Coohom 照明・採光設定で写真風に仕上げる4つの手順

Coohomで作ったインテリアパースが「どうしてもCGっぽい」と感じるとき、原因は家具でも素材でもなく照明設計にあります。実務では、光の質が写真らしさを9割方決めると言ってよいほどです。方位角・高度角・色温度・露出の4つを意識するだけで、同じモデルでも仕上がりが大きく変わります。

この記事では、Coohomの照明機能を「自然光」「人工照明」「シーン別レシピ」「写真風4ステップ」の順に整理し、2026年4月現在の仕様を踏まえて写真風仕上げへの道筋を解説します。素材・照明・レンダリングを横断的に押さえたい場合は Coohom デザイン機能ガイド|写真風パースを仕上げる5ステップの全体像 も合わせて確認してください。この記事はそのうち照明・採光に絞った実務レシピです。

Blenderで作る
初めての建築3DCGパース

Blenderの導入から基本操作、太陽光の入る白い部屋の制作まで。全3本のカリキュラムを体験できます。

Blenderの導入から基本操作、
太陽光の入る白い部屋の制作まで。
全3本のカリキュラムを体験できます。

目次

Coohomの照明機能で押さえる3つのレイヤー

Coohomの照明は「環境光」「人工照明」「レンダラー側の露出補正」の3層で組み立てます。この層構造を先に理解しておくと、光がうまくまとまらないときに原因を切り分けやすくなります。

実務では、下のレイヤーから順に固めるのが鉄則です。環境光が決まっていない状態で人工照明を足しても、光の方向性が矛盾してCG感が増すだけの結果になりがちです。

環境光レイヤー(太陽光・時刻・天候・HDR)

環境光は太陽光と空の光をまとめて扱うレイヤーです。Coohom公式ヘルプ 3 Steps to Light Customization によれば、太陽光UIは方位角(azimuth)と高度角(pitch/EL)の2軸で制御し、部屋単位で自動調整するトグルも用意されています(2026年4月現在)。天候プリセットで拡散具合が変わり、HDR背景を読み込めば、窓の外の景色と環境光の色味が連動する仕組みになっています。

人工照明レイヤー(Rectangle / Omni / IES の3区分)

人工照明はオブジェクト単位で配置する光源です。公式解説 Understanding Luminaries in Lighting では、ライト種別を Rectangle Light(面光源)・Omni Light(点/球光源)・IES Light(配光データ)の3区分で整理しています。この上位区分に、Downlight・Pendant・Spot・Track・Linear Pendantといった実装モデルが紐づく構造です。色温度と強度をオブジェクトごとに個別設定できるため、住宅の多灯分散にも対応しやすい構成といえます。

レンダラー側の露出・ホワイトバランス

レンダリング直前にかける補正がこのレイヤーです。公式記事 Creating Photorealistic Renders with Coohom によると、ポスト処理で色補正・コントラスト調整・フィルタ適用が可能で、露出(EV値)とホワイトバランス(色温度補正)を動かして撮って出しの印象を写真に寄せられます。なお、2026年4月現在、プランによる機能制限の明記は公式上ありません。ただし Can We Use Render for Free? のとおり、4K以上の高解像度レンダリングはPro/Premiumの有料枠が前提になります。

レイヤー 主なパラメータ 仕上がりへの寄与
環境光 方位角/高度角/色温度/天候/HDR 全体の明るさと影の方向
人工照明 位置/強度/色温度/種別(Rect/Omni/IES) 陰影のメリハリと雰囲気
露出補正 EV/WB/コントラスト 写真らしい仕上げの最終調整

自然光(太陽光)の設定手順

写真風のベースは自然光で9割決まります。まず方位角と高度角を固定し、窓からの入射角をコントロールするのが最短ルートです。

実務では、時刻を動かすより方角を先に決めるほうが失敗しません。南向きリビングなら正午でも柔らかい光、北向きなら一日を通して間接光中心、という判断が先に立つからです。

方位角・高度角・色温度の設定

Coohomの太陽光パネルでは、方位角(azimuth、0〜360度)と高度角(pitch/EL、0〜90度)を数値入力で指定できます。さらに色温度プリセットとシャドウソフトネスも同じUIから調整可能です。公式ヘルプ How to manually layout lighting — daytime chapter のデイタイム推奨値は以下のとおり(2026年4月現在)。

パラメータ 公式推奨値
色温度 6500K
シャドウソフトネス 5
明るさ 20〜50
高度角(EL) 25〜50

住宅パースで使いやすい基本3パターンは以下のとおりです。

時間帯 時刻イメージ EL(高度角) 方位角 印象
7〜9時 25〜35 東(60〜90度) 爽やか/明るい
11〜14時 45〜60 南(170〜200度) 自然な光量
夕方 16〜17時 15〜25 西(260〜280度) 暖かい/ドラマチック

天候プリセットと影のコントラスト

天候は快晴・薄曇・曇天・夕景などのプリセットから選びます。快晴は影がくっきり出るため、床や家具の立体感を出したいときに有効です。曇天は影がソフトになり、カタログ的な均一な絵を作りやすくなります。

リアルタイムレンダリングの6テンプレート

Coohomのリアルタイムレンダリングには、公式ヘルプ Create Real-time Lighting with Cloud Rendering Technology のとおり6つのテンプレートが用意されています。

  • Daytime / Nighttime(標準)
  • Indoor Daytime 3.1 / Indoor Nighttime 3.1(屋内特化)
  • Ultra-Fast Daylight 3.1 / Ultra-Fast Nightlight 3.1(高速生成)

シーン別レシピの起点として、これらのテンプレートを選んでから個別パラメータを詰めるワークフローが効率的です。

窓ガラス素材と光の減衰

環境光の見え方は窓ガラスの透過率にも左右されます。ガラスの反射強度や粗さの調整はCoohom 壁・床・天井の素材編集マスター|質感と写真風レンダリング7手順で詳しく扱っているので、光が弱く感じるときは合わせて確認しておくのが安全です。

人工照明の配置と色温度

人工照明は数より位置と色温度が勝負です。実務では、住宅リビングなら2700〜3000Kの電球色を基調に、キッチンのみ3500K前後を混ぜるのが定番になっています。色温度がばらつくとCG感が一気に増すので、プラン全体での統一ルールを先に決めましょう。

Rectangle Light(面光源)の使いどころ

Rectangle Lightは面で発光する光源で、大きな窓からの間接光や、撮影スタジオのソフトボックス的な用途に向きます。天井全体を柔らかく明るくしたい場合にも有効です。

Omni Light(点光源)とダウンライト配置

Omni Lightは球状に光を放つ点光源で、ペンダント球や裸電球の表現に適しています。ダウンライトとして天井に配置する場合は、壁から60〜80cm離し、灯具の間隔は180〜240cmが目安です。これは建築設計の一般的な配灯基準と同じ数値になります。Coohomでは天井面にスナップする形で配置できるため、グリッドコピーを使うと作業が速く進みます。

IES Light(配光データ付き)で陰影を作る

IES Lightは実在の器具データ(配光曲線)を読み込む形式で、壁を撫でるウォールウォッシャー光や、テーブル面にスポット状に落ちる配光を再現できます。夜のシーンでIES Lightを1〜2灯混ぜると、写真で言う「キーライト+フィルライト」の構図を再現しやすくなります。

色温度スケール早見表

色温度 印象 推奨用途
2700K 暖かい電球色 寝室・リビングくつろぎ
3000K 温白色 リビング・ダイニング
3500K 白色寄り キッチン・書斎
5000K 昼白色 作業空間・タスクライト
6500K 昼光色(公式デイタイム値) 自然光メインの日中シーン

編集部では、住宅案件のパースは2700〜3000Kに揃え、タスク照明のみ3500Kで差し色にする運用を推奨しています。自然光メインの昼シーンだけは公式推奨の6500Kを使うと、太陽光と人工光の整合性が取りやすくなります。

シーン別ライティングレシピ

用途別に「光のゴール」を決めると設定が迷いません。朝は爽やかさ、昼は自然なコントラスト、夜は暖色の落ち着き、逆光はドラマチックな演出が狙いです。

朝(7〜9時、東向き)

項目 推奨値
方位角 東(60〜90度)
高度角(EL) 25〜35
色温度 5500〜6500K
天候 快晴
明るさ 30〜45
人工照明 ほぼOFF

朝のシーンは窓からの斜光を主役にします。人工照明をほぼ消すことで、朝らしい自然な明るさが出ます。

昼(11〜14時、天頂光・公式デイタイム準拠)

項目 推奨値
方位角 南(170〜200度)
高度角(EL) 45〜60
色温度 6500K(公式推奨)
シャドウソフトネス 5
天候 快晴または薄曇
明るさ 20〜50(公式推奨レンジ)
人工照明 20〜30%

昼は天頂に近い光で影が短く出ます。公式デイタイム推奨値(明るさ20〜50、EL25〜50、色温度6500K、シャドウソフトネス5)をそのまま当てはめると、極端な白飛びや黒つぶれが起きにくく、初期パラメータとして安全です。

夜(19〜21時、人工照明主体)

項目 推奨値
時刻 20時
方位角 任意(影響小)
高度角(EL) 0〜5(日没後)
天候 夕景または夜景
環境光明るさ 15〜20
人工照明 80〜100%、2700K基調

夜のシーンでは環境光を絞り、人工照明の多灯で陰影を作ります。実務では3〜5灯の多点配置で、壁に陰影を落とす構図が写真らしく仕上がりやすいといえます。Rectangle Lightで天井側の環境光を軽く足し、Omni/IESで主照明とアクセントを組むのが定石です。

逆光カット(西日・窓際強調)

項目 推奨値
時刻 16〜17時
方位角 西(260〜280度)、カメラと対面
高度角(EL) 15〜25
天候 快晴または夕景
明るさ 50〜70
人工照明 30〜40%(影の暗部を起こす)

逆光カットはHDRを併用すると破綻しにくくなります。環境光を意図的に強めに振り、人工照明でフィルライトを足すのがコツです。レンダリング側の露出調整も必須なので、Coohom レンダリング設定完全ガイド|HD〜16K解像度とクレジット最適化も合わせて確認しておくと安心です。

写真風に仕上げる4つの手順

ここまでの設定を実案件で使う順序に落とし込みます。4ステップで進めると、1カット1時間前後で写真風仕上げまで到達できます。

手順1: 方位角・高度角の確定と環境光セット

最初に方位角・高度角・色温度を決めます。シーンの狙い(朝/昼/夜/逆光)から逆算し、方位角を先に確定。昼シーンなら公式推奨の6500K/EL25〜50/明るさ20〜50を初期値として入れていきます。

手順2: 素材の反射・粗さ調整

環境光が固まったら素材の反射をチェック。床の反射が強すぎるとCG感が出るので、粗さ(Roughness)を0.3〜0.5あたりに抑えるのが実務での定番です。素材側の詳細はCoohom 壁・床・天井の素材編集マスター|質感と写真風レンダリング7手順にまとめています。

手順3: 人工照明の配置と色温度調整

色温度を統一ルールで決め、Omni Light(ダウンライト)をグリッド配置してから、Rectangle Lightで天井の柔らかい面光を、IES Lightでアクセント配光を置きましょう。ここで多灯にしすぎないのが写真風のコツです。

手順4: レンダリングと露出・ホワイトバランス微調整

最後にレンダラー側で露出(EV)とホワイトバランスを微調整します。やや暗めにレンダリングしておき、ポストで持ち上げるほうが白飛びを防げます。プレビューは無料枠の低解像度で詰め、本番書き出しは4K以上に対応するPro/Premium有料プラン(Coohom Pricing 参照、2026年4月現在)で実行する運用が現実的です。

まとめ

  • Coohomの照明は「環境光」「人工照明」「露出補正」の3層構造で組み立てます
  • 自然光は方位角・高度角・色温度の3点固定が最短ルートになります
  • 人工照明は Rectangle / Omni / IES の3区分を使い分け、住宅は2700〜3000Kで統一するのが基本
  • 昼シーンは公式推奨のEL25〜50・明るさ20〜50・色温度6500Kを初期値にすると安全です
  • 4ステップ(環境光→素材→人工照明→露出)で1カット1時間前後に収められます

あわせて読みたい

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

PERSC Experience Course

未経験から、
最初の一枚を完成させる。

未経験から、
最初の一枚を完成させる。

Blenderの導入から基本操作、
そして建築パースを1作品完成させるところまで。
全3本の体験カリキュラムを無料体験できます。

Blenderの導入から基本操作、
そして建築パースを1作品完成させるところまで。
全3本の体験カリキュラムを無料体験できます。


CONTENTS

3 LESSONS


基礎編① インストール&7項目の初期設定

Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

建築パースを1作品完成させるまでを体験


BONUSES
体験カリキュラム限定の3大特典


実践編完成データ(.blend)

ショートカット・チートシート

マテリアル ライブラリセット

この記事を書いた人

橘 美咲のアバター 橘 美咲 PERSC 専任講師

「CADは裏切らない。昨日引けなかった線が、今日は引ける。それが楽しいの」

元・完全未経験の文系女子。新卒で入った建築現場で「図面が読めない」と絶望し、悔し涙を流しながらCADを独学で習得した過去を持つ。 その後、設計事務所、ゼネコンを経てフリーランスへ転身。現在はPERSCにて「現場で本当に使える技術」を伝授する鬼(?)コーチとして活動中。 「線一本にも意味がある」が口癖。趣味は、完成した建物を見上げながらのビールと、深夜の猫動画巡回。

目次