BIM×Blender連携完全ガイド|Revit・ArchiCAD対応の実践手法と可視化ワークフロー【2026年版・Bonsai 0.8.5対応】

設計事務所のRevitやArchiCADで作ったBIM(Building Information Modeling、建物情報を3Dモデルに紐づけた設計データ)を、無料の3DCGソフトBlenderで可視化(archviz、建築ビジュアライゼーション)したい。この需要は2026年に入って大きく動きました。きっかけはBlenderBIM Add-onが2024年に「Bonsai BIM Add-on」へ改名し、2026年5月時点でv0.8.5-post1まで進んだことです。Blender 5.0/5.1のどちらでも互換確認済みです(出典: Bonsai Version History / Bonsai docs 2026年5月時点)。

この記事では、Revit/ArchiCADのBIMデータをIFC(Industry Foundation Classes、建築データの国際標準形式)経由でBlenderに取り込み、可視化まで一気に繋ぐ手順を【2026年版】として解説します。

対象読者は3パターンを想定しています。Blender 5.0のアドオンAPI変更で旧BlenderBIM 0.7.x系が動作しなくなった点も併せて押さえます。

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目次

BIM×Blender連携でできること|IFC基盤の可視化ワークフロー

BIM×Blender連携の本質は、設計段階のBIMデータを、追加ライセンス費ゼロのBlenderで写真品質の建築パースに変換できる点にあります。鍵はIFC形式とBonsai BIM Add-onの組み合わせ。

項目 内容
連携の中心形式 IFC(IFC2x3/IFC4/IFC4x3)
必須アドオン Bonsai BIM Add-on(旧BlenderBIM)v0.8.5-post1(2026年5月時点)
主な入力元 Revit/ArchiCAD/Vectorworks/その他IFCエクスポータを持つBIMソフト
Blender側の役割 仕上げ・マテリアル付け・ライティング・レンダリング
推奨レンダラー Cycles(最終納品)/Eevee Next(検討用)
連携の対価 設計データの「構造情報」を保持したまま可視化まで運べる
商用利用 Bonsai/Blender共にGPLライセンスで業務利用可

Bonsaiが特別な理由|IFCを「直接編集」する設計思想

ほとんどのBIMソフトは内部の独自形式で設計を保持し、IFCはあくまで「書き出し用の二次フォーマット」として扱います。一方、Bonsai BIM Add-onはIFCファイルそのものを直接編集するように作られています(出典: Bonsai 公式 / EngineeringSkills: Bonsai BIM Essential IFC Tool 2026年5月時点)。

この設計思想の意味は大きく2つ。1つ目は往復ロスの少なさです。Revit/ArchiCADで作ったIFCをBonsaiで開いて編集し、再度IFCで保存しても、構造情報や属性が崩れにくくなります。2つ目はIFCの分析・デバッグツールとして使える点です。Revit/ArchiCADから書き出したIFCが「他のBIMビューアでうまく表示されない」というケースで、Bonsaiが原因特定の現実的な手段になります。

archvizでできることの幅

IFCを取り込んだあとのBlender側は、archvizに必要なすべての工程を1ソフトで賄えます。マテリアル設定はBlenderの標準BSDFシェーダで対応でき、ライティングはHDRI(360度撮影した実写の光情報)とSun Lightの組み合わせで建築外観の自然光を再現できます。室内シーンならArea Lightで間接光まで作り込めます。

レンダリング後の仕上げ(コンポジット、合成処理)もBlender 5.xに統合されたコンポジターで完結し、Photoshopなど別ソフトに渡さずに済みます。ワークフロー全体はBlender建築パース ワークフロー完全ガイド|実務で効く7工程と効率化の決め手【2026年版】で解説しています。

Blender 5.x × Bonsai BIM の進化|v0.8.5 で 5.0/5.1 互換 + IFC ネイティブ統合 + 5.0 アドオン API 変更影響

Blender 5.x世代の到来で、BIM連携の前提が大きく更新されました。結論として、2026年5月時点で「Bonsai v0.8.5-post1 + Blender 5.0/5.1」が新しい基本セットになります。旧BlenderBIM 0.7.x系を使い続けている環境は、ここで一度設定を見直す必要があります。

BlenderBIM → Bonsai BIM Add-on への改名と v0.8.5 リリース

BlenderBIM Add-onは2024年に「Bonsai BIM Add-on」へ改名し、2026年5月時点での最新版はv0.8.5-post1です(出典: Bonsai Version History / Bonsai 0.8.5 docs 2026年5月時点)。配布はBlender公式のExtensions PlatformとGitHubの2系統で、対応OSはWindows・macOS Intel・macOS Apple Silicon・Linuxの4種です。

v0.8.5系はIfcOpenShell 0.8.5を内部エンジンとして統合し、IFC2x3/IFC4/IFC4x3に対応します(出典: Bonsai – IfcOpenShell 0.8.5 documentation 2026年5月時点)。読み込めるIFCの幅が広がり、Revit/ArchiCADの新しいバージョンが書き出すIFC4x3にも追従しやすくなっています。

設計現場で意味のある変化は、IfcOpenShellの安定性向上です。大規模物件のIFC(数百MB級)を読み込む際の落ちにくさが改善されており、住宅規模から中規模オフィスまでのarchviz案件で実用しやすくなっています(出典: IfcOpenShell 0.8.5 Release Notes 2026年5月時点)。

5.0 アドオン API 変更|旧 BlenderBIM 0.7.x 系の動作不可

Blender 5.0はPython APIに変更が入り、旧BlenderBIM 0.7.x系はそのままでは動きません(出典: Blender 5.0 Python API Changes 2026年5月時点)。「これまで4.xで動いていた設定をそのまま5.0に持ち込んだら起動しなくなった」というケースは、この互換性のズレが原因です。

対処は2択になります。1つはBonsai v0.8.5-post1にアップデートして5.0/5.1へ移行する方法です。アップデート後はIFCファイルの構造を保ったまま読み込めるので、過去案件の継続作業も問題なく行えます。

もう1つはBlender 4.5 LTS(Long-Term Support、長期サポート版)に留まる選択肢です。LTSは2年間のセキュリティ修正が保証されているため、案件の納期と更新タイミングが合わない場合は、無理に5.0へ上げず4.5 LTSで安定運用する判断もあります。実務では、旧BlenderBIMを使い続けたい既存案件と、Bonsaiに移行する新規案件を、Blenderインストールごとに分けて運用するケースが現実解になります。

4.2 Extensions Platform 移行|Bonsai 導入手順の変化

Bonsaiの導入手順は、Blender 4.2 LTSで導入されたExtensions Platformの登場で大きく変わりました(出典: Blender 4.2 Release Notes 2026年5月時点)。古い4.x前半まで一般的だった「ZIPをダウンロードしてPreferencesから手動インストール」という手順は、最新版では不要です。

実際の導入は、BlenderのEdit → Preferences → Extensionsから「Bonsai」を検索してインストールするだけです。アップデートも同画面で確認でき、IfcOpenShellなどの依存関係も自動で解決されます。古い手順を解説した記事を見て「依存ライブラリで詰まる」状況は、Extensions Platform経由なら起きません。

社内でBlenderを複数台に展開している場合も、各端末で同じ手順を踏むだけで揃えられるので、運用負荷が小さくなる効果があります。

5.0 OpenPBR Surface 準拠 + 5.0 ACES 標準対応|BIM archviz 色管理の進化

Blender 5.0はマテリアルと色管理の世界標準にさらに近づきました。OpenPBR Surface(業界横断のPBRマテリアル仕様)への準拠と、ACES 1.3/2.0(映画・VFX業界の色管理標準)の標準対応がそれにあたります。建築archvizでこれが効くのは、外部パイプラインとの整合性です。

OpenPBR Surface準拠で、IFCから引き継いだマテリアル情報をBlender標準のPrincipled BSDFに置き換える際の「見え方の差」が縮みました。BIMに添付されている材質名(コンクリート・木材・タイル等)を業界標準のPBRパラメータに移し替える作業がしやすくなっています。

ACES標準対応の意味は、大手代理店経由の案件で大きく出ます。映像・広告系の納品仕様にACESが指定されるケースでは、これまでは外部のカラーマネジメントツールを噛ませる必要がありました。Blender 5.0以降は標準搭載のため、BIM起点のarchvizでもVFXパイプラインに直接乗せられます。色管理の詳細はBlender 5.x ACES カラーマネジメント完全ガイドで解説しています。

Bonsai(旧BlenderBIM Add-on)の導入と基本操作

Bonsaiは「Extensions Platformから1クリック導入し、IFCファイルを開き、Project Overviewで構造を確認する」までを30分で進められます。導入の壁は4.2以前と比べて格段に下がりました。

Extensions Platform 経由のインストール手順

導入はBlender 5.0/5.1(または4.5 LTS)を起動した状態で、Edit → Preferences → Extensionsを開きます。検索窓に「Bonsai」と入力すると、公式配布のBonsai BIM Add-onが出てくるので、Installボタンを押すだけで完了です(出典: Bonsai – Blender Extensions 2026年5月時点)。

GitHub版を使うのは特殊なケースに限られます。たとえばオフライン環境でアップデートを管理したい場合や、開発者向けに最新ビルドを試したい場合などです。一般の建築archviz用途であれば、Extensions Platform経由で十分です。

Project Overview と IFC Import の最初の操作

導入後はサイドバー(Nキー)にBonsaiのパネルが追加されます。最初に触るべきはProject Overviewタブで、IFCファイルを開いた後の建物全体の構造(階・部屋・要素)をツリー表示で確認できます。

IFC Importは File → Import → IFC (.ifc) から実行します。読み込み時はオプションで「メッシュの結合粒度」を選べるので、大規模BIMでは要素別に分けて読むより、フロア単位でグループ化したほうがBlenderの動作が安定します。住宅1棟程度のIFC(数十MB)であれば、デフォルト設定のまま読み込んで問題ありません。

IFC データの直接編集とエクスポート

Bonsaiの真価が出るのは編集とエクスポートのフェーズです。一般的なBIMビューアはIFCを「見るだけ」ですが、Bonsaiは要素のプロパティ(部材名・素材コード・寸法等)をBlender上で書き換え、そのままIFCに保存できます。

実務での使いどころは、IFCに含まれる部屋名やゾーン情報の修正、archviz用に簡略化したIFCの再保存、他BIMソフトに渡す前の最終チェックなどです。Revit/ArchiCADで開き直さなくても、Bonsaiだけで微修正を完結できるのは大きな利点になります。

RevitからBlenderへ|公式IFCエクスポータを使った連携手順

Revit案件でBlenderに繋ぐ最短ルートは、Autodesk公式のIFC Exporterで書き出し、Bonsai経由でBlenderに読み込む経路です。FBXやSpeckleも選択肢に入りますが、archviz品質と編集の柔軟性を両立できるのはIFC経由になります。

公式 IFC Exporter の設定ポイント

Autodesk公式のRevit IFC Open Sourceで配布されるIFC Exporterは、Revitに標準同梱されているものより新しいIFC4/IFC4x3規格に追随しやすくなっています(出典: Autodesk Revit IFC Exporter 2026年5月時点)。

書き出し時に確認すべき設定は3つあります。1つ目はIFCバージョンで、本手法とBonsaiの相性を考えるとIFC4が無難な選択肢です。2つ目はGeometry SettingsでBoundary Representation(BREP、境界表現)を選び、曲面や複雑形状の精度を確保します。3つ目はProperty Setsで、archvizに必要な情報(材料・用途・室名等)を出力対象に含めます。

Blender + Bonsai での IFC Import 実演

書き出したIFCはBonsaiのIFC Importでそのまま読み込めます。Revitプロジェクトのスケール(mm単位)はBonsai側で自動的にm単位として認識されるため、これまで多発していた「スケールが1000倍/1000分の1になる」事故はほぼ起きません。

読み込み後はOutlinerで階別・部屋別の階層を確認し、archvizで使わない要素(隠れ配管、地下基礎の細部等)を非表示にしてから本格的なマテリアル付けに入ります。レンダリング負荷を軽くする上で、この「不要要素の整理」が最初のひと手間になります。

Speckle 経由のリアルタイム連携という選択肢

ファイル受け渡しではなく、リアルタイムで同期したい場合はSpeckleというクラウド連携プラットフォームを挟む方法もあります(出典: Speckle Systems 2026年5月時点)。RevitとBlenderの両方にコネクタを入れておけば、設計の変更がBlender側にすぐ反映されます。

ただし導入には学習コストとアカウント運用が伴うため、単発の納品案件ではIFC経由のほうが軽量です。複数の設計者と継続的にやり取りするプロジェクトで初めて選択肢に入ってきます。

ArchiCADからBlenderへ|IFC変換設定とBREP出力の使い分け

ArchiCAD案件は、IFC TranslatorのBREP出力をオンにするのが基本ルートです。GraphisoftのIFC実装はRevitと細部が異なるため、archviz側で困らない設定を選んでおく必要があります。

IFC Translator の設定で押さえるポイント

ArchiCADはFile → Interoperability → IFC → IFC Translatorsで書き出し設定を細かく調整できます(出典: Graphisoft Help Center: IFC Translators 2026年5月時点)。archviz用途では「Geometry Conversion」でBoundary Representation(BREP)を選ぶのが安全です。

BREPを選ぶ理由は、ArchiCAD特有の曲面壁・屋根・複雑な手すり形状を正確に書き出すためです。代替の「Extruded」「SweptSolid」設定はファイルサイズが小さくなる反面、Bonsai側で形状が崩れるケースがあります。

Revit と ArchiCAD の IFC で発生する微妙な差

同じIFC4でも、書き出し側のBIMソフトによって細部の表現に差が出ます。代表的な差はマテリアル情報の持ち方で、ArchiCADは「サーフェス」と呼ぶ独自概念をIFCに乗せるため、Blender側でPrincipled BSDFに置き換えるとパラメータが揃わないことがあります。

実務での対処は、archviz用の簡易マテリアルテンプレートをBlender側に用意しておき、IFC取り込み後に「ArchiCADから来た要素はすべてこのテンプレートで置き換える」という運用です。Bonsaiの選択フィルタを使えば、特定の要素カテゴリだけまとめてマテリアル変更できます。

Vectorworks など他 BIM ソフトからの連携

ArchiCAD以外のBIMソフト(Vectorworks、Allplan等)からBlenderに繋ぐ場合も、ルートはIFC経由が基本です。各ソフトのIFC実装には癖があるため、最初の1案件で必ず「サンプル建物を1つ書き出して、Bonsaiで開いてみる」テストを挟むと、本番案件で詰まりません。

IFC・FBX・glTFの使い分け|建築パース制作者の選定基準

形式選定の結論は「BIM起点ならIFC、汎用連携ならFBX、Web配信ならglTF」です。3形式の特性を1枚に並べると判断がしやすくなります。

形式 強み 弱み archviz推奨度
IFC(OpenBIM標準) ネイティブBIM構造保持/Revit・ArchiCAD往復ロス少/部屋・階・属性情報を維持 Blender直接対応なし → Bonsai必須 ◎(BIM起点なら最優先)
FBX 汎用/Blender標準対応/3DCGソフト間で広く使える BIM階層・属性情報のロス/設計データとしての価値が落ちる ○(簡易連携・形状だけ運ぶケース)
glTF Web配信・軽量/PBRマテリアル対応/3Dビューアで開ける 構造情報のロス/編集前提の往復には不向き △(Web納品・軽量配信用)

IFC を選ぶべき場面

BIMデータの「設計情報を生かしたまま」可視化したいなら、IFC一択。建物の階層構造(地階・1階・2階……)、各部屋の用途、構造部材の材質などをBlender側でも参照できるため、archvizだけでなく将来の運用フェーズ(FM、ファシリティマネジメント)にも繋がります。

往復前提の案件、つまり設計変更が頻繁に入って何度もBlenderに取り込み直すケースでも、IFCが有利です。Bonsai経由ならBlender側の追加作業(マテリアル設定等)を保持したまま、形状情報だけ更新するワークフローが組めます。

FBX が向く場面

形状だけBlenderで使いたい簡易案件ではFBXが軽量です。Revit/ArchiCADから直接書き出せ、Blenderも標準でImportできるため、Bonsaiを使わずに済みます。

たとえばコンペ用に「外観1カットだけ素早く作る」「内観の家具配置だけ検討する」ような短納期案件では、FBXのほうが取り回しがよくなります。BIM階層が落ちることを許容する代わりに、セットアップ時間を節約する判断です。

glTF が向く場面

glTFはWebGLベースの3Dビューア(Webブラウザ上で建築モデルを動かす仕組み)に乗せる前提で生きます。施主向けにWeb上で建物を確認してもらう納品形態や、軽量なARコンテンツへの転用などです。

PBRマテリアルが標準対応しているため、Blenderで仕上げたマテリアルをそのままWebに持っていけます。一方で構造情報や階層情報は落ちるので、設計者間の往復には向きません。

Blender側の整え方|マテリアル・ライティング・出力までの動線

IFC取り込み後のBlender側は、マテリアル・ライティング・レンダラー選択・出力の4ステップで整えます。BIMデータの素材情報を活かしつつ、archvizとして見栄えする調整を加えるのが基本です。

マテリアル|Principled BSDF と OpenPBR Surface の使い分け

IFCから引き継いだマテリアルは、Blender標準のPrincipled BSDFに置き換えるのが基本です。建築パースで使う代表的な素材(コンクリート・木材・タイル・金属・ガラス)は、Principled BSDFのパラメータ調整だけで十分に表現できます。具体的な設定値はBlender建築パース マテリアル設定ガイド|8素材の設定値と質感・テクスチャ全集で解説しています。

Blender 5.0のOpenPBR Surface準拠で、業界標準のテクスチャパック(Megascans、Poliigon、ambientCG等)をそのまま使えるようになりました。BIMから引き継いだ「素材コードのテキスト情報」を、業界標準PBRテクスチャに置き換える運用が組みやすくなっています。

ライティング|HDRI と Sun Light の組み合わせ

建築外観のarchvizはHDRIをベース光源にし、Sun Lightで建物形状に強い影を作る方式が定番です。HDRIは無料配布のPoly Havenから建築用途に向くものを選びます(出典: Poly Haven HDRIs 2026年5月時点)。

室内シーンではArea Lightで窓からの自然光を補強し、必要に応じてEmission Shaderで室内照明を仕込みます。光の入れ方の手順はBlender ライティング&カメラガイド|HDRI・室内・焦点距離を3ステップで整理で解説しています。

レンダラー|Cycles と Eevee Next の使い分け

最終納品はCyclesが第一候補です。物理ベースのパストレーシングで、ガラスや金属の反射、間接光の挙動を正確に計算してくれます。GPUレンダリング(NVIDIAのCUDA/OptiX、AMDのHIP-RT等)で実用的な速度が出ます。Blender 5.1で初めてAMD HIP-RTがデフォルト有効化された点には注意してください(出典: Blender 5.1 Release Notes 2026年5月時点)。

検討段階や社内レビュー用にはEevee Nextが向いています。Cyclesと比べてリアルタイム性が高く、ライティングや構図の試行錯誤を高速で回せます。Cycles/Eevee Nextの詳しい使い分けはBlenderレンダリングガイド|Eevee Next/Cycles/ノイズ対策/最終出力の設定基準【2026年版】で解説しています。

出力|PNG/EXR と ACES 対応

通常納品はPNG(8bit/16bit)で十分です。VFXパイプラインに乗せる大手代理店経由案件では、EXR(HDR、ハイダイナミックレンジ画像)でACES 1.3/2.0色空間を保持した出力が求められます。Blender 5.0標準対応で、これも追加プラグインなしで完結します。

BIM×Blender連携のよくある質問とトラブル対処

実務で頻出するつまずきは、形式選定・Bonsai導入・5.x互換の3カテゴリに集中します。

Q. 旧 BlenderBIM 0.7.x を使っている案件は5.0に上げてよい?

5.0アドオンAPI変更の影響で、旧BlenderBIM 0.7.x系は5.0で動きません。継続案件のうち「旧BlenderBIMでしかできない処理」が組み込まれていない限り、Bonsai v0.8.5-post1へのアップデートを推奨します。

ただし、進行中の案件が納品直前で、設定を変えるリスクを取りたくない場合は、4.5 LTS(Long-Term Support)に留めて完走させる選択も合理的です。LTSは2年間のセキュリティ修正が保証されるため、案件の納期と更新タイミングをずらせます。

Q. Revit から書き出した IFC が Bonsai で開けない

IFCのバージョン不整合が最も多い原因です。公式IFC Exporterで「IFC4」を選んで再書き出しすると、ほとんどのケースで解消します。それでも開けない場合はIfcOpenShellのバージョン差なので、Bonsaiを最新版に更新してください。

Q. ArchiCAD からの IFC で曲面が崩れる

IFC TranslatorのGeometry Conversion設定が「Extruded」になっている可能性が高いです。「Boundary Representation(BREP)」に切り替えて再書き出ししてください。ファイルサイズは増えますが、archviz品質は確実に上がります。

Q. IFC ファイルが重すぎて Blender が落ちる

数百MB級のIFCは、Bonsaiの読み込みオプションでカテゴリ別フィルタやレイヤー単位の絞り込みをかけてから読み込むのが定石です。地下機械室や屋上配管など、archvizで使わない要素を最初から除外する運用が現実解になります(出典: Bonsai docs – IFC Import Options 2026年5月時点)。

Q. BIM のマテリアルが反映されない

IFCの内部マテリアル情報はBlenderのPrincipled BSDFに自動マッピングされない場合があります。Bonsaiの選択フィルタで要素カテゴリ別にマテリアルを置き換える運用にすると、抜けが減ります。OpenPBR Surface準拠の業界標準テクスチャパックを揃えておけば、BIMから引き継いだ素材名をテクスチャに対応付けやすくなります。

BIM×Blender連携を編集部が読み解いた所感

公式ドキュメントと海外の建築ワークフロー解説を読み解くと、2026年のBIM×Blender連携は「無料の選択肢として現実に乗せられる段階」に確実に入っています。設計事務所の追加投資ゼロでarchvizまで内製化できる運用は、海外の中小設計事務所を中心に既に標準になりつつあります。

調査ベースで見える総合評価は「BIM資産があるならBonsai導入のリスクは小さい」という結論です。Extensions Platform経由の導入は5分で終わり、ZIPインストールやIfcOpenShellの依存関係に詰まる時代は終わりました。Revit/ArchiCADと併用しながら、archviz工程だけBlenderに切り出す運用がもっとも費用対効果が出やすい入り方になります。

コストと実用面では、Blender本体・Bonsai・HDRI(Poly Haven)・標準PBRテクスチャ(ambientCG)まですべて無料で揃います。商用利用も明示的に許可されており、施主向けプレゼン用パースや確認申請用ビジュアルにそのまま使えます。

制約として残るのは、IFCの形式差(Revit/ArchiCAD/Vectorworksで細部が違う)と、大規模物件での読み込み負荷の2点です。前者はサンプル建物での事前テストで吸収でき、後者はBonsaiの読み込みオプションで現実解が用意されています。最初の1案件で詰まるリスクは小さくなりました。

推奨ユーザー像は3層に分かれます。Revit/ArchiCADを既に使っていてarchviz内製化を検討する設計事務所が第1層、Blender経験者でBIM連携に興味があるarchviz実務者が第2層、そして大規模物件のIFC構造をBlenderで分析したい構造系エンジニアが第3層です。海外の構造工学ワークフロー解説では、Bonsaiが「essential IFC tool」として扱われています(出典: EngineeringSkills: Bonsai BIM Essential IFC Tool 2026年5月時点)。

BIM×Blender連携を学んだ先に広がる景色

BIM連携を整えた先にあるのは、「設計データを起点にした可視化の内製化」という新しい働き方。これまで外部のCGパース業者に依頼していた工程を、設計事務所の内部で完結できるようになります。

設計変更が入るたびに外注し直していたパース制作は、Bonsai経由なら設計データから直接更新できます。1案件あたりの外注費が抑えられ、施主への提案サイクルも短くなるでしょう。海外の中小設計事務所で進む「archviz内製化」の流れが、日本の設計実務にも届く段階に来ています。

新規案件の幅も広がります。VFXパイプラインに乗せたい大手代理店案件、Webで動かす施主向け体験コンテンツ、VR/AR納品といった先端領域に、BIMデータを起点として進めるルートが開きます。VR/ARを含む外部連携の全体像はBlender 外部ソフト・連携ワークフロー完全ガイド|CAD・BIM・D5・Lumion・VR/AR・AI連携【2026年版】で解説しています。

3年後の建築実務では、BIM起点のarchvizが「特別なスキル」ではなく「設計者の標準的なリテラシー」になっていくと考えられます。今のうちにBonsai経由のIFC連携を一度通しておくと、その移行期にスムーズに乗れるのではないでしょうか。

まとめ|IFC基軸で「設計から可視化まで」を無料で繋ぐ

BIM×Blender連携の核心は、IFCを共通言語にしてRevit/ArchiCADとBlenderを行き来できる体制を作ることです。2026年5月時点で押さえるべき要点は次の通りです。

  • Bonsai BIM Add-on v0.8.5-post1が2026年5月時点の最新版で、Blender 5.0/5.1の両方で互換確認済み。Extensions Platform経由で1クリック導入できる
  • 旧BlenderBIM 0.7.x系はBlender 5.0アドオンAPI変更で動作不可。Bonsai v0.8.5-post1へアップデートするか、4.5 LTSに留まる
  • BIM連携の中心形式はIFC、汎用連携はFBX、Web配信はglTF。BIM資産を活かすならIFC一択
  • Bonsaiの独自性は「IFCを直接編集する設計思想」。Revit/ArchiCADは二次エクスポートだがBonsaiはIFCそのものを編集対象にしている
  • Revitは公式IFC Exporterで、ArchiCADはBREP出力設定で書き出すと崩れにくい
  • Blender 5.0のOpenPBR Surface準拠とACES標準対応で、大手代理店経由のVFXパイプライン案件にも対応できる

形式別の早見表は次の通りです。

連携元 推奨ルート 補足
Revit IFC(公式IFC Exporter、IFC4) リアルタイム連携はSpeckle経由
ArchiCAD IFC(IFC TranslatorでBREP) サーフェス概念のマテリアルは要再設定
Vectorworks/Allplan IFC サンプル建物で事前テスト推奨
簡易・形状のみ FBX Bonsai不要、Blender標準Importで完結
Web配信・AR glTF 構造情報はロス、archviz仕上げ後の出力用

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CONTENTS

3 LESSONS


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Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

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実践編① 太陽光の入る白い部屋

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実践編完成データ(.blend)

ショートカット・チートシート

マテリアル ライブラリセット

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