ARES Commanderとは?特徴・評判・料金・レビューを解説
ARES Commander(アレスコマンダー)は、ドイツのGraebert GmbH社が提供するDWG互換の2D/3D CADソフトです。
デスクトップ・モバイル・クラウドの3プラットフォームを1ライセンスで統合的に利用できる独自の「Trinity」コンセプトにより、オフィス・現場・外出先を問わない設計ワークフローの実現に繋がります。
ドイツ発のCADとして欧州を中心に広がり、AutoCAD代替CADの中でマルチデバイス対応を強みに存在感を増しています。
ARES Commanderとは
| 提供元 | Graebert GmbH(ドイツ・ベルリン) |
|---|---|
| カテゴリ | CAD / CADソフト(DWG互換2D/3D) |
| 価格 | 年額€225(Trinity含む)/ 永久€595(スタンドアロン)(2026年4月現在) |
| 対応OS | Windows / macOS / Linux(Ubuntu 24.04・Fedora 40対応) |
| 日本語対応 | 有(14言語対応) |
| 公式サイト | graebert.com |
ARES Commanderは、ドイツのGraebert GmbH社が開発する2D/3D CADソフトです。同社はDassault SystèmesのDraftSightやCorelCADのCADエンジンも提供しているCAD業界のOEM供給元としても知られています。2026年版ではAI Assist、新Start Tab、ARES Online Drawings Automationなど、クラウド・AI時代に対応した新機能が多数追加されました。
BricsCAD・IJCAD・ZWCAD・DraftSight・nanoCADと同じDWG互換CAD群の中で、ARES Commanderは「Trinity」と呼ばれる独自のコンセプトが最大の差別化要因です。1ライセンスでARES Commander(デスクトップ)、ARES Touch(モバイル)、ARES Kudo(クラウド)の3プラットフォームを統合的に利用でき、環境を選ばないCAD運用を実現しています。
料金プラン・ライセンス形態
ARES Commanderはサブスクリプションと永久ライセンスの両方を提供しています(2026年4月現在)。
| プラン | 料金 | 含まれるもの | 対象ユーザー |
|---|---|---|---|
| Trinity(サブスクリプション) | 年額€225〜(約3.6万円) | Commander(デスクトップ)+Touch(モバイル)+Kudo(クラウド)全部入り | マルチデバイスで運用したいユーザー |
| ARES Commander(永久) | €595〜(約9.5万円) | デスクトップ版のみ永久利用権 | 長期運用・単一PC利用 |
| ARES Standard | 簡易版価格 | 2D作図特化の簡易版 | 2Dのみで十分なユーザー |
| ARES Electrical | 別途 | 電気設計特化版 | 電気設備設計 |
| 30日トライアル | 無料 | 全機能利用可能 | 機能検証 |
Trinity年額€225(約3.6万円)はAutoCAD年額73,700円の約50%、IJCAD LT年額33,000円とほぼ同水準です。デスクトップ・モバイル・クラウドを1ライセンスで利用できる点を考慮すると、他のDWG互換CADと比較して費用対効果は高い設定です。永久ライセンスも€595(約9.5万円)と手頃で、長期運用ならBricsCAD Lite永久108,851円より若干安い水準です。AI Assistを含む最新機能の活用にはサブスクリプション契約が必要です。
動作環境・システム要件
ARES Commander 2026の推奨動作環境は以下の通りです(2026年4月現在)。
| 項目 | 最小要件 | 推奨要件 |
|---|---|---|
| OS | Windows 10/11 / macOS 14+ / Ubuntu 24.04 / Fedora 40 | Windows 11 / macOS最新版 |
| CPU | Intel Core i5 | Intel Core i7以上 / Apple Silicon |
| メモリ | 8GB | 16GB以上 |
| GPU | OpenGL 4.1対応 | VRAM 4GB以上 |
| ディスク | 2GB以上 | SSD推奨 |
ARES Commanderは、DWG互換CADの中でLinux対応が最も充実している製品の1つです。最新のUbuntu 24.04・Fedora 40に公式対応しており、Linuxデスクトップでの本格的なCAD業務が可能です。macOSではApple Siliconにもネイティブ対応しており、M1/M2/M3/M4搭載Macで快適に動作します。
ARES Commanderの4つの特徴
1. Trinityコンセプト(デスクトップ+モバイル+クラウド)
ARES最大の特徴は、1ライセンスで3つのプラットフォームを統合利用できる「Trinity」コンセプトです。オフィスでARES Commander(デスクトップ)、現場でARES Touch(iOS/Android)、ブラウザからARES Kudo(クラウド)と使い分けられます。設計者は場所を選ばずに同じCADデータで作業を継続でき、BricsCADやIJCADなど他のDWG互換CADにはない柔軟性を提供します。
2. AI Assist搭載(2026新機能)
2026年版で新たに搭載されたAI Assist機能により、AIによる作業支援がARESに加わりました。コマンドの推薦・パラメータの自動調整・定型作業の自動化など、設計者の作業効率を向上させる機能が統合されています。AutoCADのSmart BlocksやAutodesk Fusionのジェネレーティブデザインと同様、CAD業界全体のAI統合トレンドにARESも追随しています。
3. BIM-to-CAD変換機能
Revit(RVTファイル)やIFCファイルを直接インポートしてCADデータとして編集できるBIM-to-CAD変換機能を搭載しています。BIMモデルから2D図面を取り出したい場面や、他社BIMデータをARESで扱う必要がある場面で活躍します。BIM確認申請制度が始まる日本の建築業界でも、BIMデータを従来CADフローで扱う用途として有用です。
4. Linux対応の充実
ARES Commanderは最新Linuxディストリビューション(Ubuntu 24.04・Fedora 40)への公式対応を積極的に行っており、Linux環境での本格的なCAD業務に最適な製品の1つです。BricsCADもLinux対応していますが、ARESはTrinityコンセプトによるマルチデバイス対応と組み合わせてLinux設計者の利便性を最大化しています。オープンソース志向の組織やLinuxワークステーション環境に最適です。
ARES Commanderについての編集部の見解
ARES Commanderは、マルチデバイス対応のCAD運用を重視するユーザーにとって最有力の選択肢です。Trinityコンセプトにより、オフィス・現場・外出先のどこからでも同じCADデータにアクセスできる運用は、建設業界や現場を持つ設計者にとって大きな価値があります。
コスト面では、Trinity年額€225(約3.6万円)はAutoCADやIJCADと同水準以下でありながら、3プラットフォーム対応の付加価値を提供します。永久€595(約9.5万円)も手頃で、長期運用志向のユーザーには経済合理性があります。Graebert社はDraftSight・CorelCADのCADエンジン供給元でもあるため、CAD技術の信頼性も担保されています。
制約としては、日本国内での知名度・代理店網はIJCAD・BricsCADと比較して限定的です。14言語対応の中に日本語も含まれますが、国内の業務サポートや日本語操作ノウハウの情報量は限られています。業務での本格導入には、Graebert社のヨーロッパ本部との英語ベースのやり取りが必要な場面が発生する可能性があります。
現場を持つ建設・土木業界、複数拠点での設計連携を重視する組織、Linux環境でのCAD運用を志向するチーム、モバイル中心の設計業務を展開したい設計者にとって、ARES Commanderは独自の価値を提供するツールです。CAD業務のデジタル変革を進めたい組織には、特に注目すべき選択肢です。
ARES Commanderの口コミ
良い評価
- 1ライセンスでデスクトップ・モバイル・クラウドを使い分けられるTrinityコンセプトが、現場を持つ建設業界から高く評価されています。
- Linux対応が他のDWG互換CADより充実しており、オープンソース志向の組織や開発者層から選ばれている声が挙がります。
- 年額€225(約3.6万円)という手頃な価格でマルチデバイス対応が得られる費用対効果の高さが支持されています。
- BIM-to-CAD変換機能が便利で、Revit・IFCデータを直接扱いたい業務フローに活用できるとの評価があります。
気になる評価
- 日本国内の代理店網が限定的で、業務導入時のサポートやアフターケアに不安を感じるという指摘があります。
- 14言語対応とはいえ日本語の操作ノウハウ・書籍・オンライン教材がほぼ存在せず、独学での習得には英語情報が中心になります。
- 国内のユーザーコミュニティが小さく、業務上の問題解決にはGraebert社本部との英語でのやり取りが必要な場面がある声があります。
ARES Commanderの導入事例
- 建設・土木現場のデジタル化:オフィスで設計した図面を、現場のタブレットでARES Touchで確認・注釈追加・現場写真との連携まで一貫して実施しています。
- 複数拠点設計チーム:ARES Kudoのクラウド機能を活用し、異なる拠点のチームがリアルタイムで同じCADデータを共有・編集する運用が構築されています。
- Linuxワークステーション環境:オープンソース志向の研究機関・開発会社が、Linuxデスクトップ上で本格的なDWG互換CAD環境を構築しています。
- BIMデータ活用プロジェクト:Revit・IFCデータを直接取り込みCADとして編集するBIM-to-CAD変換機能を活用したワークフローが採用されています。
まとめ
ARES Commanderは、Graebert社が提供するマルチデバイス対応のDWG互換CADソフトです。Trinityコンセプト(デスクトップ+モバイル+クラウド)・AI Assist・BIM-to-CAD変換・Linux対応など、現代のCAD業務に必要な機能を網羅しています。
年額€225(約3.6万円)からの料金は、AutoCADやIJCADと比較しても競争力があり、3プラットフォーム対応の付加価値を含めると費用対効果の高い選択肢です。建設現場のデジタル化、複数拠点でのCAD連携、Linux環境でのCAD運用など、従来のデスクトップ中心CADでは対応しきれないニーズを持つ組織にとって、ARES Commanderは魅力的なツールとなります。



