ArchiCADとは?特徴・評判・料金・レビューを解説
ArchiCADは、Graphisoft社(Nemetschek Group)が提供する建築設計に特化したBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)ソフトです。
意匠設計を中心に、平面図・立面図・断面図・3Dモデルの一元管理やオープンBIM対応のデータ連携に活用でき、設計業務の整合性確保と効率化に繋がります。
1987年の初版リリースから30年以上の実績を持つこのソフトは、BIM設計の標準ツールとして世界100カ国以上の建築設計事務所で採用され、特にmacOS対応のBIMソフトとして唯一無二の地位を築いています。
ArchiCADとは
| 提供元 | Graphisoft / Nemetschek Group(ハンガリー) |
|---|---|
| カテゴリ | BIM / BIMソフト |
| 価格 | Archicad Studio 年額392,700円〜 / Collaborate 年額462,000円〜(税込・2026年4月現在) |
| 対応OS | Windows / macOS(Apple Silicon対応) |
| 日本語対応 | 有(UI・ヘルプ・テンプレート) |
| 公式サイト | graphisoft.com/jp |
ArchiCADは、ハンガリーのGraphisoft社が開発・提供するBIMソフトです。建築の意匠設計に強みを持ち、1つのモデルから平面図・立面図・断面図・3Dビューを連動して管理できる統合設計環境として知られています。1987年のリリース以来、BIMの概念を先駆的に実装してきたソフトであり、世界100カ国以上で利用されています。
2026年からは永久ライセンスが廃止され、サブスクリプション専用の販売モデルに移行しました。BIMソフトの中では数少ないmacOS対応を維持している点が大きな差別化要素で、Apple Silicon(M1/M2/M3/M4)にもネイティブ対応しています。openBIM標準への対応にも積極的で、IFC形式を通じた他社BIMソフトとのデータ連携に強みを持っています。
料金プラン・ライセンス形態
2026年4月現在、ArchiCADは以下のサブスクリプションプランで提供されています。永久ライセンスの新規販売は2025年末で終了しました。
| プラン | 月額(税込) | 年額換算(税込) | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| Archicad Collaborate | 66,000円/月 | 38,500円/月相当(年一括払い) | Archicad + BIMcloud SaaS + BIMx |
| Archicad Studio | 56,100円/月 | 32,725円/月相当(年一括払い) | Archicad + BIMcloud Basic + BIMx Pro |
| Archicad Solo(販売終了) | 47,080円/月 | — | 2025年6月新規販売終了・2026年12月サービス終了予定 |
| BIMcloud SaaS単体 | 15,923円/月 | 7,563円/月相当 | クラウドコラボレーション環境 |
年単位の更新プランを選択すると、月単位プランに比べて約42%お得になります。既存の永久ライセンスユーザー向けには、VIPservice/Forwardと同等価格でサブスクリプションに移行できるプログラムが用意されています。教育機関・学生向けには無償ライセンスも提供されています。
動作環境・システム要件
Archicad 29(2026年4月現在の最新版)の推奨動作環境は以下の通りです。
| 項目 | Windows | macOS |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 | macOS 14 Sonoma / 15 Sequoia / 26 Tahoe |
| CPU | Intel Core i7 / Core Ultra 7 または AMD Ryzen 7 | Apple M2 / M3 / M4(またはMax/Ultra) |
| メモリ | 32GB RAM | 32GB RAM |
| GPU | VRAM 6GB以上、DirectX 11対応(ベンチマーク15,000以上) | Apple統合GPU |
| ストレージ | NVMe SSD 5GB以上の空き | NVMe SSD 5GB以上の空き |
| ディスプレイ | 2K(2560×1600)以上 | 2K(2560×1600)以上 |
推奨メモリは32GBで、大規模プロジェクトでは64GBが望ましいとされています。高速インターネット接続はライセンス認証およびBIMcloud連携で必須です。Apple Siliconではネイティブ動作するため、同等スペックのIntel Macより大幅に快適に動作します。
ArchiCADの5つの特徴
1. 建築意匠に特化したBIMワークフロー
ArchiCADは建築の意匠設計に最適化されたモデリング環境を備えています。壁・スラブ・屋根・階段などの建築要素を直感的に配置でき、1つのBIMモデルから平面図・立面図・断面図・3Dパースが自動的に連動生成されます。設計変更は全ての図面に即座に反映されるため、図面間の不整合を構造的に排除できます。RevitやARCHITREND ZEROなど他のBIMソフトと比較した場合、意匠設計の操作性においてはArchiCADが最も直感的だという評価も多く見られます。
2. BIMソフトで数少ないmacOS対応
Revitが事実上Windows専用、ARCHITREND ZEROやGLOOBEもWindows専用という中で、ArchiCADはmacOS対応を30年以上維持しています。Apple Silicon(M1/M2/M3/M4)にもネイティブ対応しており、Macの処理性能を最大限に活かした快適な操作が可能です。設計事務所ではMac環境が多いため、OS選択の自由度が高い点は実務での導入障壁を大きく下げる要因になっています。
3. オープンBIM対応とIFC連携の先駆者
ArchiCADはbuildingSMARTのopenBIM標準をいち早く採用してきたBIMソフトです。IFC形式の入出力に標準対応しており、Revitや他社BIMソフトとのデータ連携が可能です。異なるBIMソフトが混在するプロジェクトでは、ArchiCADのIFC連携の安定性が実務上の強みになります。国内でもBIM確認申請のIFC活用が進む中で、この対応力はますます重要になっています。
4. BIMcloud SaaSによるクラウドコラボレーション
Archicad Collaborateプランにはクラウドベースの共同作業環境BIMcloud SaaSが含まれます。複数の設計者がリアルタイムで同一モデルを編集でき、変更履歴の管理やバージョン比較も可能です。VPNなしで社外からアクセスできるため、リモートワークや複数拠点でのプロジェクト進行に対応しています。Revitのクラウド連携(BIM Collaborate Pro)に対抗する機能で、サーバー構築不要のSaaS方式という手軽さが特徴です。
5. Grasshopper-ArchiCAD Live Connectionによるアルゴリズミックデザイン
Rhinoceros/Grasshopperとのライブ連携機能を標準搭載しており、パラメトリックな形状生成やアルゴリズミックデザインの成果を直接ArchiCADのBIMモデルに反映できます。Grasshopperで生成した複雑な曲面形状をArchiCADのBIM要素(壁・スラブ・梁等)に変換し、そのまま図面・数量算出に活用する運用が可能です。RevitにもDynamo連携がありますが、Grasshopperの方がユーザーコミュニティが大きく、建築デザイン分野でのスクリプト資産が豊富なため、意匠設計でのアルゴリズミック活用はArchiCADの方が実績があります。
ArchiCADについての編集部の見解
編集部としては、ArchiCADはmacOS対応とオープンBIM対応の2点で他のBIMソフトと明確に差別化できるポジションにあると評価しています。BIMソフトの選定において「OSの自由度」と「他社ソフトとの連携性」を重視する事務所にとっては、最有力の選択肢になります。
コスト面では、年額392,700円(Studio)〜462,000円(Collaborate)と、Revit(年額約482,900円)と同等クラスの投資が必要です。ただし月額プランも用意されているため、短期プロジェクト単位での導入も検討できます。Revit LT(年額約91,800円)のような廉価版が2026年12月に終了する点は、小規模事務所にとってはマイナス要因です。
国内のユーザーコミュニティはRevitに比べると小さいため、日本語の技術情報やチュートリアルの量で劣る面があります。グラフィソフトジャパンによるサポート体制は整っていますが、独学で習得する場合はRevitより情報収集に手間がかかる可能性がある点は認識しておくべきです。
総合的に見て、Mac環境でBIM設計を行いたい事務所、複数のBIMソフトが混在するプロジェクトを多く手がける事務所にとっては、ArchiCADは他に代えがたい選択肢です。一方、Windows専用で構わない場合はRevitやGLOOBEとのコスト・機能比較を十分に行った上で判断することをおすすめします。
ArchiCADの口コミ
良い評価として挙がる声
- MacでもWindowsでも同じ操作感で使えるため、事務所のOS環境に左右されずに導入できたという声
- IFC連携がスムーズで、Revitユーザーとのプロジェクト共有で大きなトラブルがなかったという声
- AutoCADからArchiCADに移行した結果、3D連動の操作感に慣れるとBIM初心者でも2ヶ月で実務レベルに到達できたという声
- BIMcloud SaaSでサーバー構築なしにクラウド共同作業を始められ、リモートワーク体制の構築が短期間で済んだという声
気になる評価として挙がる声
- サブスクリプション移行で永久ライセンスが新規購入できなくなり、年間コストの見通しが変わったという声
- Revitに比べて構造・設備分野のアドオンや連携ツールが少なく、意匠以外の分野では不便を感じるという声
- 国内のユーザーコミュニティがRevitほど大きくなく、日本語の情報収集に手間がかかるという声
ArchiCADの導入事例
- 欧州の設計事務所:欧州を中心に中規模設計事務所での導入実績が豊富で、住宅からオフィスビル・文化施設まで幅広いプロジェクトで活用されています。ドイツ・オーストリア・北欧では特にシェアが高い傾向があります
- 国内設計事務所:日本国内でも意匠設計を中心に導入が広がっています。グラフィソフトジャパンによる日本語サポート・トレーニングが受けられるため、導入後の定着支援が充実しています
- 教育機関:建築系の大学・専門学校でBIM教育用ツールとして採用されるケースが増えています。教育機関・学生向けには無償ライセンスが提供されており、在学中に実務レベルのBIMスキルを習得できます
- Mac環境の事務所:iMac・MacBook Proを主力機材とする設計事務所では、macOS対応のBIMソフトがArchiCADしか選択肢がない場合も多く、OS要件だけで導入が決まるケースもあります
まとめ
ArchiCADは、建築意匠設計に特化したBIMソフトとして30年以上の実績を持ち、macOS対応・オープンBIM対応という唯一無二の強みを備えたツールです。2026年のサブスクリプション移行により初期費用なしで導入できるようになった反面、年間39〜46万円のランニングコストが発生する点は事前に予算計画に組み込む必要があります。
BIM設計環境の構築を検討している方は、まずGraphisoftの公式サイトから体験版をダウンロードし、自社のプロジェクト規模・OS環境・他社ソフトとの連携要件を踏まえて、Revit・GLOOBEなど他のBIMソフトとの比較検討を行うことをおすすめします。



