Jw_cad外部変形入門|標準同梱の三斜・日影から実務活用まで

Jw_cad Version 10.01.2(2025年7月公開)では、外部変形のデータエンコードがbatファイルに自動で合わせられるようになりました。外部変形を取り巻く環境は着実に改善されています。

外部変形とは、batファイルを介してJw_cadの機能を拡張する仕組みです。標準搭載の三斜面積計算や座標面積計算を使えば、確認申請の求積図を追加設定なしで自動作成できます。有志が公開する外部変形プログラムを導入すれば、床面積表や敷地図の自動作成まで対応範囲が広がります。

この記事を読むと、外部変形の基本的な仕組みから標準搭載3種の操作手順、有志プログラムの導入方法、実務での活用選び方までを順に確認できます。

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目次

Jw_cad外部変形とは: batファイルで機能を拡張する仕組み

外部変形は、Jw_cad本体のプログラムに手を加えずに機能を追加できるオープンな拡張方式です。他のCADソフトにはない、Jw_cad独自の設計思想が反映されています。

外部変形の動作フロー: Jw_cadと外部プログラムのデータ交換

外部変形の動作は3つのステップで完結します。まず、ユーザーが「その他(1)」メニューから外部変形コマンドを選択し、batファイルを指定します。次に、Jw_cadが図面上の選択データをテキストファイル(JWC_TEMP.TXT)に書き出します。最後に、外部プログラムがそのテキストデータを加工して書き戻し、Jw_cadが結果を図面に反映します。

このテキストファイルを介したデータ交換が外部変形の核心です。プログラム言語は自由で、exe形式の実行ファイル、Ruby、AWK、Pythonなど、batファイルから呼び出せるものなら何でも使えます。batファイルが「橋渡し役」を担い、Jw_cadと外部プログラムをつなぎます。

住宅の確認申請で敷地面積の求積図を作成する場面を考えてみてください。手計算では三角形の底辺と高さを1つずつ測り、電卓で面積を出し、求積表を手書きする作業が必要です。外部変形を使えば、図面上の指示だけで求積図と計算表が同時に生成されます。

線記号変形・パラメトリック変形との違い

Jw_cadには「変形」と名の付く機能が3つあります。混同しやすいため、守備範囲を見ていきます。

線記号変形(記変)は、.datファイルで定義された記号を自動描画する機能です。寸法線や建具記号など「決まった形を繰り返し描く」場面に特化しています。具体的な使い方はJw_cad線記号変形(記変)の使い方で解説しています。

パラメトリック変形は、既存図形の寸法をドラッグ操作で変更する機能です。描き直さずに図形のサイズだけ変えたい場面で活躍します。詳細はJw_cadパラメトリック変形の使い方をご覧ください。

外部変形は、計算・自動作図・データ変換など最も汎用性が高い拡張手段です。確認申請の求積図、面積表の自動生成、Excel表の取り込みなど、Jw_cad本体にない機能を自由に追加できます。

標準搭載の外部変形3種: 追加設定なしで使える実務機能

Jw_cadには三斜面積計算・座標面積計算・天空率比較表枠作成の3つの外部変形が標準で同梱されています。インストール直後から追加設定なしで利用でき、確認申請業務の作業時間を短縮できます。

なお、タイトルにある「日影」はJw_cad本体の日影図コマンド(「その他」メニュー内)で作成する機能で、外部変形ではありません。日影図と天空図はJw_cad本体に組み込まれた高度な計算機能であり、外部変形の天空率比較表枠作成はその補助ツールとして位置づけられます。

名称用途実務シーン操作難易度
三斜面積計算三角形分割で面積算出+求積表作成確認申請の求積図・求積表低〜中
座標面積計算閉図形の座標から面積算出敷地面積・建築面積の確認
天空率比較表枠作成天空率比較表の枠を自動作図確認申請の天空率検討図

三斜面積計算: 確認申請の求積図を自動作成する

三斜面積計算は、敷地や建物の形状を三角形に分割して面積を算出し、求積図と計算表を同時に自動作図する外部変形です。

「その他(1)」→「外部変形」と進み、Jw_cadインストールフォルダ内の「JWW_SMPL.BAT」を選択します。図面上で三角形の底辺と頂点を順に指示していくと、各三角形の底辺・高さ・面積が自動計算されます。求積表として図面上に配置されるため、手書きの作業は不要です。

実務で注意したいのは、三角形の分割方法です。同じ敷地でも分割の仕方によって端数処理の影響で計算面積がわずかに変わります。確認申請に使う場合は、分割方法を物件内で統一してください。三斜求積の実務解説では、三角形の底辺を長辺に取る方法が共通して薦められています。底辺が長いほど高さの測定誤差が面積に与える影響が小さくなるためです。

座標面積計算: 座標値から面積を算出する

座標面積計算は、閉図形の各頂点座標をもとに面積を自動算出する外部変形です。三斜面積計算と異なり、三角形への分割作業が不要で、閉図形を指定するだけで計算が完了します。

「その他(1)」→「外部変形」→「ZAHYO.BAT」を選択し、閉図形を右クリックで指定します。座標の原点を指示し、計算方向と面積表の配置位置を指定すれば完了です。

三斜面積計算との使い分けはどう考えればよいでしょうか。確認申請の添付図面として一般的なのは三斜求積図で、三角形分割の根拠が審査側にも見えるため採用率が高いです。一方、座標面積計算は閉図形をそのまま処理でき手間が少ないため、設計段階での面積チェックや、敷地面積の概算確認に向いています。

天空率比較表枠作成: 確認申請用の天空率検討に使う

天空率比較表枠作成は、建築基準法の斜線制限緩和に使う天空率の比較表の枠(表罫線+項目名)を自動作図する外部変形です。

天空率の計算自体はJw_cad本体の天空図コマンドで行います。この外部変形はあくまで比較表の「枠」を作る補助ツールです。斜線制限の天空率緩和を適用する案件でのみ使用しますが、該当案件では表の体裁を手作業で整える手間を省けます。

たとえば、道路斜線制限の緩和を天空率で検討する3階建て住宅の確認申請では、適合建築物と計画建築物の天空率を測定ポイントごとに比較する表が必要です。この枠を手描きすると30分以上かかりますが、外部変形なら数クリックで作図できます。

有志公開の外部変形: 実務で使える代表的プログラム

標準搭載の3種だけでなく、有志の開発者が公開する外部変形プログラムを導入すると、Jw_cadの活用範囲が大幅に広がります。建築確認申請の求積図・面積表から、施工図の変更管理まで対応できるようになります。

名称機能入手先実務用途環境要件
JG_三斜求積(ADA)ポリゴン自動分割+求積図・求積表の同時生成ADA確認申請の求積図exe型
JG_床面積表(ADA)室面積・床面積の求積表を自動作成ADA / Vector確認申請の面積表exe型
JG_敷地図作成(ADA)測量座標データから敷地図を自動作図ADA / Vector測量データの作図exe型
JG_Excel表変換(ADA)Excelの表データをJw_cad図面上に変換配置ADA / Vector仕上表・建具表の取り込みexe型
jww雲すけ図面変更箇所に雲マークを自動描画Vector施工図の変更管理exe型

JGシリーズ(ADA): 建築確認申請向け外部変形ライブラリ

JGシリーズは、ADA(Architecture Design Automation)が開発・公開している建築実務特化の外部変形群です。標準搭載の三斜面積計算よりも高機能で、ポリゴンの自動分割や求積図・求積表の同時生成に対応しています。

JG_三斜求積は、閉図形を指定するだけで三角形への自動分割と求積図・求積表の生成を一括処理します。標準搭載版では手動で三角形を指定する必要がありましたが、JG版はその工程を自動化しています。JG_床面積表は、各室の面積求積と床面積表の作成を自動化します。確認申請の面積表がそのまま出力される点が実務で重宝されています。

JG_敷地図作成は、測量会社から受け取った座標データ(X,Y座標値)をもとに敷地図を自動作図します。手入力と比較して転記ミスも防げます。JG_Excel表変換は、Excelで作成した仕上表や建具表をJw_cadの図面上にそのまま配置できます。

無料版は機能制限がありますが、主要な機能は試用できます。Pro版はVectorから購入可能です(2026年4月現在)。

その他の実務向け外部変形

JGシリーズ以外にも、施工図の変更管理に役立つ外部変形があります。jww雲すけは、図面上の変更箇所に雲マーク(変更記号)を自動描画するプログラムです。施工図の改訂時に「どこが変わったか」を示す雲マークを手描きする作業を効率化できます。

外部変形プログラムの主要なダウンロードサイトは以下の3つです。Vector 外部変形カテゴリJww情報館 外部変形ダウンロードサイト一覧Jw_cad設備設計情報室が代表的です。

有志開発の外部変形を導入する際は、安全性の確認が必要です。作者名が明示されていること、Vectorなど信頼できるプラットフォームで配布されていること、利用者のレビューが存在すること、この3点を満たすプログラムを選ぶとリスクを抑えられます。出所不明のexeファイルはウイルスやマルウェアのリスクがあるため、実行前にウイルス対策ソフトでスキャンしてください。

外部変形の導入手順: ダウンロードからbat実行まで

有志公開の外部変形プログラムをJw_cadで動かすまでの手順を、環境の種類別に確認します。exe型は追加のソフトウェアが不要で最も導入が簡単です。Ruby型・AWK型はスクリプト実行環境の構築が必要ですが、支援ツールを使えば初心者でも対応できます。

種類追加環境導入の手間代表的な外部変形
exe型不要フォルダ配置のみJGシリーズ、jww雲すけ
Ruby型Ruby実行環境中程度Ruby製の外部変形各種
AWK型AWK実行環境中程度AWK製の外部変形各種

exe型の導入: フォルダ配置だけで動く

exe型の外部変形は最もシンプルです。手順は3ステップで完了します。

  1. 配布サイトからプログラムをダウンロードし、圧縮ファイルを解凍する
  2. 解凍したフォルダごとC:jww直下に配置する
  3. Jw_cadを起動して「その他(1)」→「外部変形」からフォルダツリーを開き、batファイルを選択して実行する

配置先はC:jww直下が鉄則です。C:Program FilesJWW のようにフォルダパスに半角スペースが含まれると、batファイルのパス解析でエラーが発生し、外部変形が動作しません。Jw_cad関連のフォーラムでも、初めて導入した利用者がこのパス問題で動かず数十分単位で悩んだという報告が頻出しています。Jw_cadのインストール先を変更している場合は、外部変形もそのフォルダ直下に配置してください。

Ruby・AWK型の導入: スクリプト実行環境の構築

Rubyで書かれた外部変形を動かすには、Ruby実行環境が必要です。AWKで書かれた外部変形にはAWK実行環境(gawk等)が必要です。

最も手軽な方法は、環境支援ソフト「J_GARU」の利用です。J_GARUをダウンロードして実行するだけで、Ruby・AWK両方の実行環境が一括で構築されます。個別にRubyInstallerやgawkをインストールしてパスを通す手間が省けるため、初めて環境構築する方にはJ_GARUを推奨します。

手動で構築する場合は、RubyInstaller公式サイトからRubyをインストールし、環境変数PATHにRubyの実行ファイルパスを追加します。AWKの場合は、gawkを入手して実行ファイルを適切な場所に配置し、同じくPATHを設定します。

Windows 10/11環境での注意点(2026年4月現在)

Jw_cad Version 10.02.1(2026年4月現在の最新版)で標準搭載の外部変形3種は正常に動作します。ただし、有志公開の外部変形を使う際にはいくつかの注意点があります。

Windows 11では、Windowsターミナルの設定がbatファイルの動作に影響する場合があります。外部変形が動かないときは、「設定」→「スタートアップ」→「既定のターミナルアプリケーション」を「Windowsコンソールホスト」に変更してみてください。このトラブルはJw_cad相談室でも多数報告されています。

Version 10.01.2(2025年7月公開)以降、外部変形のデータエンコードがbatファイルのエンコード(Shift-JISまたはUTF-8)に自動で合わせられるようになりました。batファイル選択画面にもエンコードが表示されます。古いbatファイルと新しいJw_cadの組み合わせで文字化けが発生した場合は、batファイルのエンコードを確認してください。

ウイルス対策ソフトがexe型の外部変形を脅威と誤認してブロックすることもあります。Vectorなど信頼できる配布元から入手したプログラムであれば、ウイルス対策ソフトの除外設定で対応できます。

外部変形を実務で活かす選び方: 何を優先して覚えるか

外部変形は多数公開されていますが、すべてを把握する必要はありません。自分の業務内容に合わせて、時短効果の高いものから段階的に導入するのが実務的です。

外部変形対応する実務学習コスト時短効果優先度
三斜面積計算(標準)確認申請の求積図1物件30分〜1時間短縮最優先
座標面積計算(標準)面積チェック・概算1物件15〜30分短縮最優先
JG_三斜求積複雑な求積図低〜中標準版の2〜3倍の時短
jww雲すけ施工図の変更管理1図面10〜20分短縮中(施工図担当者は高)
JG_Excel表変換表データの取り込み1表15〜30分短縮
天空率比較表枠(標準)天空率検討図該当案件で30分短縮案件依存

確認申請業務なら三斜求積と座標面積計算が最優先

確認申請図書を日常的に作成する実務者は、三斜面積計算と座標面積計算から始めてください。標準搭載なので追加のインストールは不要で、すぐに使い始められます。

求積図は確認申請で必ず提出する図面です。敷地面積、建築面積、各階床面積のいずれも求積が必要で、手計算と手描きでは1物件あたり30分から1時間を費やします。外部変形を使えばこの作業がほぼ自動化されます。月に3件の確認申請を処理する事務所なら、三斜面積計算だけで月1.5〜3時間の短縮が見込めます。

JGシリーズの三斜求積は、月に複数件の確認申請を処理する事務所で特に効果を発揮します。標準搭載版では三角形を1つずつ手動で指示する必要がありますが、JG版はポリゴンの自動分割に対応しているため、複雑な敷地形状でも処理時間が大幅に短縮されます。

施工図・変更管理なら雲マーク・Excel変換から

施工図の作成や設計変更対応が主な業務であれば、jww雲すけとJG_Excel表変換から導入すると効果が出やすいです。

施工図の改訂では「どこが変わったか」を示す雲マークが頻繁に必要になります。A2サイズの図面で変更箇所が10か所以上ある場合、雲マークを1つずつ手描きすると20分以上かかることもあります。jww雲すけを使えば変更箇所を指定するだけで雲マークが自動描画されます。

これらはexe型が多く、Ruby・AWK環境の構築が不要です。フォルダ配置だけで動くため、導入ハードルが最も低い外部変形に分類されます。

まとめ: 外部変形は「無料で拡張できる」Jw_cadの強み

外部変形はbatファイル経由でJw_cadの機能を拡張する仕組みです。他のCADソフトにはないオープンな拡張方式で、プログラム言語を問わず自由に機能追加できます。

まずは標準搭載の三斜面積計算と座標面積計算から始めてください。追加設定不要で、確認申請の求積図作成を即座に自動化できます。標準搭載の3種に慣れたら、JGシリーズやjww雲すけなど有志公開の外部変形を導入することで、求積図・面積表・敷地図の自動作成まで活用範囲を広げられます。

導入時のポイントは2つです。フォルダ配置はC:jww直下を守ること、Windows 11環境ではターミナル設定の確認を忘れないことです。Version 10.01.2以降はエンコードの自動判別にも対応しているため、最新版のJw_cadを使うことをおすすめします。

外部変形を習得したら、続いて線記号変形やパラメトリック変形にも取り組んでみてください。Jw_cadの応用機能を網羅的に使いこなせるようになります。

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