3ds Max建築パース ワークフロー入門|モデリングから納品まで7工程で徹底解説

3ds Max 2027が2026年3月25日にリリースされ、Smart BevelやNoise Plus、Field Helperなど建築モデリング工程に効く新機能が加わりました。同時にArnold for 3ds Max 5.9.0/MAXtoA 5.9.0が同梱され、レンダリング工程の標準も世代交代を迎えています(CG Channel、2026年4月時点)。

3ds Max(Autodeskの3DCG総合ソフト)で建築パースを作るとき、初学者が最も戸惑うのは「どの工程をどの順番で進めるのか」という地図がない点です。自分がいま、どの工程に時間を使いすぎているか、把握できているでしょうか。

この記事では、企画・CAD図面取り込みからモデリング・マテリアル・ライティング・レンダリング・ポストプロダクション・納品までの全体像を7工程にまとめます。各工程の所要時間配分・3ds Max内で完結する範囲・After Effects/Photoshopに渡す境界が一望できる構成にしました。3ds Max 2027の新機能や2026年4月時点の主要レンダラー動向も織り込み、入門者が最初に持つべき俯瞰地図として書いています。

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目次

3ds Max建築パース制作の全体像|7工程マップと所要時間配分

3ds Maxで建築パースを作る工程は「企画→CAD図面取り込み→モデリング→マテリアル→ライティング→レンダリング→ポストプロダクション・納品」の7ステップに分かれます。各工程の独立性が高いため、ステップごとに見積りや外注の判断が立てやすく、初学者でも工程ごとに学習を区切れる設計です。

7工程の流れと各工程の役割

工程ごとの役割と、3ds Max内で完結するか外部ソフトに渡すかの境界をまとめます。

工程 主な作業 使う場所
1. 企画 カット数・アングル・ライティング条件・納品形式の確定 3ds Max外(打ち合わせ・絵コンテ)
2. CAD図面取り込み DWG / Revit / Rhino / SketchUpの取り込み 3ds Max(Import / File Link)
3. モデリング 壁・床・窓・建具・家具・植栽の組み立て 3ds Max
4. マテリアル OpenPBR/Physical Material/V-Ray Material/Substance連携 3ds Max(+Substance 3D Painter/Sampler)
5. ライティング Sun & Sky/HDRI/Light Portal/IES/補助光 3ds Max
6. レンダリング V-Ray/Corona/Arnoldで本番出力 3ds Max
7. ポストプロ・納品 色味・空気感調整/字幕/動画化/納品形式変換 Photoshop/After Effects/DaVinci Resolve/Premiere Pro

工程1と工程7-1は3ds Maxを起動しません。3ds Max内で完結するのは工程2〜6で、最終仕上げは外部ソフトに渡すのが2026年4月時点の業界標準とされています(Rendimension 3ds Max Render Guide、2026年4月時点)。

3ds Max 2027では工程3〜6に効く新機能が3つ追加されました。Smart Bevelは隣接ポリゴンに依存しない新ベベル機能で、Boolean結果のクリーンアップに有効です。Noise Plusはフラクタル種類とアニメーション・タイリング制御を備えた新ノイズモディファイア。Field HelperはVolume Selectモディファイアと連携する3Dボリューム選択補助です(3D Architettura 3ds Max 2027 New Features、2026年4月時点)。

住宅外観1カット/室内1カットの所要時間配分の目安

7工程の所要時間配分は、案件種別で大きく変わります。住宅外観1カットと住宅インテリア1カットの目安は次のとおり(合計100%として配分)。

工程 住宅外観1カット 配分目安 住宅インテリア1カット 配分目安
1. 企画 5% 5%
2. CAD図面取り込み 10% 5%
3. モデリング 25% 20%
4. マテリアル 15% 25%
5. ライティング 15% 20%
6. レンダリング 20% 15%
7. ポストプロ・納品 10% 10%

外観は植栽分散とSun Positionerによる時間帯演出に重みが置かれるため、モデリングとレンダリング配分が膨らみます。インテリアは家具・布・自然光の組み合わせで写真品質が決まるため、マテリアルとライティングが時間配分の中心になりがち。

「自分は今、どの工程に最も時間を使っているか」を測ると、学習の優先順位がはっきりしてきます。たとえばマテリアル工程に40%以上かけているなら、Substance 3D Painter(Adobeのテクスチャ生成ソフト)やChaos Cosmos(V-Ray/Corona同梱の建築VIZ向け無料アセットライブラリ)の活用で短縮できる余地が大きいでしょう。

3ds Max内で完結する工程と外部ソフトに渡す工程の境界

3ds Maxは工程2〜6(取り込み・モデリング・マテリアル・ライティング・レンダリング)を最初から最後まで扱える設計になっています。

ただし、最終仕上げの色味・空気感・字幕・カラーグレーディング、動画案件のBGMやテロップ合成は、Photoshop・After Effects・DaVinci Resolve・Premiere Proに渡すのが実務標準です。3ds Maxはレンダリングエンジンとしての品質が高い一方、ポストプロダクションは画像・映像編集ソフトの方が作業効率が高いためです。

連番出力(PNG/TGA/EXR)が建築VIZの標準で、動画直書き(AVI/MOV/MP4)はプレビュー用途に限定されます。EXR連番(HDR範囲を保持した32bit浮動小数点形式)で出力しておけば、後工程で露出・色温度を非破壊で調整できる点も大きな利点と言えるでしょう。

工程1〜2|企画とCAD図面取り込み

工程1の企画と工程2のCAD図面取り込みは、3ds Maxを開く前と開いた直後の段階。地味ですが、ここで定義漏れや単位ミスがあると、後の5工程すべてが破綻します。後工程の品質を決める最重要工程と言えるでしょう。

工程1 企画|カット数・アングル・ライティング条件の確定

企画工程で確定すべきは、カット数/アングル/ライティング条件(時間帯・天候・季節)/納品形式(解像度・ファイル形式)/提出期日の5項目です。これらは3ds Maxの操作以前に、施主や担当営業との打ち合わせで決める内容になります。

たとえば集合住宅のコンペ提案物で外観2カット+エントランス1カット+住戸内3カットの計6カットを4K(3840×2160)PNGで納品する。この定義が固まれば、所要時間とリソースが見積もれるようになります。逆に「とりあえずカッコよく」のまま進めると、レンダリング後にやり直しが連鎖しがちです。

絵コンテ段階で太陽方位(東西南北)と時間帯(朝7時・正午・夕方17時など)まで決めておくのが現場のコツ。Sun Positionerによるライティングは方位と時刻で太陽角度が一意に決まるため、企画段階の合意がそのまま3ds Maxの数値設定につながります。

工程2 CAD図面取り込み|DWG / Revit / Rhino / SketchUpの4ルート

設計事務所の現場では、CAD図面の取り込み元は4ルートに集約されます。それぞれに公式の取り込み経路があり、案件種別で使い分ける運用です。

取り込み元 経路 特徴
DWG(AutoCAD/Revit経由) File→Import / File Link 曲面が過度に分割されず、同一オブジェクトがインスタンスで取り込める
Revit(RVT直リンク) File→Import→Link Revit 設計変更を再リンクで反映できる、属性情報も保持
Rhino(3DM) File→Import / File Link 曲面建築・自由形状に強い
SketchUp(SKP) File→Import 短納期の住宅案件で多用、メッシュは粗め

Revitから3ds Maxへの取り込みでは、DWG経由が好まれる傾向があります。曲面オブジェクトが過剰にテッセレーション(多角形分割)されず、同一の柱や梁がインスタンスとしてまとめて読み込まれるため、後工程のメッシュ処理が軽くなるためです(University of Texas SoA Wiki、2026年4月時点)。

設計変更が多い案件はFile Link(Revit/DWGファイルを参照保持して再リンクできる方式)、設計確定後のコンペ提出はImport(取り込み後に独立編集できる方式)と、案件フェーズで使い分けるのが定石です。Importは編集の自由度が最大ですが、設計変更が起きると最初からやり直しになりかねません。

データ整合では3点をチェックします。単位(System Unit Setupをミリメートルに統一)、座標原点(プロジェクト原点/共有座標/内部原点の選択)、真北とプロジェクト北の整合の3点で、いずれかを誤ると後工程の配置が崩れます。3ds Max 2026以降のRevit連携詳細は3ds Max BIMワークフローで解説しています。

工程3〜4|モデリングとマテリアル設定

工程3〜4はパースの「形」と「素材感」を作り込む中核工程。3ds Max 2027の新機能Smart BevelとNoise Plusがこの2工程の効率を切り替え、Substance 3D連携でPBRマテリアル(物理ベースレンダリング向けマテリアル)の作業時間を短縮できる土台が整っています。

工程3 モデリング|壁・床・窓・家具の組み立て手順

建築モデリングの基本順序は「壁・床→開口部(窓・ドア)→建具→家具→植栽・小物」の積み上げです。CAD図面を下絵として、Editable Polyで壁を立ち上げ、Boolean演算で開口部を切り出し、家具はChaos CosmosやEvermotion Archmodelsから配置するのが標準ルートになります。

3ds Max 2027ではSmart Bevelが追加され、Boolean結果のメッシュをきれいに仕上げられるようになりました。従来のChamferモディファイアは隣接ポリゴンに制約されていましたが、Smart BevelはBoolean演算で生まれる複雑なエッジでも整った面取りを生成します(Digital Production 3ds Max 2027、2026年4月時点)。

集合住宅エントランスのコンペ案件で外観1カットを作る場合の流れを示します。まずRevitからDWGエクスポートで建物本体を取り込み、Editable Polyで壁・スラブ・柱を整えます。次に開口部にBoolean演算で窓ガラスをはめ込み、Smart Bevelでサッシ枠を仕上げる、という順序が現場では機能します。家具・植栽はEvermotion Archmodels Vol.296(外観向けエクステリアセット)などから配置すれば、モデリング工程を25%配分の枠内に収められるでしょう。

ビューポートの描画も、3ds Max 2026以降のculling algorithm(画面外・遮蔽ジオメトリを処理しない最適化)強化で軽くなりました。複雑な建築シーンが従来8〜12 fpsで動いていたものが、20〜24 fpsで動作するようになっています(3D Architettura 3ds Max 2026、2026年4月時点)。

工程4 マテリアル|PBRとSubstance Painterの使い分け

マテリアル工程の業界標準は、3ds Max 2026以降のOpenPBR(Open Physically Based Rendering、Adobeとの共同開発による業界横断PBR標準、ASF MaterialX配下)への移行です。Standard Surface/Standard Materialの統合後継としての位置付けで、Arnoldで完全対応、V-Ray/Coronaでも対応が進行中という状況になっています。

3ds Max 2026にはSubstance 3.0.5(AdobeのSubstanceエンジン9.0.0採用)が同梱されており、Slate Material EditorにSubstance 3D Assetsを直接インポートできます。そのため木目・コンクリート・タイル・布のマテリアルを、3ds Max内で開いた状態のままパラメータ調整できる流れが定着しました(AUGI What’s New in 3ds Max 2026、2026年4月時点)。

カスタムマテリアルが必要な案件では、Substance 3D Painter(Adobeのテクスチャペイントソフト)でAlbedo/Roughness/Normal/Heightの各マップを書き出し、V-RayマテリアルやPhysical Materialのスロットに割り当てる流れが標準。Chaos公式のSubstance Painter to V-Ray PBR Workflowでは、Specular/Glossiness系よりMetalness/Roughness系の書き出し設定が推奨されています(Chaos Help Center、2026年4月時点)。

住宅展示場のリビング1カットでフローリングを写真品質にしたい場合、Substance Painterで木目テクスチャを描き出し、RoughnessマップとHeightマップを使ってV-Ray Materialに割り当て、Bump量を3〜5に抑えた設定にすると、近景でも木の質感が破綻しません。マテリアル工程の数値深掘りは3ds Max インテリアパース実装7工程で解説しています。

編集部が読み解くSmart BevelとSubstance連携の所感

公式ドキュメントと海外レビューの共通見解を踏まえると、3ds Max 2027世代のモデリング・マテリアル工程は2026年と比べて学習コストが下がる方向に動いています。実務で効くポイントを編集部の視点でまとめます。

公式によれば、Smart Bevelは「Boolean演算でできる入り組んだエッジに対しても、Chamferの制約を受けずに均質な面取りを作れる」設計です。海外レビューの共通見解では、住宅サッシ枠やコンクリート梁の面取りが従来の手作業に対して目に見えて速くなったとされています。建築VIZのモデリング配分(住宅外観で全体の25%)を圧迫していた「Boolean後のメッシュ修復」が大幅に減るため、25%配分から数ポイント分の余裕が生まれる試算になるでしょう。

Substance 3.0.5+Slate Material Editorの直接インポートも、編集部が公式手順を読み解いた限りでは、外部ファイル管理の手間が消える設計になっています。従来は「Substance Player等で書き出し→3ds Maxで読み直し」の往復が必要でしたが、3ds Max 2026以降はSlate内で完結する流れになっており、マテリアル工程の25%配分(インテリア1カット時)に対しても短縮余地が大きいと言えるでしょう。

ただし、注意点もあります。OpenPBRはArnoldで完全対応、V-Ray/Coronaは対応進行中という公式ステータスのため、レンダラーをまたぐ案件ではマテリアルの再設定が発生する可能性も残っています。編集部の見立てでは、当面は「ArnoldはOpenPBR、V-Ray/Coronaは従来のV-Ray Material/CoronaPhysicalMaterial」という二段構えで進めるのが現実解です。

工程5〜6|ライティングとレンダリング

工程5〜6はパースの「光」と「最終出力」を決める工程。3ds Maxの建築パースでは、自然光をHDRIとSun & Skyで作り、補助光をIES(建築照明の配光データ標準)で重ねるレイヤリング設計が定石になっています。

工程5 ライティング|HDRI・太陽光・室内光のレイヤリング

建築VIZのライティングは「メイン光(太陽光)/環境光(HDRI)/補助光(IES・スポットライト)」の3層で組むのが標準。3ds MaxではSun Positioner(緯度経度・日付・時刻から太陽角度を自動計算する機能)とV-Ray Sun/Corona Sunが、太陽光の物理シミュレーションを担います。

外観パースでは、Sun Positionerによる太陽光の角度設定が結果を大きく左右します。建築外観で見栄えがする太陽角度は30〜60度の範囲で、この帯域に入ると影と光のコントラストが自然になり、写真的な空気感が生まれるとされています(Rendimension 3ds Max V-Ray Guide、2026年4月時点)。朝7時の東斜光や夕方17時の西斜光は、いずれもこの角度帯に入りやすい時間帯です。

インテリアパースでは、窓にLight Portal(窓配置で室内サンプリング効率を上げる仕組み)を置くのが必須テクニック。Sun & SkyとHDRIで自然光を作っても、Light Portalがないと室内のノイズが消えにくく、レンダリング時間が膨らんでしまいます。

ダウンライト・スタンドライトなどの室内補助光は、メーカー公式のIESファイル(建築照明の配光データ標準フォーマット)をPhotometric Lightに割り当てると、実物と同じ配光で光が広がります。Panasonic・大光電機・Coizumiなど主要照明メーカーが公式IESを公開しているため、住宅展示場のリビング案件でもメーカーカタログと近い配光で再現できるでしょう。

工程6 レンダリング|V-Ray / Corona / Arnoldのテンプレ運用

3ds Maxで建築パースを仕上げるレンダラーは、V-Ray/Corona/Arnoldの3択。2026年4月時点の現行最新版と特性は次のとおりです。

レンダラー 現行最新版 特性 主な使われ方
V-Ray for 3ds Max V-Ray 7 Update 3(AMD GPU対応開始) GPUベースで大規模シーンに強い、LightMixで光の事後調整が可能 外観パース・コンペ提出
Corona Renderer for 3ds Max Corona 14(Update 1 Hotfix 2) CPUベースで均質な質感、設定が簡潔 インテリア表現・住宅展示場
Arnold for 3ds Max MAXtoA 5.9.0(Arnold 7.5.0.0、3ds Max 2027同梱) 映画品質のレイトレーシング、OpenPBR完全対応 アニメーション・映像作品

V-Rayはサン&スカイシステムが大気の効果まで含めて物理シミュレーションするため、外観パースの空気感を作りやすい設計。LightMix機能を使えば、レンダリング後に光源ごとの強度・色温度を再計算なしで調整できるので、施主レビューの修正対応が速くなります。

Coronaは設定項目が少なく、ノイズ除去のFirefly Filter(明るく持続するノイズドットを抑制する機能)も標準装備で、初学者がインテリアパースの素直な質感を出すのに向いています(Chaos公式 Corona、2026年4月時点)。

Arnoldは3ds Max 2027にMAXtoA 5.9.0/Arnold 7.5.0.0が同梱されており、追加購入なしで利用できます。OpenUSDの軽量インスタンシング、新しいヘアスキャッタリングモード、より柔軟なライトサンプリングが追加され、映像作品向けの建築アニメーションに使いやすくなりました(CG Channel 3ds Max 2027、2026年4月時点)。

世界トップ建築VIZスタジオでは「インテリアはCorona/外観はV-Ray」のハイブリッド運用が定石です。CPUベースで均質な質感を出しやすいCoronaが家具・布・木材・ガラスの近景表現に強く、GPUベースで大規模シーンを高速処理できるV-Rayが植栽・空気感を含む外観表現に強い。この特性差から、業界の現実分業が生まれています。

工程7|ポストプロダクションと納品

工程7はパースの最終仕上げと納品形式変換の段階。3ds Maxから出力した連番をPhotoshop/After Effects/DaVinci Resolve/Premiere Proに渡し、色味・空気感・字幕・BGMを加えて納品物に仕上げます。

工程7-A ポストプロダクション|Photoshopでの色味・空気感調整

静止画パースの最終仕上げは、Photoshopでの調整レイヤー操作が標準です。具体的にはLevels/Curvesで露出と階調を整え、Camera Raw FilterでハイライトとシャドウのHDRトーンを調整、人工的な空気遠近感をGradient MapやDodge & Burnで足す流れになります。

EXR連番(32bit浮動小数点形式の高ダイナミックレンジ画像)で書き出しておくと、白飛びしている空が後から階調を取り戻せます。3ds MaxからEXR連番(4Kサイズ3840×2160)で出力し、Photoshopで32bitモードのまま色調整してから16bit/8bitに落として最終納品する流れが、写真品質を保つために実務で使われる定番です。

住宅展示場のインテリアパース1枚を仕上げる場面では、3ds MaxからEXR連番を書き出し、PhotoshopでLevels/Curves調整に加えて植物の差し色を強調、最後にUnsharp Maskで木の質感を立たせるといった工程が定番でしょう。

工程7-B 動画パースのAfter Effects仕上げ

動画パースの仕上げ工程は、After EffectsとDaVinci Resolve、Premiere Proを組み合わせるのが2026年4月時点の主流。それぞれの役割は次のとおりです。

ソフト 主な役割
After Effects Deflicker(ちらつき除去)/Motion Blur追加/2D合成/Lumetri Color
DaVinci Resolve カラーグレーディング/ノードベース色調整
Premiere Pro 編集・カット割り・BGM・テロップ・最終MP4出力

連番(PNG/TGA/EXR)から動画化することで、途中フレームのみ再レンダリングできる利点と、ポストプロダクションで色味・露出を非破壊で調整できる利点の両方が活かせます。3ds Maxから動画形式(AVI/MOV/MP4)で直接書き出すのは、社内プレビュー用途に限定するのが安全策です。

工務店の住宅内見動画を1分で書き出す案件では、3ds MaxからEXR連番を書き出し、After EffectsでDeflicker処理とLumetri Colorを当ててから、Premiere ProでBGM・テロップを乗せてMP4出力する流れが現場では機能します。動画パースの工程詳細は3ds Max ウォークスルー動画書き出しで解説しています。

納品形式|PNG / JPG / PDF / MP4の選び分け

納品形式は、提出先と用途で選び分けます。

形式 主な用途 推奨設定
PNG コンペ提出・WEB掲載・印刷下版 4K(3840×2160)以上、24bit
JPG 軽量WEB掲載・施主メール添付 品質80以上、4K以下
PDF プレゼンボード・プレゼン用 A1原寸・解像度300dpi
MP4 動画提出・YouTube/Vimeo配信 30fps、H.264、ビットレート20〜50Mbps

コンペ提案ボードA1サイズで印刷する場合は、印刷解像度300dpiから逆算して7,016×4,961pxの解像度でレンダリングする必要があります。納品形式が決まらないままレンダリングを始めると、解像度不足で再レンダリングになるため、企画段階で確定しておくのが鉄則です。

価格・ライセンス情報も押さえておきましょう。3ds Maxの標準ライセンスはUSD 2,010/年、年間収入USD 100,000未満のフリーランス・小規模事業者向けの3ds Max IndieはUSD 330/年で提供されています(Autodesk公式 3ds Max、2026年4月時点)。Indieライセンスは商用利用可能で、フリーランスの建築ビジュアライザーが第一選択肢として使える条件が整っています。

なお、3ds Max 2027はWindows 11のみ対応です。Windows 10は対応OSから外れたため、業務環境のアップデート計画も合わせて立てておくと安心でしょう。

用途別の入口|この記事の次に読むべき5つの記事

7工程の俯瞰がついたら、自分の到達目標に合った深掘り記事を選ぶのが効率的です。次の5本は、それぞれ別の到達目標に対応する入口になります。

内観パースを作りたい人へ

リビング・寝室・住宅展示場ループ用のインテリアパースを写真品質に近づけたい人は、家具配置・カーテン布シミュレーション・Sun & Sky+HDRI・Physical Materialの4要素を実装7工程として深掘りした3ds Max インテリアパース実装7工程が次の1本になります。

動画・ウォークスルーに進みたい人へ

住宅内見動画やコンペ用映像作品を作りたい人は、Walkthrough AssistantとPath Constraintの使い分け、fps・解像度・連番運用、レンダリング時間試算とクラウドレンダリング判断を扱う3ds Max ウォークスルー動画書き出しが次の入口です。

外観パース・ランドスケープを作りたい人へ

集合住宅や戸建て住宅の外観パース、ランドスケープを含む遠景表現を仕上げたい人は、Sun Positionerによる時間帯設定、Forest Pack(iToo Software製の植栽分散プラグイン)/MultiScatterによる植栽分散、VRayEnvironmentFogによる空気遠近の3点を扱う3ds Max 外観パース 屋外ライティングが向いています。

BIM連携を実務に組み込みたい人へ

Revit中心の設計データから3ds Max+V-Rayへ橋渡しする実務フローを構築したい人は、File Link/Import/FBXの使い分け、データ整合(単位・座標原点・真北)、ArchiCAD・Vectorworks連携を扱う3ds Max BIMワークフローが必読です。

VR・360度コンテンツに展開したい人へ

Apple Vision Pro/Meta Quest 3向けに建築VRコンテンツを提案したい人は、Equirectangular出力、V-Ray/Corona別のステレオ設定、Foveated Streamingによる外部PCストリーミング配信を扱う3ds Max VR/360度パノラマプレゼンが次の1本です。

7工程の地図を実務に持ち込むと何が変わるか|活用シーンと未来展望

7工程の俯瞰を持って実務に入ると、案件ごとの動き方がはっきり変わってきます。最初の1案件で7工程を一通り通すと、2件目以降は所要時間配分の感覚が身につき、住宅外観1カットあたりの所要時間が30〜40%短縮できる試算になるでしょう。マテリアル工程に時間をかけすぎていた人がSubstance 3D連携で短縮できるようになり、ライティング工程に手間取っていた人がHDRI+Sun Positioner+Light Portalの3層運用に切り替えられる、といった具体的な変化が起きます。

BIM連携を組み込むと、設計変更の都度パースを作り直す手戻りが消えます。File Linkで取り込んだRevitファイルを再リンクするだけで、モデリング工程の20〜25%配分を再投入する必要がなくなる流れです。設計事務所内製の建築VIZ部門が動画パースまで内製化する方向に進めば、外注コスト数十万円分の予算が、別案件のクオリティ向上に回せるでしょう。

3ds Max 2027世代の新機能(Smart Bevel/Noise Plus/Field Helper)と、V-Ray 7 Update 3のAMD GPU対応開始を組み合わせると、これまでNVIDIA一択だったハードウェア選択にも余地が出てきます。フリーランスの建築ビジュアライザーが3ds Max IndieのUSD 330/年とAMD Radeon GPUの組み合わせで参入する流れが、2026年後半から徐々に広がる可能性が見えてきました。

7工程の地図を持つかどうかで、入門者が迷う「次に何を学ぶべきか」の判断速度も変わります。地図を持たないまま個別チュートリアルを追いかけると、5,000時間の修練を順序なく重ねることになりますが、地図があれば自分が今どの工程にいて、次に何を学べばいいかが常に見える形になります。

まとめ|3ds Max建築パースは「7工程の地図」を持って進める

3ds Maxの建築パースは、企画・CAD図面取り込み・モデリング・マテリアル・ライティング・レンダリング・ポストプロダクションと納品の7工程で構成されています。各工程の独立性が高いため、入門者は工程ごとに学習を区切れば、5,000時間の修練を一度に背負わずに済みます。

先述した7工程の振り返りチェックリストです。

  • 企画では納品形式・カット数・ライティング条件を打ち合わせで確定する
  • CAD図面取り込みではDWG/Revit/Rhino/SketchUpの4ルートと単位・座標原点を整える
  • モデリングでは3ds Max 2027のSmart BevelとField Helperを活かす
  • マテリアルではOpenPBRとSubstance 3D PainterでPBR設計を統一する
  • ライティングはSun Positioner+HDRI+Light Portal+IESの4層で組む
  • レンダリングはV-Ray/Corona/Arnoldを案件特性で選び分ける
  • 最終仕上げはPhotoshop/After Effects/Premiere Proに渡し、PNG/JPG/PDF/MP4で納品形式を整える

3ds Maxの工程設計が固まれば、案件ごとの所要時間と外注判断が組み立てやすくなり、納期遅延のリスクも下がります。最初の1案件で7工程を一通り通すことを学習目標に置くと、次の案件から精度が大きく上がってきます。

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CONTENTS

3 LESSONS


基礎編① インストール&7項目の初期設定

Blenderの導入から制作に必要な基本設定

基礎編② 画面構成と基本的な操作方法

未経験でも迷わない画面の見方と操作の基本

実践編① 太陽光の入る白い部屋

建築パースを1作品完成させるまでを体験


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実践編完成データ(.blend)

ショートカット・チートシート

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