建築士とCAD|製図の試験は手描き・CADオペレーターの仕事は実務経験になるか・学ぶ順【2026年版】

一級・二級建築士の設計製図の試験は、パソコンや CAD を使わない手描きの試験です。この記事では、試験の携行品の決まりと日程、CADオペレーターの仕事が建築士の実務経験になるかを公式の資料で確かめ、建築士を目指す人が CAD とパースをどの順で学ぶかを解説します。
更新日 2026年11月4日/携行品・日程・受験資格・実務経験の決まりは、2026年11月4日に公益財団法人 建築技術教育普及センターの公式サイトと資料で確かめました/監修 六波羅 涼(PERSC代表)
この記事の書き手は、建築CADのオンライン講座を運営している PERSC です。建築士の試験の決まりは、試験を行う建築技術教育普及センター(以下、センター)の公式サイトと資料で確かめました。課題の中身や解き方は扱いません。
建築士の設計製図の試験でCADは使える?
一級・二級建築士の設計製図の試験では、パソコンや CAD は使えません。センターの試験当日の注意事項には、「必ず携行するもの」と「携行できるもの」以外は使用できないと書かれています。どちらの欄にも、パソコンや CAD は入っていません。

設計製図の試験で持っていく物と、持っていけない物は次のとおりです。
- 必ず携行するもの:受験票・黒鉛筆(HB か B 程度・シャープペンシルも可)・消しゴム
- 携行できるもの:製図板・T定規・平行定規・三角定規・型板・三角スケール・コンパス・電卓(プログラム機能のないもの)・法令集(2冊まで)など
- 携行できないもの:ドラフター・点線を引ける型板・メモ用紙・トレーシングペーパー・電動消しゴムなど
スマートフォンやスマートウォッチも、試験の時間内は使えません。答案用紙には、1目盛り4.55mm の方眼が付いています(二級の課題のページ)。
手描きにしている理由は、公式には書かれていない
試験を手描きにしている理由は、センターの試験のページには書かれていません。「試験に CAD を使えるようになるか」についても、2026年11月4日の時点で、センターのページにお知らせはありませんでした。
2026年の試験の日程と、2027年の見通し
設計製図の課題は、試験の前に公表されます。2026年(令和8年)の日程は次のとおりでした。
| 項目 | 一級建築士 | 二級建築士 |
|---|---|---|
| 設計製図の課題の公表 | 7月24日 | 6月24日 |
| 学科の試験 | 7月26日(日) | 7月5日(日) |
| 設計製図の試験 | 10月11日(日)11:00〜17:30 | 9月13日(日)11:00〜16:00 |
| 設計製図の合格者の発表 | 12月23日(予定) | 12月3日(予定) |
| 受験手数料 | 17,000円(非課税) | 18,500円(非課税) |
設計製図の試験は、学科の試験に合格しないと受験できません。2027年(令和9年)の日程と課題の公表の時期は、2026年11月4日の時点で、まだ公式サイトに出ていません。

課題の名前と要求される図書は、センターの一級建築士の設計製図の課題のページと二級建築士の設計製図の課題のページに載っています。過去の試験問題も、センターが公開しています。
建築士とCADオペレーターの違い
建築士は、建築士法に基づく国家資格です。センターの資料では、建築士は「建築物の設計及び工事監理等の業務を行う者」とされています。一定の建物の設計と工事監理は、建築士でないと行えません。建築士になるには、試験に合格したあと、登録をして免許の交付を受けます。
CADオペレーターは、設計者がまとめた内容を CAD で図面にする仕事です。CADオペレーターになるための国家資格はありません。仕事の中身と働き方は、CADオペレーターとは|仕事内容・必要なスキル・年収・なり方をわかりやすく解説【2026年版】で解説しています。
- 建築士:国家資格。設計と工事監理を行い、図面の内容に責任を持つ
- CADオペレーター:資格は要らない。CAD で図面を作図し、設計者の指示で直す
どちらも CAD を使いますが、建築士は CAD を設計の道具として使い、CADオペレーターは作図そのものを受け持ちます。
CADオペレーターの仕事は、建築士の実務経験になる?
CAD で図面を写すだけの仕事は、建築士の実務経験になりません。センターの二級・木造建築士試験の実務経験の要件の資料は、「単なる写図工若しくは労務者としての経験」を含まないとしています。設計段階や施工段階の詳細図の作成も実務の例に挙がっていますが、そこには「オペレーターを除く」の添え書きがあります。
実務の例として同じ資料に挙がっているのは、次のような仕事です。
- 建築士事務所で行う、建物の設計の図書の作成
- 確認申請に用いる図面の作成
- 設計段階や施工段階の詳細図・施工計画図書の作成(オペレーターを除く)
日本建築士会連合会の登録の案内も、実務経験の期間を「対象実務を行った期間の合計」とし、「建築関係の会社の所属期間ではありません」と念を押しています。会社や職種の名前より、その仕事で何をしたかが見られるということです。一級建築士の免許の登録のときの対象実務は、連合会の「対象実務の例示コード表」で確かめられます。
実務経験が要る時期は、一級と二級で違う
2020年(令和2年)3月1日の建築士法の改正で、一級建築士の実務経験は、合格後の免許の登録のときに審査される決まりになりました。改正の前は、受験のときに審査していました。
| 項目 | 一級建築士 | 二級建築士・木造建築士 |
|---|---|---|
| 受験資格 | 指定科目を修めて卒業した人・二級建築士・建築設備士など | 指定科目を修めて卒業した人(実務は最短0年)・建築設備士(0年)など |
| 建築に関する学歴が無い人 | 二級建築士か建築設備士を取得すれば受験できる | 建築実務の経験7年以上で受験できる |
| 実務経験の審査 | 合格したあと、免許の登録のとき | 学歴が無い人は、受験のときに7年以上 |
二級建築士を取得してから一級建築士を受験した人が一級の免許を登録するには、二級建築士を取得したあとの実務経験が4年以上要ります。

実務経験に当たるかの判断が難しいときは、都道府県やセンターが、設計図面などの書類を追加で求めることがあります。CADオペレーターとして働きながら建築士を目指す人は、自分の仕事が実務の例のどれに当たるかを、センターの資料で前もって確かめておくと安心です。

試験は手描き、仕事の図面は CAD
試験は手描きで受験しますが、設計の仕事では、CAD で図面を作図するのが一般的です。建築士を目指す人は、試験のための手描きの製図と、仕事のための CAD やパースを分けて考えると、学ぶ順を決めやすくなります。
手描きの製図は試験のために
設計製図の試験は、決まった時間の中で、課題に沿った図面を手で描き切る試験です。試験の対策は、製図の道具を使って、時間内に描く練習が中心になります。
仕事で使うCADのソフト
建築の図面に使う CAD には、2次元で作図するソフトと、建物を3次元のモデルで作る BIM のソフトがあります。
- 2次元の CAD:Jw_cad(無料・Windows)・AutoCAD・Vectorworks など
- BIM:Archicad・Revit・Vectorworks など
- パース:Blender・Twinmotion・Lumion など
建築CAD検定試験の受験者が使ったソフトは、2025年度のどの級でも Jw_cad が最も多く、6〜7割台でした。2番目はAutoCADです。これは検定の受験者の数で、建築の会社全体の数ではありません。
どのソフトを使うかは、会社によって違います。働きたい会社が決まっているなら、求人に書かれた使うソフトを見てから選ぶのが確かです。
CADとパースを学ぶ順
CAD とパースを学ぶ順として、この記事では、2次元の CAD → BIM → パースの順をすすめます。前のソフトで作った物が、次のソフトの土台になるためです。
- 2次元の CAD:平面図・立面図・断面図を作図する。手描きの製図と同じ図面の決まりを使う
- BIM:建物を3次元のモデルで作り、そこから図面を取り出す
- パース:モデルに光と質感を付けて、完成の姿を絵にする
CAD を独学で始める手順は、CADの勉強方法|独学・講座・職業訓練の選び方と、何から始めるかの手順【2026年版】で解説しています。パースを学ぶ順は、建築パースの勉強方法|手描きパースを独学で描けるようになる順番と、3DCGへの進み方【2026年版】とBlenderの勉強方法|独学の学習ロードマップと、何から始めるか【2026年版】にまとめました。
試験の時期は製図の対策を先に
2026年は、設計製図の課題の公表から試験まで、一級でおよそ2か月半、二級でおよそ2か月半でした。この期間は手描きの製図の対策を先にし、CAD とパースの勉強は、試験の前後に回す形が考えられます。
建築士を目指す人に、CAD の資格は要る?
建築士の試験と CAD の資格のあいだに、科目の免除などのつながりはありません。センターの試験と受験資格のページには、CAD の資格の記載がありません。
CAD の資格は、建築士の試験とは別に、CAD で作図できることを示す材料の1つです。
- 建築の図面を CAD で作図する力:建築CAD検定試験・2次元CAD利用技術者試験
- BIM の力:BIM利用技術者試験
建築CAD検定の級と日程は、建築CAD検定|級ごとの試験の中身・合格率・日程とJw_cadでの受け方【2026年版】で解説しています。CAD の資格の種類と選び方は、CADの資格11選|種類・難易度・受験料と、建築の仕事での選び方【2026年版】にまとめました。
よくある質問
Q一級建築士の設計製図の試験で、パソコンは使えますか?
使えません。携行できる物にパソコンや CAD は入っていないので、図面は手で描きます。二級建築士の設計製図の試験も同じ決まりです。
QCADオペレーターから建築士になれますか?
建築士の試験に合格して免許を登録すれば、なれます。ただし、CAD で図面を写すだけの仕事は実務経験になりません。建築に関する学歴が無い人が二級建築士を受験するには、実務経験の例に当たる建築実務が7年以上要ります。
Q建築士の勉強と、CAD の勉強は同時にできますか?
できますが、試験の直前は製図の対策が先になります。2026年は、一級の課題が7月24日、二級の課題が6月24日に公表されました。そこから試験までは、2か月半ほどでした。
Q学生のうちに、どの CAD から触ればよいですか?
手描きの製図と同じ図面の決まりで作図できる、2次元の CAD から始めると、学校の製図の課題とつなげやすくなります。Jw_cad は無料のソフトで、Windows で動きます。