Jw_cadのSXF/p21形式(電子納品)対応|出力手順と崩れ対策
官公庁案件や公共工事では、CAD図面をSXF(p21)形式で納品することが原則として義務付けられています。Jw_cadは無料の2D-CADでありながらSXF(p21/sfc)形式の入出力に標準対応しており、2026年4月現在の最新版Version 10.02.1でも引き続きサポートされています。ただし、Jw_cadの図面をそのままSXF形式で保存すると、レイヤ名がCAD製図基準の命名規則と合わなかったり、文字や線種が崩れたりすることがあります。初めて電子納品に対応する実務者ほど、ここでつまずくケースが多く見られます。
この記事を読むと、Jw_cadからSXF(p21/sfc)形式で出力する具体的手順、CAD製図基準に沿ったレイヤ名の設定方法、変換時の崩れ対策、出力後の確認フローを一通り確認できます。
SXFとは何か|p21形式とsfc形式の違いと電子納品での位置づけ
SXFは国土交通省が電子納品用に策定したCADデータ交換標準です。公共工事の図面納品ではp21形式の使用が原則として義務付けられており、Jw_cadで作図した図面も例外ではありません。
SXFの概要とp21/sfcの違い
SXF(Scadec data eXchange Format)は、異なるCADソフト間でデータを正確に受け渡すために開発された交換標準形式です。国土交通省のCALS/EC(公共事業支援統合情報システム)の一環として整備されました。
SXFにはp21形式とsfc形式の2種類があります。p21形式は国際規格ISO 10303 STEP/AP202に準拠した形式です。ファイルサイズは大きくなりますが、国際標準に裏付けられた長期保存性があり、電子納品の正式なデータ形式として指定されています。
一方、sfc形式は日本独自のコメントベースの形式です。p21形式よりファイルサイズが小さく処理速度も速いため、作業中のデータ交換に向いています。
ただし、sfc形式は国際標準ではないため、将来にわたってすべてのソフトで読み書きできる保証はありません。
実務での使い分けは明確です。発注者への納品にはp21形式を使い、設計チーム内での途中段階のやり取りにはsfc形式を使う。この判断を押さえておけば迷うことはありません。
電子納品でSXF(p21)が求められる場面
国土交通省の直轄工事では、2001年度から電子納品が実施されています。CAD図面の納品形式としてSXF(p21)が原則とされており、CAD製図基準(2026年4月現在の最新版は平成29年3月版)がレイヤの命名規則、線種、文字サイズなどの仕様を規定しています(出典: 国土交通省 電子納品に関する要領・基準、2026年4月確認)。
都道府県や市町村レベルでもCALS/EC推進に伴い、電子納品を義務化する自治体が増えています(2026年4月現在)。発注者ごとにローカルルールがあるため、案件を受注したらまず発注者の電子納品要領を確認する必要があります。
在宅副業や派遣案件でも、公共工事関連の図面修正・トレース業務では「電子納品対応可」がスキル要件に含まれることがあります。SXF出力の手順を押さえておくことで、受注できる案件の幅が広がります。
DWG/DXF形式でのデータ受け渡しが必要な場合は、Jw_cad と AutoCAD(DWG/DXF)データ変換完全ガイドで手順と注意点を詳しく解説しています。Jw_cadの全体像はJw_cadとは?日本建築設計の現場に根付く無料CADのすべてにまとめています。
Jw_cadからSXF(p21/sfc)形式で保存する手順
Jw_cadにはSXF出力機能が標準搭載されており、メニューバーから直接p21/sfc形式で保存できます。追加ソフトの購入は不要です。
SXF保存の基本操作
保存手順は以下のとおりです。
- メニューバーの「ファイル」を選択する
- プルダウンメニューから「SFC形式で保存」または「P21形式で保存」を選択する
- 保存先フォルダを指定し、ファイル名を入力する
- ダイアログの設定内容(用紙サイズ、縮尺など)を確認し、保存を実行する
電子納品であればp21形式を選択します。設計チーム内での途中データ交換であればsfc形式を選んでも問題ありません。
保存時に表示されるダイアログでは、用紙サイズと縮尺がJw_cadの作図設定と一致しているかを確認してください。ここがずれていると、納品先で図面が正しく表示されない原因になります。
SXF書出し設定の事前確認ポイント
SXF形式で保存する前に、「設定」メニューの「SXF書出し」で変換設定を確認しておくことを推奨します。具体的にどの項目を見ればよいでしょうか。以下の3点が特に重要です。
既定線種変換設定: Jw_cadの既定線種(実線、破線、一点鎖線、二点鎖線など)をSXFの何番の線種に対応させるかを指定する設定です。初期状態では一般的な対応関係が設定されていますが、発注者の要求と異なる場合は調整が必要です。
レイヤ名に番号を付加する: このオプションにチェックを入れると、レイヤ名の前にレイヤグループ番号とレイヤ番号が付加されます。CAD製図基準に沿った命名を行う場合は、このオプションの使い方を理解しておく必要があります。
文字コード: Version 10.02以降ではUnicode対応が強化されています。SXF出力時の文字コード処理に影響するため、最新版を使用することで文字化けのリスクを下げられます。
出力前にこの設定を5分確認するだけで、変換後の手戻りを大幅に減らせます。
CAD製図基準に沿ったレイヤ名の設定方法
電子納品では図面のレイヤ名をCAD製図基準の命名規則に合わせる必要があります。Jw_cadの16グループ x 16レイヤの体系と基準の命名規則をどう対応させるかが、実務者にとって最初のハードルです。
CAD製図基準のレイヤ命名規則
CAD製図基準では、レイヤ名を「責任主体-図面種別-作図要素」の3階層で構成するルールが定められています(出典: 国土交通省 CAD製図基準、2026年4月確認)。
責任主体は4区分です。測量(S)、設計(D)、施工(C)、維持管理(M)から選択します。図面種別は「STR(構造図)」「BGD(現況地物)」などの略称コードで表し、作図要素は「FRAM(躯体)」「HICN(外形線)」「HTXT(旗上げ)」などで細分化されます。
たとえば「D-STR-FRAM」は「設計-構造図-躯体」を意味します。ユーザ定義レイヤも許容されますが、命名規則のルールに従う必要があります。
Jw_cadのレイヤ体系をCAD製図基準にマッピングする方法
Jw_cadにはレイヤグループ(0からFまでの16グループ)とレイヤ(各グループ内に0からFまでの16レイヤ)があり、合計256レイヤを使用できます。レイヤの基本操作はJw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説で詳しく解説しています。
CAD製図基準に対応させるには、レイヤ設定ダイアログで各レイヤに基準準拠の名称を入力します。たとえば次のようなマッピングが考えられます。
| レイヤグループ | 割り当て例 | レイヤ(例) | レイヤ名(例) |
|---|---|---|---|
| 0 | D-BGD(設計-現況地物) | 0-0 | D-BGD-HICN |
| 1 | D-STR(設計-構造物) | 1-0 | D-STR-FRAM |
| 2 | D-STR(設計-構造物) | 2-0 | D-STR-HTXT |
| 3 | D-DCR(設計-注記・記号) | 3-0 | D-DCR |
この表はあくまで一例です。実際のレイヤ構成は案件ごとに発注者が指定するため、受注時に納品仕様書を入手して確認してください。
実務では、作図を始める前にレイヤ名を設定しておくと、SXF出力時にそのまま基準準拠のレイヤ名が反映されます。後からレイヤ名を変更する場合は、メニューバーの「設定」からレイヤ設定ダイアログを開き、各レイヤの名称欄を書き換えてください。
電子納品のレイヤ設定で最も重要なのは、案件の発注者が指定するレイヤ構成を事前に確認することです。CAD製図基準は全体の枠組みを示すものであり、発注者ごとにローカルルールが追加されることは珍しくありません。
SXF出力時に崩れやすい要素と対策
Jw_cadからSXF形式に変換すると、文字・線種・ハッチングなどが崩れることがあります。品質管理の考え方としては「(1)変換前の事前チェック、(2)変換直後の出力確認、(3)目視による最終チェック」の3段階で対策するのが効果的です。
文字・フォントの崩れ対策
Jw_cad独自のベクターフォントを使用している場合、SXF出力後に文字化けが発生するリスクがあります。SXF形式ではTrueTypeフォントが使用できますが、出力先のPCに同じフォントがインストールされていないと表示が変わってしまいます。
対策として、文字フォントはMS ゴシックやMS 明朝などの汎用TrueTypeフォントに統一しておくことを推奨します。Jw_cad独自のフォントで作図していた場合は、SXF出力前にフォントを変更してください。
文字サイズや文字間隔に微妙なずれが生じることもありますが、これはSXF仕様上の制約です。Version 10.02以降ではUnicode対応と文字間隔処理が改善されており(出典: Jw_cadバージョン情報、2026年4月確認)、最新版を使用することでリスクを軽減できます。
線種・ハッチング・寸法の崩れ対策
フォーラムでは「Jw_cadからp21形式で出力した際、破線で描いたはずの地中配管ラインが実線に変わっていた」という報告が散見されます。原因の多くは、SXF書出し設定で既定線種変換が初期状態のままになっていることです。前述のSXF書出し設定で既定線種変換を適切に設定しておくことが、最も効果的な対策になります。
ハッチングについては、Jw_cad独自のハッチングパターンがSXF仕様で再現されない場合があります。SXF仕様が対応するハッチングパターンに限定して使用するか、出力後にハッチングの表示を確認してください。
寸法図形の変換は、Version 10系で精度が改善されています。ただし、複雑な寸法配置(引出線が交差する場合など)は変換後に表示が変わる可能性があるため、事前に確認しておくと安心です。
SXF出力前の確認チェックリスト
変換前に以下の6項目を確認しておくと、出力後の差し戻しリスクを最小化できます。
| # | チェック項目 | 確認方法 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 1 | フォントの統一 | 文字コマンドでフォント指定を確認 | MS ゴシック/MS 明朝等のTrueTypeフォントに統一 |
| 2 | 線種変換設定 | 設定 > SXF書出し > 既定線種変換 | 発注者の仕様に合わせて対応関係を設定 |
| 3 | レイヤ名の設定 | 設定 > レイヤ設定ダイアログ | CAD製図基準の命名規則に準拠したレイヤ名を入力 |
| 4 | ハッチングの確認 | 画面上で目視確認 | SXF非対応のパターンがあれば変更 |
| 5 | 寸法形状の確認 | 寸法表示を目視確認 | 複雑な寸法配置は出力後に再確認 |
| 6 | OLEオブジェクトの除去 | 図面内にOLEオブジェクトがないか確認 | SXFではOLEオブジェクトを出力できないため、線・文字に変換しておく |
実務では、出力前の5分間でこのチェックリストを一巡させるだけで、納品後の差し戻しによる数日間の手戻りを防げます。
出力したSXFファイルの確認方法
SXF(p21)形式で保存しただけでは品質は担保されません。出力後にSXF対応ビューアで目視確認し、崩れがないことを検証してから納品するのが実務の基本フローです。
SXF対応ビューアでの目視確認
国土交通省が過去に提供していたSXFブラウザは、Ver.3.12を最後に2014年4月で配布終了となりました(出典: 電子納品に関する要領・基準、2026年4月確認)。現在はOCF検定に合格したSXF対応ソフトウェアでの確認が推奨されています。OCF検定とは、SXFデータの正確な入出力を保証する認証制度で、合格ソフトの一覧はOCF公式サイトで公開されています(2026年4月確認)。
無償で使えるSXF対応ビューアとしては、RootPro CAD Freeなどがあります。出力したp21ファイルをビューアで開き、以下のポイントを目視確認してください。
- 文字が正しく表示されているか(文字化け・文字切れがないか)
- 線種が元の図面どおりに再現されているか
- レイヤ名がCAD製図基準の命名規則と一致しているか
- ハッチングが正しく表示されているか
- 寸法値が正しく表示されているか
画面表示だけで判断しにくい場合は、印刷してから紙面で確認する方法も有効です。印刷・PDF出力の詳細な手順はJw_cad印刷・PDF出力の完全手順を参照してください。
電子納品で発注者への提出前に確認すべき項目
電子納品ではCADデータの中身だけでなく、ファイル名やフォルダ構成にもルールがあります。以下の3点は提出前に必ず確認してください。
ファイル名: 案件ごとに発注者が指定する命名規則に従います。CAD製図基準では図面の種別ごとにファイル名の付け方が定められていますが、ローカルルールで上書きされるケースが多いため、納品仕様書の確認が最優先です。
フォルダ構成: 電子納品では、DRAWINGフォルダにCADデータを格納するルールが一般的です。フォルダ名やサブフォルダの構成も発注者指定に従ってください。
ファイルサイズ: p21形式はsfc形式よりファイルサイズが大きくなります。発注者によってはファイルサイズの上限を設けている場合があるため、事前に確認しておきましょう。
国土交通省が提供する電子納品チェックシステムを使うと、ファイル命名規則やフォルダ構成の適合性を自動で検証できます(出典: 国土交通省 技術調査課 CALS/EC、2026年4月確認)。提出前のダブルチェックとして活用すると効果的です。
あわせて読みたい
SXF出力だけでなく、Jw_cadのデータ連携全般を整理したい方は以下の記事も参考にしてください。
- Jw_cad と AutoCAD(DWG/DXF)データ変換完全ガイド:DWG/DXF形式でのデータ受け渡しが必要な場合の手順と崩れ対策
- Jw_cad印刷・PDF出力の完全手順:SXF出力と並行して必要になる印刷・PDF出力の設定方法
- Jw_cadの印刷設定でずれる原因とは?縮尺・線幅・PDFを整理:印刷で縮尺や線幅がずれる場合の原因と対策
- Jw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説:レイヤ設定の基本操作を確認したい場合の参照先
- Jw_cadとは?日本建築設計の現場に根付く無料CADのすべて:Jw_cadの全体像と位置づけを把握したい場合の参照先
まとめ
電子納品ではSXF(p21)形式が原則です。 sfc形式は途中段階のデータ交換に使い、発注者への最終納品にはp21形式を選択してください。
出力前にSXF書出し設定を確認することで崩れを防げます。 特に既定線種変換とレイヤ名の設定は、変換後のトラブルに直結する重要項目です。
文字はTrueTypeフォントに統一しておくと安心です。 MS ゴシックやMS 明朝など、汎用性の高いフォントを使用することで、出力先での文字化けリスクを最小化できます。
出力後はSXF対応ビューアで目視確認してから納品しましょう。 OCF検定合格ソフトの一覧はOCF公式サイト(ocf.or.jp)で確認できます。確認を省略すると差し戻しの原因になります。
レイヤ設定や線種の使い方を基礎から確認したい方は、Jw_cadレイヤ・線種・線色の使い方完全解説もあわせて参照することをおすすめします。DWG/DXF形式でのやり取りも並行して必要な方は、Jw_cad と AutoCAD(DWG/DXF)データ変換完全ガイドも参考にしてください。

