Jw_cadハッチング・塗りつぶしの方法|線種別パターンとSXF変換時の崩れ対策

建築図面でのハッチングや塗りつぶしは、コンクリートの断面・木材の仕上げ・タイル張りの床・斜線規制エリアなど、面の情報を一目で伝えるための欠かせない表現手段です。Jw_cadでは、線の集合で面を表現する「ハッチ」コマンドと、ベタ塗りで面を表現する「ソリッド」コマンドが別機能として用意されており、用途に応じて使い分けるのが実務の基本です。Version 10.02.1(2026年4月現在)でも機能構成は従来と同じで、一度押さえれば長く使える知識になります。

この記事を読むと、Jw_cadのハッチング種別(1線/2線/3線/格子/馬目地/正方形など)、塗りつぶし(ソリッド)の操作方法、印刷時の見え方、SXF/DWG変換時に崩れない運用までを順番に確認できます。

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目次

Jw_cadのハッチング・塗りつぶしの全体像

Jw_cadの面表現は「ハッチ(線パターンで面を描く)」と「ソリッド(ベタ塗りで面を描く)」の2系統に分かれ、用途と出力方法で使い分けます。どちらも[作図]や[その他]メニューから呼び出す標準コマンドです。

ハッチと塗りつぶしの違い

ハッチは指定した範囲の中に、一定のピッチと角度で線を繰り返し配置する機能です。コンクリート断面の45度斜線、木材の方向性を示す縞模様、タイルの格子模様など、面の「材質」や「属性」を読み取れる線のパターンで表現します。

一方のソリッドは、指定範囲を単色でベタ塗りする機能です。平面図で部屋ごとに色を変える、断面の塗りつぶしを行う、プレゼン用に強調したい部分だけを目立たせる、といった用途に向いています。

両者は見た目も仕組みも異なります。ハッチは細かい線分の集合として保存されるためファイルサイズが大きくなりやすく、ソリッドは1つの図形として扱われるため軽量です。どちらを選ぶかは、最終出力(印刷・SXF・プレゼン画像)と意図で判断します。

面表現で使う5つの実務シーン

建築図面でハッチング・塗りつぶしが登場する代表的な場面は、次の5つです。

  • 断面の材質表現(コンクリート・木材・断熱材)
  • 仕上げの表現(タイル・フローリング・レンガ)
  • 斜線規制や敷地条件の図示(道路斜線・隣地斜線の影響範囲)
  • 平面図での部屋用途の色分け(LDK・水回り・寝室)
  • プレゼン・提案資料での強調塗り

意匠図・確認申請図・施工図と用途が広く、ハッチとソリッドのどちらで表現するかは図面種別と事務所ルールで決まります。

Version 10.02.1で引き続き使える標準機能

Jw_cadのハッチ機能・ソリッド機能は、Version 10.02.1(2026年4月現在)でも従来からの仕様で動作します。新しい面表現が追加されたわけではなく、8種のハッチパターンと任意色指定のソリッドという基本構成は安定して維持されています(出典: Jw_cad公式サイト、2026年4月確認)。

Jw_cadの基本操作全体像を俯瞰したい場合は、JW_cad基本操作ガイド|初期設定・ショートカット・レイヤの使い方で全体像から確認できます。

ハッチングの基本操作([作図]→[ハッチ])

Jw_cadのハッチは「範囲指定 → 種別選択 → パラメータ設定 → 実行」の4ステップで完了します。手順を一度覚えればどのパターンでも同じ流れで描けるのが特徴です。

[ハッチ]コマンドの呼び出しと範囲指定の3方式

ハッチコマンドはメニューバーの[作図]→[ハッチ]、またはツールバーの「ハッチ」ボタンから起動します。コマンドを起動するとコントロールバーに各種設定項目が表示されます。

範囲指定の方法は以下の3方式から選択できます。

  • 連続線範囲: 閉じた連続線(長方形・多角形など)をクリックして範囲として指定
  • ブロック範囲: ブロック化された図形の外周を範囲として自動認識
  • 範囲選択: 左クリック+右クリックで任意の領域を矩形または多角形で囲って指定

現場では連続線範囲が最も使用頻度が高く、事前に閉じた多角形で下書きを描いておき、その内側をハッチでクリックする流れが基本です。

線色・線種・ピッチ・角度・基点の設定

コントロールバーで指定するパラメータは次の5つです。

  • 線色: ハッチ線をどの線色で描くか(印刷時の線幅に直結)
  • 線種: 実線・点線・一点鎖線など(通常は実線)
  • ピッチ: 線と線の間隔(mm単位、実寸で指定)
  • 角度: 基準線に対する傾き(0度・45度・90度などが一般的)
  • 基点: ハッチを開始する座標(通常は(0,0)でよい)

コンクリート断面の45度斜線であれば「実線・線色1・ピッチ3mm・角度45度」あたりが定番です。木材の方向性を出したい場合は、繊維方向に合わせて角度を指定します。

ピッチはJw_cadでは実寸で指定するため、縮尺に応じて見え方が変わります。1/100の平面図で3mmピッチに設定すると紙面上は0.03mmの線間隔になり、細かすぎて真っ黒に見えるケースが発生します。縮尺とピッチの関係を意識するのが失敗を防ぐコツです。

ハッチ実行時のプレビューとやり直し

範囲とパラメータを指定したあとコントロールバーの「実行」をクリックすると、指定範囲内にハッチが描画されます。意図したパターンと違った場合は、Ctrl+Zで直前のハッチを取り消せます。

ハッチは線の集合として生成されるため、生成後にピッチや角度だけを変更することはできません。パターンを変えたい場合は一度取り消して再実行するのが基本の流れです。

ハッチングパターン8種の一覧

Jw_cadで標準的に使えるハッチパターンは、以下の8種類です。

パターン特徴建築での主な用途
1線(斜線)単一の平行線コンクリート断面・土砂
2線2本1組の平行線木材の一般断面
3線3本1組の平行線CLT・特殊断面
─×─(横線)水平な等間隔線簡易ハッチ・予備
格子縦横のクロスタイル仕上げ・網目
正方形タイル状の正方形タイル・石張り
馬目地レンガ積み模様レンガ・ブロック
図形ハッチユーザー定義パターン独自記号・特殊仕上げ

この8種を用途別に押さえておけば、建築図面で必要な面表現はおおむねカバーできます。

ハッチングパターン別の使い分け

斜線・格子・馬目地・正方形といったパターンは、建築図面の仕上げ表現で用途が分かれ、材質や意図に合わせて選ぶのが実務の基本です。

1線ハッチ(コンクリート・土砂の断面)

最も使用頻度が高いのが1線ハッチです。角度45度・ピッチ2〜5mmの実線で描くとコンクリート断面の標準表現になります。

断面図や矩計図で壁や床スラブの切断面を示すときは、この1線ハッチが基本形です。ピッチを細かくすれば密な印象、粗くすれば軽い印象と、同じ1線でも密度の調整で材質感を出し分けられます。

土砂・地盤の表現では、角度を変えた2種類の1線ハッチを重ねて描くことで、より土らしい質感を表現する方法もあります。実務では事務所の標準図例に従うのが無難です。

2線・3線ハッチ(木材・CLT等の方向性断面)

木材の繊維方向を表現するときは2線ハッチを使います。2本1組の平行線で縞模様を作ることで、木目の方向性を図面上に示せる仕組みです。

CLT(直交集成板)や集成材のような層構造のある材料では、3線ハッチで複数の層を表現するケースがあります。層ごとに角度を変えて重ねれば、直交方向の繊維を視覚化できます。

木造住宅の矩計図では、柱の断面を2線ハッチで表現し、角度を繊維方向に合わせるのが慣例です。図面の縮尺に応じてピッチを調整する必要があります。

正方形・馬目地・格子(タイル・レンガ・仕上げ材)

タイル張りや石張りの表現では正方形ハッチ、レンガ積みでは馬目地ハッチが定番です。馬目地は目地が半分ずつずれたレンガ積みの模様で、Jw_cadに標準搭載されている便利なパターンです。

格子ハッチはタイルカーペットやネットフェンスの表現に使います。縦横のピッチを同じにすれば正方格子、変えれば長方形の格子になります。

平面図で玄関ポーチやアプローチの仕上げを表現するときは、正方形ハッチや馬目地ハッチを使うことで、施工者に仕上げ材を伝えやすくなります。

図形ハッチ(ユーザー定義パターンと注意点)

標準の8パターンで足りない場合、Jw_cadは図形ハッチというユーザー定義機能を備えています。あらかじめ作成した図形データをハッチパターンとして登録し、繰り返し配置するイメージです。

電気設備記号の配列や、独自のロゴパターンを面全体に敷きたい場合に活用できます。ただし図形ハッチは後述のとおりSXF変換で崩れやすいパターンであり、電子納品案件では標準パターンに置き換えるのが安全策です。

事務所では、標準パターンで代替可能な限り標準を使い、図形ハッチは社内資料や提案プレゼン用に限定する運用が扱いやすくなります。

塗りつぶし(ソリッド)と円ソリッドの使い方

面をベタ塗りにしたいときはソリッド機能を使います。平面図の部屋色分けや断面の着色、プレゼン図面の強調などに活用できる機能です。

[ソリッド図形]の基本操作

ソリッドコマンドはメニューバーの[その他]→[ソリッド図形]から起動します。標準のキー設定では”b”キーがショートカットに割り当てられており、頻繁に使う場合はキー操作の方が速くなります。

基本操作の流れは次のとおりです。

  1. コマンドを起動し、コントロールバーで色を指定する
  2. 塗りたい多角形の頂点を順にクリックしていく
  3. 最後の頂点で右クリック(または[作図]ボタン)で塗りつぶしを確定する

3点クリックで三角形、4点で四角形、それ以上で多角形のソリッドになります。頂点が複雑な形の場合は、あらかじめ閉じた多角形を線で描いておき、その頂点を順にクリックすると確実です。

任意色指定と線色連動

ソリッドの色はコントロールバーの「任意色」にチェックを入れると、カラーパレットから自由に選択できます。チェックを外すと、指定した線色と同じ色で塗られます。

任意色を使うと画面上は鮮やかに色分けされて見やすくなりますが、印刷時の再現性は出力方式で変わります。カラー印刷する場合は任意色がそのまま出力され、白黒印刷ではグレースケールに変換されます。

実務では、部屋用途の色分けは任意色で画面確認用、最終納品はソリッドを削除するかハッチに置き換える、という運用をする事務所もあります。

円ソリッドと複合図形のソリッド化

Jw_cadには「円ソリッド」という円形のベタ塗り機能もあり、[その他]→[ソリッド図形]でソリッドコマンドを起動後、コントロールバーの「円・連続線指示」オプションを使うと円や既存の連続線を一発で塗りつぶせます。

複雑な形のソリッドを作りたい場合は、まず多角形を線で描いて閉じた領域にしてから、連続線指示で一度にソリッド化するのが効率的です。凹形状や穴あき図形も、外形と内形を組み合わせれば表現できます。

プレゼン図面での矢印・吹き出しの塗りつぶしにも、円ソリッドや多角形ソリッドは重宝します。

印刷・SXF変換で崩れないためのチェックポイント

ハッチは線の集合体であり、ソリッドは面の単色塗りであるため、印刷線幅や外部CADへの変換で表現が崩れやすい特性があります。事前設定と確認で予防するのが実務の基本です。

線色とプリンタ出力線幅の関係

ハッチ線の印刷時の太さは、指定した線色に紐づくプリンタ出力線幅で決まります。線色1を0.13mmに設定していればハッチも0.13mm幅、線色5を0.5mmにしていれば0.5mm幅で出力されます。

ハッチは線が密に並ぶため、線幅を太くしすぎると紙面で真っ黒に潰れてしまいます。作図時は線色1または補助線色で描き、細い線幅で出力するのが定石です。補助線色を使えば印刷対象外にできるため、作業中の確認用ハッチに向いています。

線色・線幅の詳細設定についてはJw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説で解説しています。

カラー印刷・白黒印刷での見え方の違い

ソリッドの色指定は、カラー印刷と白黒印刷で見え方が大きく異なります。カラー印刷では指定色がそのまま出力されますが、白黒印刷ではグレースケール変換され、意図した濃淡にならないケースがあります。

白黒印刷が前提の意匠図では濃すぎる任意色を避け、グレー系の控えめな色を選ぶのが無難です。部屋用途の色分けのような画面確認用のソリッドは、印刷時に削除するか非表示レイヤに逃がしておく運用も検討してください。

SXF(p21/sfc)変換時に崩れやすいパターンと対策

SXF形式は国土交通省が電子納品用に策定したCADデータ交換標準です。Jw_cadはSXF入出力に対応していますが、ハッチングはJw_cad独自の実装とSXF規格の仕様差で崩れるケースがあります。

特に崩れやすいのは以下のパターンです。

パターン崩れ方対策
図形ハッチSXF規格に対応するパターンがなく、単純線に置換される標準パターンに寄せる
馬目地目地パターンが等間隔格子に変換される場合がある出力後に目視確認
細かいピッチ線が密すぎて一部省略されるピッチを少し粗めに再設定
任意色ソリッドカラー情報が抜ける場合がある線色連動のソリッドに変更

電子納品の実務解説や公式ガイドラインでは、ハッチを多用するときは「標準8パターンに限定する」「出力後にSXF対応ビューアで目視確認する」の2点が共通して推奨されています。SXF変換の詳細はJw_cadのSXF/p21形式(電子納品)対応|出力手順と崩れ対策で解説しています。

DWG/DXFへの出力時の注意点

AutoCADとやり取りするためにDWG/DXF形式で出力する場合、ハッチとソリッドの扱いが変わります。Jw_cadのハッチは線の集合として保存されているため、DWG出力後はAutoCAD側で「ハッチオブジェクト」ではなく「個別の線分」として扱われます。

AutoCAD側でハッチオブジェクトに再認識させたい場合は、出力後にAutoCADでハッチ定義をやり直すか、作図段階からハッチを最小限に留めてソリッドで代用するといった調整が必要になります。DWG/PDF/SXFなどのデータ連携全体はJW_cadデータ連携ガイド|DWG/PDF/SXF変換と印刷設定で俯瞰できます。

実務でつまずかないためのチェックリスト

ハッチ・ソリッド関連のトラブルは、以下の6項目を確認することで大半を防げます。あなたの図面で該当する項目はあるでしょうか。

#チェック項目確認方法
1書込レイヤが「ハッチ専用レイヤ」になっているか画面右のレイヤバーの赤枠位置
2線色が細い線幅(線色1または補助線色)になっているかコントロールバーの線色表示
3ピッチが縮尺に対して適切か印刷プレビューで線間隔を確認
4範囲指定が閉じた多角形になっているか実行後にハッチが欠けていないか確認
5印刷線幅設定がハッチ線色に反映されているか設定→基本設定→色・画面タブ
6SXF出力時に標準パターンに限定しているか図形ハッチ・馬目地の使用箇所を再確認

実務では書込レイヤを間違えてハッチが別レイヤに混入するトラブルが最も多く、後から整理するのに手間がかかります。ハッチ専用レイヤを事前に確保して作図する習慣が、修正コストを減らす近道になります。

まとめ

Jw_cadのハッチング・塗りつぶしは、ハッチ8種とソリッドの使い分けを押さえれば実務で困ることはありません。Version 10.02.1(2026年4月現在)でも機能構成は従来と同じで、一度習得すれば長く使える知識です。

主な要点は以下のとおりです。

  • ハッチ(線パターン)とソリッド(ベタ塗り)は別機能であり、用途と出力方法で使い分けます
  • ハッチは線色1または補助線色で描き、印刷時の線幅と縮尺を事前に想定しておくと安心です
  • 電子納品案件では図形ハッチ・馬目地のSXF崩れに注意し、標準パターンに寄せてください
  • ソリッドの任意色は画面確認用に割り切り、白黒印刷の図面では控えめな色を選ぶと無難です
  • 書込レイヤと線色の指定ミスが実務で最も多いトラブルなので、作図前の確認を習慣化しましょう

ハッチ・ソリッドの基本を押さえたら、次はレイヤ設計やSXF変換など隣接領域に進めます。レイヤ設計はJw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説、電子納品でのハッチ崩れ対策はJw_cadのSXF/p21形式(電子納品)対応|出力手順と崩れ対策で続きの学習に進めます。

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