3ds Max 2026新機能|Smart Extrude非破壊化・Boolean高速化・USD対応
3ds Max 2026は、Smart Extrude(押し出し操作)の履歴保持化、Boolean Modifierの最大40%高速化、USD(Universal Scene Description、3DCG業界横断のシーン記述形式)の双方向対応強化、OpenPBR(業界標準のPBRシェーダー仕様)既定化という4本柱を中心に、モデリング・パイプライン・マテリアル基盤を一段階押し上げたリリースです。3ds Max 2027が2026年3月25日にリリース済みのいま、2026に上げる価値があるのか、2027まで待つべきか。判断のポイントは、4本柱が現場のどこに効くかを機能単位で押さえることにあります。
この記事では、Autodesk公式の2026 What’s Newと2027 What’s New、業界メディア(CG Channel/AUGI/3D Architettura/SuperRenders Farm/80.lv)の解説を一次情報源として、4本柱の実務インパクトと2024/2025からの移行判断、3ds Max 2027で上乗せされた追加機能までを建築ビジュアライゼーション(建築物を写真や動画として見せる仕事、以下建築VIZ)の視点でまとめました。標準サブスクUSD 2,010/年・IndieライセンスUSD 330/年(公式Pricing、2026年4月時点)の更新タイミングを見極める材料として活用してください。
3ds Max 2026の4本柱|結論サマリーと選び方のポイント
3ds Max 2026の更新は、Smart Extrudeの履歴保持化/Boolean Modifierを含むモディファイアの全般高速化/USD双方向対応/OpenPBR既定化の4本柱に集約されます。既存ユーザーは「無償アップグレード対象なら入れて損なし」、新規導入者は「迷わず2026以降」、学習者は「学習リソースの揃い具合で判断」というのが2026年4月時点の結論です。3ds Max 2027が2026年3月25日にリリース済みのため、現場の更新タイミングが合うサブスク継続中のユーザーなら、2027まで一気に切り替える選択肢も視野に入ります。
4本柱早見表
| トピック | 変更概要 | 旧版との違い | 影響範囲 |
|---|---|---|---|
| Smart Extrude 履歴保持 | 押し出し操作履歴をモディファイアスタックに保持 | 2025までは破壊的編集 | モデリング工程 |
| Boolean Modifier CARVE 高速化 | CARVE使用時に最大40%高速化 | 演算待ちのストレス減 | モデリング工程 |
| USD 双方向対応 | Material/Skel Animation などが双方向 | 2025までは片方向中心 | パイプライン全般 |
| OpenPBR 既定化 | 新規シーンの既定マテリアルに採用 | 2025までは Physical Material が既定 | マテリアル工程 |
数値の出典は、Boolean Modifier の40%高速化と Conform 40%・Array 15%・Displace 2.28倍がAUGI「What’s New in 3Ds Max 2026」、Smart Extrude のスタック対応がAutodesk 3ds Max 2026 FeaturesとSuperRenders Farm 解説になります。USD と OpenPBR の取り扱いはAutodesk 3ds Max 2026 What’s NewとCGPress「Autodesk releases 3ds Max 2026」が一次情報です(いずれも2026年4月時点で参照可)。
「2026は入れる価値があるか」3パターンの結論
既存ユーザー(2024/2025から)は、Smart Extrude の履歴保持と Boolean Modifier の高速化が日々の作業に直接効くため、サブスク契約の更新タイミングで2026または2027に切り替える判断が合理的でしょう。新規導入者は、2025までで止める理由がないため、2026以降を最初から選ぶのが素直なルートです。学習者は、書籍やチュートリアルが2024/2025を前提にしているケースが多いため、教材と環境を揃えた上で2026に上げると遠回りが少なくなります。
Smart Extrude 履歴保持|2026の押し出し操作はスタックに残る
Smart Extrude は3ds Max 2021.2で初登場した押し出しツールですが、2026では「押し出し操作の履歴がモディファイアスタック上に保持される」設計に変わりました。押し出し量・面の高さなどを後から非破壊で調整できる、というのが大きな変化です。指示書で示されている「Smart Extrude=履歴保持型」という表現はこの仕様を指しており、独立した「Smart Extrude モディファイア」が新設されたわけではありません。2026を理解するうえでの最初のつまずきポイントになります。
履歴保持化の中身|何がスタックに残るのか
2025までの Smart Extrude は、Editable Poly のサブオブジェクト操作として動作する破壊的編集でした。押し出した瞬間にメッシュが書き換わり、後から押し出し量を変えるには Undo で戻すしかありません。クライアントから「窓開口を50mm下げてほしい」と再指示が来たときに、最初の Cut / Bridge / Cap からやり直す事故が起きやすい設計でした。
2026では、Polygon サブオブジェクトの Manipulate モード上での Smart Extrude 操作(押し出し・内向き押し出し・面の貫通)を、モディファイアスタックがパラメトリック履歴として保持します。Edit Poly モディファイア配下で行えば、ベースオブジェクトを保ったまま押し出し履歴を編集できる、という流れです(出典: Autodesk 3ds Max 2026 Features、2026年4月時点)。
編集部の見立て|公式仕様と海外レビューから読み取れること
公式ドキュメントを読み解くと、Smart Extrude のスタック保持は Polygon 選択中の Manipulate モードでのみ働く設計とされています。海外レビューの共通見解では、Ctrl + ドラッグの操作感そのものは2025までと変わらず、画面下のフィードバック表示も互換が保たれているため、移行時の操作習熟コストは小さい部類に入るとされています。SuperRenders Farm や CG Channel の解説では、Smart Extrude を Edit Poly モディファイア下で使う運用が「実務での既定ワークフローとして推奨される」と紹介されており、ベースオブジェクトを温存できる点を評価する声が多く見られます。
一方で、独立した「Smart Extrude モディファイア」を期待した層からは、「履歴保持はあくまでスタック側の機能で、モディファイア種類が増えたわけではない」と注意を促す声も出ています。建築VIZの観点では、押し出し操作と Edit Poly のセットを1つの履歴ブロックとして扱える点が、修正回数の多い住宅外観・サッシ周りの案件で効いてきます。
建築VIZ実務でのインパクト|開口位置の試行錯誤
住宅外観の壁に窓開口を抜く作業で、従来は ProBoolean → Editable Poly 変換 → Connect / Chamfer で整える、という流れが定番でした。Smart Extrude の履歴保持化により、Polygon を選んで Manipulate モード + Ctrl ドラッグで内向きに押し出して切り欠きを作り、後から押し出し量を再調整できるルートが追加されます。
リビング・ダイニング・キッチンの3カット納品で、クライアント承認前に窓位置を3案提示するようなフェーズではどうでしょうか。この「後戻り編集」の有無が作業時間を大きく左右します。Edge 流れ(メッシュの面構成)が乱れていないかは Smart Extrude 直後にチェックする習慣にしておくと、後段に TurboSmooth を積んだ際の表面破綻を予防できるでしょう。
注意点|複雑交差時の挙動と独立モディファイア化との混同
Smart Extrude は便利な反面、極端に複雑な交差を持つメッシュで想定外の Edge 流れが出ることがあります。押し出し直後にビューポート上で4角ポリゴンが整然と並んでいるかを確認し、不自然な三角ポリゴンが大量発生していたら Editable Poly に変換して手動でエッジを整え直す必要があります。
もうひとつの落とし穴が「Smart Extrude が独立モディファイアになった」という誤解です。2026の仕様は操作履歴のスタック保持であって、新しいモディファイア種類が追加されたわけではありません。サードパーティ製のKstudio Smart Extrude Modifier プラグイン(標準とは別系統)と混同しないよう、2026の機能は Autodesk 公式の標準機能として理解しておくのが安全です。
Boolean Modifier CARVE 高速化|2026の正しい読み方
3ds Max 2026では Boolean Modifier の CARVE アルゴリズム使用時に最大40%高速化していますが、ここを「Boolean全般が40%速くなった」「ProBoolean が40%速くなった」と誤読すると期待外れになります。指示書で示された「Boolean 40%=Boolean Modifier CARVE時」という表現は、対象が Boolean Modifier であり、エンジンが CARVE である、という二重の限定条件を意味します。読み違えると体感が伴わない、という点に気をつけたいところです。
Boolean系3種類の違い|Boolean Modifier/ProBoolean/Compound Boolean
3ds Max のBoolean系には、Boolean Modifier(モディファイア版、CARVE/Mesh/Solid の3アルゴリズム選択可)、ProBoolean(Compound Object 版、整然なポリゴン結果が得意)、旧 Boolean(Compound Object 版のレガシー)の3系統があります。2026の40%高速化は1番目の Boolean Modifier で CARVE を選んだ場合に限定されます(出典: AUGI「What’s New in 3Ds Max 2026」、2026年4月時点)。
CARVE は volume ベース(体積で処理する)のメッシング手法で、Mesh/Solid の2アルゴリズムよりも高速処理が可能になっています(出典: Autodesk 3ds Max 2026 Help「Boolean Modifier」)。建築VIZ で窓・ドアの開口を一括抜きするケースで、Boolean Modifier + CARVE の構成を選んでいた場合に体感差が出てきます。
モディファイア全般の高速化数値|Conform 40%・Array 15%・Displace 2.28倍
2026では Boolean Modifier 以外にも、Conform Modifier 最大40%、Array Modifier 最大15%、Displace Modifier 最大2.28倍と、複数モディファイアで全般的に高速化されています(出典: AUGI「What’s New in 3Ds Max 2026」/80.lv「Autodesk Launched 3ds Max 2026」、2026年4月時点)。
Displace Modifier の2.28倍は、テクスチャの濃淡をメッシュに変位として反映する処理で効きます。地形の起伏を表現する建築VIZの外構・ランドスケープ案件でちょうどこの処理を使うため、夜景パースで芝生面の微細な凹凸を表現する場面で待ち時間が縮みます。Array Modifier の15%は、商業施設のファサードに連続するルーバーやフィンを量産するときに、ベースモディファイアでさえ約2割近く速くなる、というイメージで捉えると実務感に近づきます。
実務で効くシーン|建築VIZの典型処理
具体的に効くのは、住宅外観の壁に窓開口を Boolean Modifier + CARVE で大量に抜く処理、地形 Plane に Displace Modifier で起伏を付ける処理、サッシ枠やフェンスを Array Modifier で量産する処理の3つでしょう。1案件あたりの待ち時間が秒単位で積み上がる作業ほど、累積効果が大きくなります。
注意点として、ProBoolean は今回の40%高速化対象に含まれていないため、整然なエッジが必要な開口処理でこれまで ProBoolean を選んでいた運用は、2026でも従来通り ProBoolean を使い続けるのが妥当な選び方になります。Boolean Modifier + CARVE は「速度優先で使う」、ProBoolean は「結果のきれいさ優先で使う」という使い分けを意識すると、判断が早くなるでしょう。
USD 双方向対応|2026のパイプライン強化点
USD(Universal Scene Description)はPixar発のシーン記述フォーマットで、Maya/Houdini/Unreal Engine などのDCC(Digital Content Creation)ツール間でシーンデータを受け渡す業界標準として広がっています。3ds Max 2026は、それまでインポート寄りだったUSD対応を双方向対応へ拡張し、Material・Skel Animation を含む受け渡し精度を引き上げました。
2026のUSD対応で何が双方向になったのか
Autodesk 3ds Max 2026 What’s New(2026年4月時点)とCG Channel「Autodesk releases 3ds Max 2026」によれば、USD for 3ds Max のバージョンが0.10になり、Layer Editor(USD レイヤー管理UI)が追加されました。さらに、Class prims の USD Explorer 表示と USD BasisCurves のビューポート表示にも対応しています。Material は USD Preview Surface / Physical Material / OpenPBR が双方向、Skel Animation はインポート対応、USD Exporter が OpenPBR を書き出せる、という構成です。
USD for 3ds Max 自体は2024年12月に Autodesk が GitHub でオープンソース化済みで、外部レンダラーや他DCCとの連携改善が継続的に進む流れの中での0.10リリースとなりました。プラグインが3ds Max 本体同梱になったため、別途インストールしなくても利用できる点も2026の利点でしょう。
Light Linking と USD Explorer の改善
2026の USD 強化で見落としがちなのが、Light Linking(特定のライトを特定オブジェクトにのみ作用させる機能)対応です。建築VIZの夜景パースで、間接照明と外光の相互干渉を分離して扱いたい場面で活用できます。
USD Explorer は Class prims(USD のクラス定義プリム)を表示できるようになり、シーン構造の把握が改善されました。Maya や Houdini からの USD ファイルで Class 継承を多用したアセットを受け取った際、3ds Max 側で構造を正しく把握できる範囲が広がります。
建築VIZでの典型シーン|Max → Unreal、Maya → Max
建築ビズ(建築のリアルタイム可視化)案件で、3ds Max でモデリングしたシーンを Unreal Engine に渡してリアルタイムウォークスルーを作る場面が増えています。USD 双方向対応により、マテリアル(OpenPBR)と階層構造を保ったまま Unreal にエクスポートできるようになり、再マテリアル割り当ての手戻りが減る方向に効きます。
映像系の協業案件では、Maya でリギング・スキニングを担当したキャラクター(人物アセット)を3ds Max 側で背景と合成してレンダリングする場面で、Skel Animation のインポート対応が活きてきます。建築単体の案件ではキャラクター需要は限定的ですが、商業施設のプレゼンで人物アセットを動かして見せたい用途では選択肢になるでしょう。
注意点として、ノード互換は完全ではないため、複雑なシェーディングネットワークやカスタムノードを多用したシーンの往復では、ベイクや簡略化が必要になる場合があります。
OpenPBR 既定化|2026マテリアル環境の中身
3ds Max 2026では、新規シーンの既定マテリアルがOpenPBRに切り替わりました。指示書で示された「OpenPBR=ASF(Academy Software Foundation)MaterialX 配下」という整理は、OpenPBRが Adobe/Autodesk 主導で2024年に立ち上がった経緯を反映しています。ASF(オープンソース映像技術団体)の MaterialX プロジェクト配下で標準化が進む仕様です。「Autodesk独自仕様」「Adobe独自仕様」と誤認しないことが、ベンダーロックイン懸念を切り離して評価する出発点になります。
OpenPBR の位置づけ|MaterialX 配下のオープン仕様
OpenPBR は、Autodesk Standard Surface と Adobe Standard Material の系譜を統合したオープンなシェーダー仕様で、ASF の MaterialX 配下プロジェクトとして標準化が進んでいます。3ds Max 2025.3 で先行サポートされ、2026から既定化された経緯です(出典: Autodesk 3ds Max 2026 Help「Default Material: OpenPBR」、2026年4月時点)。
旧シーンの Standard Material は維持されるため、過去プロジェクトを開いてマテリアルが自動破壊されることはありません。新規シーンを作るときの起点が変わる、という挙動の違いです。
Arnold/V-Ray/Corona 各レンダラーでの取り扱い
OpenPBR は、Arnold(標準同梱)、V-Ray、Corona の各レンダラーで段階的に対応が進む仕様です。Arnold は MAXtoA 経由で OpenPBR Surface に対応しており、3ds Max 2026 + Arnold 標準の組み合わせで OpenPBR をそのまま使えます。V-Ray / Corona 側は、Chaos がアップデートを継続中のため、納品案件で使う前に最新版の対応範囲を頭に入れておくと安心です。
D5 Render Forum での議論では、リアルタイムレンダラー側の OpenPBR 対応も話題になっており、3ds Max → D5 Render の建築ビズ連携でも将来的に効いてくる可能性があります。
旧 Physical Material からの移行は急がない
旧プロジェクトを2026で開く際、Physical Material をそのまま残すか OpenPBR に作り替えるかの判断は、案件継続性と次の改修予定で決めるのが無理のないルートでしょう。継続案件で半年以内に追加カット納品があるなら Physical Material のまま、新規案件として2026以降のワークフローを固めるなら OpenPBR ベースで作る、という二段構えで運用すると、移行コストが集中せず分散できます。
USD 経由でマテリアルを書き出す場合、OpenPBR は USD Exporter が対応済みのため、Material 互換が保たれやすい設計です。Physical Material 中心のシーンを USD で外部へ送る予定があるなら、エクスポート前に OpenPBR への置換を検討する価値があります。
2026のその他改善|Preserve Stack Position と新OSLマップ3種
4本柱以外で日々の操作感に効く改善が、Preserve Stack Position トグルと新OSLマップ3種(Perlage/Flow Map Transform/Numbered File Name v2)です。表立った話題には上がりにくいものの、建築VIZ実務で繰り返し触る機能のため、知っているかどうかで作業速度が変わります。
Preserve Stack Position|選択し直しの手間を減らす
Preserve Stack Position は、別オブジェクトを選択しても元のモディファイアスタック選択位置に戻れるトグル機能です。2025までは、家具Aの Edit Poly モディファイアを選択中に家具Bへ切り替え、また家具Aに戻ると、スタックの選択位置が初期化されてもう一度 Edit Poly を選び直す必要がありました。
2026以降、住宅シーンで複数の家具・建具を行き来しながら同じ階層のモディファイアを連続調整するケースで、選択し直しの手数が減ります。10オブジェクトを行き来する作業なら、1案件あたり数分から十数分の累積効果になるでしょう。
新OSLマップ3種|質感表現の標準環境化
OSL(Open Shading Language)は、ピクセル単位のシェーディングを記述する業界標準の言語で、3ds Max 2026では新OSLマップ3種が追加されました(2026年4月時点)。
| マップ名 | 役割 | 建築VIZでの想定用途 |
|---|---|---|
| Perlage | 環状の溝パターン生成 | 腕時計文字盤、金属表面装飾、円形紋様 |
| Flow Map Transform | OpenPBR 異方性方向制御 | ヘアライン金属、ブラッシュド仕上げ |
| Numbered File Name v2 | 連番ファイル参照の高度制御 | テクスチャアニメ、看板の表示切替 |
Perlage は、アンティーク時計の内側に見られる環状の溝パターンを生成するOSLマップで、金属面の装飾表現で出番があります。Flow Map Transform は、OpenPBR の Anisotropy(異方性)方向を正確に制御するためのマップで、ヘアラインステンレスやブラッシュド仕上げの金物で方向感を再現できます。Numbered File Name v2 は、連番ファイル参照の挙動を改良したマップで、テクスチャアニメや時間経過表現で活用できます(参考: 3D Architettura「3ds Max 2026 New Features」)。
旧バージョンからの移行ポイント
2024 → 2026 の差分は、OpenPBR 既定化/Smart Extrude 履歴保持/USD 双方向対応/モディファイア性能向上/OSLマップ追加と多岐にわたります。2025 → 2026 の差分は、上記のうち OpenPBR 関連は2025.3 で先行体験済みのため、Smart Extrude と Boolean Modifier CARVE と USD 双方向化が主な追加点です。
学習用途では、書籍・チュートリアルの多くが2024/2025を前提にしているため、教材を一通り終えてから2026に上げる順序が遠回りを減らします。新規案件で2026を選ぶ場合、レンダラー(V-Ray/Corona)側の OpenPBR 対応状況を事前に把握しておくと、納品段階での驚きを避けられるでしょう。
3ds Max 2027の追加機能|2026から上乗せされた要素
3ds Max 2027は2026年3月25日にリリース済みで、Smart Bevel/Noise Plus/Field Helper/Autodesk Assistant(AI Tech Preview)/MAXtoA 5.9.0/Arnold 7.5.0.0 の追加と、Windows 11 のみ対応への移行が主な変化点です。サブスク継続中で2026 → 2027 の判断を迫られている方は、2026を理解した上で2027の上乗せ部分を追加で把握する順序が無駄がないでしょう。
2027の主要追加機能
Smart Bevel は、Chamfer モディファイアと別系統の新しい面取り生成方式で、Boolean モデリングで生成された複雑な交差メッシュに対しても、隣接ポリゴンに依存せずクリーンな結果を出せます(出典: CG Channel「Autodesk releases 3ds Max 2027」、2026年4月時点)。建築VIZ では、ProBoolean / Boolean Modifier 後の開口エッジ仕上げで威力を発揮する想定です。
Noise Plus は、レガシー Noise モディファイアでは不可能だった効果を生成できる新ノイズモディファイアで、既定で Simplex ノイズを採用し、5種類のフラクタルノイズで詳細を加算できます。Phase アニメーション制御を持つフラクタル種もあり、地形・水面・揺らぎ表現の幅が広がります。
Field Helper は、プロシージャルプリミティブまたは閉じたメッシュからボリュメトリック場(空間内の値分布)を生成するヘルパーです。Volume Select モディファイアの精度を上げ、アニメーションコントローラ経由でオブジェクト・モディファイア・マテリアルのアニメ可能チャネルに影響を与えられます(出典: 3D Architettura「3DS Max 2027」、2026年4月時点)。
Autodesk Assistant は、AI Tech Preview 段階のアシスタント機能で、機能・ワークフロー検索、スクリプト生成、トラブルシューティング補助を担当します。新規ユーザーの導入障壁を下げる方向の機能で、社内導入時の習熟期間短縮に寄与する可能性があります。
MAXtoA 5.9.0/Arnold 7.5.0.0 とプラットフォーム要件
レンダラー側では、MAXtoA(3ds Max 用 Arnold プラグイン)が 5.9.0 にアップデートされ、Arnold 7.5.0.0 コアに対応しました。2026.2 以降の更新としては、Nearest Points Shader と Line Shader の追加、ボリュームレンダリング・ヘアシェーディング・薄膜効果の改善が含まれます(出典: CG Channel「Autodesk releases 3ds Max 2027」、2026年4月時点)。
プラットフォーム要件は、3ds Max 2027が Windows 11 のみ対応に絞られた点が最大の注意事項です。Windows 10 環境を継続している事務所では、OS 移行とソフトアップグレードのスケジュールを合わせる必要があります。.NET 10 採用と DirectX 9 サポート完全削除も2027からの変化点で、古いプラグイン・スクリプトの動作確認が必要になる場合があります。
競合動向|V-Ray 7 Update 3 と Corona 14
3ds Max のレンダラー側では、競合の Chaos 製品でも2026年に入ってアップデートが続いています。V-Ray 7 Update 3 では AMD GPU 対応が強化され、Corona 14 では既存ワークフローの改善が継続中です(一般的な業界動向、2026年4月時点)。3ds Max 2026/2027 のどちらに上げるかを判断する際、自社のレンダラー構成(Arnold 標準同梱で済ませるのか、V-Ray/Corona を併用するのか)と合わせて決めると、更新タイミングの見通しが立てやすくなるでしょう。
詳細な操作手順や Editable Poly の基本は3ds Maxモデリング基礎で解説しており、機能領域の俯瞰は3ds Max の機能を6領域で徹底解説で全体像をつかめます。マテリアル設定の OpenPBR 詳細は3ds Maxマテリアル設定ガイドで深掘りしているため、この記事と合わせて参照すると、2026の変化を機能領域ごとに腹落ちさせられます。
2026を入れた現場で何が変わるか|1ヶ月後・1年後の景色
Smart Extrude の履歴保持と Boolean Modifier の高速化が日常業務に組み込まれると、窓開口の修正リクエストに対する打ち返しが半日単位から数十分単位に短縮される現場が増えるでしょう。これが3カット以上の住宅案件で積み重なると、月次の対応可能件数そのものが変わります。導入から1ヶ月で「窓位置の3案出し」がモデリング工程の標準ルートに組み込まれ、半年から1年で OpenPBR ベースのマテリアル資産が事務所ごとに蓄積されていく流れが見えてきます。
USD 双方向対応が定着すると、3ds Max → Unreal Engine の建築VIZ連携で再マテリアル割り当ての手戻りがほぼなくなる現場が出てきます。設計事務所の協業先が Maya や Houdini を使うケースでも、シーン受け渡しの摩擦が下がるため、外部協業の選択肢が広がるでしょう。2026を入れた人と入れなかった人で、1年後の対応可能案件の幅に決定的な差が出てくる可能性があります。
まとめ|3ds Max 2026は4本柱で押さえる
3ds Max 2026は、Smart Extrude の履歴保持(モディファイアスタックに押し出し操作履歴を保持する設計)、Boolean Modifier の CARVE アルゴリズム使用時に最大40%高速化(ProBoolean は対象外)、USD 双方向対応の拡張(Material/Skel Animation/Light Linking/Class prims 等)、OpenPBR 既定化(ASF MaterialX 配下のオープン仕様、新規シーンのみ既定化)の4本柱で押さえると、機能の地図が頭に入ります。Conform Modifier 最大40%・Array Modifier 最大15%・Displace Modifier 最大2.28倍の高速化や、Preserve Stack Position トグル、新OSLマップ3種(Perlage/Flow Map Transform/Numbered File Name v2)も、日々の作業速度に効く改善です。
3ds Max 2027が2026年3月25日にリリース済みで、Smart Bevel/Noise Plus/Field Helper/Autodesk Assistant(AI Tech Preview)/MAXtoA 5.9.0/Arnold 7.5.0.0 の追加と Windows 11 のみ対応への移行が上乗せされています。標準サブスクUSD 2,010/年・IndieライセンスUSD 330/年(公式Pricing、2026年4月時点)の更新タイミングで、2026か2027かを判断する際は、OS環境・レンダラー構成・継続案件のスケジュールを揃えてから上げる順序が、業務停止リスクを抑える妥当な選び方になります。
あわせて読みたい
- 3ds Max の機能を6領域で徹底解説|モデリング・マテリアル・ライティング・レンダリング・アニメ・ビューポート全体像 — 2026の変化を機能領域ごとに俯瞰したい方へ
- 3ds Maxモデリング基礎|Editable Polyとモディファイアスタックの使い方を10機能で解説 — Smart Extrude の前提となる Editable Poly の基本を押さえたい方へ
- 3ds Maxマテリアル設定ガイド|Physical Material/シェーダー基礎 — OpenPBR 既定化の影響を体系的に理解したい方へ
- 3ds Max DCC・レンダラー連携ハブ|V-Ray/Corona/Arnold/Substance連携 — USD 経由の他ツール連携を深掘りしたい方へ
- 3ds Max完全解説ガイド|プロが使う建築ビジュアライゼーションの標準ソフト — 3ds Max 全体像から学習計画を立てたい方へ



