Blenderに必要なPCスペック|建築パース制作者向け基準を整理

2025年11月にリリースされた Blender 5.0 で、対応 GPU の最低要件が GeForce 900 シリーズ以降・AMD GCN 4th gen 以降・Intel Kaby Lake 以降へ引き上げられました。同時に Intel Mac サポートも停止し、Apple Silicon が前提になっています(出典: Blender 5.0 Release Notes、2026年5月現在)。建築パース制作のためにBlenderを使いたい方にとって、「今のPCで動くのか」「これから買うならどの構成か」を判断する基準値が一段と重要になりました。

この記事では、建築パース(建築archviz)に必要なBlender PCスペックを、VRAM・GPU・RAM・CPUの基準値と、入門・中級・プロの予算別構成3パターンに整理して提示します。対象 Blender バージョンは現行の 5.1 系、および旧GPUを継続利用したい方向けの 4.5 LTS(サポート2027年まで)です。

ゲーミングPCと建築archvizでは、優先すべきパーツの順番が異なります。VRAMの重要性から順番に取り上げます。

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目次

Blender建築パース制作でPCスペックが重要な理由

建築パース制作向けのBlender PCは、ゲーミング用途とは要求スペックの優先順位が異なります。最大の違いはVRAM(GPUに搭載されている専用メモリ)の容量で、大型建築シーンや高解像度テクスチャを扱うときにVRAMが不足すると、レンダリング処理が著しく遅くなるか、エラーで停止します。

ここで言う建築archviz(アーキテクチャル・ビジュアライゼーション/建築パース制作)は、住宅・集合住宅・商業建築・都市スケールの3DCG画像や動画を作る分野を指します。

建築シーンでVRAM不足が起きる仕組み

ボトルネックはVRAMに起因することがほとんどです。BlenderのレンダリングエンジンであるCyclesでGPUレンダリングを行うとき、シーン全体のデータ(メッシュ・テクスチャ・マテリアル)はGPUのVRAMに読み込まれます。VRAM容量を超えるシーンを扱うと、Cycles 4.x 以降では次の3パターンのいずれかで挙動が分岐します(出典: Blender 5.1 Manual|GPU Rendering)。

1つ目は、VRAMからシステムRAMにあふれる out-of-core レンダリングへの切り替えで、転送オーバーヘッドのため処理速度が著しく低下します。2つ目は、Cycles の設定によっては CPU レンダリングへフォールバックする挙動で、フレームあたりの所要時間が数倍に伸びます。3つ目は、メモリを確保できない場合に「Out of memory」エラーで停止する挙動です。

建築archvizではこの問題が起きやすい構造になっています。4K解像度のテクスチャを複数の家具・床材・カーテンに使い、家具の脚元やカーペットの毛足を細かいポリゴンで表現すると、VRAM使用量は急増します。住宅案件でリビング・ダイニング・キッチンの3カットを納品するとき、家具のセットだけで使用量が VRAM 容量の70〜80%を超え、最後の数枚で速度が落ちる現象は制作の現場でよく報告されます(iRendering|Solving the Out of GPU Memory Error in Blender 参照)。

Blenderが「重い」「遅い」と感じる原因の多くは、CPUやRAMではなくVRAMの容量不足にあります。スペック選びでVRAM容量を後回しにすると、GPUのコア性能が高くてもボトルネックが解消されません。

ゲーミングPCと建築archviz向けPCの違い

ゲーミングPCと建築archviz向けPCでは、優先するパーツの順番が変わります。違いを表でまとめます。

項目 ゲーミングPC基準 建築archviz基準
最優先パーツ GPUコア性能(フレームレート) VRAM容量(シーン規模上限)
GPU VRAM 8GBで十分なケースが多い 16GB以上が快適ライン
RAM 16GB 32GB以上
CPU シングル性能(応答) GPU主体ならシングル、CPU併用なら多コア
ストレージ SSD 500GB NVMe SSD 1〜2TB(テクスチャ保管)
用途特性 リアルタイム描画(毎秒数十枚) オフラインレンダリング(1枚を時間をかけて計算)

ゲーミングPCはリアルタイムにフレームを描画し続ける処理が主体で、シーンに使うテクスチャ容量が抑えられているためVRAM 8GBでも問題が起きにくい設計です。一方、建築archvizは1枚の画像をじっくり計算する処理で、シーンに含まれる情報量がそのままVRAMに乗ります。「ゲーミングPCが高性能だから建築パースも快適」という前提では選定を誤るため、VRAMを中心に据えて見直すと判断を誤りません。

パーツ別スペック基準(Blender 5.1 / 4.5 LTS 対応)

建築archvizでBlenderを快適に使うには、パーツ別の基準値を把握することが出発点です。とりわけGPUのVRAM容量はシーン規模の上限を決める最重要パーツで、ここを外すと他のパーツがどれだけ強くても性能が引き出せません。

対象 Blender バージョンは 5.1 系(最新安定版)と 4.5 LTS(2027年までサポート)です。Blender 5.0 で GPU 最低要件が引き上げられたため、現役の GPU かつ建築用途で使えるラインを以下にまとめます。なお Blender 5.0 で Intel Mac サポートは終了しており、Mac 環境は Apple Silicon(macOS 13 Ventura 以降)が前提です(出典: Blender 5.0 Release Notes)。

パーツ 最低ライン 快適ライン プロ推奨
GPU VRAM 8GB 16GB 24〜32GB
RAM 16GB 32GB 64GB
CPU 8コア/16スレッド 12〜16コア 16コア以上
ストレージ SSD 500GB NVMe SSD 1TB NVMe SSD 2TB以上
OS Windows 10 64bit/macOS 13+ Windows 11/macOS 14+ Windows 11/macOS 15+

GPU(グラフィックカード)とVRAM

建築archvizでGPUを選ぶ最大の決め手はVRAM容量。シーンが乗りきるかどうかが品質と速度を直接左右するためです。

VRAM 8GBは Blender公式の推奨値で、戸建て住宅の内観や、高解像度テクスチャを使わない外観パースであれば対応できます。VRAM 16GBになると、集合住宅や商業建築の内外観で4Kテクスチャを複数使えるようになり、家具・植栽・人物の追加にも耐えます。VRAM 24GB以上は、大規模施設・都市スケールやアニメーション制作向けで、長時間ジョブでも余裕を持って回せる容量です。2025年に登場した NVIDIA RTX 5090 は VRAM 32GB(GDDR7) で、Cyclesベンチマークで RTX 4090 比 約36%の性能向上が報告されています(出典: Tom’s Hardware RTX 5090ベンチBlender Open Data、2026年5月現在)。

メーカー別のレンダリングバックエンド対応も整理しておきます。Cycles のGPUバックエンドは現在5系統(CUDA/OptiX/HIP/oneAPI/Metal)で構成されています。

メーカー バックエンド 建築archviz向け評価
NVIDIA CUDA / OptiX 最も成熟、デノイザOptiXあり
AMD HIP / HIP-RT RDNA2以降で実用化、OptiX比で最適化遅れ
Intel oneAPI(Arc系) 対応はあるが選択肢が限定的
Apple Metal M1以降、M4 Max は RTX 4070デスクトップ相当

NVIDIA RTX系はCUDA/OptiXによるGPUレンダリングとAIデノイザ(ノイズ除去機能)に対応しており、建築用途で最も情報量が多く、業務利用でも選ばれやすい状況にあります。AMD は HIP-RT が Blender 3.5以降で実用化し、Radeon RX 7900 XTX などのRDNA3世代で大きく改善しましたが、NVIDIA OptiX 比では安定性・速度の面で差があります。Intel Arc は oneAPI 対応が進行中で、Apple Silicon は Metal バックエンドで M4 Pro/M4 Max が建築archvizの中規模シーンまで手の届く選択肢になりました(出典: BlenderNation M4レビュー)。

OptiX デノイザを使うときは1つ注意点があります。OptiX デノイザは HIP や OpenImageDenoise(OIDN)より VRAM 消費が大きく、VRAM ぎりぎりの構成では監視が必要です。残量5〜10%を切る状況が続く場合は、デノイザを OIDN に切り替えるか、シーンを軽量化する判断が必要になります。価格帯としては、VRAM 24GB 以上のクラスは高価格帯になります。

RAM(メインメモリ)

RAMは、CPUレンダリング時とシーンデータの展開時、そしてVRAMがあふれた際の受け皿として機能します。VRAMが足りなくなったときにシステムRAMに out-of-core であふれる挙動を考えると、RAM容量が少ないとクラッシュの原因になります。

16GBは最低ライン。建築の小〜中規模シーンであれば動作しますが、PhotoshopやAffinity Photoなどの画像編集ソフトを同時に開いたり、ブラウザでリファレンスを多数開いたりすると不安定になる場面があります。32GBは建築制作の標準的な選択で、4Kテクスチャを複数使う大型シーンでも安定して動きます。64GBはCPUレンダリングを主体にする場合や、長尺アニメーション制作向けです。VRAM 16GB+RAM 32GB の組み合わせは、業務利用でもっともバランスの取れる構成といえます。

CPU(プロセッサー)

GPUレンダリングが主体の建築archvizでは、CPUはモデリング操作・ビューポート応答・シーン編集の快適さを担います。GPU側で重い計算を回しても、シーン編集中に画面がカクつくとUI操作が苦痛になります。

GPUレンダリングを主体にする場合は、シングルコア性能の高さを重視してください。モデリング中のメッシュ編集や、マテリアルプレビュー時の応答速度を左右します。CPUレンダリングも併用する場合は、マルチコア数を重視します。Cycles はCPU+GPUのハイブリッドレンダリングにも対応していますが、タイルサイズの調整が必要で、必ずしもGPU単体より速くなるわけではない点には留意してください。同時利用時はCPU/GPUの性能差で律速されることがあります(出典: Blender Developer Forum: Hybrid rendering)。

CPUの仕組み・コア数の意味・IntelとRyzenの違いといった詳細は、CPUとは?制作環境での役割と選び方|建築3DCG・Blender向けに整理で解説しています。

ストレージ

ストレージは、起動・プロジェクト読み込み・テクスチャアクセスの速度に影響します。HDDではBlenderプロジェクトやテクスチャの読み込みが遅く、シーンを開くだけで数十秒〜数分かかる場面があるため、SSD必須です。

NVMe SSDは通常のSATA SSDより読み書きが数倍高速で、テクスチャライブラリを多用する建築archvizで体感差が大きく出ます。容量は500GB〜1TBが最低ラインですが、テクスチャライブラリ(Quixel Megascans やHDRIライブラリ)とレンダリング出力(4K静止画+一部動画)を保管する場合は、2TB以上が快適です。Cドライブを1TB、データ用Dドライブを2TBの2台構成にする組み合わせも一般的です。

VRAMとシーン規模の対応関係

VRAM容量が変わると、快適に制作できる建築シーンの規模が変わります。事前にどの規模のシーンを制作するかを想定しておくと、必要なVRAM容量が逆算できます。

VRAM容量 対応シーン規模 想定建築用途
8GB 小〜中規模 戸建て住宅内観(テクスチャ2K以下)、外観パース1〜2カット
16GB 中〜大規模 集合住宅・商業建築の内外観、4Kテクスチャ複数、植栽・人物配置
24GB 大規模 大型商業施設、複雑な家具レイアウト、短尺アニメーション
32GB 大規模+ 都市スケール、長尺アニメーション、複数カットの連続レンダリング

VRAM容量別の対応シーン規模の目安

VRAM 8GB の環境では、戸建て住宅の内観1〜2カットや、外観パースが無理のない範囲です。家具を増やしたり、4Kテクスチャを多用したりすると VRAM 上限に達しやすく、レンダリング途中で速度が落ちる現象に出会います。

VRAM 16GB は、集合住宅や商業建築の内外観で4Kテクスチャを複数使うケースに対応します。家具・植栽・人物を加えても、Quixel Megascans の高解像度アセットを数十点配置するレベルまでは余裕を持って扱えます。VRAM 24GB は大規模施設や都市スケール、短尺アニメーション制作で力を発揮します。VRAM 32GB クラス(RTX 5090 など)は、長尺アニメーションや複数カットの連続レンダリングを想定する制作環境で余裕を生みます。

シーン制作中に「重い」と感じたら、まず VRAM 使用量を確認することをおすすめします。Blender内ではトップバー右側の統計情報(Cycles GPU 使用時)で確認でき、外部ツールでは GPU-Z や HWiNFO64 などで使用率の推移をモニタリングできます。

VRAM不足のサインと対処方法

VRAM不足が起きると、いくつかの特徴的なサインが現れます。レンダリングが突然遅くなる、進捗バーが一時停止したかのように動かなくなる、Blenderの情報パネルに「Out of memory」と表示される、レンダリング中にシステムRAMの使用量が急増する、といった現象です。これらに気づいたら、GPU を買い替える前に試せる対処法があります。

一時的な対処として効果的なのは以下の方法です(出典: Artisticrender|Memory optimization for rendering in BlenderDigital Art Hub|How to reduce and lower VRAM usage in Blender)。

1つ目は、テクスチャ解像度を下げる方法です。4Kテクスチャを2Kに置き換えるだけで、VRAM消費が大幅に下がります。2つ目は、オブジェクト複製を Shift+D(実体コピー)ではなく Alt+D(インスタンス化)で行う方法です。同じメッシュを参照するインスタンスはVRAM上で1つのデータを共有するため、家具を10個並べるシーンで効果が大きく出ます。3つ目は、Subdivision Surface(曲面細分化)のレベルを下げる方法で、ビューポートで2、レンダリングで3〜4に抑えるだけでメモリ消費が抑えられます。

4つ目は、大型背景(都市・植栽)を画像板(プレート)にベイクして差し替える方法です。遠景の植栽や周辺ビルを3Dメッシュではなく1枚の画像として配置すれば、ポリゴン数とテクスチャ数を一気に削減できます(Gachoki: How To Speed Up Cycles Render)。5つ目は、編集中はマテリアルプレビュー/レンダープレビュー視点ではなく、Solid(ソリッド)視点に戻しておく方法です。プレビュー視点は常に裏でレンダリング情報をVRAMに保持するため、編集時のVRAM圧迫を回避できます。6つ目は、デノイズデータパスで Albedo/Normal を有効化する方法で、低サンプル数でも品質を保てるため計算量を抑えられます。

これらを試してもVRAM不足が解消しない場合は、根本的な解決としてVRAM容量の多いGPUへの交換を検討する段階です。

予算別推奨PC構成3パターン

入門・中級・プロの3つの予算帯別に、建築archviz向けのBlender PC構成の目安を以下にまとめます。価格は市況によって変動するため定性表現にとどめ、スペック基準値を中心に提示します。

構成 GPU VRAM RAM CPU ストレージ 想定用途
入門 8GB 16GB 8コア/16スレッド SSD 500GB 戸建て住宅内観・小規模パース
中級 16GB 32GB 12〜16コア NVMe SSD 1TB 集合住宅・商業建築・業務利用
プロ 24GB以上 64GB 16コア以上 NVMe SSD 2TB以上 大規模施設・アニメーション制作

入門構成(Blenderで建築パースを試してみたい)

Blenderで建築パースを始める方の最低構成です。VRAM 8GB(NVIDIA RTX 4060 など)、RAM 16GB、CPU 8コア以上、SSD搭載機が起点になります。戸建て住宅の内観や、テクスチャを抑えた外観パースであれば1〜2カット単位で制作できる範囲です。

今のPCで GPU の VRAM 容量が 8GB 未満なら、まず GPU のアップグレードを優先的に検討してください。CPU や RAM が低めでも、VRAM さえあれば Blender の挙動は大きく改善するためです。中古市場では旧世代の RTX 4060 や RTX 3060 12GB が選択肢になることがあります。

中級構成(日常的に建築パース制作を行う実務者向け)

業務として日常的に建築パースを制作する方向けの構成です。VRAM 16GB(NVIDIA RTX 4070 Ti SUPER/RTX 5070 Ti など)、RAM 32GB、CPU 12〜16コア、NVMe SSD 1TB が快適ラインになります。集合住宅・商業建築の内外観で4Kテクスチャを複数使うケースや、Quixel Megascans の高解像度アセットを多用するケースに対応します。

建築事務所やフリーランスで Blender を業務利用する方の多くが、この構成帯を主力にしています。価格帯としては中〜高価格帯ですが、レンダリング待ち時間の削減効果が業務時間を左右するため、中級構成への投資判断は業務利用で合理性が高いといえます。

プロ構成(大型案件・アニメーション制作向け)

大規模施設の案件や、アニメーション制作まで視野に入れたプロ向けの構成です。VRAM 24GB 以上(RTX 4090 で 24GB、RTX 5090 で 32GB/GDDR7)、RAM 64GB、CPU 16コア以上、NVMe SSD 2TB 以上が目安です。RTX 5090 は Cycles で RTX 4090 比 約36%の性能向上が報告されており、長時間のレンダリングジョブが多い制作環境で投資回収しやすい構成になります。

価格帯は高価格帯ですが、大型案件の納期短縮効果・連続レンダリングのジョブ安定性で回収を見込む判断になります。1案件あたりのレンダリング工数を数時間単位で短縮できるため、受注ベースで業務を回している事務所では視野に入る選択肢です。

ノートPCと自作デスクトップPCの選択

建築パース制作ではデスクトップPCが有利ですが、外出先や現場プレゼンを重視する場合はノートPCも選択肢になります。選び方のポイントは「移動の有無」と「VRAM要件」の2つです。

ノートPCを選ぶべき場合とデスクトップPCを選ぶべき場合

ノートPCは、外出・現場プレゼン重視で、小〜中規模シーンが中心の方に向きます。ただし VRAM は 16GB モデルが最低ラインで、RTX 4060 Laptop(VRAM 8GB)は建築用途で不足になりやすいため、RTX 4080 Laptop(12GB)以上、または RTX 5080 Laptop(16GB)を選ぶことをおすすめします。デスクトップPCと同名GPUでも、ノート版はTGP(消費電力枠)が低く性能が抑えられる点には注意してください。

デスクトップPCは、長時間制作・大規模シーン・コスパ重視の方向けです。同じ価格帯であれば、ノートPCよりGPU性能とVRAM容量が高くなりやすく、冷却にも余裕があるため長時間レンダリングで安定します。建築制作の大半が事務所内であれば、デスクトップを主力にノートPCをサブにする組み合わせが業務利用でも合理的です。

Mac環境を検討している方には、Apple Silicon ノートも視野に入る選択肢になりました。M4 Pro/M4 Max は Cycles で RTX 4070 デスクトップ相当の性能(Metal バックエンド経由)が報告されており、とりわけ M4 Max は外出先で建築パースを編集・確認する用途に十分な性能を持ちます(出典: BlenderNation M4レビュー)。ただし NVIDIA OptiX 相当の専用ハードウェアBVH加速はないため、超大型シーンの最終レンダリングは Windows + RTX デスクトップに分担する運用も検討してください。Blender 5.0 以降 Intel Mac は非対応になっているため、Mac 環境は Apple Silicon が前提です。

現在のPCのボトルネック確認方法

新しいPCを買う前に、まず今のPCでどこがボトルネックになっているかを最初に確認します。「重い」原因が VRAM なのか、RAM なのか、CPU なのかによって、必要な投資が変わるためです。買い替えの前にこの確認を挟むと、無駄な投資を避けられます。

VRAM・RAM・CPUの使用状況を確認する

確認のポイントは3つです。GPU VRAM の使用量は、Blender ヘッダー上部に表示される統計情報(Cycles GPU 使用時に「VRAM: ○○/○○ MB」と表示)で見るか、外部ツールの GPU-Z/HWiNFO64/NVIDIA SystemMonitor で時系列モニタリングします。レンダリング中に VRAM 使用量が容量の80%を超え続けるなら、VRAM 不足の可能性が高いと判断できます。

RAM 使用量は、Windows ならタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブで確認できます。Blender 起動中+シーン編集中に RAM 使用率が90%超えを継続するなら、RAM 増設が有効です。CPU 使用率は同じくタスクマネージャーで確認し、レンダリング中ではない通常編集時に CPU 使用率が常時90%超なら、CPU 側のボトルネックの可能性があります。

これらを30分〜1時間ほど制作しながら観察すると、自分のPCの何が一番足を引っ張っているかが見えてきます。VRAM 不足が大半のケースで原因になりますが、思い込みで GPU を買い替える前に、客観的な数値で確認することをおすすめします。

Blender PC構成を編集部が読み解いた所感

ここまでの基準値と各メーカーの公式情報・海外コミュニティの知見を編集部が読み解いた所感をまとめます。実機ベンチマークや取材ログにもとづく一次データではなく、公式ドキュメントと海外レビューの共通見解からの整理である点はお断りします。

総合的に見ると、建築archvizでBlenderを使う方が最初に押さえるべきは「VRAM容量の確保」の一点です。CPUコア数の積み増しやRAMの大容量化よりも、VRAMを中心に据えて予算配分を考えた構成が結果的に費用対効果が高くなります。海外の Blender Developer Forum や Artisticrender、iRendering などのコミュニティを横断的に見ると、「VRAM 16GB を最低ラインに据えて中級構成から始める」「VRAM 不足は GPU 買い替えより先に Alt+D インスタンス化や背景プレート化で改善できる」という見解が共通しています。

コスト面では、入門構成は中〜中低価格帯、中級構成は中〜高価格帯、プロ構成は高価格帯の範囲に収まります。中級構成は業務での快適さと投資効率のバランスが最も良く、Blenderを業務利用するなら最初の候補としておすすめできる範囲です。

制約・注意点としては、Blender 5.0 以降の GPU 要件引き上げで旧世代 GPU(GTX 800 シリーズ以前)が非対応になった点、Intel Mac サポート停止により Mac 環境は Apple Silicon が前提になった点、AMD HIP-RT は実用段階に入ったものの大型シーンでは NVIDIA OptiX 優位が続いている点が挙げられます。VRAM ぎりぎりの構成では OptiX デノイザの VRAM 消費が大きいため、OIDN への切り替えやシーン軽量化で対処してください。

推奨ユーザー像でいえば、建築パース制作を仕事として日常的に行う方は中級構成、案件として大規模施設・アニメーション制作を引き受ける方はプロ構成、まず学習からはじめる方は入門構成と Blender 4.5 LTS の組み合わせから入るのが手の届く選択です。

Blenderの制作環境を整えた先に広がるシナリオ

PCスペックが整うと、建築パース制作のワークフロー全体が大きく変わります。VRAM 不足を理由に断念していた表現が選択肢に入り、レンダリング待ち時間の短縮が業務時間そのものを生み出します。

入門構成から中級構成へ切り替えた方は、これまで2K テクスチャに抑えていた家具・床材を4K に置き換えられるようになります。家具の脚元や金属パーツ・ファブリックの質感が一段細かく描画でき、コンペ用プレゼンボードA1サイズで印刷する際にも耐える解像度の制作が視野に入ります。中級から VRAM 24〜32GB のプロ構成へ進む方は、これまで静止画ベースだった制作に短尺ウォークスルー動画を組み込めるようになり、住宅・集合住宅の案件提案で動画提出が選択肢になります。

PC環境が整ったあと、次の一歩としては Blender 本体の建築向け初期設定(単位系・スケール・テーマ・起動テンプレート・アドオン)を整える段階に進みます。手順は建築パースの初期設定まとめ|Blenderで迷わない建築3DCG制作の前提で解説しています。初期設定までを整えると、Blenderを開いた瞬間から建築archvizの作業フローに最適化された環境で制作を始められるようになります。

数年単位の活用シーンを描けば、PC環境への初期投資が、建築事務所での提案バリエーション拡張・受注案件の品質向上・新人教育用の制作環境統一など、業務全体の底上げにつながります。建築パース制作を「やってみたい」から「業務として継続する」段階に進める方にとって、PC選定は最初の判断点になります。

まとめ

建築archvizでBlenderを快適に使うためのPCスペックは、VRAM容量を中心に組み立てます。VRAM 16GB 以上が快適ラインで、RAM 32GB と組み合わせると VRAM 不足時のクラッシュリスクも下がります。CPU は GPU レンダリング主体ならシングルコア性能、CPU 併用ならマルチコア数を重視してください。

構成 GPU VRAM RAM 想定読者
入門 8GB 16GB これから始めたい・お試し制作
中級 16GB 32GB 業務で日常的に制作する実務者
プロ 24GB以上 64GB 大型案件・アニメーション制作

対象 Blender バージョンは 5.1 系または 4.5 LTS(旧GPU継続利用)です。Blender 5.0 で GPU 要件が引き上げられた点、Intel Mac が非対応になった点を踏まえ、現役GPUと最新OSの組み合わせで構成を組むことをおすすめします。新しいPCを買う前に、今のPCのボトルネックを VRAM・RAM・CPU のどれにあるか確認することで、無駄な投資を避けられます。

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CONTENTS

3 LESSONS


基礎編① インストール&7項目の初期設定

Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

建築パースを1作品完成させるまでを体験


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実践編完成データ(.blend)

ショートカット・チートシート

マテリアル ライブラリセット

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