Jw_cadで建具表・展開図を作成する手順|建具記号の体系と4面展開の描き方

平面図を描けるようになった次の段階で、多くの実務者がつまずくのが建具表と展開図です。平面図には建具の位置と記号しか載りません。「その窓はどんな仕様なのか」「室内の壁面はどう仕上がるのか」を伝えるには、建具表と展開図が必要になります。

Jw_cadにはVersion 10.02.1(2026年4月時点)で建具平面・建具断面・建具立面の3コマンドが標準搭載されており、建具の図形データも付属しています。しかし、コマンドの使い方を知っているだけでは建具表や展開図は完成しません。記号の体系、表の列構成、展開図の壁面展開ルールを理解した上で描く必要があります。

この記事を読むと、Jw_cadで建具表と展開図を作成する手順を、建具記号の体系から平面図との整合性チェックまで通しで確認できます。

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目次

建具表と展開図の役割

建具表は図面というよりも、建具の仕様を一覧化した「仕様書」に近い性格の文書です。展開図は室内の壁面を正面から見た図面で、立面図が建物の外観を描くのに対し、展開図は室内の内装を描きます。どちらも平面図だけでは伝えきれない情報を補完する図面です。

建具表が担う情報と平面図との違い

建具表は建物内のすべての建具(窓・ドア・シャッター等)の仕様を1枚の表にまとめたものです。建具記号(AW-1、SD-1等)に対して内法寸法・材質・ガラス仕様・金物・防火性能を紐づけ、一覧で確認できるようにします。

平面図には建具の位置と記号が記載されますが、仕様の詳細は載りません。たとえば平面図に「AW-1」と書かれていても、それがどのメーカーのどんなガラスを使ったアルミ窓なのかは建具表を見なければ分かりません。確認申請図・施工図のいずれでも建具表は必要です。特に防火区画に面する建具では「防火設備」「特定防火設備」の記載が法規上求められます。

比較項目平面図建具表展開図
主な役割建物の間取り・建具位置建具の仕様一覧室内壁面の仕上げ詳細
建具情報位置と記号のみ仕様・寸法・性能の全項目内観姿・高さ位置
縮尺1/100が標準縮尺なし(表形式)または1/501/50が標準
確認申請での要否必須必須内装設計がある場合に必要

展開図が担う情報と立面図との違い

展開図は部屋の内側から各壁面を正面に見た図面です。天井高・壁面仕上げ材の範囲・建具の内観姿・造作家具の寸法・コンセントやスイッチの位置を表現します。

立面図は建物の外観を描く図面であり、展開図とは描く対象が異なります。ただし「壁面を正面から見る」という描き方自体は共通しているのではないでしょうか。立面図の描き方はJw_cadで立面図・断面図を描く方法で解説しています。

展開図は1部屋につき原則4面を作成します。北側の壁面をA面とし、時計回りに東=B面、南=C面、西=D面と記号を振ります。窓も造作もない壁面は展開図を省略できますが、確認申請図では原則4面すべて必要です。

建具記号の体系と番号ルール

建具表を作る前に、建具記号の分類と採番ルールを押さえておく必要があります。あなたが扱っている建具は、どの記号に該当するでしょうか。記号体系を理解せずに建具表を描き始めると、途中で番号が混乱し、平面図との不整合が生じます。

主な建具記号の分類

建具記号は「材質の略号+連番」で構成されます。AW-1ならアルミ窓の1番、SD-3なら鋼製ドアの3番です。

国土交通省の「建築工事設計図書作成基準」(2020年改定版)に準拠した記号体系を使うのが原則です。事務所独自の略号を使う場合は、建具表の凡例に定義を明記してください。

記号正式名称材質用途例
AWAluminum Windowアルミサッシ窓住宅・事務所の一般窓
ADAluminum Doorアルミドア玄関引戸・勝手口
SDSteel Door鋼製ドア防火区画の扉
LSDLight Steel Door軽量鋼製ドア事務所内部の扉
WDWood Door木製ドア住宅の室内扉
WWWood Window木製窓和室の木製建具
SSWStainless Steel Windowステンレス窓厨房・水回り
SSSteel Shutter鋼製シャッター車庫・店舗
FIXFix Windowはめ殺し窓採光用の開閉不可窓
GDGlass Doorガラスドア店舗入口・エントランス

住宅の場合、使用頻度が高いのはAW(アルミ窓)・WD(木製ドア)・FIX(はめ殺し窓)の3種です。事務所ビルではSD(鋼製ドア)・LSD(軽量鋼製ドア)の出番が増えます。

番号の付け方と採番ルール

採番は種別ごとに連番を振る方式が一般的です。AW-1、AW-2、AW-3のように、同じ種別の中で1番から順に割り当てます。

同一仕様の建具は同じ番号を共有します。1階リビングと2階寝室に同じサイズ・同じ仕様のアルミ引違い窓があれば、両方ともAW-1です。逆に、同じアルミ引違い窓でもサイズが異なればAW-1とAW-2に分けます。

採番の実務上のコツは、平面図に建具記号を配置する段階で採番しておくことです。建具表から先に仕様を確定させ、その番号を平面図に反映する手順にすると、仕様変更時の手戻りが少なくなります。後から番号を振り直すと平面図・展開図の両方で修正が発生するため、採番は慎重に進めてください。

Jw_cadで建具表を作成する手順

建具表の作成は「枠組みを描く」「姿図を入れる」「仕様を記入する」の3段階で進めます。建具表を先に完成させてから平面図・展開図に反映する順序にすると、仕様変更時の手戻りが減ります。

建具表のレイアウトと列構成を決める

建具表に必要な列は、以下の9項目が標準です。

列項目記入内容備考
建具記号AW-1、SD-1等種別+連番
姿図正面から見た建具の概形開閉方向・ガラス割りを表示
内法寸法W(幅) x H(高さ) mm開口の内寸
枠見込枠の奥行寸法 mm壁厚との整合が必要
建具仕様材質・表面処理・色例: アルミ形材 陽極酸化皮膜 シルバー
ガラス仕様ガラス種別・厚み例: FL5、Low-E複層(3+A12+3)
金物錠前・ハンドル・丁番型番を記載する場合もある
数量同一仕様の建具数階別に集計する場合もある
備考防火性能・遮音等級等確認申請に必要な性能値

Jw_cadでは「線」コマンドと「矩形」コマンドで表の枠を描きます。姿図を入れる行は高さ60〜80mm(図面上のスケール)を確保してください。文字列の行は15〜20mmが目安です。

設計事務所の運用では、A2用紙に平面図と建具表を同一シートにまとめる方法がよく選ばれます。建具表を別シートにすると、平面図と突き合わせるたびにシートを切り替える手間が発生するためです。

Jw_cadの建具立面コマンドで姿図を描く

建具表の中で最も手間がかかるのが姿図欄です。姿図は建具を正面から見た概形で、開閉方向とガラスの割り付けを描きます。

開閉方向の基本パターンは4つあります。

  • 片開き: 扉の開く方向に矢印
  • 両開き: 左右に矢印
  • 引違い: 2本の縦線で表現
  • FIX: 対角線の x 印

これらはJw_cadの「線」コマンドで手描きできますが、効率を上げるなら「建具立面」(建立)コマンドを活用してください。メニューバーの「作図」から「建具立面」を選択すると、標準付属の建具立面図形が一覧表示されます。引違い窓・片開きドア・FIX窓などの基本形が揃っており、左ダブルクリックで選択した後、コントロールバーの「見込」「枠幅」「内寸」に実寸を入力して配置します。

事務所独自の建具姿図を繰り返し使う場合は、図形登録(メニューバー「その他」から「図形登録」)で保存しておくと再利用できます。一度登録すれば別の図面でも呼び出せるため、複数物件で共通する建具仕様がある場合に作業時間を節約できます。

仕様欄の記入と防火性能の記載

建具仕様の欄には、素材・表面処理・色を組み合わせて記載します。アルミサッシなら「アルミ形材 陽極酸化皮膜 シルバー」、木製ドアなら「米松集成材 ウレタン塗装 クリア」のように書きます。

ガラス仕様はガラス記号で記載します。主な記号は以下のとおりです。

  • FL5: フロートガラス5mm厚
  • PW6.8: 型板網入りガラス6.8mm厚
  • Low-E複層: Low-E(3)+A12+(3)のように構成を表記

ガラス記号は建具メーカー(YKK AP、LIXIL等)のカタログと一致させてください(2026年4月時点)。カタログの仕様表と建具表の列を対応させる習慣をつけると、記入ミスが減ります。

防火区画に面する建具には、備考欄に防火性能の記載が必要です。建築基準法施行令第112条に基づき、「防火設備」(遮炎性能20分)または「特定防火設備」(遮炎性能60分)の区分を明記します。この記載を漏らすと確認申請で指摘を受ける場面があるため、建具表の完成時に防火区画図と照合するチェックを入れてください。

Jw_cadで展開図を描く手順

展開図は「壁面の基準線を描く」「建具と仕上げを描き込む」「寸法を記入する」の手順で進めます。平面図が「上から見た図」であるのに対し、展開図は「壁を正面から見た図」です。視点の切り替えに慣れるまで最初は時間がかかりますが、基準線を正確に引ければ残りの作業は平面図と同じ要領で進められます。

用紙・縮尺・レイヤの設定

展開図の標準縮尺は1/50です。造作家具の納まりなど詳細を描く場合は1/30を使います。住宅1部屋の4面展開であれば、A3用紙1枚に収まるケースが多くなります。

レイヤ構成はあらかじめ決めておきます。以下は一例です。

  • レイヤ0: 壁面の輪郭(基準線)
  • レイヤ1: 建具(窓・ドア)
  • レイヤ2: 仕上げ材の範囲(タイル・腰壁等)
  • レイヤ3: 寸法・文字
  • レイヤ4: 設備機器(コンセント・スイッチ・照明)

展開図は1部屋4面を同じシートに並べます。A面〜D面を横一列に配置する方式が見やすく、壁面間の高さ関係を揃えやすいのでおすすめです。

窓も造作家具もコンセントもない壁面は、展開図を省略しても実務上問題ありません。ただし確認申請図では、原則として4面すべての展開図が求められます。描く前に省略可能な壁面がないか確認しておくと、作業量を見積もりやすくなります。

壁面の基準線を描く

展開図の出発点は、床レベル(FL)と天井レベル(CH)の水平基準線です。住宅であれば天井高CH=2,400mmが一般的な値になります。

壁面の幅は、平面図の該当壁面の内法寸法をそのまま使います。平面図で「3,640mm」と読み取った壁面なら、展開図でも幅3,640mmで描きます。

具体的な手順は次のとおりです。まず「線」コマンドで床レベルの水平線を引きます。次に床レベルから天井高分(2,400mm等)上に天井レベルの水平線を引きます。続いて壁面の左端と右端に床から天井まで垂直線を引けば、壁面の輪郭(長方形)が完成します。

平面図を横に表示しながら描くと、壁面幅の転記ミスを防げます。Jw_cadの「2画面表示」(メニューバー「表示」から「2画面表示」)を使えば、左画面に平面図、右画面に展開図を同時に表示できます。

建具・仕上げ・設備を描き込む

壁面の基準線ができたら、建具・仕上げ材・設備機器を描き込みます。

建具の配置では、平面図で確認した建具の位置(壁端からの距離)と内法寸法(W x H)を展開図に転記します。展開図では建具の内観姿(室内側から見た形)を描き、建具記号を付記します。たとえば壁端から910mmの位置にAW-1(W1,650 x H1,100)がある場合、壁の左端から910mmの位置に幅1,650mm・高さ1,100mmの矩形を描き、「AW-1」と記入してください。

仕上げ材の範囲も重要な記載事項です。キッチンのタイル貼り範囲(FL+900〜1,500mm程度)、トイレの腰壁高さ(FL+900mm程度)、アクセントクロスの範囲などをハッチングまたは線種変更で表現します。仕上げ材の境界線は実線、仕上げ範囲内は45度のハッチングを入れると視認性が上がります。

設備機器は記号で描き込みます。コンセント(FL+300mm)、スイッチ(FL+1,200mm)、エアコン(CH-200mm付近)、照明器具の取付位置が主な対象です。これらの高さは法的な規定値ではなく実務の標準値ですが、設備図(Jw_cadで電気図面・設備図面を描くコツで詳しく解説)との整合が必要になります。

寸法の記入では、建具の位置を壁端からの距離で横方向に、建具や仕上げ材の高さを床からの距離で縦方向に入れます。「寸法」コマンドで引出線を引き、Jw_cadの自動寸法記入機能を活用すると効率的です。

展開図に記載する情報のチェックリスト

展開図を描き終えたら、以下の項目を確認してください。

チェック項目確認内容
天井高(CH)数値が平面詳細図・断面図と一致しているか
床レベル(FL)段差がある部屋はFL差を反映しているか
建具記号平面図の建具記号と一致しているか
建具の内法寸法W x Hが建具表の数値と一致しているか
壁面仕上げ材仕上げ材の種別と範囲が仕上げ表と一致しているか
コンセント・スイッチ位置と高さが設備図と一致しているか
造作家具幅・高さ・奥行の寸法が記入されているか
幅木・廻り縁表現が統一されているか
部屋名と壁面記号A〜Dの記号が平面図の方位と対応しているか

平面図との整合性チェック

建具表・展開図を描いた後に最も重要な工程が、平面図との整合性チェックです。建具記号の番号ズレや寸法の食い違いは、確認申請の差し戻しや施工段階での手戻りにつながります。

建具記号と番号の突合チェック

平面図上のすべての建具記号を書き出し、建具表の記号と1対1で照合します。

よくあるミスは3パターンです。1つ目は「平面図にAW-5まであるのに建具表にはAW-4までしかない」という追加反映漏れ。設計変更で建具を追加した際に建具表への反映を忘れるケースです。

2つ目は「修正で建具を削除したが建具表の番号を詰め直していない」という欠番の放置。欠番自体は図面上問題ありませんが、施工者が「AW-3はどこにあるのか」と混乱する原因になります。

3つ目は「同一仕様なのに別番号を振っている」という採番ミスです。

建具記号の突合には平面図と建具表を印刷して並べ、赤ペンで消し込む方法が実務でよく使われます。画面上だけで照合するとスクロールの合間に見落としが出やすく、建具の数が20を超える物件ほどこのアナログ照合の効果が大きくなります。

ミスの内容原因チェック方法
建具表に記号が足りない設計変更時の反映漏れ平面図の記号を書き出して建具表と1対1照合
欠番が残っている建具削除後の番号整理漏れ連番に抜けがないか順に確認
同一仕様で別番号仕様確認不足同種記号の仕様欄を横並びで比較
寸法の不一致転記ミス平面図の開口寸法と建具表の内法寸法を突合

展開図の寸法と平面図の寸法の照合

展開図の壁面幅が平面図の内法寸法と一致しているか、1mm単位で照合します。

建具の位置(壁端からの距離)も平面図と展開図で一致させてください。平面図を1/100、展開図を1/50で描いている場合は、図面上の長さが異なるため、必ず実寸値で比較します。Jw_cadのステータスバーに表示される実寸値を使えば、縮尺の換算ミスを避けられます。

「寸法」コマンドで両図面の該当箇所を測定し、値を突き合わせるのが確実です。複数の部屋の展開図を描いた場合は、すべての部屋で壁面幅と建具位置の照合を行ってみてください。

まとめ

建具表は建具の仕様を一覧化する文書で、記号(AW/SD/WD等)+連番で平面図と対応させます。 建具表がなければ、平面図上の記号が何を指しているのか他者には伝わりません。

展開図は室内の壁面を正面から見た図面で、1部屋4面(A〜D)を時計回りに作成します。 天井高・壁面仕上げ・建具の内観姿・設備機器の位置を記載し、平面図だけでは分からない高さ方向の情報を伝えます。

Jw_cadの建具コマンド(建平/建断/建立)と図形登録を組み合わせると、建具表の姿図作成を効率化できます。 標準付属の建具図形データを活用し、事務所独自の姿図は図形登録で保存してください。

建具表・展開図を描いた後は、平面図との整合性チェックを必ず行いましょう。建具記号の突合と寸法の照合を怠ると、確認申請の差し戻しや施工段階での手戻りにつながります。

建具記号の平面図上での配置手順はJw_cadで平面図を描く完全手順で解説しています。建具表・展開図を含む建築図面全体の作成フローはJW_cadで建築図面を描く方法で俯瞰できます。


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