Jw_cadで配置図・敷地図を描く方法|敷地入力から確認申請用の仕上げまで
配置図は、敷地に対する建物の位置関係と法規適合性を1枚で示す図面です。建築確認申請では原則として提出が求められ、方位・敷地境界線・道路幅員・建ぺい率などの情報を正確に記入する必要があります。
Jw_cadは2026年1月にVersion 10.02がリリースされ、DXF 2010形式のサポートが加わりました(2026年4月現在の最新版は10.02.1)。公図のDXFデータを読み込む場面でも安定性が向上しています。
しかし、平面図や立面図の描き方に比べ、配置図・敷地図に特化した手順解説はまとまった情報が少ないのが現状です。敷地の入力方法や三斜求積の使い方で手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事を読むと、Jw_cadで配置図・敷地図を描く手順を、敷地入力から確認申請用の記載事項・求積図の仕上げまで通しで確認できます。
配置図・敷地図の役割と確認申請での位置づけ
配置図は「建物の外側と敷地の関係」を示す図面であり、確認申請で提出が必須です。平面図が建物の内部構成を示すのに対し、配置図は敷地上のどこに建物を置くか、法規制限を満たしているかを俯瞰的に示します。
配置図と敷地図の違い
配置図と敷地図は混同されやすいですが、役割が異なります。
配置図は敷地形状に加えて建物の配置・離隔寸法・法規情報を含む図面です。一方、敷地図は敷地の形状・境界・面積のみを示す図面で、求積図とセットで使われます。
実務では配置図の中に敷地情報を含めて1枚に収めるケースが大半です。確認申請では「配置図」として提出しますが、敷地求積図は情報量に応じて別シートに分けることもあります。
確認申請で求められる配置図の記載事項
建築基準法施行規則第1条の3では、配置図に明示すべき事項が定められています。確認申請で差し戻される原因の多くは、以下の記載事項の抜け漏れです。
| 記載事項 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 方位 | 北方向を示す方位記号 | 北を図面上方に近い向きに配置すると見やすい |
| 縮尺 | 図面の縮尺を明記 | 1/100または1/200が標準 |
| 敷地境界線・境界点 | 敷地の外周線と各頂点 | 隣地境界・道路境界を区別 |
| 建物の位置と離隔寸法 | 外壁面から敷地境界線までの距離 | 民法234条の50cm規定にも注意 |
| 接道道路の幅員 | 前面道路の幅員と位置 | 2項道路の場合はセットバック距離も記入 |
| 用途地域の境界線 | 敷地が2つ以上の用途地域にまたがる場合 | 一点鎖線で図示 |
| 建ぺい率・容積率 | 計算値と許容値を併記 | 角地緩和がある場合はその根拠も |
| 排水経路 | 雨水・汚水の排水方向と排水桝の位置 | 矢印で流れ方向を示す |
| セットバック | 道路中心線からの後退距離 | 2項道路(幅員4m未満)の場合に必要 |
配置図の縮尺の選び方
配置図の縮尺は、敷地の広さと記入情報量で判断します。
住宅規模の敷地(200m2前後)であれば1/100が標準的です。敷地面積が500m2を超える場合や、複数棟の配置を示す場合は1/200を選ぶとA3用紙に収まりやすくなります。大規模な計画では1/500も選択肢に入るでしょう。
Jw_cadでの縮尺設定はステータスバーの「縮尺ボタン」から変更できます。A3用紙に1/200で描く場合、作図可能範囲は横84m x 縦59.4mです。敷地が収まるか、作図前に一度確認しておくと安心です。
Jw_cadでの敷地入力 3つの方法
配置図の起点は正確な敷地形状の入力です。Jw_cadでは「座標ファイル読み込み」「公図トレース」「手動入力」の3つの方法があり、測量図の有無と精度要件で使い分けます。あなたの手元にある資料はどれに該当するでしょうか。
方法1 測量座標ファイルをJw_cadに読み込む(精度最優先)
測量図にXY座標値が記載されている場合は、この方法が最も正確です。確認申請用の配置図では精度が求められるため、座標データが手元にある場合は必ずこの方法を選んでください。
操作手順は以下のとおりです。
- 測量図の座標値をテキストファイルに入力する(1行に1頂点、X座標とY座標をスペースまたはカンマで区切る)
- Jw_cadのメニュー「その他」→「座標ファイル」を選択する
- コントロールバーで「mm単位読書」を「m単位読書」に切り替える
- 「YX座標読込」をクリックし、作成したテキストファイルを指定する
ここで注意すべき点が1つあります。測量座標はX軸が縦方向・Y軸が横方向ですが、Jw_cadの数学座標はX軸が横方向・Y軸が縦方向です。
通常の「ファイル読込」を使うと敷地の向きが90度ずれてしまいます。Jw_cadのフォーラムや実務者の解説でも、「ファイル読込」で取り込んだ敷地が90度回転して困ったという報告が頻出しています。「YX座標読込」を選べばXとYが自動的に入れ替わり、正しい向きで表示されます。
方法2 公図をトレースする(測量図がない場合)
「座標データは手元にないが、おおよその敷地形状はすぐに把握したい」という場面で使えるのが公図トレースです。精度は座標ファイルより劣りますが、企画段階の計画図では十分実用的な方法です。
公図がDXF形式で入手できる場合は、「ファイル」→「DXFファイルを開く」で直接読み込めます。読み込み後は既知の辺長(現地実測値や測量図の一部)を基準に縮尺を合わせます。
公図がPDFのみの場合は、PDF→画像(BMP/JPEG)に変換してからJw_cadの「文字」→「画像挿入」(BMPコマンド)で取り込みます。画像上の既知の辺長に合わせてスケールを調整し、その上から線コマンドでトレースしてください。
公図トレースは精度の限界から「計画初期の概算用」に位置づけるのが実務の通例で、確認申請の最終図面では測量座標に基づく敷地図に差し替えるのが定石です。
方法3 寸法を手動入力する(小規模敷地向け)
敷地の頂点が4〜5点の矩形に近い形状であれば、測量図の辺長と角度を見ながら手動で作図する方法も選択肢になります。
手順は3ステップです。
- 基準点を決め、線コマンドで最初の辺を描く(長さと角度を直接入力)
- 各頂点から次の辺を角度指定で描き進める
- 最終辺が始点に戻る(閉合する)ことを確認する
閉合しない場合は辺長か角度に入力ミスがあります。各辺の長さを測量図と照合し直してください。
敷地図の上に建物を配置する手順
敷地形状が描けたら、建物の外形を配置図上に載せます。敷地境界線からの離隔寸法と方位が正確であれば、配置図の骨格はこの段階で完成します。
平面図の建物外形を配置図に取り込む
平面図で描いた建物外形は、別ファイルからコピーして配置図に貼り付けるのが効率的です。
平面図ファイルを開き、建物外形線を範囲選択してコピーします。次に配置図ファイルに戻り、敷地上の適切な位置に貼り付けます。平面図が1/100、配置図が1/200のように縮尺が異なる場合は、貼り付け時に倍率を0.5(1/100→1/200)に設定してください。
レイヤグループを分けて管理する方法も有効です。敷地をレイヤグループ0、建物をレイヤグループ1に配置すれば、それぞれ独立して編集できます。平面図の詳しい描き方はJw_cadで平面図を描く完全手順で解説しています。
敷地境界線からの離隔寸法を記入する
建物の外壁面から敷地境界線までの最短距離を、寸法コマンドで記入します。
寸法線は敷地境界線に対して直交方向に引くのが原則です。道路側・隣地側それぞれの最短距離を記入してください。民法234条では「建物は境界線から50cm以上の距離を保たなければならない」と定められており、この基準を満たしていることが配置図上で読み取れる必要があります。
地域によっては条例で外壁後退距離が1m以上と定められている場合もあります。事前に自治体の建築指導課で確認しておくと確実です。
方位記号と道路幅員の記入
方位記号は配置図の見やすい位置に配置します。Jw_cadでは「その他」→「図形」から方位マークの図形データを読み込むか、線と円を組み合わせて自作できます。
道路幅員は、接道する道路部分に沿って寸法線で記入します。前面道路が2項道路(幅員4m未満)の場合は、セットバックが必要です。道路中心線から2mの位置にセットバックラインを破線で記入し、後退距離を寸法で明示してください。
たとえば現況幅員が3.2mの場合、道路中心線から2mの位置がみなし道路境界線となり、セットバック距離は0.4mです。この0.4mの範囲には建築物を建てられません。
敷地面積の計算(三斜求積)をJw_cadで行う
確認申請には敷地求積図と求積表の添付が求められます。三斜求積の操作自体は数分で完了しますが、事前の三角形分割と事後の面積照合が品質を左右します。
三斜求積の考え方と準備
三斜求積は、不整形な敷地を三角形に分割し、各三角形の面積(底辺 x 高さ / 2)を合算して全体面積を算出する方法です。
作図に入る前に、まず「測定」→「面積」で敷地の概算面積を確認しておくと安心です。三斜求積の結果と大きく異なる場合は、敷地形状の入力ミスを疑えます。
三斜求積の準備として、敷地の各頂点間に補助線で三角形の分割線を引いておきます。分割のコツは、なるべく極端に細長い三角形を避け、底辺と高さが読み取りやすい形に分割することです。頂点が5つの敷地であれば3つの三角形に分割されます。
外部変形「三斜面積計算」の操作手順
操作手順は以下のとおりです。
- メニュー「その他」→「外部変形」を選択する
- Jw_cadインストールフォルダ内の「JWW_SMPL.BAT」をダブルクリックする
- 対象の三角形を範囲選択する(または1辺ずつクリックして選択)
- 求積表の配置位置をクリックで指定する
- 三斜番号の開始番号を入力する(未指定の場合は「1」から開始)
- 寸法と求積表を描画するレイヤを指定する
実行すると、各三角形に番号が振られ、底辺・高さ・面積が自動計算されます。求積表には三角形ごとの底辺・高さ・面積と合計面積が一覧で出力されます。
外部変形が実行できない場合は、Jw_cadのインストール先フォルダ(通常はC:JWW)に「JWW_SMPL.BAT」が存在するか確認してください。ファイルが見つからない場合はJw_cadとは?日本建築設計の現場に根付く無料CADのすべてで再インストール手順を確認できます。
求積図・求積表の配置と仕上げ
求積図は配置図内に重ねて描く方法と、別シートに分ける方法があります。
住宅規模で三角形が3〜5個程度であれば、配置図内に重ねても読みやすいです。三角形が6個以上になる不整形敷地や、情報が密集する場合は別シートにした方が審査側も確認しやすくなります。
求積表の合計面積が、測量図記載の敷地面積と一致しているか必ず確認してください。小数点以下の端数処理で0.01m2程度のずれが出ることがありますが、1m2以上ずれている場合は分割線や敷地形状の入力ミスが疑われます。
建築面積の求積も同様の手順で行います。建築面積の求積結果から建ぺい率を計算し、配置図の余白部分に記入します。
配置図の仕上げと確認申請前のチェックポイント
配置図の仕上げで最も大切なのは、法規表記の抜け漏れと寸法の整合性です。図面の体裁よりも「審査で差し戻されないこと」を優先してください。
法規情報と排水経路の記入
配置図の余白部分に、建ぺい率と容積率の計算値・許容値を併記します。
記入例:
– 建ぺい率: 48.3% / 許容 60%
– 容積率: 89.7% / 許容 200%
用途地域が2つにまたがる敷地の場合は、その境界線を一点鎖線で図示し、各領域の面積と適用される規制値を明記します。
法規情報と並んで、排水経路の記入も配置図では見落とせない要素です。雨水・汚水の流れ方向を矢印で示し、排水桝(ます)の位置を丸印で記入します。最終的にどの排水先(公共下水・側溝等)に接続するかを明示してください。排水経路の記入漏れは確認申請で指摘されやすい項目です。
レイヤ構成と線種の整理
配置図のレイヤは、下から順に積み上げる形で整理すると管理しやすくなります。
| レイヤ | 内容 | 推奨線種 |
|---|---|---|
| レイヤ0 | 敷地境界線・境界点 | 実線(太) |
| レイヤ1 | 道路・隣地 | 実線(中) |
| レイヤ2 | 建物外形 | 実線(中) |
| レイヤ3 | 寸法・文字・方位 | 実線(細) |
| レイヤ4 | 排水経路・設備 | 実線(細) |
| レイヤ5 | 求積補助線 | 補助線色 |
| レイヤ6 | 用途地域境界・セットバックライン | 一点鎖線 |
レイヤ5の求積補助線は、印刷時に非表示にすることで配置図をすっきり見せられます。レイヤの表示/非表示切り替えはJw_cadの画面右側のレイヤバーで操作できます。レイヤの基本操作はJW_cad基本操作ガイド|初期設定・ショートカット・レイヤの使い方で解説しています。
提出前のセルフチェックリスト
確認申請で差し戻されやすい項目をチェックリストにまとめました。提出前にひと通り確認することで、手戻りの時間を大幅に減らせます。
| # | チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 方位記号 | 北方向が正しいか。記号が配置されているか |
| 2 | 縮尺の明記 | 図面枠内に縮尺が記載されているか |
| 3 | 敷地面積と求積表の一致 | 求積表の合計面積が測量図の値と合うか |
| 4 | 接道道路の幅員 | 前面道路の幅員が記載されているか |
| 5 | セットバック | 2項道路の場合、後退距離と後退ラインが記入されているか |
| 6 | 建物位置の離隔寸法 | 外壁から境界線までの距離が全方向で記入されているか |
| 7 | 建ぺい率・容積率 | 計算値と許容値が併記されているか |
| 8 | 排水経路 | 雨水・汚水の流れ方向と排水桝が記入されているか |
| 9 | 用途地域境界 | 敷地がまたがる場合、境界線が図示されているか |
| 10 | 印刷確認 | 印刷して定規で代表寸法を実測し、縮尺どおりか確認したか |
確認申請の差し戻し事例では、このチェックリストの中でも3番(求積表との一致)と6番(離隔寸法の全方向記入)が見落とされやすいと共通して指摘されています。手元の図面でこの2項目に抜けがないかを確認してください。
まとめ
配置図は「敷地と建物の位置関係」を1枚で示す確認申請必須の図面です。 方位・敷地境界線・道路幅員・建ぺい率など、建築基準法施行規則で定められた記載事項を漏れなく記入してください。
敷地入力は、測量座標ファイルの読み込みが最も正確です。 座標データが手元にある場合は「YX座標読込」を選び、測量座標とCAD座標の軸の違いに注意します。測量図がない段階では公図トレースで概形を把握できます。
三斜求積はJw_cadの外部変形で自動処理できます。 求積表の合計面積が測量図の敷地面積と一致しているか、提出前に必ず確認しましょう。
提出前のセルフチェックでは、求積表との面積一致と離隔寸法の全方向記入を重点的に確認します。 印刷して定規で代表寸法を実測する方法も、画面上では気付きにくいスケールエラーの発見に有効です。
平面図との連動や立面図での高さ方向の検証も含めた建築図面全体のワークフローは、JW_cadで建築図面を描く方法|平面図・立面図・設備図の手順で俯瞰できます。
あわせて読みたい
- Jw_cadで平面図を描く完全手順:配置図の前提となる平面図の描き方を知りたい方へ
- Jw_cadで立面図・断面図を描く方法:配置図と連動する高さ方向の検証を行いたい方へ
- JW_cad基本操作ガイド|初期設定・ショートカット・レイヤの使い方:Jw_cadの基本操作やレイヤの使い方を確認したい方へ
- Jw_cadとは?日本建築設計の現場に根付く無料CADのすべて:Jw_cadの全体像や他CADとの位置づけを把握したい方へ
- JW_cadで建築図面を描く方法|平面図・立面図・設備図の手順:図面作成全体のワークフローを俯瞰したい方へ

