3ds Max × Revit|BIMモデルから建築パースへのインポートガイド
Revit(AutodeskのBIMソフト)で設計したモデルを3ds Maxに持ち込んで建築パースを作るフローは、ここ数年で大きく整理されました。3ds Max 2027は2026年3月25日にリリースされ、Smart Bevel・Noise Plus・Field Helper・Autodesk Assistantなど新機能が加わっています。一方で、Revit Interoperability(Revit Importer)の基本構造はそのまま引き継がれているのがポイント。とはいえ、BIMモデル特有の重さ・単位ずれ・マテリアル崩れがあります。これらを踏まずに建築パースまで到達するには、RVT直読みかFBX経由かの最初の判断と、Linkモード/Importモードの使い分け、Combine Entitiesの選択を順序立てて押さえることが大切です。
この記事では、3ds Max 2027(Windows 11のみ対応)とRevitを組み合わせた建築VIZ(建築ビジュアライゼーション)フローを、2026年4月時点の公式仕様ベースで実装レベルまで見ていきます。
3ds Max 2027の標準価格はUSD 2,010/年、Indie版(一定の年収・案件規模条件下)はUSD 330/年です。本体ライセンス内にRevit Importerが標準同梱されている点は、2026年4月時点でも変わりません。
RVT直読みとFBX経由の違い|先に決める分岐点
RVT直読み(Revit Importer)は、3D Viewフィルタ・Phaseフィルタ・Linkモードでの再読込に対応する設計で、建築パース実務では原則こちらが第一選択になります。FBX経由はRevitがない受け手でも開ける点だけが優位で、それ以外はマテリアル情報・更新性・絞り込みのすべてでRVT直読みが上回ります。
| 項目 | RVT直読み(Revit Importer) | FBX経由 |
|---|---|---|
| 対応形式 | .rvt / .rfa |
.fbx |
| 3D Viewフィルタ | 対応(カメラビュー単位で読み込み) | 書き出し時の固定ビューに依存 |
| Phaseフィルタ | 対応(既存/新築など) | 書き出し前提に依存 |
| マテリアル変換 | Appearance Asset → Autodesk系マテリアル経由でPhysical Materialへ | 簡略化されやすい |
| 再読込(Linkモード) | 対応(File Link ManagerでReload) | 不可(都度再インポート) |
| Revit本体の有無 | 不要(3ds Max単体で読める) | 不要 |
| Family・Categoryメタデータ | 保持(Combine Entities設定で参照可能) | 失われる場合が多い |
RVT直読みの内部構造
3ds MaxにはRevit Interoperability(Revit Importer)が標準搭載されており、Revit本体がインストールされていないPCでも .rvt と .rfa を直接読み込めます。これは外注先のフリーランスがRevitライセンスを持たずに建築パースだけを受注できる根拠でもあります。
File → Importで .rvt を選択すると、3ds MaxはRevitファイル内のカメラビュー一覧を読み込みます。どの3D Viewを取り込むかをユーザーに選ばせる設計です(File Link Settings: Revit and FBX Files / Autodesk Knowledge Network)。
3D Viewを指定するメリットは、Revit側で「3ds Max出力用」のビューをあらかじめ作っておけるところに出ます。たとえば集合住宅1棟分のRevitモデルから、外観パースに必要なファサードと屋根だけを表示し、配管・電気・天井裏を非表示にした3D Viewを「VIZ_External」として保存しておくとどうでしょうか。3ds Max側で読み込んだ瞬間からシーンが軽い状態で始められます。
FBX経由が選ばれる残された場面
FBX経由が現実的に選ばれるのは、受け手の3ds Maxバージョンが古くRevit Interoperabilityのバージョン互換が合わない場面、または建築VIZ以外のチーム(ゲーム・映像)が3ds Max以外のDCC(Maya/Blender/Cinema 4D)で受け取る場面に限られます。建築パース実務でレンダラーがV-Ray / Corona / Arnoldのいずれかなら、原則RVT直読みで開始したほうが時間効率もマテリアル品質も上回るでしょう。
バージョン互換の前提
Revit Importerは、同年バージョン同士(Revit 2026と3ds Max 2026、Revit 2027と3ds Max 2027)の組み合わせが安全です。年をまたぐ組み合わせ(Revit 2027のファイルを3ds Max 2025で読む等)は、マテリアル変換やジオメトリ精度で予期しない挙動が発生することがあります。可能ならRevit側のリンクを上位互換のバージョンで揃える運用が現実解になるでしょう。
3ds Max側の事前準備|単位・空シーンの整え方
RVTを読み込む前に、3ds Max側の単位設定をRevitのメートル法に揃えるのが最初に行う作業。これを怠ると、インチ単位で読み込まれて1/304.8倍などの異常スケールになるトラブルが発生します。
System UnitとDisplay Unitの違い
3ds Maxの単位はSystem Unit(システム単位:シーン内部の絶対スケール)とDisplay Unit(表示単位:ビューポート上の表示単位)の2層構造になっています。System Unitはシーンの実寸を決める根幹で、シーン作成後やインポート前に変更すると既存ジオメトリの位置・サイズに影響が及ぶでしょう(Units Setup Dialog / 3ds Max Help)。
Customize → Units SetupでDisplay UnitをMetric / Millimetersに切り替えます。同じダイアログ内のSystem Unit Setupボタンから、System Unit Scaleを「1 Unit = 1.0 Millimeters」に設定するのが日本の建築実務では標準の組み合わせ。3ds MaxのデフォルトSystem Unitは1インチで、これをMillimetersに変えずにRVTを読み込むと、原寸のはずの壁が3ds Max上で異常スケールに化けます。
単位を間違えたときに起きる典型症状
System Unitを変更し忘れてRVTを読み込むと、「リビングの寸法が30センチに見える」「ファサードが地面の遥か上空に浮く」「カメラの画角が極端に狭い/広い」といった症状が同時多発します。これらはRevit側の数値が正しくても、3ds Max側の単位解釈が異なることで発生する現象。原因にたどり着けないと数時間溶ける典型例です。
インポート前にCustomize → Units Setupを必ず確認する習慣を組み込むのが、トラブルを発生源で潰す最短ルートになるでしょう。
空シーンの初期化
新規プロジェクトとしてRVTを読み込む場合、File → New → New Allで空シーンに切り替えてから、Customize → Units SetupをMillimetersに設定する順序が安全。既存シーンにRVTを追加する場合は、既存ジオメトリの単位とRevitファイルの単位が一致しているかをObject Propertiesで確認してから読み込みます。
住宅案件で「先に家具モデルを別ファイルからMergeしてからRVTを読む」運用にするとどうでしょうか。家具側の単位が異なるときに気づけず、両者を同じシーンに置いた瞬間にスケール矛盾が顕在化することがあります。
RVTインポートの主要オプション|Combine Entitiesの選び分け
File → Importで .rvt を選択すると、File Link Settingsダイアログが表示されます。ここで指定する3D View・Phase・Combine Entitiesの3項目が、そのあとの3ds Maxシーンの扱いやすさを決めます。
3D Viewの指定
Revitファイルが複数の3D Viewを内包している場合、File Link Settingsダイアログのドロップダウンから読み込むViewを1つ選ぶ仕様。ファイル内にViewが1つしかない場合は自動的にそれが選ばれます。
建築パース用にはRevit側で「3ds Max用」と明示したViewを作成しておくとどうでしょうか。不要カテゴリの非表示・断面ボックスでのトリミングをRevit側で完結でき、3ds Max側のシーンが軽くなります。
Phaseフィルタの指定
Phaseは「既存」「新築」「解体」のようなRevitのプロジェクト段階情報で、改修案件ではPhaseごとに異なるオブジェクトが配置されています。3ds Max側で「新築のみ」を取り込みたい場合、File Link SettingsのPhase項目で目的のフェーズを指定すれば、既存部分・解体部分は読み込まれません。
改修案件でBefore / Afterのパースを2カット並べる場合は、Before用とAfter用で別々のPhaseを指定して2回読み込むのが現実的なフローです。
Combine Entitiesの4オプション
Combine Entitiesは、Revitのエンティティをどの粒度で3ds Maxのオブジェクトとして統合するかを決める設定。建築パース実務での扱いやすさに最も大きく影響します(File Link Settings: Revit and FBX Files / Autodesk Knowledge Network)。
| Combine Entitiesの設定 | 統合の粒度 | 3ds Max上のオブジェクト数 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| Do Not Combine Entities(既定) | エンティティごとに1オブジェクト | 最多(数千〜数万) | エンティティ単位で個別編集したい小規模シーン |
| Combine By Revit Category | カテゴリ単位(壁/床/天井/家具など)で1オブジェクト | 中(数十〜数百) | カテゴリ単位でマテリアル一括変更したい場合 |
| Combine By Revit Family Type | ファミリタイプ単位で1オブジェクト | 中〜多(種類数による) | ファミリ単位で運用したい家具・建具中心のシーン |
| Combine By Revit Material | マテリアル単位で1オブジェクト | 少(マテリアル数のみ) | 建築VIZのフォトリアルパース全般 |
| As One Object | 全エンティティを1オブジェクトに統合 | 1個 | 背景建物としてラフに扱う場合のみ |
建築パースの最終アウトプット制作を前提とするなら、Combine By Revit Materialが実務で運用しやすい選択になります。マテリアル単位で3ds Maxオブジェクトが束ねられるため、ガラス・金属・木材といった見せ場のマテリアルだけを差し替える作業が、オブジェクト1つを選択して右クリックで完結します。
たとえば住宅外観パースで外壁タイルだけをV-Ray Materialに置き換えたいケースで考えてみてください。Do Not Combine Entitiesだと、数百のタイル小片を全選択して一括置換する手間が生じます。一方、Combine By Revit Materialなら「タイル」という1オブジェクトをマテリアル差し替えするだけで終わるはず。
ただし、Combine By Materialにはトレードオフがあります。たとえば住宅10戸の集合住宅で「302号室のキッチン天板だけ別マテリアルに差し替える」といったエンティティ単位の編集をしたい場合、Combine設定では1オブジェクト内のサブメッシュとしてしか扱えず、面倒さが逆転します。設計事務所が部屋ごとに色を振りたい場面ではDo Not Combine EntitiesもしくはCombine By Family Typeを選ぶ判断が機能します。
ReloadではCombine Entitiesを変えられない仕様
File Link ManagerのReloadは、ジオメトリ・マテリアル割り当て・追加・削除・移動の更新をRevit側から取り込めます。ただし、Combine Entities設定そのものはReload時に変更できない仕様です(File Link Manager / 3ds Max Help)。
設計が動く案件で、途中からCombineの粒度を変えたくなった場合は、リンクを一度解除して新規にリンクし直す必要があります。最初のCombine選択は実質的にやり直しコストが高い決断。案件の性格を見極めてから設定する重要度が高い項目になります。
LinkモードとImportモードの使い分け
設計が動くフェーズではLinkモード、設計凍結後はImportモードという切り替えが基本軸になります。Revitから3ds Maxへの取り込みは、Link Revit(参照)とImport / Merge(統合)の2モードがあり、案件の進行に対応する切り替え判断が大切です。
Linkモード|参照保持+Reloadで設計変更に追従する
File → Import → Link Revitを選ぶと、3ds MaxはRevitファイルを参照として保持したまま読み込みます。Revit側で設計変更が入ったとき、Fileメニュー → References → Manage Links → FilesタブでRVTを選択しReloadを押すと、変更が3ds Maxシーンに反映されます。
Reloadで取り込まれる更新は、オブジェクトの追加/削除/移動/マテリアル割り当ての変更を含みます。3ds Max側で施したマテリアル設定(V-Ray MaterialやCorona Physical Materialへの置き換え、UV調整、ライト配置)はReload後も保持されるため、設計変更のたびにレンダリング設定を一からやり直す必要がない設計です。コンペ前段階で施主とのファサード合意が動いている案件では、Linkモードでないとマテリアル作業が間に合わないでしょう。
Reload時にはShow Reload Optionsをオンにして、ジオメトリのみ更新するか、マテリアル割り当ても更新するかを選択できます。3ds Max側でV-Ray Materialに置き換え済みのマテリアルを残したい場合は「ジオメトリのみ」、Revit側のマテリアル変更を取り込みたい場合は「ジオメトリ+マテリアル」を選ぶ運用になります。
Importモード|統合してRevitと切り離す
File → Import → 通常のImportで .rvt を読み込むと、Revitファイルは3ds Maxシーンに完全統合されます。以後、Revitとの参照関係は切れる仕組みです。設計が固まったあとのレンダリング専念フェーズでは、3ds Max側でマテリアル・ライト・カメラを自由に編集したいので、参照解除済みのImportモードが扱いやすくなるでしょう。
Linkモードのまま長期運用すると、参照ファイルパスの管理(ネットワーク移動、案件アーカイブ時のパス切れ)が煩雑になります。設計凍結時点でFile Link ManagerのBind機能を使ってリンクを切り、内部統合に変換する流れがおすすめ。Bind後は通常の3ds Maxオブジェクトとして扱えるため、編集の自由度が一段上がります。
切り替え基準
LinkモードとImportモードの使い分けは、プロジェクトのフェーズで判断するのが基本になります。
- 設計途中(コンペ前、施主合意中、ファサード変更中):Linkモード
- 設計凍結後(レンダリング専念、マテリアル詰め、カメラ確定):Importモード(またはBindでLinkモードから切り替え)
- 参考用にRevit図面を取り込むだけ:Importモード(Combine As One Object)
途中切り替えは、File Link ManagerのBindコマンドでLinkモードからImportモードに変換できます。ただし、ImportモードからLinkモードに戻すことはできません。これも設計凍結タイミングを慎重に決める根拠になるでしょう。
Link/Importモード選択についての編集部の見解
Link/Importモードの選択は、Revit→3ds Maxフローの中でも判断ミスの影響が大きい項目だと、編集部では見ています。公式ドキュメントを読み解くと、Linkモードで取り込んだあとのBindは一方通行で、Importモードに切り替えたあとはRevitとの参照関係が完全に切れる仕様。海外レビューやChaos Forumsの共通見解でも、設計合意がまだ動く案件で安易にImportを選ぶと、設計変更のたびに3ds Max側のマテリアル設定をやり直す事故が報告されています。
実務目線で考えると、施主との合意形成がまだ続く案件では原則Linkモード、施主合意が完了して図面凍結が宣言された段階でBindに切り替える運用が安全。コンペ案件のように2案・3案を並行検討する場面でも、Linkモードのまま複数のRVTを切り替えながら出力するほうが、編集設定を使い回せる利点が出てきます。
ただし、Linkモードを継続するほどファイルパス管理の煩雑さは増します。社内ストレージのフォルダ構造を案件アーカイブ時に変更すると、参照切れの警告が一斉に出るのは公式ヘルプにも記載されている挙動です。長期運用する案件では、設計凍結タイミングで意識的にBindを実行する運用ルールを社内で言語化しておくと、事故率が下がるでしょう。
BIMマテリアルの変換|Appearance AssetからPhysical Materialへ
Revit側のマテリアルはAppearance Assetと呼ばれる構造で、3ds Maxに読み込まれた時点ではAutodesk Material系(汎用 / Generic、コンクリート、金属、ガラスなど17種類)として展開されます。建築パースの最終アウトプット制作で使うには、これをPhysical Material(またはV-Ray Material/CoronaPhysicalMtl)へ手動で再構築するのが前提のフローです。
自動変換でカバーされる範囲
3ds MaxのScene Converter(Rendering → Scene Converter)を使うと、Autodesk Material系をPhysical Material系へ一括変換できます。Diffuse色、テクスチャ、Bumpマップ、おおまかな反射値は引き継がれます。一方で、IOR(屈折率)、ガラスの透明度、金属の異方性反射など、フォトリアル建築パースで見せ場になる部分は手動再構築が前提です。
RevitのAppearance Assetには、画像テクスチャベース(コンクリート、木材、布地など)と数値プロパティベース(金属、ガラスなど)の2系統があります。後者は3ds Max側で物理的な材質値を作り直す必要があるでしょう。たとえばRevit側で「ガラス・透明度80%」と設定されたAppearance Assetは、3ds MaxのPhysical Materialでは「Transparency = 1.0、IOR = 1.52、Roughness = 0」のように物理単位で再構築するのが基本です。
ガラス・金属・木材の手動再構築ポイント
建築パースで品質に直結するのは、ガラス・金属・木材の3カテゴリ。Physical MaterialにはGlass(ThinもしくはSolid Geometry)、Frosted Glassのプリセットが用意されています。住宅案件のリビングの掃き出し窓にはGlass Solid Geometryプリセット、シャワールームのすりガラスにはFrosted Glassプリセットを当てるところから始めると、ベースとして整います。
V-Rayを使う場合は、Physical Materialをベースに作ったあと、Scene ConverterでV-Ray Material(VRayMtl)へ変換するか、最初からVRayMtlで組み直すのが安全です。Refract Colorを白、IORを1.52、Affect Shadowsをオン、Affect ChannelsをColor+Alphaに設定するのが建築VIZでのガラス標準設定。これは3ds Max × V-Ray 建築パース ライティング設定ガイドで詳しく解説しています。
マテリアル変換のトラブル例
Revitから取り込んだAutodesk MaterialをV-Ray Material Converterで一括変換しようとすると、変換が動作しないケースが報告されています。これはAppearance Asset由来のAutodesk MaterialがV-Ray Converterの対象外として扱われるため。
回避策としては「3ds Max標準のMaterial Converterで先にPhysical Materialへ変換 → そのあとV-Ray Material ConverterでVRayMtlへ二段変換」という順序が確実です(Convert Revit Materials to V-Ray / Chaos Forums)。
メッシュ軽量化|重いBIMモデルを建築パース用に整える
Revitから持ち込んだBIMモデルは、構造ディテール・配管・電気設備・天井裏の構造材まで含むため、建築パースとしては明らかに過剰な情報量を抱えています。3ds Maxのビューポート操作が極端に重くなり、編集作業が止まる場面が出てくるため、読み込み直後の軽量化作業は事実上の必須工程です。
Revit側で減らす vs 3ds Max側で減らす
軽量化は、Revit側でできる作業をRevit側で済ませるのがもっとも時間効率がよい選択。Revitで「3ds Max出力用」3D Viewを作り、配管・電気・天井裏・構造梁など建築パースに不要なカテゴリを非表示にしてから3ds Maxに取り込むと、3ds Max側で削除する手間が発生しません。ファサードパースなら「内装」もカテゴリごと非表示にしておけば、外観だけが軽い状態で読み込まれます。
3ds Max側の軽量化は、Revit側で対応しきれない場合の補完手段として位置づけます。具体的には、Revit側で非表示にできなかったオブジェクトの削除、ProOptimizerモディファイアでの頂点削減、Retopology Toolsでの自動リトポロジが基本です。
ProOptimizerで頂点を削減する
ProOptimizerモディファイアは、メッシュの頂点数を割合指定で削減する非破壊モディファイア。建築パース実務では頻繁に使われます。
3ds Max 2026 / 2027のRetopology Toolsと組み合わせる場合、RetopologyのPre-Processing段階で同等の機能を持ちます。そのため、Pre-Processingを使うならProOptimizerは不要というのが公式の整理になっています(Retopology for 3ds Max (What’s New in 2026) / Autodesk Help)。
頂点削減率の出発点は、シーンに与える影響度で決めます。背景の建物・遠景の街並みは70〜90%削減でも見た目に大差が出ません。手前のディテール(玄関ポーチ、家具、植栽)は10〜30%削減にとどめるか、ProOptimizerをかけずに残す判断が現実的です。集合住宅外観パースで遠景の隣家をProOptimizerで90%削減すると、3ds MaxのビューポートFPSが体感で数倍速くなる場面もあるでしょう。
Retopology ToolsとFlow Retopology
3ds Max 2022で導入されたRetopology Toolsは、自動でクワッドベース(4辺ポリゴン)のクリーンなメッシュに作り変える機能です。3ds Max 2026以降はReFormアルゴリズムの強化とMesh Cleaner Modifierの改善が入りました。
3ds Max 2026ではFlow Retopologyが同梱されており、月50回までクラウドベースのリトポロジ処理を投げられます。クラウドで処理が走っている間も3ds Max側では別作業を進められる設計です(Retopology Tools v1.6.0 Release Notes / Autodesk Help)。
3ds Max 2027にもこのRetopology ToolsとFlow Retopologyは引き継がれました。加えて3ds Max 2027全体で、Smart Bevel・Noise Plus・Field Helper・Autodesk Assistantが新規搭載されています(Autodesk releases 3ds Max 2027 / CG Channel)。
建築VIZ実務では、Smart BevelがBoolean演算後の交差エッジに対してきれいなベベルを生成できるため、Revitから取り込んだ建具・什器の角丸処理で活用できます。Field HelperはVolume Selectモディファイアと組み合わせ、ボリューム形状で頂点・エッジ・面を選択する仕組み。BIMモデルの一部分だけRetopologyやProOptimizerをかけたい場面で精度の高い選択ができるでしょう。
不要カテゴリの整理順序
軽量化作業を効率よく進める順序は、以下のように組むと事故が起きにくくなります。
- Revit側で「3ds Max出力用」3D Viewを作り、不要カテゴリを非表示にしてから出力
- 3ds Max側で読み込み直後、Combine By Revit Categoryで取り込んでいる場合はカテゴリ単位で不要オブジェクトを削除
- 残ったオブジェクトに対して、見えない裏面・地面下・上空のクリッピング外の部分を整理
- 重い背景オブジェクトにProOptimizerを70〜90%でかけ、Retopology Toolsが必要ならFlow Retopologyに投げる
- Revit側で気づかなかった不要部分が見えてきたら、Linkモードならそこは Revit側に戻して再非表示→Reloadで取り込み直す
つまずきやすいポイントと対処
Revitから3ds Maxへの取り込みでよく発生するトラブルは、原因が単位設定・参照パス・マテリアル系のいずれかに集中します。原因別にまとめておくと、現場で詰まったときの調査コストが下がるはず。
スケールが極端にずれる
System UnitがInchesのままでRVTを読み込んだ典型症状。Customize → Units SetupでSystem UnitをMillimetersに切り替えてから、ファイルを一度閉じて読み込み直してください。
既存シーンの単位をあとから変えると、既存ジオメトリがその比率で拡大/縮小されます。必ず新規シーンでUnitsを整えてから読み込むのが基本です。
FBX経由で読み込む場合、Revit側が「Imperial: Feet」設定で書き出すと、3ds Maxのデフォルト単位(Inches)との間で12倍のスケール差が発生します。FBX経由を選ぶ場合は、3ds Max側をFeetに揃えるか、Revit側をMetric: Millimetersに切り替えて書き出す必要があります(Units Setup Dialog / 3ds Max Help)。
ガラス越しの背景が真っ黒になる
Revitから取り込んだガラスマテリアルがAutodesk Genericのまま残っていると、Refractionが機能せず室内が黒くなる症状が出ます。Scene ConverterでPhysical Materialに変換し、Glassプリセット(Solid Geometry)を当て直すと、ガラス越しの透過と背景反射が正しく出るでしょう。V-Rayの場合はVRayMtlでRefract Colorを白、IORを1.52、Affect ShadowsとAffect Channels = Color+Alphaを有効にする設定が標準です。
Linkモード Reloadでマテリアル設定が初期化される
File Link ManagerのReloadで「Reload material assignments」をオンにしてしまうと、Revit側のAppearance Asset情報で3ds Max側のマテリアルが上書きされ、V-Ray Material等の手動再構築が消える事故が起こります。Reload Optionsダイアログで「Update materials」を必ずオフ(または「Geometry only」を選択)にしてからReloadを実行する習慣を組み込んでおきたいところ。
参照ファイルパスが切れる
Linkモードで運用中にRevitファイルをネットワーク上で移動した、または案件アーカイブ時にディレクトリ構造を変えた場合、3ds Maxを開いた瞬間に参照切れの警告が出ます。File Link ManagerのFilesタブでRVTのパスを更新するか、設計凍結タイミングでBindを実行して参照を切ってしまうのが、長期運用での事故を防ぐ運用です。
Family・Categoryメタデータが見えない
Combine EntitiesでAs One Objectを選んでしまうと、RevitのFamilyとCategoryの情報が3ds Max Scene Explorerから失われます。BIM由来のメタデータを使ってマテリアルやRender Elementの振り分けをしたい場合は、Combine By MaterialかCombine By Categoryを選ぶ必要があるでしょう。As One Objectは背景建物として扱う割り切りでのみ使う設定です。
建築パース実務でのRevit→3ds Max→V-Rayフロー全体像
ここまでの工程を通すと、RevitのBIMモデルから3ds Maxでカメラ・ライト・マテリアルを整え、V-Rayでフォトリアルな建築パースを出力するまでの一連のフローが組み上がります。代表的な住宅案件のフローを通して見ると、各工程の意味がつながるはず。
住宅外観パース1カットの作業順序
戸建て住宅の外観パースを1カット仕上げる場合、Revitから3ds Maxに持ち込んでから完成までの流れは以下の順序が標準です。
- Revit側で「VIZ_External」3D Viewを作り、外観に必要なファサード・屋根・植栽・地形だけ表示する
- 3ds Maxを起動、新規シーンでCustomize → Units SetupをMetric / Millimetersに設定
- File → Import → Link RevitでRVTを読み込み、3D View = VIZ_External、Combine Entities = By Material、Phase = 新築 を指定
- 読み込み後、Scene ConverterでAutodesk Material系をPhysical Material系に一括変換
- ガラス・金属・外壁タイル・木材の見せ場マテリアルをVRayMtlに手動で再構築
- 重い背景オブジェクト(隣家、街並み)にProOptimizerを70〜90%でかける
- VRaySun + VRaySkyで太陽光を設定(時間帯はパース提案の意図に合わせて調整)
- VRayPhysicalCameraで構図とアングルを決め、ISO 100/F11/Shutter 200前後で露出を合わせる
- Render SettingsでBrute Force × Light Cacheの標準テンプレを当て、Render ElementsにマルチパスEXRを設定
- 試しレンダで全体感を確認、LinkモードのままRevit側で設計が動いたらReloadで更新を取り込む
設計が完全に固まり、レンダリング作業に専念するフェーズに入ったら、File Link ManagerのBindを実行してLinkモードを解除します。3ds Maxシーンに統合する判断を入れるのもおすすめ。これ以降はRevitとの参照関係は切れますが、3ds Max側の編集自由度が一段上がるため、最終アウトプット制作に集中できます。
室内パース・改修案件・コンペでの応用
住宅内観パースなら3D Viewを「VIZ_Interior」とし、Phaseは「新築」、Combine By Family Typeで家具・建具を扱いやすくする設定が向きます。改修案件でBefore / Afterを並べる場合は、Phase = 既存 と Phase = 新築 で別シーンを作るとよいでしょう。共通のカメラ・ライティング設定をシーン間でコピーすると効率が上がります。
コンペ提案で複数案を並行検討する案件では、LinkモードのままReloadで設計案を切り替えて出力する運用が、もっとも時間効率がよくなります。
V-Rayでのライティング・カメラ設計の実数値、Render ElementsとマルチパスEXRの構成は3ds Max × V-Ray 建築パース ライティング設定ガイドで詳しく解説しています。
Revit→3ds Max連携が変える設計実務の未来シナリオ
Revit→3ds Max→V-Rayの連携フローがチームに浸透すると、設計実務の進め方そのものが変わってくるでしょう。これまでパース制作は「設計凍結後の最終工程」として位置づけられがちでした。LinkモードとReloadを起点にした追従フローが定着すれば、設計合意のプロセスにパースが組み込まれる流れに移っていくはずです。
たとえばコンペ案件で、ファサード3案を並行検討する場面を考えてみてください。従来は3案分のパースを別々に作る必要があり、設計変更のたびにマテリアル設定を一からやり直す手間が発生していました。Linkモードのまま3案のRVTを切り替え、共通のV-Rayマテリアル・ライト設定を使い回せば、案件全体の作業時間が大幅に圧縮されます。施主との合意形成のスピードも、提案案数も、両方が増やせる方向に動くでしょう。
施主・建築士・パース担当の関係も変わってきます。パース担当が設計合意プロセスの早い段階から入れる体制になると、施主の「夕方の光で見たい」「タイルの色を3パターン比較したい」といった要望に、設計合意中のRVTから直接出力で応える運用が現実になるはず。BIM由来の正確な寸法・素材情報が3ds Max側まで保持される設計のおかげで、提案精度と意思決定速度の両方が底上げされます。
3ds Max 2027で導入されたAutodesk AssistantとField Helperは、この流れをさらに加速させる方向の機能群。Autodesk Assistantは作業中の操作を自然言語で問いかけられる仕組みで、複雑なRetopology設定やマテリアル変換の手順を都度ドキュメント参照する手間が減るとされています。設計事務所内でパース担当者を新規育成する際の学習コストも、こうしたアシスト機能で下がっていく可能性があるでしょう。
まとめ
RevitのBIMモデルから3ds Maxに取り込んで建築パースを作るフローは、最初の3つの判断で大半が決まります。
1つ目はRVT直読みかFBX経由かの分岐で、原則RVT直読み(Revit Importer)が建築VIZ実務での第一選択。2つ目はLinkモードかImportモードかで、設計が動くフェーズはLinkモード、設計凍結後はImportモードもしくはBindで切り替える運用が標準です。3つ目はCombine Entitiesの選択で、建築パース全般ではCombine By Revit Materialが扱いやすく、家具・建具中心ならCombine By Family Typeが機能します。
System UnitをMillimetersに揃えてからインポートすること、Appearance AssetからPhysical Material(またはV-Ray Material/CoronaPhysicalMtl)へ手動で再構築すること、Revit側であらかじめ「3ds Max出力用」3D Viewを作って軽量化を済ませておくこと。この3点を最初に組み込むだけで、BIMからCGへの橋渡しが大幅に安定します。
3ds Max 2027(Windows 11対応、USD 2,010/年・Indie USD 330/年、2026年4月時点)で導入されたSmart Bevel・Noise Plus・Field Helper・Autodesk Assistantは、Revitから取り込んだあとの編集効率を底上げする方向の機能群です。MAXtoA 5.9.0 / Arnold 7.5.0.0への更新も、レンダリング品質と速度の両面で実務を支える更新になっています。
LinkモードとReloadを起点にした設計変更追従フローを組み込めば、合意形成中の案件でも建築パース作業を止めずに進められるはず。Revit→3ds Max連携の最初の3つの判断を押さえておけば、BIM時代の建築VIZ制作で迷う場面が大きく減ります。
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