img2img変換ワークフロー|デノイズ強度の考え方

ComfyUI(ノードをつないで画像生成AIを動かすツール)で画像生成に慣れてくると、「この画像をベースに雰囲気だけ変えたい」「色味を調整したい」という場面が増えてきます。そんなときに活躍するのがimg2img(画像から画像への変換)です。テキストだけで画像を生成するtxt2imgと違って、既存の画像を出発点にして新しい画像を生み出す手法になります。建築パースの色違いバリエーションを短時間で作れるようになるので、提案資料の作成スピードが大きく変わります。

img2imgの仕上がりを左右する最も大切なパラメータが「デノイズ強度(denoise)」です。この値ひとつで、元の画像をほぼそのまま残すのか、大きく作り変えるのかが決まります。SD1.5・SDXL・FLUXといったモデル世代が変わっても、基本原理は共通です(2026年4月現在)。

この記事では、ComfyUIでのimg2imgワークフローの構築手順と、デノイズ強度の考え方・用途別の推奨値について詳しく解説します。

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目次

img2imgとは?txt2imgとの違い

img2imgとtxt2imgの違いは、スケッチの描き起こしに近いものです。真っ白な紙に絵を描くのがtxt2img、下描きの上から清書するのがimg2img。下描きがあるぶん、構図や配置の自由度は下がりますが、狙った方向にブレずに仕上げやすくなります。

txt2imgの仕組み

txt2img(テキストから画像への生成)は、テキストプロンプトだけを入力として画像を生成する手法です。ComfyUIでは「Empty Latent Image」ノードでランダムなノイズ画像を作り、そこからプロンプトの内容に沿って画像を生成していきます。

ゼロから画像を作るため自由度が高い反面、構図や色味を細かくコントロールするのが難しいという特徴があります。txt2imgの基本的なワークフロー構築は、ComfyUI txt2imgワークフローの始め方|7ノードで画像生成で詳しく解説しています。

img2imgの仕組み

img2img(画像から画像への変換)は、既存の画像を入力として使います。処理の流れは次のとおりです。

  1. 「Load Image」ノードで元画像を読み込む
  2. 「VAE Encode」ノードで画像をLatent空間(潜在空間。AIが画像を処理する内部表現)に変換する
  3. KSamplerでデノイズ強度に応じたノイズを加え、プロンプトに沿って再生成する
  4. 「VAE Decode」ノードで画像に戻す

つまり、元画像の情報を一部残したまま、プロンプトで指定した方向へ画像を変化させる仕組みです。

2つのワークフローの構成比較

txt2imgとimg2imgの違いをノード構成で比較すると、変更点は2つだけです。

  • 「Empty Latent Image」ノードが不要になる
  • 代わりに「Load Image」と「VAE Encode」の2ノードが追加される

KSamplerのlatent_image入力の接続先が変わるだけなので、txt2imgのワークフローを少し改造するだけでimg2imgに対応できます。一から組み直す必要はありません。

ComfyUIでimg2imgワークフローを構築する手順

ここからは実際にimg2imgのワークフローを組んでいきます。CADで既存図面をテンプレートとして開いて、必要な部分だけ変更して別プロジェクトとして保存する、そんな感覚に近い作業です。

必要なノード一覧

img2imgワークフローに必要な主要ノードは以下の5つです。

  • Load Checkpoint: AIモデル(チェックポイント)を読み込む
  • Load Image: 変換元の画像を読み込む
  • VAE Encode: 画像をLatent空間に変換する
  • KSampler: ノイズ付加と再生成を行うサンプラー
  • VAE Decode: Latent空間から画像に戻す

これにCLIP Text Encode(プロンプト入力用)とSave Imageノードを加えれば、基本構成の完成です。ノードの基礎知識はComfyUI ノード基礎・基本ワークフローガイドもあわせてご確認ください。

ノードの接続手順

各ノードの接続は次の手順で進めます。

  1. Load Checkpointの「MODEL」出力をKSamplerの「model」入力へ接続
  2. Load Checkpointの「VAE」出力をVAE EncodeとVAE Decodeの両方へ接続
  3. Load Checkpointの「CLIP」出力をCLIP Text Encode(ポジティブ・ネガティブ)へ接続
  4. Load Imageの「IMAGE」出力をVAE Encodeの「pixels」入力へ接続
  5. VAE Encodeの「LATENT」出力をKSamplerの「latent_image」入力へ接続
  6. KSamplerの「LATENT」出力をVAE Decodeの「samples」入力へ接続
  7. VAE Decodeの「IMAGE」出力をSave Imageへ接続

ポイントは手順4と5です。Load Imageで読み込んだ画像をVAE Encodeでlatentに変換し、それをKSamplerに渡すことで「元画像をベースにした生成」が実現します。

プロンプトとモデルの設定

プロンプトには、変換後に実現したい画像の説明を記述します。元画像の構図を活かしながら雰囲気を変えたい場合、変更したい要素を中心にプロンプトを書くのが効果的です。

たとえば建築パースの色味を変えたい場合、「warm sunset lighting, golden hour atmosphere」のように照明や雰囲気に関するプロンプトを指定します。元画像で構図が決まっているので、プロンプトは「変えたい要素だけ」に集中して書けばよく、txt2imgより考えることが少なくてすみます。

モデルの選択も結果を左右する要素です。SD1.5系、SDXL系、FLUX系など、モデルによって対応する解像度やVAEが違います。使用するモデルに合ったVAEが自動で読み込まれるよう、Load Checkpointから接続するのが基本です。

デノイズ強度(denoise)の考え方と調整方法

デノイズ強度はミキサーのつまみに似ていて、「元画像の音」と「プロンプトの音」の配合を決めるダイヤルです。0に近いと元の音ばかり、1に近いとプロンプトの音ばかり。ここをどれくらいに合わせるかが、img2imgの仕上がりを決めるいちばん大きな要素になります。

デノイズ強度とは

デノイズ強度(denoise)は、KSamplerノードで設定する0.0から1.0までの値です。この数値は「元画像にどれだけノイズを加えるか」を意味します。

  • 0.0: 元画像にノイズを一切加えない(元画像がそのまま出力される)
  • 0.5: 元画像に中程度のノイズを加える(構図は残りつつ大きく変化)
  • 1.0: 元画像を完全にノイズで置き換える(入力画像の情報が失われ、実質的にtxt2imgと等価になる)

直感的には「元画像からどれだけ離れるか」を調整するスライダーと考えるとわかりやすくなります。値が小さいほど元画像に近く、大きいほどプロンプトの影響が強まります。

両端の挙動を知っておくと迷いが減ります。0.0では入力画像がそのまま出力されるため、img2imgをする意味がありません。1.0では入力情報が完全に破棄されるため、わざわざimg2imgを通す意味が薄くなります。公式サンプルでも「denoise < 1.0」での利用が基本と示されています。

なお、実用上の最低値は0.05前後です。これより低いとサンプラーが不安定になり、ノイズ破綻を起こすことがあります(Stable Diffusion Artのdenoise解説、2026年4月現在)。

用途別の推奨デノイズ値

目的に応じた推奨値の目安は以下のとおりです(2026年4月現在、SD1.5系モデル基準。SDXL・FLUXは同じ値でも変化量が違うため、参考値として使ってください)。

微調整(0.2〜0.4)
色味の補正、明るさの変更、ちょっとした質感の調整に向いています。元画像の構図やディテールがしっかり残るため、「ほぼ同じ画像だけど少しだけ変えたい」場面で使います。実務では建築パースの色温度調整によく使う範囲です。

スタイル変更(0.5〜0.7)
画風の変換、季節感の変更、照明条件の大幅な変更に適した範囲です。元画像の大まかな構図は維持されますが、ディテールはかなり変わります。モダンからナチュラルへのスタイル変換のように、雰囲気を作り変えたい場合に使いやすい範囲になります。

大幅変更(0.8〜1.0)
元画像の構図をヒントにしつつ、ほぼ新規に近い画像を生成します。0.9〜1.0になるとtxt2imgとほとんど変わらない結果になるため、img2imgの利点が薄れる点に注意が必要です。

アップスケール用途(多段img2img)
img2imgを高解像度化で使う場合は、1回目に0.3〜0.5、2回目以降は0.2〜0.3という値が海外コミュニティで定着しています。後段ほど値を下げることで、ディテールを追加しながら構図の破綻を防げる運用です(roblaughter氏のupscaleドキュメント)。

デノイズ値による変化のイメージ

デノイズ強度の調整で迷ったときは、まず0.4からスタートして結果を確認する方法がおすすめです。変化が足りなければ0.1ずつ上げ、変化しすぎなら0.1ずつ下げていきます。中央値から始めて両側に寄せていくやり方は、CADで寸法を微調整していく作業と同じ感覚で進められます。

同じプロンプトでもデノイズ値を変えるだけで結果が大きく変わります。複数の値で生成して比較するのが効率的な進め方です。KSamplerのseed値を固定しておくと、デノイズ値の違いだけを純粋に比較できます。

建築パースでの活用例

img2imgは建築ビジュアライゼーションの現場でとくに効果を発揮します。1枚のベースパースから色違い・素材違いのバリエーションを作るときに、3Dソフトに戻って再レンダリングする手間が省けるので、提案1案件あたりの制作時間が大幅に短縮されます。

色味・雰囲気の変更

建築パースの時間帯や雰囲気を変えたい場合、img2imgが効果的です。

  • 昼→夕方: プロンプトに「sunset lighting, warm orange tones」を指定し、デノイズ0.3〜0.5で生成
  • モダン→ナチュラル: 「natural wood interior, warm atmosphere, plants」などのプロンプトで、デノイズ0.5〜0.7に設定

構図や間取りは変えずに、プレゼン用の複数バリエーションを素早く作成できます。

海外ではスタイル転写のレシピとして「denoise=0.5、CFG=6、Steps=20、Euler sampler」が使われることが多くあります(AI Free APIのComfyUIガイド、2026年4月現在)。迷ったらこのレシピを出発点にすると安定しやすい組み合わせです。

インテリアスタイルの変換について詳しくはComfyUIインテリアスタイル変換|Depth+IPAdapter実務5手順をご覧ください。

素材感の変更

外壁や内装の素材感を変更する用途にもimg2imgは向いています。

  • コンクリート打ちっぱなしの外壁を木目調に変更
  • タイル床をフローリングに差し替え
  • 金属フレームを木製フレームに置き換え

素材変更の場合、デノイズ0.4〜0.6程度に設定すると、空間の構成を保ちつつ素材感だけを変化させやすくなります。実務では、クライアントへの提案時に「同じ間取りで素材違いのバリエーション」を見せる場面で重宝します。

img2imgで失敗しないためのポイント

ワークフローを組んでも思い通りの結果にならないときは、以下のポイントを確認してみてください。つまずきポイントはだいたい決まっているので、チェック箇所を押さえておくと原因特定が早くなります。

解像度の扱い

img2imgでは入力画像のサイズがそのまま出力サイズに影響します。SD1.5系モデルなら512×512、SDXL系なら1024×1024が推奨解像度です(2026年4月現在)。

入力画像が推奨サイズと大きく違う場合、画像が崩れたり不自然なアーティファクト(AIが作り出す不自然な模様)が発生する可能性があります。事前に「Image Resize」ノードなどで推奨解像度にリサイズしておくのが安全です。

VAEの選び方

VAEはモデルと整合性のあるものを使う必要があります。SD1.5モデルにはSD1.5用VAE、SDXLモデルにはSDXL用VAEを使ってください。

Load Checkpointノードから接続すれば、モデルに内蔵されたVAEが自動で適用されます。別途VAEを指定したい場合は「Load VAE」ノードを追加し、VAE EncodeとVAE Decodeの両方に接続します。VAEの不一致は黒画像や色崩れの原因になるので、注意してください。

CFGスケールとステップ数のバランス

img2imgではCFGスケール(プロンプトへの忠実度)とステップ数のバランスも結果に影響します。

  • CFGスケール: 5〜8程度が標準的。高すぎるとアーティファクトが出やすくなります
  • ステップ数: 20〜30が一般的。デノイズ値が低い場合、ステップ数を増やしても効果が薄いことがあります

構図を精密に制御したい場合は、ComfyUI ControlNet・構図制御ガイドの併用も検討してみてください。ControlNetを組み合わせることで、img2imgだけでは難しい構図の固定ができるようになります。

モデル世代によるデノイズ挙動の違い

SD1.5・SDXL・FLUXでは、同じデノイズ値でも結果の変化量が違います(2026年4月現在)。

  • SD1.5系: 本記事で示した推奨値の基準。0.5で中程度の変化が得られます
  • SDXL系: SD1.5より構図保持がやや強く、同じ0.5でも変化量は控えめ。0.55〜0.65を試すと近い感覚になります
  • FLUX系: 低デノイズ(0.2〜0.3)でもプロンプト反映が強く出る傾向あり。控えめに始めるのが安全です

海外の建築ビジュアライゼーション事例では、SDXLで初期生成→FLUXでディテール化という多段構成も増えています(Civitaiの建築向けワークフロー事例)。

モデルを切り替えたときは、まず同じ値で1枚生成し、変化量を見てから微調整してください。いきなり本番用の値で始めると、モデル間の挙動差に気づけないまま迷うことになります。

まとめ

ComfyUIのimg2imgワークフローは、txt2imgにLoad ImageとVAE Encodeを追加するだけで構築できます。デノイズ強度は0.0から1.0のスケールで「元画像からどれだけ離れるか」を調整するパラメータです。

用途に応じた推奨デノイズ値を整理すると、微調整は0.2から0.4、スタイル変更は0.5から0.7、大幅変更は0.8から1.0が目安になります。まずは0.4から試して、結果を見ながら調整していく方法が効率的です。

建築パースの色味変更や素材変更にも応用できるので、プレゼン用のバリエーション作成に活用してみてください。

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CONTENTS

3 LESSONS


基礎編① インストール&7項目の初期設定

Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

建築パースを1作品完成させるまでを体験


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実践編完成データ(.blend)

ショートカット・チートシート

マテリアル ライブラリセット

この記事を書いた人

橘 美咲のアバター 橘 美咲 PERSC 専任講師

「CADは裏切らない。昨日引けなかった線が、今日は引ける。それが楽しいの」

元・完全未経験の文系女子。新卒で入った建築現場で「図面が読めない」と絶望し、悔し涙を流しながらCADを独学で習得した過去を持つ。 その後、設計事務所、ゼネコンを経てフリーランスへ転身。現在はPERSCにて「現場で本当に使える技術」を伝授する鬼(?)コーチとして活動中。 「線一本にも意味がある」が口癖。趣味は、完成した建物を見上げながらのビールと、深夜の猫動画巡回。

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