Autodesk One統合とM&E Collection|3ds Max+Maya運用の全体像

3ds Max 2027が2026年3月25日に正式リリースされ、単体年契約はUSD 2,010/年・Indie USD 330/年で運用されています(2026年4月時点、出典: Autodesk Buy 3ds Max)。一方、Mayaも同時稼働するスタジオや、CGキャラクター・群衆を扱う映像案件を兼任する事務所では迷いが目立つテーマがあります。それが「Autodesk One統合」という呼称とMedia & Entertainment Collection(メディア&エンターテインメント コレクション、以下M&E Collection)の関係をどう読むか、という論点です。

この記事では、「Autodesk One」呼称の出どころを最初に整理したうえで、M&E Collection 2026の同梱ソフトをDCC・シミュレーション・クラウドの3層に分けて解説します。3ds Max単体+Maya単体の合算USD 4,020/年とCollection USD 4,140/年の差額USD 120を起点に、何本以上のソフトを使うとCollectionが採算優位になるかを建築VIZ目線で詰めていきます。価格はすべて原通貨USDで提示し、円換算は載せません。

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目次

Autodesk One統合とは何か|呼称の整理と実体としてのプラットフォーム戦略

「Autodesk One」という固有プログラム名は2026年4月時点で公式に確認できないのが実態。ユーザー文脈で広がっている「Autodesk One統合」は、Named User化・Autodesk Flow・新購入エクスペリエンスという3つの動きを束ねた通称として理解するのが正確です。

「Autodesk One」呼称の出どころと公式の位置づけ

第三者メディアや公認リセラーの解説資料で「Autodesk One」という呼称が散見されますが、これは固有プログラム名ではありません。Autodeskが進めるプラットフォーム統合戦略の通称として、業界内で広がった呼び方です。

公式名称としてM&E(Media & Entertainment、映像・アニメ・ゲーム制作分野)向けの統合プラットフォームに該当するのは、Autodesk Flowです。Autodesk FlowはM&E業界向けのインダストリークラウドで、制作ライフサイクル全体での協業ワークフローを設計し直す仕組みとして発表されました(出典: Autodesk Flow Production Tracking 公式、2026年4月時点)。

この記事では「Autodesk One」を独立したプログラム名としては扱わず、Named User+Autodesk Flow+新購入エクスペリエンスの3つを束ねた呼称として説明していきます。読者が代理店資料や他記事で「Autodesk One」の表記を見かけたら、上記3つの統合動向を指していると読み替えると整合がとれます。

Named User化・Autodesk Flow・新購入エクスペリエンスの3レイヤー

統合の実体は3レイヤーで進行しています。1つ目はNamed User化(個人ユーザー単位の認証ライセンス方式への一本化)で、2020年5月の単体製品サブスク移行から始まり、2021年5月のマルチユーザー(ネットワーク)ライセンス廃止で大枠が完成しました。

2つ目はAutodesk Flowです。これは2024年のAutodesk Universityで公式に位置づけられたインダストリークラウドで、Flow Production Tracking(旧ShotGrid)・Flow Studio(旧Wonder Studio)・Flow Capture・Flow Retopologyなどのクラウドサービス群を束ねる構造になっています(出典: Autodesk Flow To Connect Production Workflows、2026年4月時点)。3ds Max・Mayaなどのデスクトップ製品(DCC:Digital Content Creation、3DCG・映像制作系のソフト)と、クラウド側の制作管理・AI VFXがプラットフォーム上で接続される設計。

3つ目は新購入エクスペリエンスです。2024年11月以降、Autodeskから直接見積取得して購入する経路と、公認リセラー経由のクオート発行が並行する体系へと再編されました。2025年5月7日には包括的な価格改定が入り、新規+3.3%・更新+8.7%・1年契約の更新割引廃止・3年契約の更新時5%維持という内容で運用されています。2026年5月7日に予告されている続く改定も、この再編の延長線上にあります。建築VIZの法人購買担当が「請求書払い・社内稟議サポートを公認リセラーで、個人席はAutodesk Storeで」と契約経路を分けて運用するケースが現実的な対応です。

M&E Collection 2026の同梱ソフト|DCC・シミュレーション・クラウドの3層構造

M&E Collection 2026は、DCC(3ds Max・Maya・MotionBuilder・Mudbox)・シミュレーション(Arnold・Bifrost・Golaem)・クラウド(Flow Studio・Flow Production Tracking・Character Generator・ReCap Pro・Autodesk Rendering)の3層で構成されています。元来「DCCソフトのバンドル」だった性格から、「DCC+クラウド制作管理+AI VFX」へと意味が変わったのが、Autodesk Flow統合後の最大の特徴です。

項目 内容
価格 USD 4,140/年(2026年4月時点、複数公認リセラー集計値)
契約期間 1年または3年
同梱DCC 3ds Max 2027 / Maya 2026 / MotionBuilder / Mudbox
シミュレーション Arnold(5-pack追加可) / Bifrost for Maya / Golaem
クラウド・AI Flow Studio Pro Tier / Flow Production Tracking / Character Generator / ReCap Pro / Autodesk Rendering
商用利用
ライセンス方式 Named User(個人単位認証)
主な対象 3ds Max+Maya等を併用するスタジオ・映像案件兼任の事務所
永続ライセンス 提供なし(Subscriptionのみ)
Flex対応 製品ごと個別トークン消費(Collection丸ごとはFlex不可)

出典は Autodesk M&E Collection 公式Products Included in M&E Collection で、いずれも2026年4月時点のものです。

DCCソフト群(3ds Max・Maya・MotionBuilder・Mudbox)

DCCソフト4本は、モデリング・アニメーション・モーキャプ・スカルプトの守備範囲を分担しています。3ds Max 2027は建築VIZの中核で、モデリング・テクスチャ・ライティング・レンダリングまで通したパイプラインを担当。Maya 2026はキャラクターアニメーション・リギング・VFXに強く、3ds Maxとはデータ互換性のあるAutodesk製DCCとして併用される構図です。

MotionBuilderはモーションキャプチャ専用ソフトで、リアルタイムでモーションデータを処理しキャラクターアニメーションに流し込めます。Mudboxはデジタルスカルプト(粘土細工のように高ポリゴン3Dモデルを彫刻する手法)専用のツールで、Maya・3ds Maxと組み合わせて建築フィギュア・キャラクター造形に使う場面があります。

建築VIZ実務での実用度を順に並べると、3ds Max(中核)→Maya(キャラクター登場時)→Mudbox(造形こだわり時)→MotionBuilder(実写連動の動画案件時)の順になるでしょう。実務では、Mudbox・MotionBuilderを定常的に立ち上げる現場は限定的です。逆にいえば、Maya・MotionBuilder・Mudboxが「使うかもしれない」程度の頻度で、CollectionのUSD 4,140/年に踏み込めない判断は十分に合理的になります。

シミュレーション群(Arnold・Bifrost for Maya・Golaem)

レンダリング・流体・群衆のシミュレーションを担う3本がCollectionに同梱されます。Arnoldはオートデスクが提供する物理ベースレンダラーで、3ds Max版(MAXtoA経由でArnold 7.5.0.0、2026年4月時点)とMaya版が両方利用できます。実務では、V-RayやCoronaを主軸に使っているフリーランスにとって、Arnoldは2本目のレンダラー選択肢として位置づけられる存在です。

Bifrost for Mayaは流体・煙・FLIP液体ソルバ・Volume Booleansを扱う統合シミュレーション環境です。M&E Collection契約では、Bifrostシミュレーションを最大15台のマシンで処理できる権利が付与されます。レンダーファーム(複数PCで並列計算する環境)でのバッチ処理を前提にした設計です(出典: Products Included in M&E Collection、2026年4月時点)。建築VIZでBifrostを直接使う場面は少ないものの、商業施設のプロモ動画で噴水・水盤・煙のエフェクトを入れるときに出番があります。

Golaemは群衆シミュレーションプラグインで、駅・スタジアム・商業施設・イベント空間のパースで人物の群衆を配置する用途に使えます。Autodeskによる買収後、M&E Collectionの同梱物として位置づけ直された経緯がありました。Anima(人物アニメーションプラグイン)でカバーしきれない大規模群衆案件で、Golaemへの移行を検討する局面が出てきます。

クラウド・AI層(Flow Studio・Flow Production Tracking・Character Generator・ReCap Pro・Autodesk Rendering)

ここがAutodesk Flow統合後のM&E Collectionで最も意味が変わったレイヤー。Flow Studio Pro Tier(旧Wonder Studio)は、ライブアクション映像(実写素材)からCGキャラクターやCGシーンへAIで自動変換できるブラウザベースのプラットフォームです。Maya・3ds Maxで作ったCGキャラクターをFlow Studioにエクスポートし、AIに自動でアニメーション・ライティング・カメラトラッキング・コンポジットを処理させる設計になっています(出典: Autodesk Flow Production Tracking 公式 / Flow To Connect Production Workflows、2026年4月時点)。新たに追加されたWonder 3D機能では、テキストや画像のプロンプトから編集可能な3Dキャラクター・オブジェクトを生成でき、クラウド側のレンダリングまで自動化されます。

Flow Production Tracking(旧ShotGrid)は、複数アーティストの資産・タスク・レビューを一元管理する制作管理ツール。3ds Max・Maya側のシーンファイルとアセット・ショットの紐づけ、レビューコメントの履歴管理、リソース配分の可視化を担当します。10名規模を超えるVIZスタジオや、複数の建築案件を同時並行する大手事務所で資産管理メリットが出てきます。

残りのCharacter Generator(リグ済みキャラクターの自動生成サービス)・ReCap Pro(点群・現実取り込み)・Autodesk Rendering(クラウドレンダリング)は、建築VIZで部分的に使う層。ReCap Proは既存建物のレーザースキャン・写真測量データを3ds Maxへ取り込むワークフローで実用的で、改築・リノベ案件の現況モデル化で出番があります。

3ds Max単体とM&E Collectionの採算分岐|USD 4,020合算とUSD 4,140を比較する

ここがCluster記事として最も深掘りすべき採算判断ポイント。3ds Max単体USD 2,010/年+Maya単体USD 2,010/年=USD 4,020/年に対し、M&E Collection USD 4,140/年は差額USD 120です。Maya・MotionBuilder・Arnold・Mudbox・Flow Studio Pro Tierのいずれか1本でも追加で使うなら、Collection優位の範囲に入ります。

単体合算USD 4,020との差額USD 120の意味

差額の小ささが、Collection判断を独特なものにしています。3ds Max単体とMaya単体を別々に契約すると、合計USD 4,020/年で2本のDCCをカバーできます。Collectionは差額USD 120で、追加でMotionBuilder・Mudbox・Bifrost・Golaem・Flow Studio Pro Tier・Flow Production Tracking・Character Generator・ReCap Pro・Autodesk Renderingをすべて使える設計です(2026年4月時点)。

裏を返せば、3ds Max・Maya以外を1本も使わないなら、Collectionに踏み込む実益はUSD 120分しかありません。「Mayaも年間通して稼働するか」が判断の最初のチェックポイントで、Mayaが立ち上がらないならCollectionではなく3ds Max単体USD 2,010/年で完結します。

採算分岐の決め手|編集部の見立てでは

採算分岐を建築VIZ目線で式に落とすと、次のかたちになります。「3ds Max・Maya以外で年間通して立ち上げるソフトが1本でもあるか?」が第一の問いです。1本以上ならCollection優位、ゼロなら単体合算(または3ds Max単体)です。

公式の同梱物リストと複数の公認リセラー価格ページを突き合わせて編集部が見るかぎり、3ds Max専業の建築VIZフリーランス(住宅パース中心、年間20〜40件)はMayaの稼働がなく、Collectionは不要で3ds Max単体USD 2,010/年で完結します。一方で3ds Max+Mayaの両方を常時稼働する10名規模のVIZスタジオ(住宅・商業・映像案件兼任)は、MotionBuilder・Flow Studio Pro Tier・Flow Production Trackingのいずれかが必ず立ち上がるため、Collection優位の側に振れます。

中間層こそ判断に悩むところ。3ds Max主軸+年に数件Mayaを使う5名規模の事務所では、Mayaの利用日数で見極めます。年間50日以上Mayaを稼働するなら2本同時契約(合算USD 4,020)かCollection(USD 4,140)の差はUSD 120だけなので、付帯ソフトの活用余地で決めると無理がありません。年間20日以下なら、MayaはFlex(後述)で済ませ、3ds Max単体USD 2,010/年に留めるのが合理的です。

建築VIZで「Maya+α」を使うシーンの具体像

3ds MaxにMayaを足す建築VIZシーンは、ジャンル別にとらえることができます。住宅・小規模商業のパース静止画案件はMayaの出番がほぼありません。3ds Max+V-RayまたはCoronaの王道スタックで完結します。

中規模商業・大規模オフィスのウォークスルー動画案件で、人物・群衆・キャラクターを動かすとき、MayaのリギングとMotionBuilderのモーキャプ連動が効いてきます。たとえばショッピングモールのプロモ動画でCGキャラクターが歩き回る演出、駅前広場のイメージ動画で群衆を配置する演出、商業施設のオープニング映像でCGマスコットを登場させる演出が該当します。これらの案件を月1件以上扱うスタジオは、Collectionの採算優位がはっきりと出る印象でしょうか。

VR・メタバース連動案件、CG映画・ゲーム業界からの建築タイアップ案件も、Maya併用の頻度が上がるシーン。Flow Studio Pro Tierで実写素材からCGキャラクターを抽出する手法、Wonder 3Dでテキストから家具・小物の3Dモデルを生成する手法は、納期の短い動画案件でAI VFXを活用したいスタジオで使える選択肢になります。

Flow Production Trackingが付帯価値を生むスタジオ規模

Flow Production Tracking(FPT)は、Collectionの中で「使う/使わない」が明確に分かれる要素。1〜3名のフリーランス・小規模事務所では、Excel・Notion・Backlog等の汎用ツールで資産管理が回るためFPTは過剰になります。

10名以上のVIZスタジオ、または複数案件並走で5名以上のアーティストが同時稼働する事務所では、FPTのアセット管理・ショット管理・レビュー履歴・リソース配分の可視化が効いてきます。住宅・商業・映像案件を並行して受注する事務所で、各案件のシーンファイル・テクスチャ・参照データを一元管理し、誰がどのショットをどこまで進めたかをリアルタイムで可視化する用途では、汎用ツールでは追いつかない範囲に入ってきます。

法人購買担当として稟議資料を作るとき、FPTの内蔵価値はCollection判断の追い風になります。「3ds Max+Maya+FPTを別々に契約すると合計いくらになるか」を算出し、Collection USD 4,140/年と比較すると、スタジオ規模が大きいほどCollection優位の差額が広がる構造が見えてきます。

Flexトークン制でのM&E製品|Collection丸ごとは借りられない注意点

利用日数が少ない読者が陥りがちなのが、年間20〜30日しか使わないMayaに年契約USD 2,010/年を払ってしまうケースです。Flex(オートデスクのトークン制従量プラン)を使えば製品ごとに利用日数分だけ消費するかたちに切り替えられます。ただしCollection全体をFlexで丸ごと借りる仕組みは存在しないため、複数製品併用のスタジオは設計を変える必要があります。

Flexトークンの基本構造

Flexはトークンを前払いで購入し、製品を使った日に必要数を消費する仕組みです。グローバルSRP(標準小売価格)でUSD 3/トークン、3ds Maxは1日あたり10トークン(USD 30/日相当)を消費します(2026年4月時点、出典: Autodesk Flex 公式 / Autodesk Flex Rate Sheet)。トークンの有効期限は購入から1年間です。

Flexのトークン消費レートはAutodeskが随時更新する可能性があり、第三者記事で「3ds Max・Mayaともに6トークン/日」「USD 18/日」と書かれている事例も見られます。購入直前にAutodesk Flex Rate Sheet(公式PDF)で当日のレートを確認するのが安全運用です。

「日次消費」のカウントは24時間単位ではなく「製品を起動した日」がベース。1日のうちに3ds Maxを朝・昼・夜と複数回起動しても、消費するのは10トークン1回分です。複数製品を使う日は製品ごとにトークンが消費されるため、同日に3ds Max・Maya・MotionBuilderの3製品を起動した場合は、3製品分のトークン(10+10+10=計30トークン、USD 90/日相当)が消費されます。

Collection丸ごとを1日単位で借りられない設計

運用上の最大の落とし穴がここに潜んでいます。M&E CollectionをFlexトークンで丸ごと1日単位で借りることはできません。Flexは製品単位のトークン消費なので、Collectionに同梱される複数製品を使う日は、製品ごとに別々のトークンが消費されます。

たとえば中規模スタジオで、繁忙期だけ3ds Max・Maya・MotionBuilder・Arnoldの4製品を1日10名のアーティストで稼働させる運用を考えてみるとどうでしょうか。1日あたり4製品×10名×10トークン=400トークン(USD 1,200/日相当)が消費される計算になり、繁忙期2か月で約24,000トークン(USD 72,000)に到達します。USD 72,000のFlex消費に対し、Collection 10席を年契約で押さえれば年間USD 41,400で十分にカバーできる構造が見えてきます。

逆にFlexが効くのは、3ds Max専業フリーランスがMayaを年に5〜10日だけ使うシーン、Revitメインの設計事務所が3ds Maxを内観プレゼン直前の仕上げだけに使うシーンです。製品ごとの利用日数が少ない場合に限り、Flexで個別トークン購入が合理的になります。

Flexと年契約・Collectionの選び分け早見

選択肢の整理を表にしました。利用形態と製品数で逆引きできるかたちにしています。

利用形態 第一候補 代替案
3ds Max専業・通年稼働 3ds Max単体年契約(USD 2,010/年) Flex(年65日未満時)
3ds Max専業・年間65日未満 Flex(USD 30/日相当) 単体年契約(利用増時)
3ds Max+Maya通年稼働 M&E Collection(USD 4,140/年) 単体合算(USD 4,020/年)+Flex補助
3ds Max通年+Maya年20日以下 3ds Max単体年契約+Maya Flex M&E Collection(付帯ソフト活用余地次第)
中規模スタジオ・複数製品同時稼働 M&E Collection(年契約か3年契約) 単体合算は管理コスト高で非推奨

3年契約の固定単価メリットを使うとき、Collectionも3年契約が選べます。2025年5月の更新割引廃止以降、3年契約の更新時5%割引が維持されている点は、Collectionでも単体年契約と同じく効きます。

旧契約からの移行と運用上の落とし穴|永続ライセンス・旧ShotGrid・旧Wonder Studioの取り扱い

旧体制(永続ライセンス+Maintenance Plan、旧M&E Collection、旧ShotGrid単体契約、旧Wonder Studio個別契約)から現在のSubscription+Autodesk Flow統合体系への移行で、二重契約や旧ライセンスの誤運用が起きやすい局面があります。建築VIZスタジオの法人購買担当が押さえておきたいポイントは次の通り。

永続ライセンス保有者の継続利用と新規購入不可

3ds Max・Mayaの永続ライセンスは2016年以降、新規販売が停止されています。既存保有分は継続利用が可能ですが、Maintenance Planの新規受付も終了しており、現在の選択肢はNamed Userサブスクリプション(単体またはCollection)かFlexの3択です。

旧Maintenance Plan終了時には、Named Userサブスクへの移行プログラムが用意された時期がありました。永続ライセンスを残したまま新バージョンの3ds Max 2027や2026を使いたいなら、サブスクリプションへの新規契約が必要です。永続ライセンス側は旧バージョン(過去のサポート対象範囲内)の利用に限定されます。

旧ShotGrid・旧Wonder Studio契約者の取り扱い

旧ShotGrid(現Flow Production Tracking)と旧Wonder Studio(現Flow Studio)は、それぞれ単体契約のままでも継続できますが、M&E Collection契約者にとっては二重契約状態を点検する余地があります。Collection契約にはFlow Production TrackingとFlow Studio Pro Tierが含まれているため、別途旧ShotGridや旧Wonder Studioを単体契約していると、付帯機能と重複してしまうケースが出てきます。

具体的には、Collectionへ切り替える前にShotGridを単体契約していたVIZスタジオが、Collection契約後も旧ShotGrid契約を解約せずに継続している状態が典型例。法人購買担当としては、Collection契約の発効タイミングで旧ShotGrid・旧Wonder Studioの単体契約を解約する運用に揃えるのが、コスト適正化の打ち手になります(出典: Autodesk Flow Production Tracking 公式、2026年4月時点)。

2025〜2026年の改定が複数製品契約に与える影響

2025年5月7日の包括的な改定では、新規・更新ともに値上げが入り、1年契約の更新割引(旧10%)が廃止されました。3年契約の更新時5%割引のみ維持されているため、複数席をCollectionで運用するスタジオほど3年契約の固定単価メリットが大きくなる構造です。

2026年5月7日にも続く改定が予告されており、Collection USD 4,140/年が改定対象に入る可能性があります。複数席を運用するスタジオは、改定前のタイミングで3年契約への切り替え見積もりを取得しておくのが、3年スパンの総額管理として現実的です。改定の詳細スケジュールと選び方の決め手は3ds Max 価格2026・プラン比較で時系列でまとめています。

M&E Collection導入で建築VIZ事務所の業務はこう変わる|応用シナリオと未来像

M&E Collectionに踏み込んだスタジオでは、契約から半年〜1年で業務の見え方が段階的に変わっていきます。最初に変わるのはFlow Production Trackingで、これまでExcel・Slack・メールで分散していた進捗管理が1画面で見渡せるかたちになります。住宅・商業・映像案件を並走する事務所で、誰がどのショットをどこまで進めたかが可視化され、レビュー往復の遅延が把握しやすくなる流れです。

映像案件兼任のスタジオでは、Wonder 3DとFlow Studio Pro Tierの活用範囲が広がります。これまで小物・家具のCGモデリングを外注に出していた工程が、テキストや画像のプロンプトからクラウド側で自動生成できるかたちになり、外注コストと納期の両面で見直し余地が出てきます。実写素材からCGキャラクターへ自動変換する処理も、これまで数日のコンポジット作業だったものがAI処理で短縮される設計です。

長期的には、3ds Max+Maya+FPT+Flow Studioの一体運用が、建築VIZスタジオの「ハイエンド映像対応」の標準スタックの一つに育っていく流れもありそうです。施主向けプレゼンが静止画パースから動画ウォークスルー+CGキャラクター登場演出へとアップデートされるとき、Collection契約のスタジオは追加投資なしで対応できる位置取りになるでしょう。逆に単体契約のままだと、案件のたびにMaya・MotionBuilder・Flow Studioの個別契約コストを追加する運用になり、長期的な固定費負担が増えていく構造です。

まとめ|M&E Collection導入判断の3ステップ

3ds Max+αの運用でM&E Collectionに踏み込むかどうかは、3ステップで判断するのが最短です。

ステップ1で、3ds Max・Maya以外で年間通して立ち上げるソフトが1本でもあるかを確かめます。MotionBuilder・Arnoldスタンドアロン・Mudbox・Flow Studio Pro Tier・Flow Production Trackingのいずれか1本でも稼働するなら、Collectionの採算優位が出てきます。ゼロなら3ds Max単体USD 2,010/年で完結する判断に落ち着きます。

ステップ2で、Maya単体の稼働日数を見積もります。年間50日以上稼働するなら、単体合算USD 4,020/年とCollection USD 4,140/年の差額USD 120で付帯ソフトを試せるCollectionが優位。年間20日以下ならMayaはFlex購入で済ませ、3ds Max単体年契約に留めるのが合理的です。

ステップ3で、スタジオ規模とFlow Production Trackingの内蔵価値を確かめます。10名以上の常時稼働、または複数案件並走で5名以上のアーティスト同時稼働があるなら、FPTの一元管理価値がCollectionの追い風になります。3年契約での固定単価メリットも、複数席を抱えるスタジオほど効いてくる構造です。

「Autodesk One」呼称はAutodesk Flowを軸としたプラットフォーム統合の通称で、固有プログラム名としては未確認です。M&E Collectionは「DCC+クラウド制作管理+AI VFX」のバンドルへと意味が変質しており、建築VIZ専業フリーランスには過剰な一方、映像案件兼任の中規模スタジオには付帯価値が大きい構造になっています。2026年5月の改定が予告されているため、複数席運用のスタジオは3年契約への切り替え見積もりを早めに取得しておくと安心でしょうか。

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CONTENTS

3 LESSONS


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基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

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