・工務店との打ち合わせ言語と設計データが地続きになるのが特徴。

三斜求積コマンドを使えば、不整形な敷地でも面積算定が自動化でき、求積表の作成まで1つのコマンドで完結します。確認申請に必要な配置図の面積根拠を、土地家屋調査士から受け取った座標データから最初から最後までで作成できる運用も可能です。

256レイヤの独自構造

Jw_cadのレイヤは「レイヤグループ16 × レイヤ16 = 256」という二層構造で管理されます。同一ファイル内で複数縮尺(例:1/100平面図、1/50詳細図、1/200配置図)を並行管理できる独特な仕様で、図面ファイルを分けずに物件一式を1ファイルで扱える運用が可能です。

実務では、グループ0に平面図、1に立面図、2に断面図、3に配置図、と割り付ければ、全図面が1ファイルで連動します。AutoCADのレイヤとは発想が異なるため、他CAD経験者ほど最初に意識を切り替える必要があります。レイヤ構造の詳細はJW_cad基本操作ガイド|初期設定・ショートカット・レイヤの使い方で解説しています。

クロックメニュー(PERS)による作図速度

クロックメニューはJw_cad最大の独自要素です。マウスボタンを押したまま時計の文字盤方向へドラッグすると、その方向に割り当てられた機能が呼び出される独自ジェスチャで、メニューバーまでカーソルを動かさずに作図の手が止まりません。

左ボタンドラッグの「AMメニュー」と右ボタンドラッグの「PMメニュー」で計24方向の機能が割り当てられています。実務では、頻出5方向(PM8時=属性取得、AM1時=線色変更、PM6時=戻る、AM12時=文字、PM5時=中心点取得)だけ体に入れるだけで、作図速度が目に見えて変わります。

求人ボックス「在宅 JWCAD」1,700件超

Jw_cadは「覚えれば仕事につながる」出口が整備されている数少ない無料CADです。求人ボックスで「在宅 JWCAD」を検索すると1,700件以上の案件がヒットします(2026年4月現在)。派遣CADオペレーターとしての正社員・契約社員求人も全国で安定的に募集されており、学習投資の回収経路が太いのが特徴。

クラウドワークス・ランサーズなどのクラウドソーシングでも、Jw_cadを指名した住宅・店舗のトレース案件が継続して出ています。未経験からでも、平面図トレース1枚3,000〜8,000円前後の単価から始められる環境が整っています。

公式サポート不要の軽量動作

Jw_cadの実行ファイルは数MB程度と軽量で、10年前のノートPCでも快適に動作します。メモリ消費も小さく、Windows 10/11の標準環境であれば追加要件なしで動くのが特徴です。

大規模BIMソフトのようにハイエンドGPU・大容量メモリを要求しないため、在宅副業・副業目的で投資を最小化したい層にとっては導入コストが完全にゼロになります。中小設計事務所の実務では、「社内の共用PCを買い替えずに10年以上使い続けている」という事例も珍しくありません。

Jw_cadの3つの弱みと向き不向き

強みの裏側として、Jw_cadには3D・BIM非対応、独特なUI、公式サポートなしという3つの弱みがあります。強みと弱みを踏まえた上で「向いている人」「向かない人」を判断することが、選定の出発点になります。

3D・BIM非対応

Jw_cadは2D専用で、3Dモデリング機能は持ちません。ビジュアライゼーション用途や、BIM(Building Information Modeling)による属性情報付きモデル管理には対応していないため、意匠パース・コンペ提案・大規模物件の情報統合には別ツールが必要です。

BIM環境ではRevit(年間約36万円)やArchiCAD(年間約27万円)が標準で、Jw_cadは「BIMから切り出した実施図・確認申請図を仕上げる場」として使われるのが現実解になります。意匠パース制作ではBlender・SketchUp・Lumion等との連携が前提です。

他CAD経験者が戸惑う独特なUI

AutoCAD経験者がJw_cadを初めて触ったとき、多くが最初に戸惑うのがクロックメニューとレイヤグループです。メニューバーとコマンド体系がAutoCADとまったく異なり、「右クリックでドラッグ」という独自操作が最初の壁になります。

独学では、この操作体系に慣れる前に挫折するケースが少なくありません。実務では、頻出5方向のクロックメニューと主要ショートカット15個を最初の1週間で体に入れる段階的学習が、挫折回避の分岐点になります。

公式サポートなし・ユーザーコミュニティ依存

Jw_cadには法人向けの公式サポート窓口がありません。不具合の情報交換やTipsの共有は、Jw_cad公式サイトのQ&A掲示板、外部のユーザーフォーラム、書籍・YouTubeに分散しています。

組織規模の大きい設計事務所が採用する場合、ナレッジ属人化のリスクがある点は認識しておく必要があります。実務では、社内Wikiや共有フォルダに独自のTips集を蓄積して対応している事務所が多く見られます。

向いている人/向かない人の選び方

ここまでの強み・弱みを選び方に落とし込むと、次のように整理できます。

向いている人 向かない人
中小設計事務所・工務店の実務者 大規模BIMプロジェクトが主戦場
確認申請・施工図が主業務 意匠パース・ビジュアライゼーション重視
個人事業主・在宅副業で始めたい 国際案件・海外パートナーとの協業が多い
低スペックPCで運用したい 3Dモデルを前提にワークフロー設計したい
尺貫法・木造住宅中心の案件が多い 海外規格のRC・S造大規模案件が多い

自分の案件構成と一致する側が多いほど、Jw_cadの投資対効果が高まります。

Jw_cadの全体像を7テーマで押さえる|学習テーマ一覧

Jw_cadを「使える」状態にするには、基本操作から実務活用までの7テーマを順序立てて学ぶのが最短経路です。本記事では各テーマを独立した詳細記事に展開しているため、自分が今どの段階にいるかを把握してから進んでください。

7テーマの全体像

まず全体像を表で把握します。

テーマ 内容 詳細記事
1 基本操作 インストール/クロックメニュー/ショートカット/レイヤ/寸法/ハッチング/用紙設定の7ステップ 基本操作ガイド
2 建築図面作成 平面図・立面図・断面図・配置図・建具表・展開図・設備図・リフォーム図の作図順序 建築図面を描く方法
3 応用機能 ブロック・線記号変形・外部変形・パラメトリック変形・テンプレートの5本柱 応用機能ガイド
4 データ連携 印刷・DWG/DXF・PDF・SXF・Macの5領域 データ連携ガイド
5 実務活用 独学ロードマップ・トラブル解決・練習問題・在宅副業 実務活用ガイド
6 他CAD比較 AutoCAD/Revit/Vectorworks/ArchiCAD/BricsCAD/GLOOBE/ARCHITREND ZERO 他CADとの比較ガイド
7 学習・キャリア 講座/書籍/案件/派遣/資格 学習・キャリアガイド

どのテーマから入るかは、今の状況によって変わります。これから初めて触る方はテーマ1から、既に描けるが案件化したい方はテーマ5・7から、というように入り口を選んでください。

基本操作|クロックメニューとレイヤ体系

Jw_cadの基本操作は、独自UIを攻略する順序で決まります。インストール・クロックメニュー・ショートカット・レイヤ・寸法文字・ハッチング・用紙設定の7ステップを順に踏めば、独学の挫折率を大きく下げられます。

詳細な学習順序と各機能の操作はJW_cad基本操作ガイド|初期設定・ショートカット・レイヤの使い方で解説しています。クロックメニュー24方向、jw_win.kbdによるショートカットカスタマイズ、256レイヤの運用例まで段階的に掘り下げています。

建築図面の描き方|平面図から設備図まで

実務で必要な図面は、確認申請(配置図・平面図・立面図2面・断面図2面)と施工段階(建具表・展開図・設備図)で構成されます。描画順序は「平面図→立面・断面→配置→建具・展開→設備」が基本の流れで、この順を守ると後工程の手戻りが大幅に減ります。

各図面の具体的な作図手順、図面間整合性の管理、リフォーム図面の3図面セット(現況復元・撤去・計画)はJW_cadで建築図面を描く方法|平面図・立面図・設備図の手順で解説しています。

応用機能|外部変形・パラメトリック変形・図形登録

基本操作で図面が描けるようになった後、作業時間を本気で短縮するには応用機能の導入が効いてきます。ブロック化・図形登録・線記号変形・外部変形・パラメトリック変形・テンプレートの5本柱を時短ROIの順で入れるのが合理的です。

各機能の使い分けと学習順序はJW_cad応用機能ガイド|外部変形・テンプレート・パラメトリック変形で整理しています。

データ連携|DWG/PDF/SXFと印刷・Mac対応

Jw_cadで図面が描けても、外部とのファイル受け渡しで手が止まることが少なくありません。印刷・DWG/DXF・PDF・SXF・Mac対応の5領域それぞれに注意点があります。

5領域の全体像と詳細手順はJW_cadデータ連携ガイド|DWG・PDF・SXF変換と印刷を整理で解説しています。AutoCADとのDWG(Drawing、AutoCAD独自の標準フォーマット)受け渡し、公共案件のSXF(Scadec data eXchange Format、国土交通省が定める建築・土木の電子納品形式)電子納品、MacでJw_cadを動かす代替経路まで網羅しています。

実務活用|独学ロードマップと在宅副業

描ける状態から稼げる状態へ進むには、独学ロードマップ・トラブル解決・練習問題・在宅副業の4領域を押さえる必要があります。この4領域を無計画に進めると遠回りになりがちです。

独学ロードマップの5段階、トラブル処方、無料の練習問題リソース、在宅副業の案件タイプと単価相場はJW_cad実務活用ガイド|トラブル解決と練習問題で在宅副業へ進む4ステップで統括しています。

他CADとの比較|AutoCAD・Revitとの使い分け

Jw_cadを選定する際、AutoCADやRevitなど他CADとの使い分けで迷う場面が必ず出てきます。相手CADごとに比較軸を切り替える必要があるため、単純な機能比較表では結論が出ません。

7種のCADとの違いと使い分けはJw_cad比較ガイド|他CAD7種との違いと使い分けで解説しています。価格・案件適合性・組織規模・キャリア軸での判断を整理しています。

学習・キャリア|講座・書籍・案件・派遣・資格

Jw_cadの学習リソースは豊富ですが、選び方の指針がないまま情報を集めると遠回りになります。オンライン講座・書籍・案件サイト・派遣会社・資格(サーティファイ建築CAD検定試験)の5領域の全体像を押さえてから入り口を選ぶのが効率的です。

学習リソース選定と就業ルートの詳細はJw_cad 学習・キャリアガイド|講座・書籍・案件・派遣の選び方7軸で解説しています。

他CADソフトとの位置関係|AutoCAD・Revit・ArchiCADとの使い分け

Jw_cadは「日本国内×無料×2D図面」の領域で唯一無二ですが、BIM・国際案件・ビジュアライゼーションでは他CADが主役になります。兄弟CADとの使い分けを理解しておくと、併用・移行の判断がしやすくなります。

AutoCADとの関係|DWG受け渡しの共通言語

AutoCADはAutodesk社の世界標準2D-CADで、月額サブスク約7,500円(年間約9万円)・建築/機械/土木で幅広く採用されています。Jw_cadとの関係は「競合ではなく相補」で、国内案件の大半はAutoCAD事務所とのDWG受け渡しで連携します。

Jw_cadのVersion 10.02.1ではDXF 2010形式出力に対応したため、AutoCAD側でのバージョン互換問題が軽減されました。意匠事務所がJw_cadで作図し、構造・設備事務所がAutoCADで描く、という共同案件でもDXFを共通言語として協業が成立します。AutoCADの全体像はAutoCAD 完全ガイド|建築設計の世界標準CADソフトで解説しています。

Revit・ArchiCADとの関係|BIM時代の補完ツール

RevitとArchiCADはBIMの代表格で、属性情報付きの3Dモデルから平面図・立面図・数量表を自動生成できます。大規模設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーでの採用が進んでおり、国交省もBIM原則化の方針を示しています。

とはいえ、中小設計事務所の確認申請・施工図ワークフローでは、BIMモデルから2D図面を切り出してJw_cadで仕上げる実運用が現実解です。RevitやArchiCADを完全に導入しきれない規模の事務所にとって、Jw_cadは「BIMから切り出した2D図面の仕上げ場」として残り続けます。各BIMソフトの全体像はRevit 完全ガイド|建築BIMの代表格を建築実務で活用するArchiCAD 完全ガイド|設計からビジュアライゼーションまで一貫できるBIMで解説しています。

Vectorworks・BricsCAD・GLOOBE・ARCHITREND ZEROとの比較軸

その他の主要CADとの位置関係は次のとおりです。

CAD 価格帯 主戦場 Jw_cadとの使い分け
Vectorworks 年間約14万円〜 建築・インテリア・ランドスケープ Macユーザー・デザイン重視案件は Vectorworks
BricsCAD 買い切り約13万円〜 AutoCAD互換2D/3D AutoCAD乗り換え先、Jw_cadとは領域が異なる
GLOOBE 国産BIM 建築基準法・法規チェック重視 中堅事務所のBIM導入先、Jw_cadと併用可能
ARCHITREND ZERO 国産住宅CAD プレカット・見積連携重視 住宅会社の専用業務、Jw_cadと領域分担

詳細な比較軸はJw_cad比較ガイド|他CAD7種との違いと使い分けにまとめています。

Jw_cadでBIM時代をどう生き抜くか|2D×BIM併用の現実解

BIM化が進む2026年4月現在でも、Jw_cadは「確認申請・施工図の共通言語」として残り続けています。BIMへ一気に移行するのではなく、意匠BIMとJw_cadの併用が中小設計事務所の現実的な選択になる理由を整理します。

BIMとの使い分け|意匠BIMで設計、Jw_cadで実施図

BIMは設計段階で属性情報付きの3Dモデルを構築し、そこから図面・数量・シミュレーションを派生させる手法です。意匠設計の早い段階でBIMを使うほど情報の一貫性が担保されますが、確認申請・施工図の段階では、行政や施工者から渡される図面がJw_cadのDXFであることもまだ多いのが現状。

実務では、意匠段階でRevit・ArchiCAD・GLOOBEを使い、確認申請・施工図の仕上げはJw_cadへ持ち込む併用運用が定着しています。この運用だと、BIMの情報一貫性と、Jw_cadの日本実務適合性の両方を取り込めます。

中小設計事務所のワークフロー例

従業員10名規模の中小設計事務所の事例では、意匠設計者がArchiCADで基本設計を行い、実施設計段階で平面図・断面図をDXFでJw_cadに渡し、寸法・文字・凡例をJw_cadで仕上げて確認申請に出す、というワークフローが報告されています。

設備設計・構造設計はJw_cadで描き起こされ、意匠BIMと整合を取るためにDXFで往復する運用です。BIMに一気に振り切ると現場の外注先(設備・構造・施工)と互換が切れるため、Jw_cadを共通言語として残す選択が合理的といえます。

2D×BIM併用が現実解である理由

BIM化には導入コスト(ソフトライセンス・PC更新・教育)がかかります。中小事務所では、意匠BIMだけ先行導入し、残りの業務はJw_cadで維持するのが投資対効果の高い選択です。

一気に全業務をBIM化する投資は、案件単価と年間案件数が一定規模を超えないと回収できません。BIMとJw_cadの併用設計は、組織規模と案件構成を棚卸ししてから順序を決めるのが現実的です。

Jw_cadを最短で実務投入するための学習ロードマップ

Jw_cadを最短で実務投入するには、独学の挫折ポイントを避けつつ、4週間単位で段階を区切って進める学習設計が効きます。

4週間で基本操作から図面作成まで

実務では、1日30分の学習時間を確保できれば、4週間で基本操作と平面図の描き起こしまで到達できます。

第1週はインストールとクロックメニュー・ショートカットの習得、第2週はレイヤ・線種・線色の運用と簡易な平面図の写経、第3週は平面図の自作(自宅や想定物件)と寸法・文字・建具の配置、第4週は立面図・断面図への展開と印刷・PDF出力、という段取りが現実的です。

この4週間は、JW_cad基本操作ガイドJW_cadで建築図面を描く方法をセットで進めるのが効率的です。

独学で挫折しないための3つの工夫

独学での挫折を避ける工夫は3点あります。

第一に、最初から全機能を覚えようとしないこと。クロックメニュー24方向や256レイヤ体系を一度に覚えようとすると挫折します。頻出5方向、頻出15ショートカット、基本6〜10レイヤ構成だけに絞り、残りは必要に応じて追加する運用が現実的です。

第二に、毎日10〜20分でも触る習慣を作ること。週に1回まとめてやるより、短時間でも継続するほうがクロックメニューとショートカットが体に染み込みます。第三に、自分が描きたい図面(自宅の平面図、店舗の配置図など)をテーマに練習することです。練習問題を解くより、目的のある図面のほうが操作が定着します。

よくある質問(FAQ)

Jw_cadの導入や運用で、検索されやすい質問をまとめて回答します。Mac対応・商用利用・他CADとの互換性・BIM連携・学習期間・資格までを順に取り上げます。

MacでJw_cadは使えますか?

Jw_cadは公式にはWindows専用です。Macで使う場合は、Parallels DesktopやBoot CampでWindowsを動かす、仮想環境を構築する、あるいはMac版として配布されている「JwCAD for Mac(非公式移植版)」を使う、という3つの経路があります。詳細はJW_cadデータ連携ガイドのMac対応セクションで解説しています。

商用利用や法人導入に制限はありますか?

Jw_cadは個人・法人を問わず商用利用可・機能制限なし・追加費用なしで使えます。ライセンス料・アクティベーション・利用人数の制限もありません。組織導入時に確認しておきたいのは、公式の法人サポート窓口が存在しない点です。

.jww/.jwcファイルは他CADで開けますか?

.jww・.jwcはJw_cad独自のファイル形式で、AutoCAD等の他CADでは直接開けません。DXFまたはDWGにエクスポートすれば他CADでも扱えます。Version 10.02.1(2026年4月現在)でDXF 2010形式出力に対応し、互換性が向上しています。

BIMデータとの互換性はありますか?

Jw_cadは2D専用のため、BIMネイティブ形式(IFC=国際的なBIMデータ交換規格、RVT=Revit独自形式、PLN=ArchiCAD独自形式)を直接扱うことはできません。BIMソフト側で2D図面として切り出し、DXFで受け渡す運用が現実解です。BIMとの併用は本記事の「Jw_cadでBIM時代をどう生き抜くか」のセクションで整理しています。

学習期間の目安は?

1日30分の学習で、基本操作は1〜2週間、平面図の描き起こしは3〜4週間、立面図・断面図・配置図を含む確認申請図一式は2〜3ヶ月が目安です。実務レベルの図面品質に達するには、半年〜1年の実案件経験が一般的です。

Jw_cadの資格はありますか?

Jw_cad単体の公式資格はありませんが、サーティファイ主催の「建築CAD検定試験」が実質的な業界標準資格として機能しています。2025年度も継続実施され、Jw_cadでの受験が可能です。詳細はJw_cad 学習・キャリアガイドで解説しています。

まとめ

Jw_cadは日本建築設計の「共通言語」として30年以上機能してきた無料2D-CADです。本記事の要点を整理します。

  • Jw_cadは無料・Windows専用・日本建築2D特化という独自ポジションのCADで、2026年4月現在の最新版はVersion 10.02.1(2026年1月公開)です
  • 強みは尺貫法対応・256レイヤ構造・クロックメニュー・求人母数・軽量動作の5点で、中小設計事務所・工務店・在宅副業で広く普及しています
  • 弱みは3D・BIM非対応・独特なUI・公式サポートなしの3点で、大規模BIM案件・意匠パース・国際案件には別ツールとの併用が必要です
  • 他CADとの使い分けは「日本国内×無料×2D」で唯一無二、AutoCADとはDXFで共通言語化でき、Revit・ArchiCADとは意匠BIM→Jw_cad実施図の併用が実務的な選択になります
  • 学習は4週間単位で基本操作→平面図→立面断面と段階を踏むのが最短経路で、独学の挫折ポイントは配下7テーマの詳細記事で補完してください

まずは自分の段階に合わせて、配下7記事のうち該当テーマから深掘りを始めてみましょう。

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この記事を書いた人

橘 美咲のアバター 橘 美咲 PERSC 専任講師

「CADは裏切らない。昨日引けなかった線が、今日は引ける。それが楽しいの」

元・完全未経験の文系女子。新卒で入った建築現場で「図面が読めない」と絶望し、悔し涙を流しながらCADを独学で習得した過去を持つ。 その後、設計事務所、ゼネコンを経てフリーランスへ転身。現在はPERSCにて「現場で本当に使える技術」を伝授する鬼(?)コーチとして活動中。 「線一本にも意味がある」が口癖。趣味は、完成した建物を見上げながらのビールと、深夜の猫動画巡回。

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