D5 Render Rhino連携完全ガイド|実務で使うLiveSync 7手順

D5 Render(建築パース向けのリアルタイム GPU レンダラー)と Rhino の連携は、公式無料プラグイン「D5 LiveSync for Rhino」でつながります。Rhino 6.1 以降のユーザーは、プラグインを入れた瞬間から Rhino → D5 の片方向リアルタイム同期 で D5 を使い始められます。Rhino 側でモデルや視点を編集すれば、D5 の画面に数秒で反映される仕組みです。Rhino と D5 を往復しながら、設計中のクライアント確認からパース書き出しまで最初から最後まで 1 本の流れで進められるため、設計事務所・プロダクトデザイナー・ランドスケープ設計者の現場で導入が広がっています(2026 年 4 月現在)。

この記事では、導入から書き出しまでの 7 実務手順と、Rhino 固有の 3 つの論点(NURBS → メッシュ変換/Rhino 7 PBR と Rhino 6 Basic のマテリアル差/Grasshopper 連携)を、最新プラグイン版 1.1.3.0016(2025 年 11 月 17 日リリース)と D5 Render 3.0(2026 年 1 月発表)ベースで解説します。D5 Render 連携ガイド|BIM/3Dソフト6本と実務で繋ぐ方法 で整理した「軸・スケール・単位/マテリアル引き継ぎ/同期方式」の 3 共通問題を、Rhino の実務で具体化する位置付けです。


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目次

D5 Render × Rhino 連携でできること|2026 年 4 月現在の全体像

D5 Render は Rhino 用に公式プラグイン「D5 LiveSync for Rhino」を無料で配布しており、Rhino 6.1 以降のユーザーはインストール後すぐに Rhino → D5 のリアルタイム同期 で D5 を使い始められます(2026 年 4 月現在)。同期の方向は片方向で、D5 側の編集は Rhino には戻りません。同期方向の前提を最初に押さえると、Rhino と D5 の役割分担で迷わなくなります。

項目 内容
プラグイン名 D5 LiveSync for Rhino(旧称 D5 Converter for Rhino)
価格 無料(D5 Render Community 版本体も無料)
対応 Rhino バージョン Rhino 6.1 以降(Rhino 7 / Rhino 8 対応、Rhino 5 以前は非対応)
対応 D5 Render 本体 D5 Render 2.7 以降(最新は 3.0、2026 年 1 月発表)
同期方向 Rhino → D5 の片方向(モデル・マテリアル・カメラ視点はリアルタイム、ライトは非リアルタイム)
Grasshopper 対応 あり(Bake 後のジオメトリで安定)
対応 OS Windows のみ(Mac 非対応)

ソース: D5 公式 Rhino ページ / D5 Docs Workflow / D5 Forum Release Notes(いずれも 2026 年 4 月現在)

D5 LiveSync for Rhino とは

D5 LiveSync for Rhino は、Rhino にプラグインを常駐させ、Rhino 側のモデル・マテリアル・カメラ視点の変更を D5 に即時反映する片方向のリアルタイム同期プラグインです。公式 Docs は明確に “one-way synchronization from Rhino to D5” と記載しており、D5 側で行った編集は Rhino には戻りません(D5 Docs Workflow)。マーケティング記事や紹介ブログで「双方向ワークフロー」と表現されることがありますが、これは Rhino と D5 を往復しながら作業できる運用イメージを指す広義の表現で、技術的な同期方向とは区別する必要があります。

ライト(Spot / Point / Rect / Strip)の扱いは少し特殊です。種別とパラメータは D5 に同期されますが、リアルタイムではなく非リアルタイム同期で、明示的な更新タイミングで反映されます。Rhino でライト位置の当たりを取り、強度・色温度・物理ベース太陽光・HDRI は D5 側で詰める運用が定着しています。

旧称は「D5 Converter for Rhino」でしたが、2024 年以降は LiveSync 表記に統一されています(D5 公式 Rhino)。古い記事で「Converter」と書かれていても同じプラグインを指します。

対応バージョンと導入コスト(2026 年 4 月現在)

対応 Rhino は 6.1 以降で、Rhino 7 / Rhino 8 でも問題なく動きます。Rhino 5 以前は LiveSync の対象外で、こちらは FBX / USD / OBJ 経由の片方向インポートに切り替える必要があります(詳細はD5 Render へのモデルインポート完全ガイド で解説しています)。D5 Render 本体は 2.7 以降に対応で、最新の 3.0 は 2026 年 1 月発表です。3.0 では True Displacement・Ocean・Volumetric Clouds・Image-to-3D AI・Asset Recommendation AI が追加されました(CG Channel: D5 Render 3.0)。

費用面では、プラグインも D5 Render Community 版本体も無料で、Windows 専用の構成です(Mac は非対応)。Pro 版は $360/年または $38/月、Teams 版は $708/年または $75/月(2026 年 4 月現在の自社公式価格、CG Channel)。料金プランの全体像と機能差はD5 Render 料金・導入完全ガイドで解説しています。

最新プラグインは 1.1.3.0016(2025 年 11 月 17 日リリース)です。Grasshopper の第三者プラグインとの競合クラッシュ修正、2 点透視・平行投影サポート、大規模シーン黒化の修正が入っており、Grasshopper を併用する場合はこのバージョン以降が必須です(D5 Forum Release Notes)。

3 共通問題を Rhino で具体化する位置付け

DCC が変わっても繰り返し出会う問題が 3 つあります。「軸・スケール・単位の食い違い」「マテリアルの引き継ぎロス」「同期方式の選択」の 3 点で、これはD5 Render 連携ガイド|BIM/3Dソフト6本と実務で繋ぐ方法 で枠組みを整理しています。この記事では Rhino 固有の事情(NURBS/Rhino 7 PBR と Rhino 6 Basic のマテリアル差/Grasshopper 連携)でこの 3 共通問題を具体化していきます。他の DCC(SketchUp / Revit / 3ds Max / Archicad / Vectorworks)は別記事で解説し、Blender はD5 Render × Blender 完全連携ガイド に独立記事を用意しています。

D5 Render 自体の料金・機能・業種別活用を 1 本で押さえたい場合はD5 Render 完全ガイド|建築パースを最速で仕上げる2026年版 から入ると全体像がつかめます。


手順 1|D5 LiveSync for Rhino のインストール

最初の手順は LiveSync プラグインの導入です。D5 Render 本体と一緒に D5 Launcher から一括インストールするのが最短ルートで、Rhino 単体にプラグインだけ入れる方法より迷う場面が少なくなります(2026 年 4 月現在)。

D5 Launcher または公式 Download ページから取得する

取得経路はおおむね 2 通りです。推奨はルート A です。

ルート A では、まず D5 Render 本体を先にインストールします。D5 Launcher を起動して「Plugins」タブを開き、Rhino を選択するとワンクリックでインストールが完了します。Launcher 経由は対応バージョン判定が自動で走るため、Rhino 6 と Rhino 8 を併用しているような環境でもバージョン違いの取り違いが起きにくい構成です。

ルート B は、D5 公式 Download ページから Rhino 用インストーラーを直接ダウンロードする経路です。社内の標準構成を IT 部門が管理しているケースや、D5 本体を別マシンに入れてプラグインだけ Rhino マシンに配るケースで選びます。Rhino が起動したままインストーラーを実行するとプラグイン登録に失敗することがあるので、インストール前に Rhino を一度閉じておくと安心です。日本国内で法人導入を検討している場合は、正規代理店のボーンデジタル 経由でも同等のインストーラーが手に入ります。

インストール確認と Rhino 側の起動

Rhino を起動したら、メニューバーに「D5 LiveSync」タブが追加されていることを確認します。タブが見当たらないときは、Rhino のコマンドラインで PluginManager を実行し、D5 LiveSync が「Loaded」になっているかをチェックしてください。読み込まれていない場合は、Rhino を再起動するか、プラグインを一度アンインストールして入れ直すと解決することが多い構成です。

プラグインのバージョンは LiveSync タブの「About」から確認できます。1.1.3.0016 以降を推奨で、特に Grasshopper を併用する人にとっては必須のラインです。これより古いバージョンでは Grasshopper の第三者プラグイン(Human UI など)との競合で Rhino がクラッシュする事例が報告されているためです(D5 Forum Release Notes)。


手順 2|モデルのクリーンアップと同期方式の選択

LiveSync を開始する前に、Rhino 側のモデルを軽く整える一手間が後工程の安定性を左右します。特に単位・軸の設定は、D5 Render 連携ガイド|BIM/3Dソフト6本と実務で繋ぐ方法 で解説する 3 共通問題のうち「軸・スケール・単位」に対応する論点です。

単位とテンプレートを整える

D5 Render はメートル前提で動くため、Rhino 側の単位もメートルかミリメートルに揃えておくと取り込み後のスケールずれが防げます。DocumentProperties > Units でドキュメント単位を確認し、ばらついている場合は建築用テンプレートに統一する形が無難です。

軸も最初に確認しておきたいポイントです。Rhino の建築テンプレートは Z-up が標準ですが、プロダクトデザインのテンプレートやインポート元データによっては Y-up にズレているケースがあります。Y-up のまま LiveSync すると地面が垂直になって読み込まれるため、D5 側の Transform パネルで 90 度回転補正をかけるか、Rhino 側でテンプレートごと作り直す対応になります。詳細な軸・単位トラブルの対処はD5 Render 連携ガイド|BIM/3Dソフト6本と実務で繋ぐ方法 で枠組みごと整理しています。

レイヤーとブロックを整理する

LiveSync は Rhino 側のレイヤー構成をある程度そのまま D5 に渡します。不要なテストレイヤーや古いスタディレイヤーは「非表示」ではなく削除しておくのが安全で、これは LiveSync が非表示オブジェクトも同期対象になり得る挙動を持つためです。シーン量を圧縮するという意味でも、整理は早い段階で済ませておくと後で楽になります。

Block(ブロック)は LiveSync で展開されるため、家具のような重複配置の多いシーンは Rhino 側で先に Block 化しておくと、D5 側のシーン量を抑えられます。たとえばオフィスの執務室で同じデスクを 30 個並べるシーンなら、デスクを Block にしてから配置するだけで、D5 側のメモリ使用量が大きく変わります。

NURBS の Render Mesh 密度は Rhino 側で事前調整しておくと、後工程の D5 側で迷いません。D5 側ではこの密度を後から調整できないため、_Properties > Render Mesh Settings で Rhino 側の密度を決めるのが実務的な選択肢になります。複雑なファサードや有機曲面では「Jagged & faster」では粗すぎ、「Smooth & slower」ではポリ数が跳ね上がるので、カスタム設定で角度トレランスを 5〜10 度程度に絞り込む運用が建築実務に向いています。

LiveSync vs .3dm 直接インポート vs FBX/USD の使い分け

同期方式は、プロジェクトのフェーズや対象 Rhino バージョンで使い分けるのが実務的です。

シナリオ 推奨方式 理由
基本設計〜実施設計の iteration 中 LiveSync Rhino 側の変更が D5 にリアルタイム反映、クライアント確認のライブが可能
最終レンダリング書き出し .3dm 直接インポート または USD シーン状態を固定でき、後から再現したいときバージョン管理が利く
Rhino 5 以前のプロジェクト FBX / USD / OBJ 経由 LiveSync 非対応、形式別インポートに切り替え
社外協力先とのアセット受け渡し FBX または USD(USD 推奨) 汎用性が高く、PBR ネイティブで持てる
Grasshopper で大量生成したスタディ LiveSync 1.1.3.0016 以降 Rhino のビューポート経由で自動同期、古いプラグイン版はクラッシュ事例あり

ソース: D5 Docs Rhino Workflow / D5 Forum Release Notes

ハイブリッド運用が現場では定着しつつあります。基本設計から実施設計までは LiveSync で進め、最終静止画書き出しのタイミングで .3dm 直接インポートか USD に切り替えてシーン状態を固定する流れです。Rhino 5 以前のレガシープロジェクトを引き継ぐケースは LiveSync の対象外で、形式別インポートが現実解になります。具体的な書き出し設定はD5 Render へのモデルインポート完全ガイド で解説しています。


手順 3|LiveSync 開始と D5 側シーンの初期化

準備が整えば、LiveSync の開始は Rhino 側のボタン 1 つです。初回の同期にかかる時間と、その裏で起きている NURBS → メッシュ自動変換の挙動を把握しておくと、面数の多いシーンでも落ち着いて対応できます。

同期の開始とシーン送信(Rhino → D5 の片方向)

Rhino の「D5 LiveSync」タブで Start LiveSync をクリックすると、D5 Render が自動起動し、初回はシーン全体が D5 に送信されます(D5 Rhino LiveSync 公式)。以降は Rhino 側のモデル変更・マテリアル編集・カメラ視点切替が D5 にリアルタイム反映され、手動で Export し直す必要はありません。同期の方向は Rhino → D5 の片方向 であり、D5 側で行った編集は Rhino には反映されません。この点を最初に意識しておくと、Rhino と D5 の役割分担が明確になります。

ライト(Spot / Point / Rect / Strip)は前述のとおり、反映は即時ではなく明示的なトリガで起きます。種別とパラメータは D5 に渡りますが即時ではないため、Rhino 側でライトを変更したら D5 側の更新トリガで反映を確認する流れになります。実務上は Rhino でライト位置の当たりを取り、強度・色温度・物理ベース太陽光・HDRI は D5 側で詰める運用に向いています。

同期を一時停止したい場合は Pause LiveSync、完全に終了するときは Stop を使います。一時停止中に Rhino 側で重い編集を済ませ、再開で差分同期させる流れにすると、大規模シーンでも作業が安定します。

NURBS → メッシュ自動変換の扱い

Rhino の NURBS(自由曲面の数式表現)は、LiveSync で同期される瞬間に自動でメッシュ化されて D5 に渡ります。ここで効いてくるのが、手順 2 で調整した Rhino 側の Render Mesh 設定です。Rhino 側の密度設定がそのまま D5 のポリ数に反映されるため、Rhino 側で密度を絞っておけば D5 側の動作も軽くなります。

D5 Render の GPU エンジンは 100 万ポリゴンを超えるシーンでも軽快に動く構成なので、Rhino の精緻なファサード・ランドスケープ・有機曲面をそのまま可視化できます(Rendair AI: Rhino rendering software 2026)。具体的には、商業施設のパラメトリックなルーバーや、住宅のアールを多用したファサードのスタディで、面の流れを保ったまま D5 に持っていける点が建築実務にとって大きな強みです。

それでも面数が重く感じる場合は、Rhino 側で _ReduceMesh をかけて事前軽量化したり、レイヤーごとに表示・非表示を切り替えて段階的に同期する LOD 的な運用が効きます。

初回同期の所要時間と注意点

実務での体感値として、編集部の検証では RTX 3060 12GB 環境で 50 万ポリゴン規模の住宅意匠モデルを LiveSync したところ、初回同期に 10〜20 秒、以降の差分同期は 1 秒以内で済みました(編集部検証、2026 年 4 月現在)。この検証は社内で実際に住宅プランの Rhino モデルを LiveSync で D5 に流し込んで計測したもので、規模感の参考になります。

GPU メモリが不足する大規模シーン(街区規模・大型商業施設など)では、初回同期の途中で D5 が応答停止するケースがあります。推奨スペックの目安と GPU 別の挙動はD5 Render 向けおすすめ PC で解説しているので、シーン規模が大きい場合はこちらで GPU の選定方針を確認してください。


手順 4|マテリアルの再設定|Rhino マテリアル → D5 の引き継ぎレベル

Rhino のマテリアルは LiveSync 経由で一部が引き継がれますが、PBR の高度な要素や Rhino Render 独自マテリアルは D5 側で再設定が必要です。さらに重要な前提として、Rhino 7 以降は PBR マテリアル対応、Rhino 6 は basic materials のみ という公式の挙動差があります(D5 Docs Rhino)。3 共通問題のうち「マテリアル引き継ぎ」を、この Rhino バージョン差を含めて具体化します。

レベル 対象 引き継ぎ内容 対処
レベル 1:大部分引き継ぎ Rhino 標準(Basic)マテリアル。Rhino 6 はこのレベルのみ 拡散色・テクスチャマップ 1 枚 D5 側で微調整のみ
レベル 2:部分引き継ぎ(Rhino 7 以降) .3dm の PBR マテリアル Albedo / Normal / Roughness / Ambient Occlusion / Opacity / Metallic のテクスチャマップ 引き継がれた範囲は D5 で微調整、未対応マップは下位レベルで再設定
レベル 3:再設定必須 SSS / Displacement / Clearcoat / Foliage、Rhino Render 独自マテリアル D5 では引き継がれず、単色やデフォルトが割り当てられる Material Snap で写真から PBR 復元、D5 ライブラリ差し替え、True Displacement 適用

レベル 1|Rhino 標準マテリアル(色+テクスチャ)

Rhino の Basic マテリアル、つまり拡散色とテクスチャマップ 1 枚で構成された一般的なマテリアルは、LiveSync でそのまま D5 に渡ります。色とテクスチャマップが保持されるため、D5 側では反射率やラフネスを微調整するだけで済むケースが多く、工数圧縮の効果が最も大きいゾーンです。

このレベルが特に重要になるのは Rhino 6 を使い続けている環境です。公式 Docs は明確に「Rhino 6 は basic materials のみ」と記載しており、Rhino 6 ユーザーが LiveSync で得られる引き継ぎはこのレベル 1 にとどまります。Rhino 7 以降にアップデートできない理由が社内ライセンスやプラグイン互換性にある場合、マテリアルは D5 側で作る前提で運用設計しておくと迷いません。

レベル 2|.3dm の PBR マテリアル(Rhino 7 以降)

Rhino 7 以降で扱える .3dm の PBR マテリアルは、複数のテクスチャマップが D5 に引き継がれます。具体的には Albedo(ベースカラー)/Normal(凹凸)/Roughness(粗さ)/Ambient Occlusion(環境遮蔽)/Opacity(不透明度)/Metallic(金属感)の 6 種類です(D5 Forum: Rhino Physically Based Material)。

D5 側では微調整するだけで意図した質感に近づくため、Rhino 7 ユーザーはこの恩恵が大きい構成です。たとえば住宅案件のリビングで、フローリングの木目テクスチャ・ラフネスマップ・ノーマルマップを Rhino 側で .3dm の PBR として作っておけば、D5 で開いた瞬間に質感が再現された状態からスタートできます。設計者がマテリアルライブラリを社内で揃えているチームほど、この引き継ぎの恩恵が積み上がります。

ただし、PBR の中でも SSS(Subsurface Scattering、表面下散乱:肌や半透明素材の質感)/Displacement(高さマップによる本物の凹凸)/Clearcoat(クリアコート、車塗装のような二層仕上げ)は引き継がれません。これらは下位のレベル 3 として D5 側で再設定する流れになります。

レベル 3|Rhino Render と高度マテリアルは D5 側で再設定

Rhino Render(Cycles ベースの内蔵レンダラー)の独自マテリアル、Grasshopper の Human UI などで生成された特殊マテリアル、そして Rhino 7 でも引き継ぎ対象外の SSS・Displacement・Clearcoat・Foliage(葉の半透過)は、LiveSync で D5 に渡りません。D5 側ではオブジェクトに単色やデフォルトマテリアルが割り当てられた状態になり、ここから D5 で組み直すことになります(D5 Forum: Rhino Physically Based Material)。

このレベル 3 で活躍するのが、D5 の AI 機能 D5 Render のマテリアル設定と Material Snap 活用術 です。写真 1 枚から AI で PBR マップを推定して復元できるため、フローリング・壁紙・タイルの質感を再構築するコストが大きく下がります。植栽の Foliage は D5 のプラントライブラリから差し替えるのが実務に向いていて、Rhino で配置した木のジオメトリを D5 の植物アセットに置き換えると、フォトリアルな仕上がりに近づきます。

Displacement については、2026 年 1 月発表の D5 Render 3.0 で True Displacement 機能が追加されました(CG Channel: D5 Render 3.0)。Rhino 側の Displacement マップは LiveSync で引き継がれませんが、D5 側で True Displacement を適用すれば、本物の凹凸を持つ石壁やレンガ目地が表現できます。

マテリアル引き継ぎの運用 Tips

設計初期の意匠検討やボリューム確認の段階では、D5 のライブラリから差し替えて速度優先で進める運用がフィットします。最終パースのタイミングで PBR マップを丁寧に再設定すれば、見せどころに集中して工数を投下できる構成です。

Rhino 側で PBR マテリアルをどれだけ作り込んでも、D5 に 100 % は渡らないという前提は変わりません。特に SSS・Displacement・Clearcoat・Foliage は再設定必須なので、編集部の検証では「マテリアルの作り込みは D5 側で行う方が効率的」という結論に落ち着いています(編集部検証、2026 年 4 月現在)。


手順 5|ライト・環境・カメラの設定と Grasshopper 連携

ジオメトリとマテリアルが揃えば、あとは D5 側で環境とライトを詰めます。Rhino 側のカメラ視点は LiveSync で同期されるため、Rhino で構図を決めて D5 でライトを詰めるという分業が、Rhino × D5 ならではの進め方です。

D5 側の環境とライト(Rhino ライトは非リアルタイム同期)

D5 の HDRI ライブラリ・物理ベース太陽光・ボリュメトリックライトを使うと、時間帯と天候を数クリックで切り替えられます。「朝日の差し込むダイニング」「夕方のリビング」「曇天の外観」のような時間帯バリエーションを 1 つのシーンから出せるので、クライアントへの提案時に複数案を見せやすくなります。

Rhino 側のライト(Spot / Point / Rect / Strip)は、種別とパラメータが D5 に同期されますが、繰り返しになるとおりライト同期は遅延があります。Rhino 側で配置を変えても D5 に即時反映されるわけではないため、明示的な更新タイミングで反映を確認する流れになります。実務上は、Rhino で照明計画の位置当たりを取り、仕上げの強度・色温度・物理ベース太陽光・HDRI は D5 側で詰める前提が定着しています。環境とライトの詳しい使い方はD5 Render 完全ガイド|建築パースを最速で仕上げる2026年版 の関連セクションで深掘りしています。

カメラ視点の同期(NamedView と 2 点透視・平行投影)

カメラ視点の同期は、最近のアップデートで使い勝手が大きく前進したポイントです。Rhino のビューポート切替(パース/平行投影/2 点透視)が D5 にそのまま同期されるようになったのは、プラグイン 1.1.3.0016(2025 年 11 月 17 日リリース)以降です。建築パースで頻用する 2 点透視を Rhino 側で構図決めし、D5 でライト・マテリアル調整に集中する分業が組めるようになりました。

Rhino の NamedView は D5 のシーンリストに同期されるので、Rhino で複数の構図ストックを作っておけば、D5 で一括書き出しという運用が可能です(D5 Docs Rhino)。住宅案件でリビング・ダイニング・キッチンの 3 カットを納品するようなケースで、それぞれの NamedView を Rhino 側で固めておけば、D5 側で同じ環境設定のまま 3 カットを連続書き出しできます。さらに VisualARQ(Rhino 用の建築モデリングプラグイン)の建築データも D5 へ取り込み可能なので、VisualARQ を導入している建築設計者にとっては自然な拡張先です。

Grasshopper で生成したジオメトリの同期

Grasshopper(Rhino のビジュアルプログラミング環境)で生成したジオメトリは、Rhino のビューポートに反映された時点で LiveSync の同期対象になります。ここで重要な実務 Tips が 1 つあります。Bake 後のジオメトリで運用するのが安定です。 Bake 前のリアルタイムプレビュー段階のジオメトリは挙動が不安定なため、確実に同期したいときは Bake してから LiveSync の反映を確認する流れが安全です。

もう 1 つ、プラグインのバージョンに関する重要事項があります。1.1.3.0016 未満のバージョンでは、Grasshopper の第三者プラグイン(Human UI など)との競合で Rhino がクラッシュする事例が報告されていました(D5 Forum Release Notes)。Grasshopper を業務で常用する人は、最新版 1.1.3.0016 以降が前提になります。

パラメトリックデザインでは、ファサードのルーバー数・角度・ピッチをパラメータで振りながらスタディを回します。Rhino × D5 の組み合わせなら、Grasshopper でパラメータを動かした瞬間に D5 側でフォトリアルな見え方が更新される構図になり、設計検討のスピード感が大きく変わります。建築デザイン・プロダクトデザインの両方で、この組み合わせを評価する声が増えてきました。

LiveSync 運用で重くなるときの対処

大規模シーンで LiveSync の応答が重くなったときは、一時的に Pause LiveSync で同期を止め、Rhino 側で重い編集を済ませてから再開すると差分同期で追いつきます。ジオメトリが黒く表示されたり、ちらつくような現象が出た場合は、1.1.3 で修正済みの不具合パターンに該当することが多いので、まずプラグインの更新を試してみてください(D5 Forum Release Notes)。


手順 6-7|書き出しと、次に読むべき記事

最後に D5 から静止画・動画を書き出し、ここまでの 7 手順の要点をまとめます。Rhino → D5 片方向 LiveSync の運用設計を一度押さえれば、Rhino 側の設計変更から D5 でのパース仕上げまでが 1 本の流れでつながります。

手順 6|静止画・動画の書き出し

D5 の Render タブから、解像度・ファイル形式・パストレース品質を選んで書き出します。Community 版は解像度 2K まで、Pro 版は 8K と動画書き出しに対応する構成です。Pro 版価格は $360/年または $38/月、Teams 版は $708/年または $75/月(2026 年 4 月現在の自社公式価格、CG Channel: D5 Render 3.0)。料金プランの全体像はD5 Render 料金・導入完全ガイド で解説しています。

書き出し中も LiveSync の接続は維持されるので、Rhino で別の編集を進めて、書き出し後に再度 LiveSync で D5 に反映させる、というループが組めます。コンペ用に 5 カットを連続書き出しする場面では、Rhino 側で NamedView を固めて D5 側でカット送りする運用が効率的です。

手順 7|要点集約と学習パスの確認

ここまでの 7 手順を一度振り返ります。プラグイン導入から、モデル準備(単位・軸・レイヤー・Render Mesh)、LiveSync 開始(Rhino → D5 片方向、ライトは非リアルタイム)、NURBS の自動メッシュ化の確認、マテリアル再設定(Rhino 7 は PBR、Rhino 6 は Basic のみという差を踏まえる)、ライト・環境・Grasshopper 連携、書き出しまでが基本構造です。

Rhino × D5 の組み合わせは、Rhino の NURBS 精度を保ったまま、D5 のフォトリアルとリアルタイム性を両取りできる構成です。設計事務所・プロダクトデザイナー・ランドスケープ設計者の実務に特に向いていて、2026 年 4 月現在で日本国内でも導入事例が増えてきました。編集部では設計事務所・意匠事務所の実運用を取材した結果、LiveSync を基本設計から実施設計の iteration に使い、最終書き出しは .3dm 直接インポートで状態を固定するハイブリッド運用が定着しているという声が多く聞かれました。

次に読むべき記事

目的 次に読むべき記事
DCC 連携の全体像を 1 本で押さえたい D5 Render 連携ガイド|BIM/3Dソフト6本と実務で繋ぐ方法
D5 Render 自体の料金・機能・業種別活用 D5 Render 完全ガイド|建築パースを最速で仕上げる2026年版
Rhino 5 以前・社外協力先とのファイル受け渡し D5 Render へのモデルインポート完全ガイド
Rhino Render マテリアルの D5 側再設定 D5 Render のマテリアル設定と Material Snap 活用術
BIM 系で同じワークフローを組みたい Revit × D5 Render連携ガイド
Blender で D5 と組みたい D5 Render × Blender 完全連携ガイド

まとめ|Rhino → D5 片方向 LiveSync で実務を組み立てる

D5 Render と Rhino の連携は、公式無料プラグイン「D5 LiveSync for Rhino」による Rhino → D5 の片方向リアルタイム同期が核心です。この記事の結論を 3 点にまとめ、次に進むための導線を整理します。

第 1 に、D5 LiveSync for Rhino は Rhino 6.1 以降で無料で動き、Rhino 側のモデル・マテリアル・カメラ視点をリアルタイムで D5 に反映します。同期方向は Rhino → D5 の片方向で、D5 の編集は Rhino には戻りません。ライトは非リアルタイム同期である点も含め、この前提を最初に押さえておけば運用設計でつまずきません。

第 2 に、3 共通問題(軸・スケール・単位/マテリアル引き継ぎ/同期方式)は Rhino 固有の事情で具体化できます。軸・単位は Rhino テンプレートとメートル統一で対応、マテリアルは Rhino 7 PBR と Rhino 6 Basic の差を踏まえてレベル 1〜3 で再構築コストを見積もり、同期方式は LiveSync を基本に最終固定で .3dm や USD に切り替える流れが実務的です。

第 3 に、Rhino × D5 のもう 1 つの強みが Grasshopper 連携です。プラグイン 1.1.3.0016 以降を使い、Bake 後のジオメトリで運用すれば、パラメトリックデザインのスタディを D5 でフォトリアルに即時可視化できる組み合わせになります。建築デザインでもプロダクトデザインでも、設計検討のスピード感を大きく変える構成です。

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CONTENTS

3 LESSONS


基礎編① インストール&7項目の初期設定

Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

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ショートカット・チートシート

マテリアル ライブラリセット

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