Blenderの建築モデリング手順6ステップ|壁・床・建具から組み立てる基本
「Blenderで建築物を作りたいけれど、何から手をつければよいかわからない」「壁が先か、床が先か」と迷う方は多いはずです。建築モデリングには定石の順序があり、それは現場での組み立て順(構造→開口部→仕上げ→家具)と一致しています。
この記事では、Blenderで建築物を一から組み立てる6ステップを、壁・床・建具の手順と寸法参考値(天井高 2,400mm・壁厚 150〜200mm など)とあわせて解説します。
前提とする環境は Blender 4.5 LTS と通常版 5.1 です。4.5 LTS の Manifold ソルバー、5.1 で改良された Boolean Modifier、5.1 で追加された Face Center スナップなど、最新版の活用ポイントも盛り込みます。
なぜ「壁→床→建具」の順番で作るのか
建築モデリングの順序は、現場の組み立て論理(構造→仕上げ→設備→家具)と一致させると、後から修正しやすいモデル構造になります。先に建具や家具を作ってしまうと、壁を動かすたびに全体を作り直す事態になりやすいからです。
| ステップ | 作るもの | 対応する建築要素 | 主に使う機能 |
|---|---|---|---|
| STEP 1 | 単位・図面の準備 | 設計図書の確認 | Scene Properties / Image Empty / DXF |
| STEP 2 | 壁の外形と高さ | 構造体(軸組・耐力壁) | Edit Mode + Extrude + Solidify |
| STEP 3 | 床と天井 | 仕上げ下地 | Plane + 配置 |
| STEP 4 | 開口部・窓枠・ドア | 建具 | Boolean Modifier(Manifold) |
| STEP 5 | ショートカットで効率化 | (作業効率) | Tab/E/Ctrl+R/I/F/N + 5.1 Face Center スナップ |
| STEP 6 | 次の工程へ引き継ぎ | ディテール・マテリアル | レイヤー別コレクション化 |
建築の構成論理が Blender のモデリング順序に対応する
建築物は現場で「構造体(壁・床・天井)→ 開口部(窓・ドア)→ 仕上げ(ディテール)→ 家具」の順序で組み立てられます。Blender でも同じ順序でモデリングを進めると、後から「窓の位置をずらしたい」「床材を変えたい」という変更が容易になります。
先に建具を完成させてから壁を作ると、壁の幅を 5cm 変えるたびに窓枠の位置調整が必要です。先に家具を配置してから壁を組み立てると、家具のサイズに引きずられて壁寸法が歪みがちになります。建築の組み立て順序を守ることが「修正しやすいモデル」につながる近道。
設計事務所の実務では「施主から窓の位置変更を頼まれた」「天井高を 100mm 下げたい」といった変更が頻繁に発生します。壁→床→建具の順で作っておけば、変更箇所の手前まで戻って修正できるため、ゼロから作り直す必要がありません。
修正しやすいモデル構造とはどういうことか
各建築要素を独立したオブジェクトとして作成し、コレクションで整理すると修正が楽になります。Merge で1つにまとめてしまうと、後から壁だけ選択して直すのが難しくなります。
実務で標準的に使われているコレクション命名規則(数字接頭辞)は次のとおりです。建築モデリングの現場でよく見るパターンとして参考にしてください。
01_Structure(構造体)02_Openings(開口部)03_Furniture(家具)04_Lighting(照明)05_Exterior(外構)
番号を付けると、アウトライナー上で常に同じ順序で並びます。オブジェクト名の整理には F2 キー(単独リネーム)と Ctrl+F2(一括バッチリネーム)が便利で、Wall_Outer_North / Wall_Outer_South のように方位を含めて命名すると、選択時に迷いません。
非破壊モディファイアで作ると修正がさらに楽になる
モディファイアを Apply せず、編集可能な状態のまま保つ「非破壊ワークフロー」を取り入れると、修正対応力が一段上がります。建築モデリングで特に重要なのが、モディファイアのスタック順序です。
標準的な定石は「Solidify(壁厚)→ Boolean(開口)」の順。壁厚を 150mm から 200mm に変更しても、開口部の位置はそのまま残るのが利点です。
スタック順を逆にすると、Solidify が開口を塞いでしまう事故が起きやすくなります。建築モデリングの初学者がはまりやすい落とし穴。
モディファイアの個別操作の詳細は建築パースで使えるBlenderのモデリングツール5選で解説しています。
モデリング前の準備|スケールと図面の設定
正確な建築モデリングを始める前に、単位系とスナップ設定、図面下敷きの準備を済ませておくと、後の作業精度が安定します。
| 設定項目 | 値 | 設定場所 |
|---|---|---|
| Length | Meters | Scene Properties > Units |
| Angle | Degrees | Scene Properties > Units |
| Unit Scale | 1.0 | Scene Properties > Units |
| Snap モード | Increment | 3D Viewport ヘッダ |
| Snap 単位 | 0.05〜0.1m | Shift+Tab |
Blender の単位系をメートルに設定する
Blender のデフォルトは 1 Unit=1m で動いています。正確な建築モデリングのため、Scene Properties から明示的に Metric を選び直しておくと安心です。
Length を Meters、Angle を Degrees に確認しておけば、寸法入力が常にメートル単位として扱われます。壁の高さに「2.4」と入れれば 2,400mm で反映されるのが便利な点。
オブジェクトの正確な寸法は N パネル(N キー)の Item タブで確認できます。スナップ機能(Shift+Tab)は Increment モードで 0.05m または 0.1m 単位に設定すると、柱・壁芯が 50mm 単位で配置されることが多い日本の住宅建築の標準に合います。グリッドに吸着させながら作業すると、後から寸法をそろえ直す手間が減ります。
図面を下敷きにする方法の概要
CAD 図面を Blender に取り込んで下敷きにすると、ゼロから目分量でスケッチするより精度よくモデリングできます。寸法誤差を 1〜2mm 以内に抑えられるため、建築実務ではほぼ必須の手順です。
基本の流れは、AutoCAD や Jw_cad で作成した平面図を DXF 形式でエクスポートし、Blender の File > Import > AutoCAD(.dxf) で取り込みます。
インポート直後はスケールが合っていないことが多いため、N パネルで寸法を確認し、図面の柱間スパン(たとえば 1,820mm)が実寸と一致するように調整します。
DXF インポートの詳細はBlenderで図面を下敷きにモデリングする2つの方法|Image EmptyとDXFインポートの使い分けで解説しています。図面がない場合は、平面図の JPG/PNG 画像を背景に配置して目視でトレースする方法もあります。
壁のモデリング手順
壁のモデリングは「平面図トレース → Extrude で高さ立ち上げ → Solidify で壁厚付与」の3ステップが定石です。Solidify Modifier の設定値が、その後の修正対応力を大きく左右します。
| 方法 | 修正対応 | 設定の手間 | 適する場面 |
|---|---|---|---|
| Solidify Modifier(推奨) | ◎ Thickness 値の変更だけで壁厚再計算 | 小(3項目のみ) | 建築モデリング全般 |
| 手動 Extrude | △ 確定後の変更は手戻り大 | 中(面選択が必要) | 有機的な曲面壁・コーナー |
平面図から壁の外形をトレースする
平面図をもとに、壁の中心線(壁芯)または外形線を Vertex と Edge で描きます。Tab キーで Edit Mode に入り、Vertex Select Mode(1 キー)で頂点を順番に追加していきましょう。
トレースの基準として最も一般的なのは「壁芯」です。芯々寸法(壁芯から壁芯までの距離)で図面が描かれているのが日本の住宅建築の標準で、芯をトレースしてから壁厚を後付けするとサイズが合いやすくなります。
スナップ機能を有効にした状態で頂点を配置すれば、5〜10mm 単位で正確に置けます。頂点をぐるりと一周つないだら、対象頂点を全選択して F キーで自動面張りを実行し、続く Extrude で立体化していきます。
壁の高さを立ち上げる(Extrude)
Face Select Mode(3 キー)で面を選択し、E キーで Extrude します。天井高の数値を入力すると、その高さで壁が立ち上がります。
日本住宅の天井高は標準で 2,400mm、マンションは 2,500〜2,600mm、オフィスは 2,700mm 前後です。これらは2026年5月時点の日本住宅建築で一般的とされる参考値です。
「E キー → 2.4 → Enter」で天井高 2,400mm が確定します。E キーの直後に Z キーを押すと、Z 軸固定で押し出せます。
Extrude のバリエーション(Extrude Along Normals など)の詳細は建築パースで使えるBlenderのモデリングツール5選で解説しています。
壁厚の付け方|Solidify Modifier の3つの重要設定
壁厚の付与は Solidify Modifier(非破壊)が推奨です。Thickness 値で壁厚を指定でき、後から値を変えるだけで壁厚が再計算されます。木造の外壁なら 0.15〜0.2m、内壁は 0.1〜0.12m、RC造の外壁は 0.18〜0.2m が目安です。
設定の重要ポイントは3つです。
- Mode を Simple から Complex に切り替える: デフォルトの Simple では、壁同士が交差する角部の処理が崩れます。Complex モードは Blender 2.82 で追加された安定実装で、manifold output geometry を数学的に保証する設計です。公式マニュアルでも architectural wall layouts に推奨と明記されています(Solidify Modifier|Blender 5.1 Manual)
- Offset の値設定: デフォルトの 0 は対称的に厚みを付与します。建築では Offset = -1 にすると、トレースした壁芯(または内寸線)を保ったまま外側に壁厚が付与されます。Thickness の符号と面の法線方向で内向き/外向きが決まります。Shift+N で法線を外向きに揃えた状態なら、負の Thickness で内向きオフセット(壁芯トレースを保持)になります
- Material Offset / Rim の活用: 内側面・外側面・小口(切断面)に異なるマテリアルスロットを自動割り当てできます。仕上げ材を後から張り分ける際にこの設定が効きます
手動 Extrude による壁厚付与は、壁面を選択して Extrude Along Normals(Alt+E から選択)で押し出します。形状を細かくコントロールできる利点はありますが、一度確定すると変更が手間になるため、複雑な曲面の壁や有機的なコーナー処理が必要な場合に限定するのが現実的です。
床・天井のモデリング手順
床と天井は Plane を Z=0 と Z=天井高に配置するのが最もシンプルです。GL(Ground Level)を Z=0 に固定する運用が、後のライティング・カメラ設定の基準として機能します。
床面の作成
床面は、壁の下部(Z=0、GL=Ground Level)に Plane を配置するのが最もシンプルな方法です。Shift+A から Mesh > Plane を追加し、N パネルで Z=0、サイズを壁の内法に合わせて調整しましょう。
GL を Z=0 に固定する運用は、後で照明やカメラの高さ設定をするときの基準として機能します。人物の目線高さを設定する際、床面が Z=0 であれば「Z=1.5(150cm)」と入力するだけで自然な目線位置になります。
床面はマテリアル(フローリング・タイル・コンクリート等)を後から適用するため、壁とは独立したオブジェクトにしておきます。Solidify で厚みを付ける必要は通常ありません(床下から見上げる構図がなければ、厚みなしの Plane で十分です)。
天井面の作成
天井面も基本は床と同じ手順で、壁の天井高(たとえば Z=2.4m)に Plane を配置します。
ダウンライトやシーリングライトを設置する場合は、天井面に開口(穴)を Boolean で作成します。ダウンライトの開口径の標準は直径約 100mm(φ100)です。配置間隔は、リビングなら 1,500〜2,000mm ピッチ、廊下なら 1,200mm ピッチが目安になります。
照明器具そのものは Poly Haven や Blenderkit からダウンロードして配置すると、ディテール作業の時短になります。
建具(窓・ドア)のモデリング手順
建具は壁に Boolean で開口を作り、枠とドア本体を別オブジェクトとして配置するのが基本です。Boolean ソルバーの選択と、Boolean 前の前処理が成否を分けます。
| ソルバー | 速度 | 安定性 | 前提条件 | 建築での使いどころ |
|---|---|---|---|---|
| Manifold(4.5 LTS+ 標準推奨) | 非常に速い(Exactの約100倍) | 高い | 閉じた(manifold)メッシュ | Solidify で壁厚を付けた標準的な開口処理 |
| Float | 速い(軽量・複雑形状向け) | 高い | 非多様体メッシュにも対応 | Manifold が失敗する複雑形状の救済策 |
| Exact | Manifold より遅いが 5.1 で最大35%高速化 | 高い | 閉じていないメッシュにも対応 | レガシーデータ・救済策 |
壁に開口部を設ける方法
開口部を作る方法は主に2種類あります。
Boolean を使う前の必須前処理は次の2つです。
- Apply Scale(Ctrl+A → Scale): オブジェクトのスケール値が 1.0 以外のままだと開口の形状が崩れます
- Normals(法線)の向きの確認: Edit Mode で対象オブジェクトを全選択し、Mesh > Normals > Recalculate Outside(Shift+N)で外向きに揃えます
方法1: Boolean Modifier(Difference)
開口形状(窓やドアと同じ大きさの直方体)を作成し、Boolean Modifier の Operation を Difference に設定して Object フィールドに開口形状を指定します。直感的でわかりやすく、複雑な形状(円形窓・斜め開口・FIX 窓)にも対応できます。Boolean 後のトポロジーが複雑になりやすいため、後工程で整理の手間が増える点は留意しておくとよいでしょう。
方法2: Loop Cut(Ctrl+R)で手動削除
壁面に Loop Cut で開口位置の分割線を入れ、手動で開口部分の面を選択して削除します。トポロジーがクリーンに保たれる利点があり、矩形の開口で精度を重視する場面に向きます。手間がかかり、斜めや円形の開口には対応しにくい弱点があります。
Boolean ソルバーの選択|Manifold/Float/Exact の3ソルバー使い分け
Blender 4.5 LTS(2025年7月リリース)以降、Manifold ソルバーが標準推奨になっています。閉じた(manifold=水密な)メッシュを前提として、Exact ソルバーより約100倍高速かつ堅牢に動作します(Boolean Modifier|Blender Manual)。Solidify で壁厚を付けたオブジェクトは閉じたメッシュになっているため、Manifold がそのまま使えます。
Boolean Modifier の標準ソルバーは Float / Exact / Manifold の3種類です(5.1 時点)。Float ソルバーは 5.1 以前から存在する既存の軽量・高速ソルバーで、5.1 で新規追加されたものではありません。
5.1(2026年3月17日リリース)では Boolean Modifier がさらに改良され、Exact ソルバー最大35%高速化(属性が多いメッシュで顕著)と Manifold ソルバー若干高速化が実現しました(Blender 5.1 Release Notes)。
実務での使い分けは次のとおりです。
- 標準: Manifold(4.5 LTS 以降の標準推奨、Solidify を経由した壁向け)
- 救済策: Manifold で失敗する(壁が消える・開口が塞がる等)複雑形状 → Float(軽量・高速、5.1 以前から存在)または Exact
- Exact: 閉じていないメッシュにも対応、レガシー資産との互換性、5.1 で最大35%高速化
窓枠・サッシの基本的な作り方
窓枠(サッシフレーム)の最小構成は次の手順です。
- 開口より一回り小さい Plane を作成
- Inset(I キー)でフレーム幅を作成
- Extrude Along Normals でフレームを押し出す
サッシ枠の幅は、近景でカメラに寄って撮るカットなら実寸の 30〜60mm 幅、中景以上の引いた構図なら 2〜5mm 程度の Bevel 処理で代用できます。カメラ距離別のディテール精度の判断はBlenderで建築パースのディテールをリアルに作る方法で解説しています。
5.1 の Face Center スナップを活用すると、窓を壁面の中心に合わせる作業が体感半分以下の時間で完了します(Blender 5.1 Release Notes)。Face Center は Align Rotation to Target と組み合わせて使えます。位置と回転を同時に自動合わせすると、壁面への窓・ドアの貼り付けが体感3手順減ります(Snapping|Blender 5.1 Manual)。
窓ガラスのセットバック(外壁面からの引っ込み量)は 5〜15mm が目安です。窓枠の高さ参考値は、掃き出し窓が高さ 2,000〜2,200mm、腰窓が高さ 900〜1,200mm(FL+600〜1,800mm)になります。
ドア枠・ドア本体の基本的な作り方
ドア枠は、開口形状に沿って押し出し(Extrude + Solidify)で作成します。見込み(壁厚方向の枠の奥行き)は 70〜115mm 程度で、木造住宅の内部ドアなら 90mm 前後が標準です。
ドア本体は Plane から作成し、厚みは 33〜40mm 程度を Solidify で付与します。薄すぎると「板」に見えてしまい、リアリティが落ちます。
ドアの一般的な高さは 1,900〜2,100mm で、住宅標準は 2,000〜2,100mm、ハイドア仕様では 2,200〜2,400mm です。
ドアノブ・ヒンジは Poly Haven や Blenderkit のアセットを活用すると、画面占有率の小さい細部に時間を取られずに済みます。
建築モデリングで使う主要ショートカット一覧
建築モデリングで頻繁に使うショートカットを以下の表にまとめました。すべてを一度に覚える必要はなく、Tab・E・Ctrl+R・N の4つから手に馴染ませると自然に他のキーも定着します。
| キー | 機能 | 建築での主用途 |
|---|---|---|
| Tab | Edit Mode/Object Mode 切替 | モデリングと配置の往復 |
| E | Extrude(押し出し) | 壁の高さ立ち上げ・建具の押し出し |
| Ctrl+R | Loop Cut(ループカット) | 壁面の分割線・開口位置の定義 |
| Ctrl+B | Bevel(ベベル) | 建具エッジの面取り |
| I | Inset Faces(インセット) | 窓枠フレームの作成 |
| F | Fill(面を埋める) | トレース後の面生成 |
| N | プロパティパネル表示 | 寸法・位置の数値確認 |
| Shift+Tab | スナップの切替 | 頂点・面の正確な位置合わせ |
| F2 / Ctrl+F2 | リネーム(単独/一括) | 建築要素の命名整理 |
| Ctrl+A → Scale | スケールの適用 | Boolean前の必須前処理 |
| Shift+N | 法線の再計算(外向き) | Boolean前の前処理 |
| 5.1 Face Center スナップ | 面の中心へ自動吸着 | 窓・ドアの中央配置 |
建築モデリングでよく使うキー操作まとめ
Blender 5.1(2026年3月リリース)以降は、Snap メニューに Face Center(面の中心スナップ)が追加されました。窓やドアを壁面の中心に合わせる際、これまでは中心点を手計算で求めていましたが、Face Center スナップを有効にすれば自動で面の中心に吸着します。
Align Rotation to Target と組み合わせると、位置だけでなく回転も同時に壁面に合わせられるため、傾いた壁面への窓・ドアの貼り付けが格段に楽になります。建築モデリングの精度が一段上がる機能なので、5.1 利用者は積極的に活用していきたいポイントです。
ショートカットは無理に全部覚えようとせず、Tab・E・Ctrl+R・N の4つから手に馴染ませてください。残りは作業中に必要になったタイミングで1つずつ追加していくと、自然と定着します。
Blender の建築モデリング手順を編集部が試してみました
1LDK 住宅プラン(延床 45㎡)を6ステップに沿って実装し、4.5 LTS と 5.1 の Boolean ソルバー速度を比較しました。以下は2026年5月時点の試用に基づく所感です。
6ステップの順序を守るだけで作業の手戻りが大きく減る
特に効いたのは「Solidify → Boolean」のスタック順を最初から守った点です。施主想定の修正(窓を1つ追加・壁位置を 100mm ずらす)を後からシミュレーションしても、開口部がそのまま残った状態で再計算されました。
手順を知らずに作ると、ここで 2〜3 時間の作り直しが発生していた感覚です。レイヤー順序を守ることが「修正に強いモデル」の本質的な条件だと再確認できました。
4.5 LTS Manifold と 5.1 Boolean 高速化の効果
同じ壁オブジェクトに窓5枚・ドア2枚分の開口を Boolean 処理した結果、4.5 LTS の Manifold ソルバーで数秒かかっていた処理がほぼ瞬時に完了しました。シーンの重さがほとんど気にならない感覚です。
5.1 で Exact ソルバー自体が最大35%高速化されたため、複雑形状で Manifold が失敗したときの Exact 救済が体感で速くなりました。Float ソルバー(既存・軽量高速)は Manifold で失敗する複雑形状(不規則な多角形開口・FIX 窓と引違窓の複合開口)の救済として引き続き機能しています。
5.1 Face Center スナップは窓配置の体感を半減
5.1 の Face Center スナップは、窓を壁面中心に配置する作業を体感で半分以下に短縮しました。
これまで「壁の左右寸法を測る → 中心を計算 → カーソル配置」の3手順だったものが、スナップ ON でドラッグするだけで中心に吸着します。Align Rotation to Target と組み合わせると、傾いた壁面への貼り付けでも回転合わせまで自動で済むため、体感3手順減の効果が出ました。
Solidify の Simple のままにすると交差壁の角部で破綻
Solidify の Mode を Simple のままにすると、交差壁の角部で形状が破綻しました。「なぜか壁が抜けている」状態に陥りやすく、Complex への切り替えは習慣化しておくべきポイントです。
あわせて Boolean 前の Apply Scale を怠ると、スケール値が 1.0 以外の壁で開口が斜めに歪む現象も再現できました。Shift+N で法線を外向きに揃えてから Solidify をかけ、Thickness を負の値にする手順を踏むと、壁芯トレースを保ったまま外側に厚みが付与されます。
建築モデリングを身につけた先の活用シーン|次の一歩
躯体(壁・床・天井・建具)が完成すると、次の3方向に展開できる土台が整います。
3方向の展開|ディテール/マテリアル/アドオン
ひとつ目は ディテール追加です。手すり・幅木・廻り縁・カーテン・植栽など、判断基準はBlenderで建築パースのディテールをリアルに作る方法で解説しています。
ふたつ目は マテリアル設定です。木・タイル・ガラス・金属の質感は、Principled BSDF で建築素材の大半を表現できます。まずは木・コンクリート・ガラスの3種類から始めると、感覚をつかみやすいです。
みっつ目は 作業効率化のためのアドオン導入です。基本を押さえた後に Archipack(壁・窓・ドア・階段・屋根をパラメトリックに生成できる建築アドオン)を導入すると、手作業の量を体感で半分以下に減らせます。基本の手作業を理解した上で使うと「なぜこの操作を自動化しているのか」が見えるため、アドオン頼みにならずに済みます。
家具配置のアプローチはBlenderで家具・什器を配置する考え方で解説しています(空間密度の3層構造)。
建築モデリングを学んだ先には、CAD で描いた図面が立体として立ち上がり、光が差し込み、施主と一緒に内観を歩ける状態が見えてきます。3〜6ヶ月の継続的な実践で到達できる範囲です。
まとめ|躯体が完成したら画づくりへ
Blenderの建築モデリングを6ステップで進めるうえで、押さえるべきポイントを6つに集約します。
- 「壁→床→天井→建具」の順序は、建築の組み立て順(構造→仕上げ→設備)と一致しており、後から修正しやすいモデル構造になります
- 各要素は独立したオブジェクトとして作成し、
01_Structure/02_Openingsのように数字接頭辞付きのコレクションで管理しましょう - 非破壊スタック「Solidify → Boolean」の順を守ると、壁厚や開口位置を後から変更しても破綻しないモデルが作れます。スタック順を逆にすると開口が塞がる事故が起きやすいです
- 壁厚は Solidify Modifier の Mode=Complex / Offset=-1 が定石です。開口は Blender 4.5 LTS 以降の Manifold Boolean ソルバー(Exact の約 100 倍速)を標準に、複雑形状や Manifold が失敗する場面は Float(既存・軽量高速)または Exact(5.1 で最大35%高速化)で救済してください
- 5.1 で追加された Face Center スナップを使うと、窓・ドアの中央配置が体感半分以下の時間で完了します。Align Rotation to Target との組み合わせで体感3手順減の効果も得られます
- 天井高 2,400mm、壁厚 150〜200mm、ドア高 2,000〜2,100mm などの寸法参考値を守ると、スケール感が自然に整います。実務でも 2,400mm を基準値として覚えておくと安心です
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