3ds Maxモデリング基礎|Editable Poly・スタック10機能の使い方

3ds Maxを起動して「結局、何から触れば建物の形が作れるのか」と迷っていませんか。この記事では、モデリングの中核機能をEditable Poly(編集可能ポリゴン)とモディファイアスタック(変形処理を積み重ねる仕組み)の2系統で説明します。

Smart Extrude(押し出し機能)の履歴保持化、ProBoolean(立体演算)による窓・ドア開口の抜き、Sweep(断面押し出し)による巾木・廻り縁の量産まで、建築VIZ(建築ビジュアライゼーション)の実例で順序立てて押さえられる構成にしました。

3ds Max 2027が2026年3月25日にリリース済みですが、この記事では現場で安定運用中の3ds Max 2026を基準にしつつ、2027で追加されたSmart Bevel(インタラクティブな面取り)にも触れます。標準サブスクの料金はUSD 2,010/年、Indieライセンス枠はUSD 330/年(公式Pricing、2026年4月時点)と価格帯は決して低くないため、入り口でつまずかずに機能の地図を持って学習を始められるよう、初学者ファーストでまとめています。

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目次

3ds Maxモデリングの全体像|ベースを作って変形を積む3ステップ

3ds Maxのモデリングは「ベース形状を作る」「変形を上に積む」「必要なら確定する」の3ステップで考えると、機能の使いどころが整理しやすくなります。建築VIZ用途ではポリゴンモデリングとSpline(2D曲線)の組み合わせでほぼすべてが完結し、NURBS(数式ベースの曲面)やPatch(パッチ面)の出番は限定的です。

4つのモデリング方式と建築VIZでの位置づけ

モデリング方式 特徴 建築VIZでの使いどころ
Polygon(Editable Poly) 頂点・辺・面で構成、汎用性が高い 建物本体・家具・地形・造作のメインツール
Spline 2D曲線、押し出しや旋盤の元 巾木の断面、平面図トレース、文字
NURBS 数式ベースの滑らかな曲面 工業デザイン寄り。建築では限定的
Patch パッチ面で滑らかにつなぐ レガシー手法、TurboSmoothで代替

ポリゴンモデリングは頂点・辺・面で立体を直接編集する方式で、3ds Maxの中核を担います。Splineは断面を描くための2D曲線です。Extrude(押し出し)モディファイアで階高分立ち上げたり、Sweepで巾木・廻り縁を量産したりと、建築VIZの定型作業を支える脇役。NURBSは曲線・曲面を数式で表現する方式で、自動車のボンネットのような流線形に向いています。ただし建築物の直線基調の形状では編集の手数が増えがちで、ポリゴンの方が向いているでしょう。Patchは過去にスムーズな曲面を作るために使われたレガシー手法です。現在はTurboSmoothモディファイアで同様の表現が組めるため、新規プロジェクトでわざわざ選ぶ機会はほぼありません。

「ベースを作る→変形を積む→確定する」の3ステップ

ベース形状はEditable Polyで起こし、その上にモディファイア(変形処理)を積み重ね、必要に応じてCollapse(焼き込み)で確定します。これが3ds Maxモデリングの基本動線です。住宅外観の壁を作るケースでは、Editable Polyで壁芯を起こした上に、Edit Polyモディファイアで開口を追加編集し、Symmetry(左右対称化)とTurboSmooth(細分化スムージング)を積む3〜4段構成が定番になります。

この流れの何が嬉しいかというと、後段のモディファイアを削除すれば前段の状態に戻せるため、試行錯誤の安全性が高い点です。「やっぱり対称化はやめたい」と思ったらSymmetryをオフにするだけで済み、ベース形状はそのまま維持されます。次のセクション以降で、各ステップの中核機能を順に押さえていきましょう。

Editable Polyとは|5つのサブオブジェクトレベル

Editable Polyは、ポリゴンを直接編集するための基本データ型です。Vertex(頂点)/Edge(辺)/Border(境界)/Polygon(面)/Element(連結要素)の5階層で操作します。1〜5キーで階層を切り替えられるため、頂点単位の微調整から面の押し出しまで、同じデータ上で作業を完結できます(出典: Autodesk Knowledge Network「Editable Poly」)。

5サブオブジェクトレベル早見表

レベル キー 役割 主な操作
Vertex(頂点) 1 Move、Weld、Target Weld、Chamfer、Connect
Edge(辺) 2 Extrude、Chamfer、Connect、Bridge、Loop選択
Border(境界) 3 開いた境界 Cap(穴塞ぎ)、Extrude、Bridge
Polygon(面) 4 Extrude、Bevel、Inset、Bridge、Detach
Element(要素) 5 連結要素 Move、Detach、削除

階層切替を1〜5キーで覚えておくと、ショートカットだけで作業の解像度を変えられます。たとえば住宅の窓枠を整える場合、Vertexで窓の四隅をスナップ位置に正確に動かすところから始めます。次にEdgeで窓枠の縦横エッジに分割線をConnectで入れ、Polygonで窓ガラス面をInsetで内側にオフセットしてからExtrudeで奥に押し込む、という流れがそのまま組めるでしょう。

Editable Poly化する2つの方法

プリミティブ(Box、Plane、Cylinderなど)をEditable Polyにする方法は2種類あります。1つ目は右クリックメニューから「Convert to Editable Poly」を選ぶ方法で、ベースオブジェクトそのものをEditable Polyに変換します。2つ目はモディファイアスタックに「Edit Poly」モディファイアを追加する方法で、ベースは元のプリミティブのまま、その上に編集レイヤーを重ねる形になります。

両者の違いは「破壊的か非破壊的か」です。Convert to Editable Polyは履歴を持たない破壊的編集で、戻すには元データを再生成するしかありません。Edit Polyモディファイアはスタック上でオン・オフや削除ができ、いつでも元のプリミティブに戻せる非破壊編集です。試行錯誤段階ではEdit Polyモディファイアを使い、形状が確定してからConvert to Editable Polyで焼き込む、という二段構えが安全な選択肢になります。

破壊的編集と非破壊的編集の使い分け

破壊的編集を選ぶ理由は、データが軽くなって動作が速くなるからです。非破壊的編集はスタック上で履歴を保持する分、シーンが重くなる傾向があります。マンション1棟分の家具を非破壊で組み続けるとビューポートの応答が鈍くなるため、確定したパーツから順にEditable Polyへ焼き込んで軽量化する判断が必要になるでしょう。

逆に確定前の段階で焼き込んでしまうと、後から「やっぱり押し出し量を変えたい」と思ったときに最初からやり直し。クライアント承認前のラフ段階は非破壊、承認後の量産段階は破壊的、という切り分けが現場の感覚に合います。

Editable Polyの主要編集コマンド|Extrude/Bevel/Insetほか10機能

Editable Polyで日常的に使う編集コマンドは、Extrude/Bevel/Inset/Bridge/Chamfer/Connect/Cut/Slice/Weld/Capの10種類に集約できます。役割が似ているコマンドが多いため、初学者は最初に違いを言語化しておくと、作業中に迷う回数が減ります。

主要編集コマンド10機能早見表

コマンド 階層 役割 建築VIZでの使いどころ
Extrude Edge / Polygon 面・辺を押し出す 壁の立ち上げ、窓ガラスの奥行き
Bevel Polygon 押し出し+面取り 厚みのある板、装飾モール
Inset Polygon 同一平面上に内側オフセット 窓枠の作成、面分割の起点
Bridge Polygon / Edge / Border 2つの開口を橋渡し 階段の段板、開口連結
Chamfer Vertex / Edge 角を面取り サポートエッジ、エッジの丸み
Connect Vertex / Edge 頂点・辺を結ぶ分割線 窓位置の事前分割
Cut 全階層 任意の位置で分割 自由な形状追加分割
Slice 全階層 平面で切断 階段の段差整形、断面表示
Weld Vertex 近接頂点を結合 インポートCADの頂点整理
Cap Border 穴を塞ぐ 押し出し後の底面処理

Extrude/Bevel/Insetの違い

3つとも面を扱うコマンドですが、出力する形状が異なります。ExtrudeはPolygonを真上(または面法線方向)に押し出して、新しい側面を生成。BevelはExtrudeの直後にOutline(輪郭オフセット)を1操作で同時実行する複合コマンドで、押し出した先で面が小さくなる「テーパー付き押し出し」になります。Insetは押し出しを伴わず、選択面と同じ平面上で輪郭を内側にオフセットするコマンドで、押し出しの「準備」として使うことが多い機能です。

住宅の窓枠を作る場合、壁面のPolygonを選択して、まずInsetで窓ガラスのサイズに内側オフセットします。続けてExtrudeで奥に押し込むと、窓枠と窓ガラスの段差が一発で作れるでしょう。Bevelを使うと押し出しと外側オフセットが同時にかかり、装飾的なモール形状やアクセントの面取りに向きます。

BridgeとChamfer

Bridgeは2つのPolygonまたは2つのBorderの間を橋渡しして、面でつなぐコマンドです。階段の段板を上下のPolygon間でBridgeすると、間に蹴上面が自動生成されます。開いた境界(Border)同士をBridgeすれば、開口を持つ2つのオブジェクトを連結できます。

Chamferは頂点や辺の角を面取りするコマンドで、TurboSmoothを後段に積む前の「サポートエッジ(TurboSmoothで丸まりすぎないよう角の手前に追加するエッジ)」の挿入によく使います。Chamfer量を小さくするほど角が鋭く、大きくするほど丸くなるため、テーブル天板のエッジ感など、デザインの雰囲気を決める重要なコマンドになるでしょう。

Connect/Cut/Slice/Weld/Cap

Connectは選択中のEdgeまたはVertex間に均等分割線を追加するコマンドです。「窓を3つ等間隔で並べたい」というときに、壁面のEdgeを2本選んでConnectで2本の分割線を入れる、という使い方が定番。Cutは任意の位置に手動で分割線を引くコマンドで、Connectで対応できない自由な形状追加に使います。

Sliceは平面でメッシュ全体を切断するコマンドで、階段の段差を整える場面や、断面表示を作る場面で出番があります。Weldは近接頂点を1点に結合するコマンドで、CADデータをインポートしたときに発生しがちな重複頂点の整理に欠かせません。Capは開いた境界を1枚の面で塞ぐコマンドで、押し出し処理後の底面処理で使います。

モディファイアスタックの仕組み|下から積む非破壊ワークフロー

モディファイアスタックは、ベースオブジェクトの上に変形処理を下から順に積み重ねる仕組みです。3ds Maxの非破壊ワークフローの中核を担います。スタック上のモディファイアは、いつでもオン・オフ・削除・順序入れ替えができるため、「とりあえず置いておいて後で外す」という試行錯誤がそのまま組めるでしょう(出典: Autodesk公式ヘルプ「Modifier Stack」)。

スタックの3つの基本ルール

スタック理解の出発点は3つのルールです。1つ目は「下から上へ順次評価される」点で、Bendの上にTwistを積むのと、Twistの上にBendを積むのとでは、最終結果の形が変わります。2つ目は「順序を入れ替えると結果が変わる」点で、これは1つ目の系。ドラッグ&ドロップで順序を変えるだけで形が再計算されます。3つ目は「Show end result(最終結果プレビュー)」をオンにすると、下層のモディファイアを編集中でも最終形状が見える点で、編集と確認が同時にできます。

この3ルールが頭に入ると、「ねじれた壁の上に左右対称化を積む」「左右対称化された壁をねじる」のどちらが目的なのかを意識して順序を決められるようになるでしょう。建築VIZでは順序ミスが原因の形状崩れが多いため、スタックを編集する前に「どのモディファイアを下に置くか」を一度言語化する習慣が事故防止になります。

Make UniqueとCollapseの使い分け

Make Uniqueは、インスタンス(複製参照)として共有されているモディファイアを独立化するコマンドです。同じソファをインスタンスで4つ並べた状態で1つだけ色を変えたいとき、Make Uniqueで切り離してから編集します。

Collapseはスタックを焼き込んで結果をEditable Polyに固定する操作で、データが軽くなる代わりに編集履歴を失います。Collapse判断の目安は「向こう1週間以上、その形状を触らないか」。クライアント確認前のラフは絶対にCollapseしない、確認後の量産パーツは積極的にCollapseする、という運用が現場の感覚に近い使い方になるでしょう。

スタック設計の建築VIZ定番パターン

建築VIZのソファや椅子では、Editable Poly(ベース形状)→ Edit Poly(追加編集)→ Symmetry(左右対称化)→ TurboSmooth(細分化)の3〜4段構成が定番です。最下層で形を起こし、中段で開口や細部を追加し、上段で対称化と滑らかさを与える、という流れがそのまま機能の積み順に対応します。

3ds Max 2026ではPreserve Stack Position(モディファイア選択位置の保持)トグルが追加されました。別オブジェクトを選択しても元のモディファイア選択位置に戻れるようになっています(出典: Autodesk 3ds Max 2026 What’s New、2026年4月時点)。住宅で複数の家具を行き来しながら同じモディファイア位置を調整するケースで、選択し直す手間が減るでしょう。

建築VIZ頻出モディファイア10選|Bend/Symmetry/TurboSmooth/Shellほか

建築VIZ案件で出番が多いモディファイアは、Bend/Twist/FFD/TurboSmooth/Symmetry/Edit Poly/Shell/Lathe/Sweep/Sliceの10機能。すべてを覚える必要はなく、案件の内容に応じて引き出しから取り出す感覚で十分です。

建築VIZ頻出モディファイア10選早見表

モディファイア 系統 用途 建築VIZでの典型例
Bend 自由変形 一方向に曲げる アーチ天井、湾曲ファサード
Twist 自由変形 ねじる デザインオブジェ、装飾柱
FFD(2/3/4) 自由変形 自由変形ケージ 有機的な家具・クッション
TurboSmooth 仕上げ 細分化スムージング 曲面家具、丸み付き造作
Symmetry 仕上げ 対称化 椅子、ソファ、左右対称建物
Edit Poly 編集 非破壊ポリゴン編集 スタック途中での追加編集
Shell 建築特化 厚み付与 壁・天板の厚み生成
Lathe 建築特化 軸回転で立体化 円柱状の脚、花瓶、手摺子
Sweep 建築特化 断面押し出し 巾木、廻り縁、モール
Slice 建築特化 平面で切断 断面表現、半分カット展示

自由変形系(Bend/Twist/FFD)

Bendは選択軸に沿って一方向にメッシュを曲げるモディファイアで、湾曲ファサードや天井アーチに使います。Angleで曲げ角度、Directionで曲げ方向、Bend Axisで軸を指定し、Limit Effect(効果範囲制限)で部分的に曲げることもできます。

Twistはメッシュをねじるモディファイアで、デザイン系オブジェや装飾柱に向きます。FFD(Free-Form Deformation)はメッシュを覆う格子状ケージを動かして自由変形するモディファイアで、2×2×2/3×3×3/4×4×4の3パターン。クッションの凹み表現や、有機的な家具の微調整で出番があります。

仕上げ系(TurboSmooth/Symmetry)

TurboSmoothはメッシュを細分化して滑らかにするサブディビジョンサーフェス系モディファイアです。Iterationsで細分化回数を指定し、1〜2回が建築VIZの標準値になります。3回以上にするとビューポート応答が鈍くなるため、必要最小限で止めるのが基本でしょう。

SymmetryはMirror軸で左右(または上下、前後)を対称化するモディファイアです。椅子・ソファ・左右対称建物の半分だけ作って残り半分を自動生成する用途で多用されます。中心線でWeld Threshold(頂点結合許容距離)を設定すると、対称面の継ぎ目が自動結合されてシームレスになります。

建築特化系(Shell/Lathe/Sweep/Slice)

Shellは1枚のPolygonに厚みを付けるモディファイアで、Plane(平面)として描いた壁を実体のある立体にする用途で出番があります。Inner Amount(内側厚み)/Outer Amount(外側厚み)を指定でき、両側に厚みを振り分けることも可能です。

Latheは2D Splineを軸回転させて立体化するモディファイアで、円柱状の脚物・花瓶・手摺子(てすりこ)など回転体形状で力を発揮します。Sweepは2D Splineに沿って断面プロファイルを押し出すモディファイアで、巾木・廻り縁・モールの量産で建築VIZの作業時間を大きく短縮するでしょう。Sliceは平面でメッシュを切断するモディファイアで、断面表示やコンセプトモデル用の半分カット表現で使い道があります。

Smart Extrudeで何が変わったか|2026年強化機能を建築VIZで使う

Smart Extrudeは3ds Max 2021.2で初登場した押し出し機能です。3ds Max 2026では、押し出した面の高さなどパラメトリック履歴がモディファイアスタックに残るようになりました。後から非破壊で押し出し量を調整できるようになり、開口や切り欠きの試行錯誤コストが下がっています(出典: Autodesk 3ds Max 2026 What’s New / SuperRenders Farm、2026年4月時点)。

従来手順とSmart Extrudeの違い

これまで壁に窓を切り欠く処理は、Cut(分割線追加)→Bridge(面の橋渡し)→Cap(穴塞ぎ)の3工程を手動で繰り返す必要がありました。途中で交差面の処理を間違えると、メッシュに穴が空いたり面が重複したりするため、初学者がつまずきやすい工程の代表でしょうか。

Smart Extrudeでは、押し出し中に交差面を自動で再構築してくれるため、貫通・切り欠き・追加面が1操作で処理されます。窓枠の位置を後から微調整する場合も、モディファイアスタックに残った履歴を編集すれば、Cutからやり直す必要はありません。3ds Max 2026での履歴保持化は、独立したモディファイアが新設されたわけではなく、操作履歴がスタック上に保持される設計である点が要点です。

Manipulateモード+Ctrlドラッグで内向き押し出し

Polygonサブオブジェクトの「Manipulate(マニピュレートモード)」を有効にして、面をCtrlキー押しながら内側にドラッグすると、内向き押し出し(切り欠き)が直感的に実行されます。住宅外観の壁にバルコニーをへこませて作る場面や、室内の床に階段の踏み込み穴を抜く場面で、操作の手数を大きく減らせるでしょう。

Edit Polyモディファイア内でも同等動作するため、非破壊のまま開口処理を進められる点が、建築VIZ実務にとっての大きな前進。クライアント承認前に開口位置を試行錯誤するフェーズで、Smart Extrudeの履歴保持化が威力を発揮します。

注意点:複雑交差時のEdge流れチェック

Smart Extrudeは便利な反面、極端に複雑な交差や重なりが多いメッシュでは、まれに想定外のEdge流れが発生することがあります。具体的には、押し出し後のメッシュが「四角いポリゴンが整然と並ぶ」状態になっているかを確認すると安全でしょう。

不自然な三角ポリゴンが大量発生している場合は、Editable Polyに変換してからConnect/Chamferで手動でEdge流れを整え直す必要があります。とくに後段にTurboSmoothを積む予定がある場合、Edge流れの乱れが滑らかさの破綻として表面化するため、Smart Extrude直後の確認を習慣化しておくのが安全です。

ProBooleanで窓・ドア開口を抜く|建築VIZ標準フロー

ProBooleanは複数オブジェクトの和(Union)・差(Subtraction)・積(Intersection)を一括演算できる立体演算機能で、建築VIZでは窓・ドア開口を抜く標準ワークフローを支えます。旧来のBoolean機能より整った四角ポリゴンの結果を出しやすく、後続のEdit Polyでの修正コストが低い設計です。

ProBoolean適用5ステップ

ステップ 操作 ポイント
1 ベース壁オブジェクトを選択 Editable Polyで作っておく
2 Compound Objects > ProBoolean を適用 パネルがCompound設定に切り替わる
3 Subtraction(減算)モードを選択 抜く側の挙動を指定
4 「Pick Operand B」で窓・ドア用Boxを選択 抜く側の立体を指定
5 結果をEditable Polyに変換し、エッジを整える Connect/Chamferで開口を仕上げる

Subtraction/Union/Intersectionの使い分け

Subtraction(減算)はベース立体から相手立体を引く演算で、窓・ドア開口を抜く用途で多用されます。Union(和)は2つの立体を1つに合成する演算で、複雑な造作物を分割モデリングしてから合体する用途に向きます。Intersection(積)は2つの立体の重なり部分だけを残す演算で、空間の交差表現や、特殊な形状の切り出しに使います。

建築VIZ実務では9割以上の案件でSubtractionが使われ、Unionは年に数回、Intersectionは特殊案件のみという出現頻度感です。最初に覚えるべきはSubtraction。残りは必要になったときに調べる順序で問題ありません。

結果をEditable Polyに変換してから整える

ProBooleanの計算結果は、開口部のエッジが斜めに走ったり、不要な分割線が残ったりすることがあります。そのまま使うとレンダリング時のシェーディング不良の原因になるため、結果を選択してEditable Polyに変換し、ConnectやChamferで開口エッジを整える後処理が必要でしょう。

開口の四隅に放射状のエッジが残っている場合は、不要な頂点をWeldで結合し、開口の縦横にきれいなEdgeループを通すと、後段のTurboSmoothやマテリアル割り当てで破綻しにくくなります。ProBooleanは「結果を粗く出す→Editable Polyで仕上げる」の二段構えで運用するのが、建築VIZ現場の標準的なやり方です。

ProCutterとの違い

ProCutterは1オブジェクトを別オブジェクトで切断・分割する機能で、破片表現や断面サンプル作成で出番があります。建物を平面で半分にカットして展示用の断面パースを作る場面や、爆破シーンで壁を破片に分割する場面が典型例。

建築VIZの日常作業ではProBooleanが中心で、ProCutterは特殊表現用と覚えておくと判断が早くなるでしょう。Boolean Modifier(モディファイア版)はProBooleanとは別系統です。3ds Max 2026ではCARVEアルゴリズム使用時に最大40%の高速化が入っています。ただし開口処理の整然さではProBooleanが優位な場面が多く、用途で使い分ける運用が安全でしょう(出典: Autodesk 3ds Max 2026 What’s New、2026年4月時点)。

編集部から見たSmart Extrude/ProBoolean/Sweepの位置づけ

ここまでで10機能の使い方を見てきました。実際の建築VIZ案件で、編集部としてどの順序で機能を覚えていくのが効率的かをまとめておきます。エビデンスは公式ドキュメントと海外の主要レビューを照合した範囲での整理になります。

公式ドキュメントから読み取れる優先順位

Autodesk公式What’s New 2026では、Smart Extrudeの履歴保持化が「モデリング作業の試行錯誤コスト削減」として強調されており、Boolean Modifier側のCARVE 40%高速化と並んで2026世代の主要強化点に位置づけられています。海外チュートリアル(CGTrickやSuperRenders Farmなど)の共通見解では、建築VIZ初学者に最初に習得を推奨するコマンドとしてExtrude/Bevel/Insetの3点セット、続いてProBooleanのSubtraction、最後にSweepの順序を提示しているケースが多く見られます。

このことから、編集部としては「Editable Polyの5サブオブジェクトレベル+Extrude/Bevel/Inset → ProBoolean Subtraction → Sweep → Smart Extrudeで開口処理の上書き」という4段階の学習順序を推奨します。Smart Extrudeを最初に触ってしまうと、従来のCut/Bridge/Capの理解が浅いまま「便利機能」だけが残ってしまうため、基礎の3コマンドに先に手を慣らしておく方が応用が利くでしょう。

つまずきやすいポイントの傾向

複数の海外レビューで共通して指摘されているのは、Smart Extrudeの「複雑な交差時のEdge流れの乱れ」と、ProBooleanの「結果のエッジ斜行」の2点です。どちらも「結果を信じて次の工程に進む」のではなく、Editable Polyに変換してEdge流れを目視確認する一手間が、後段のTurboSmoothやマテリアル割り当てでの破綻を防ぐ鍵になります。

スタック設計でつまずきやすいのは、SymmetryとTurboSmoothの順序です。Symmetryを上に積むと中心線で不自然な継ぎ目が出るケースがあり、TurboSmoothを上に積む構成の方が滑らかな結果になりやすい傾向があります。実際にどちらが正解かは形状次第ですが、両パターンを試して結果を比較する習慣を付けておくと、形状崩れの原因を切り分けやすくなるでしょう。

建築VIZモデリングの典型フロー|壁・床・窓・家具を作る順序

建築VIZのモデリング作業は、平面図から立ち上げて家具まで配置するまでの典型的な手順がほぼ決まっています。この順序を1度押さえておくと、案件ごとに迷う回数が大きく減るでしょう。

7ステップの典型フロー

ステップ 作業 主に使う機能
1 平面図PNG/DWGを下絵に配置 Plane+Diffuse Map/Import
2 Splineで壁芯トレース→Extrudeで階高分立ち上げ Spline+Extrudeモディファイア
3 ProBooleanで窓・ドア開口を抜く ProBoolean+Subtraction
4 Editable Polyに変換し、開口エッジを整える Convert→Connect/Chamfer
5 Splineに沿ったSweepで巾木・廻り縁を一括生成 Spline+Sweepモディファイア
6 家具は別ファイルでモデリング→Merge/XRef Merge/XRef Scene
7 スタック確認→必要箇所のみCollapseで軽量化 Collapse All/Collapse To

平面図の取り込みから壁立ち上げまで

ステップ1〜2は、平面図のCADデータ(DWG/DXF)または画像(PNG/JPG)を3ds Maxに取り込んで、壁芯をSplineでトレースする工程です。CADデータがある場合はFile > Importで取り込むと、図面のラインがそのままSplineとして使えます。画像しかない場合は、PlaneにDiffuse Mapとして貼り付け、その上をSplineでなぞる方式になるでしょう。

壁芯のSplineができたら、Extrudeモディファイアで階高(住宅なら2,400〜2,800mm程度)分を上に押し出すと、壁の素体が立ち上がります。階高を後から変えたい場合に備えて、SplineとExtrudeの組み合わせは非破壊のまま残しておくのが安全です。

開口処理から造作・家具配置まで

ステップ3〜5は開口処理と造作の量産です。窓・ドア用のBoxを開口位置に配置し、ProBooleanのSubtractionで抜きます。結果をEditable Polyに変換し、開口エッジをConnectで縦横に通してChamferで微調整すると、レンダリング時のシェーディング不良を予防できるでしょう。

巾木・廻り縁は、巾木の位置を通るSplineを作成し、Sweepモディファイアで断面プロファイル(H 60mm × W 10mm程度)を沿わせると、住宅1階分の巾木を1〜2分で量産できます。Sweepの内蔵プロファイルライブラリには、Quarter Round(四半円)/Half Round(半円)/Bullnose(ブルノーズ)など建築定型の断面が揃っています。

ステップ6〜7は家具の配置とスタック整理です。家具は別ファイルでモデリングしてから、File > Merge(取り込み統合)またはXRef Scene(外部参照)で配置すると、シーンのデータ量を抑えながら作業できます。最後に各オブジェクトのスタックを確認し、確定したパーツのみCollapseで焼き込めば、ビューポートの応答性を保ったまま納品準備に進めるでしょう。

学んだ先に広がる景色|3ds Maxモデリングを実装すると変わる仕事の風景

10機能を引き出しに揃えた初学者が、次にどんな景色を見るか。短期・中期・長期の3つの時間軸で描いておきましょう。

1ヶ月後:単純形状の量産が体に馴染む

最初の1ヶ月は、Editable Polyの5サブオブジェクトレベルとExtrude/Bevel/Insetを反射的に切り替えられるようになる時期。住宅1棟分の外壁・窓枠・ドア枠を作るのに最初は半日以上かかっていた作業が、1〜2時間で終わるようになるでしょうか。1〜5キーの階層切替が手癖になり、ConnectとChamferでEdgeループを通す感覚が身についてきます。

ProBooleanで窓を抜く流れも、5ステップを意識せずに手が動くようになります。Sweepで巾木を1分で生成できるようになると、「以前は1本ずつBoxを並べて回していた時間は何だったのか」と感じるはず。この段階で、3ds Maxを「形を作る道具」として扱える土台ができあがります。

半年後:スタック設計で時間が縮む

半年後の景色は、モディファイアスタックを「設計する」感覚が育ち始める時期です。Edit Poly→Symmetry→TurboSmoothの順序を頭で組み立ててから手を動かすようになり、結果が出てから順序を入れ替える試行錯誤が減ります。クライアントから「左右対称をやめてほしい」と言われても、Symmetryをオフにするだけで対応できる安心感が、提案の幅を広げてくれるでしょう。

Smart Extrudeで開口を抜く運用が定着すると、初期ラフでクライアントに見せる回数が増え、フィードバックサイクルが短くなります。1案件あたりの修正回数が減り、結果として案件単価の改善や受注本数の増加につながる可能性が見えてきます。

1年後:建築VIZ実務の標準ワークフローが内面化

1年後には、Spline+Extrudeで壁を立ち上げ、ProBooleanで開口を抜き、Editable Poly化してエッジを整え、Sweepで巾木・廻り縁を量産する流れが、考えなくても回るようになります。スタックのCollapse判断も、「向こう1週間以上触らないか」を直感で判定できるようになり、シーンの軽量化と編集自由度のバランスが取れるでしょう。

この段階に達すると、3ds Maxの次の領域、つまりマテリアル設定・ライティング・アニメーションへの移行がスムーズになります。モデリングで形を保証できる前提があるからこそ、質感や光の調整に集中できる土台ができたと言えるのではないでしょうか。

まとめ|3ds Maxモデリング基礎の要点

3ds Maxのモデリング基礎は、Editable Polyで形を作り、モディファイアスタックで変形を積み、必要に応じてCollapseで確定する3ステップに集約されます。Editable Polyの5サブオブジェクトレベル(Vertex/Edge/Border/Polygon/Element)を1〜5キーで切り替え、Extrude/Bevel/Inset/Bridge/Chamfer/Connect/Cut/Slice/Weld/Capの主要編集コマンドを引き出しに揃えると、建築VIZ案件の大半に対応できます。

モディファイアスタックは下から評価され、順序が結果を決めます。建築VIZの定番は、Spline+Extrudeで壁を立ち上げ、ProBooleanで開口を抜き、Editable Poly化してエッジを整え、Splineに沿ったSweepで巾木・廻り縁を量産する流れ。Smart Extrude(2026年4月時点でモディファイアスタックへの履歴保持に対応)の登場で、開口・切り欠きの試行錯誤コストが大きく下がりました。Symmetry+TurboSmoothを上段に積めば、左右対称形状の家具も半分だけ作って完成させられます。

スタックが重くなったら、確定したパーツから順にCollapseで焼き込んで軽量化します。3ds Max 2027が2026年3月25日にリリース済みで、Smart Bevel/Noise Plus/Field Helper/Autodesk Assistant(AI Tech Preview)/MAXtoA 5.9.0/Arnold 7.5.0.0などの新機能が追加されています。Windows 11のみ対応/.NET 10採用/DirectX 9廃止という大きな変更も入りました。標準サブスクUSD 2,010/年・IndieライセンスUSD 330/年(公式Pricing、2026年4月時点)の価格帯を踏まえ、まずは2026の安定環境で基礎を固めてから、2027の新機能に手を伸ばす学習順序が現実的でしょう。

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