Vectorworksとは？建築・インテリア・ランドスケープを扱える総合CAD

建築・インテリア・ランドスケープといった空間設計を1本のソフトでカバーできる「Vectorworks（ベクターワークス）」。高いデザイン性と直感的な操作性、さらにBIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）への対応により、多くの設計者に選ばれている総合CADです。

この記事では、Vectorworksの基本機能から、他CADとの違い、導入ポイント、分野別の活用法までを体系的に解説します。初心者の方はもちろん、既存のCADから乗り換えを検討している方にも役立つ内容です。

世界中のプロが実務で使うVectorworksの魅力を、事例と操作性を交えてわかりやすく紹介します。これから導入を考えている方は、まず本記事で全体像をつかんでみてください。

Vectorworksの概要と特徴

Vectorworksは、建築・インテリア・ランドスケープの各分野に対応した総合CADソフトです。設計からレンダリングまで一貫して行えるオールインワンの環境が特徴で、分野横断的な業務を効率的に進められます。他のCADと比べて、直感的な操作性や高いビジュアル表現力を持ち、特にデザイン重視の現場で支持されています。

デザイン性と機能性を両立したオールインワンCAD

Vectorworksは、設計・モデリング・レンダリングのすべてを1つのソフトで完結できるオールインワンCADです。特に注目すべきは、デザイナーに配慮した直感的なUI（ユーザーインターフェース）で、マウス操作やツールパレットの配置が自然に馴染むように設計されています。

たとえば、設計作業では「シェイプ作成 → 押し出し → マテリアル設定 → レンダリング出力」までを1つの画面内でスムーズに進行できます。Blenderなどの3DCGツールと比較しても、建築・空間設計に特化した操作系が最初から用意されている点が大きな違いです。

結果として、プレゼン資料用のCGや図面作成、さらには実施設計レベルの情報管理まで、全体の流れを止めずに進められる構成が魅力です。

一言まとめると、Vectorworksは「建築デザイン業務を1つのソフトでまかなえる」のが最大の特長です。

建築・インテリア・ランドスケープを統合管理できる強み

Vectorworksのもう一つの大きな魅力は、「分野横断的な設計環境」です。建築設計・インテリア・外構・ランドスケープなど、通常は別ソフトを使い分けるような業務も、この1本で統合管理できます。

たとえば、戸建住宅の設計において、建物本体の設計に加えて、庭の植栽計画やインテリア家具の配置、照明演出までを1ファイルで完結できます。これにより、複数のツールを行き来する必要がなくなり、データの整合性が保たれるだけでなく、手戻りも減ります。

この「設計を分けない」考え方が、特に中小規模の設計事務所やインハウスの設計部門にとって、大きな業務効率化につながります。

まとめると、Vectorworksは「建築をまるごと扱う」ための実務向け統合CADといえます。

各エディションの特徴（Architect / Landmarkなど）

Vectorworksには、業務内容に応じた4つのエディションが用意されています。それぞれの特長は以下の通りです。

エディション名	主な用途と機能
Architect	建築設計向け。BIM、構造設計、図面出力に強み
Landmark	ランドスケープ・外構設計向け。植栽・地形・環境演出が得意
Spotlight	舞台・照明・イベント設計向け。照明機材の配置や演出設計に特化
Fundamentals	基本機能のみ搭載。導入コストを抑えたい場合に最適

どのエディションも共通の操作性とファイル形式を持つため、将来的なアップグレードやチーム連携もスムーズです。選定時には「自分の業務に必要な機能がどれか？」を明確にしておくことがポイントです。

BIM対応による情報一元化

Vectorworksは、BIM（Building Information Modeling）にも対応しており、設計情報を1つの3Dモデルに統合できます。図面・3D・数量情報がすべて連携しているため、設計変更時にも関連する要素が自動で更新され、整合性を保ちやすくなります。

たとえば、壁の厚みを変更すると、断面図・立面図・3Dパース・数量表に自動反映されるため、図面の更新ミスや手戻りを防げます。これは、従来の2DベースCADでは得られないBIMの大きな利点です。

また、IFC（Industry Foundation Classes）形式での出力にも対応しており、Revitなど他社BIMソフトとのデータ連携も可能です。

要は、「デザイン重視のままBIMに対応できる」のがVectorworksの柔軟性といえます。

2Dと3Dを同時に扱えるハイブリッド設計環境

Vectorworksの設計環境は、2D図面と3Dモデルを同時に編集できる「ハイブリッド設計」が基本です。これは、たとえば平面図を修正すると自動的に3Dモデルが更新されるような双方向リンクのことを指します。

具体的には、設計中に「平面図でドアを移動 → 立面図と3Dパースも自動修正」という流れが可能です。図面とモデルの間で手作業による整合をとる必要がなくなるため、作業スピードと精度が大きく向上します。

また、レンダリングやCG作成の視点でも、同一データからプレゼン資料を作成できるため、修正があっても最小限の手間で済みます。

まとめると、「2Dと3Dを切り替えずに同時に進める設計」が、Vectorworksならではの強みです。

Vectorworksの主要機能と操作性

Vectorworksは、直感的な操作性と豊富なテンプレートにより、誰でも効率よく設計作業を進められるのが特長です。ここでは、日常業務でよく使うモデリング・図面作成・レンダリング機能など、使いやすさと機能性のバランスを紹介します。

直感的にモデリングできる柔軟なUI

Vectorworksは、感覚的に操作できるユーザーインターフェース（UI）が特徴です。ドラッグ＆ドロップやスナップ機能を活用すれば、複雑な図形もスムーズに作成できます。マウス操作に慣れていれば、特別なトレーニングを受けなくても基本操作を理解しやすい設計になっています。

たとえば、「押し出しツール」や「プッシュプルモデリング」は、立体を手で扱うように形状を変化させる感覚に近く、建築やインテリアの初学者でも使いこなしやすいです。配置や調整、整列といった基本操作もビジュアルで確認できるため、作業に迷いが少なくなります。

このように、UIの工夫により「CADソフトは難しい」というハードルを大きく下げています。

図面とレンダリングを同一データで連携

Vectorworksでは、図面とCG表現を1つのデータで連携できます。つまり、設計したモデルをそのままレンダリングに使用でき、別のソフトへ持ち出す必要がありません。

この「一元管理」がとても実務的です。たとえば、平面図の家具配置を変えると、その内容がレンダリングにも自動的に反映されるため、プレゼン資料と実際の図面にズレが出にくくなります。Renderworksを併用すれば、図面作業とビジュアライゼーションがほぼ同時進行できます。

「作図とCGをわけない」という方針は、確認や修正のたびに発生する手間を大幅に減らす設計思想といえます。

Renderworksによる高品質なCG制作機能

Renderworksは、Vectorworks専用のレンダリングエンジンです。建材の質感や金属反射、照明の陰影などを実写に近いクオリティで再現でき、プレゼン資料として非常に説得力のあるCGを作成できます。

たとえば、外観パースでは日照シミュレーションにより朝夕の光の表現も可能です。内観ではマテリアル設定を活かして、家具の質感や照明の拡散を細かく調整できます。これらの設定はモデルと直結しているため、設計変更がそのままCG表現に反映されます。

導入初期のプリセットでも十分高品質ですが、マテリアルやライト設定をカスタマイズすることで、よりプロフェッショナルな仕上がりが実現できます。

図面変更が3Dモデルに即時反映されるリンク機能

Vectorworksは、2D図面と3Dモデルの間に「双方向リンク」があり、どちらを編集してももう一方に即時反映されます。これにより、整合性のチェックや修正ミスを減らすことができます。

たとえば、立面図で窓の高さを調整すれば、3Dモデルも自動的に変更されます。逆に、3Dビューで屋根の傾斜を調整すると、断面図にもその変化が反映される仕組みです。

従来のCADでは、2Dと3Dを別々に作成して整合確認が必要でしたが、Vectorworksなら1カ所の修正で済みます。手戻りや確認作業が減り、プロジェクト全体のスピードアップにつながります。

豊富なテンプレートとライブラリ

Vectorworksには、実務で使えるテンプレートや部品ライブラリが豊富に用意されています。建材・家具・照明器具・植栽など、業種別に使いやすいシンボルが初期から多数登録されており、制作時間を短縮できます。

特に建築設計では、「住宅図面テンプレート」や「家具配置済み間取り図」などを呼び出すだけで、図面の土台をすぐに整えることが可能です。また、部品ライブラリはカスタマイズ・社内標準化もできるため、自社仕様にあわせたテンプレート設計も行えます。

「ゼロから作る」のではなく「ある程度できたものを編集する」スタイルが、業務の生産性を大きく高めます。

建築設計でのVectorworks活用事例

実際の設計業務では、Vectorworksがどのように活用されているかを知ることで、導入後のイメージが具体的になります。この章では、住宅や商業施設、外部CADとの連携、法対応まで、実務に即した使い方を事例ベースで紹介します。

住宅設計におけるワークフロー

Vectorworksを使えば、住宅設計の初期プランからパース出力までを一貫して進めることができます。特に平面図・立面図・断面図の作成と、それに基づく3Dモデルの連動が強力なポイントです。

たとえば、施主との打ち合わせ段階で簡単なプラン図を作成し、そのまま立体的にモデル化。Renderworksを使って自然光やマテリアルを設定すれば、プレゼン用のパースを即座に作成できます。これにより、設計変更が入った場合も、同一データ上で修正・再出力が可能です。

このように、「図面・モデル・CGが一体化」していることで、スピード感とプレゼン力が両立できます。

商業施設設計での演出とプレゼン資料作成

商業施設や店舗の設計では、空間演出が重要になります。Vectorworksは、照明や素材の表現力が高いため、リアルなプレゼン資料を作成しやすい環境が整っています。

たとえば、天井のスポットライトが壁面に落とす影や、床材の反射具合まで細かく調整可能です。これにより、「実際に照明をつけたときにどう見えるか？」を正確にシミュレーションでき、クライアントへの説得力が増します。

レンダリングしたCG画像は、図面とセットで提案書に挿入することが多く、社内プレゼンやコンペ時にも有効です。

他CADとの連携によるチーム作業効率化

設計チーム内では、異なるCADソフトを併用しているケースも多いです。Vectorworksは、Revit・SketchUp・AutoCADなどとの互換性が高く、IFC形式やDWG形式を通じてスムーズに連携できます。

たとえば、構造設計はRevit、デザインはVectorworks、詳細納まりはAutoCADという体制でも、IFCを中継すればデータの整合が取れます。また、SketchUpから取り込んだモデリングをベースに設計を進めることも可能です。

こうした「マルチCAD時代の連携力」が、プロジェクト全体の精度とスピードを両立させます。

建築確認申請・施工図面出力への対応

Vectorworksは、建築確認申請や施工図面の出力にも対応できる柔軟な形式出力が特徴です。PDF、DWG、IFCなど主要な形式で書き出し可能なため、提出先の指定に合わせた図面出力が行えます。

特に、意匠図・配置図・面積表など、確認申請に必要な要素をテンプレートで素早く作成できる点が実務的です。テンプレートはカスタマイズ可能で、自社のフォーマットにも適応できます。

結果として、設計から提出用図面までを一貫して進められるため、確認申請の効率も高まります。

インテリア・ランドスケープ分野での活用法

Vectorworksは建築だけでなく、インテリアやランドスケープといった空間設計にも強みを持っています。この章では、素材や照明を使ったリアルな室内表現や、植栽・外構設計まで対応できる機能を紹介し、分野ごとの具体的な活用方法を整理します。

インテリア設計におけるリアルな表現

Vectorworksでは、家具・建材・照明の組み合わせをリアルに表現できるため、インテリアの完成イメージを具体的に伝えることができます。特にRenderworksを使えば、光の反射やマテリアルの質感まで細かく調整可能です。

たとえば、木目の床材にスポットライトを当てたときの反射具合や、カーテン越しの自然光の表現など、CGならではの微調整ができます。これにより、施主やクライアントが完成後の空間を事前に体感しやすくなり、打ち合わせもスムーズに進みます。

また、室内空間に配置する家具や小物は、ライブラリからドラッグ&ドロップで追加できるため、短時間で完成度の高いビジュアルが作成可能です。

ランドスケープ設計の機能と活用法

Vectorworksは、外構や庭園設計などのランドスケープにも対応しています。特に「Landmarkエディション」では、地形モデリングや植栽配置、日照シミュレーションなどが実装されており、実用的な外部空間設計が可能です。

たとえば、植栽ライブラリを使えば、樹種・大きさ・季節の違いまで考慮した配置ができ、完成後の景観を可視化できます。また、斜面の傾斜設計や舗装の素材変更も簡単に行え、住宅の外構から公共施設の広場設計まで幅広く対応できます。

設計からプレゼンまで1つのモデルで行えることで、手戻りも少なく、設計効率が高まります。

空間デザインにおけるプレゼン活用

展示会・商業空間・パブリックスペースなどの設計では、立体的な表現が求められます。Vectorworksは3Dモデリングとアニメーション機能を活用することで、空間提案のインパクトを高められます。

たとえば、ブース設計では来場者の視線を意識した構成を3Dで確認しながら進められます。また、ウォークスルーアニメーションを作成すれば、実際の導線や視界の変化をクライアントに体感してもらうことも可能です。

図面だけでは伝わりにくい「空間の雰囲気」や「動き」を、映像で補えるのが大きな強みです。

一貫ワークフローで制作効率を向上

Vectorworksの強みは、設計・CG・プレゼン資料のすべてを1つのデータで完結できることです。これにより、各工程間のデータ変換や修正の手間を省けます。

たとえば、初期設計で作成した3DモデルをそのままRenderworksでビジュアライズし、さらに図面出力・提案書PDF・プレゼンアニメーションまで連動させることで、制作全体のコストを抑えつつ高品質なアウトプットが得られます。

このような一貫した設計フローは、少人数チームや個人設計者にとって特に効果的です。

Vectorworksと他CADソフトの比較

CADソフトの選定では、操作性や価格、対応分野の違いを把握することが重要です。この章では、Vectorworksを他の主要CADソフトと比較しながら、その特長や導入メリットを整理します。特に建築・インテリア・ランドスケープそれぞれの視点から、最適な選び方を紹介します。

AutoCAD・Revitとの違い

Vectorworksを他の代表的なCADソフトであるAutoCADやRevitと比較すると、その特性の違いが明確になります。AutoCADは汎用2D・3D CADで多業種に対応し、RevitはBIMに特化した建築設計ソフトです。それに対して、Vectorworksはデザイン性と柔軟性に優れたオールインワンの設計環境を提供します。

たとえば、AutoCADは操作がコマンドベースで習得にやや時間がかかりますが、自由度は高く業務全般に使われています。一方、RevitはBIM特化型で構造・設備との連携が得意ですが、意匠デザインやプレゼン表現に限界があります。

Vectorworksはその中間に位置し、BIMにも対応しつつ、意匠やプレゼンに強く、建築・インテリア・ランドスケープの分野横断設計に向いています。

デザイン性・カスタマイズ性の優位性

Vectorworksは、ビジュアル表現の自由度が高く、設計者の意図を正確に反映しやすいのが特長です。Renderworksによる高品質なパースやアニメーション出力により、他CADでは再現しづらいプレゼン資料を短時間で作成できます。

また、UIやライブラリ、図面テンプレートのカスタマイズ性も高く、社内基準に合わせた図面フォーマットやオブジェクト登録が簡単に行えます。これにより、チーム全体の作図効率と統一感を維持できます。

つまり、「見せる設計」と「使いやすさ」のバランスが取れたソフトとして、多様な現場で活用されています。

分野別に最適なCADの選び方

設計業務の内容に応じて、最適なCADソフトは異なります。以下に、分野別のおすすめソフトを比較してみましょう。

分野	最適ソフトの傾向	特徴
建築設計	Vectorworks / Revit	デザイン性重視ならVectorworks、構造連携重視ならRevit
インテリア	Vectorworks	表現力・ライブラリの豊富さがプレゼンに向く
ランドスケープ	Vectorworks（Landmark）	植栽・地形・日照などの環境機能が充実
設備・構造設計	Revit / AutoCAD	詳細なBIM情報管理や図面出力に強い

このように、デザイン・ビジュアル・プレゼン重視の現場では、Vectorworksが特に効果を発揮します。

サポート・アップデート体制の比較

CADソフトの選定では、機能だけでなく導入後のサポート体制も重要です。Vectorworksは、国内代理店による日本語サポートが整っており、公式トレーニングやユーザーコミュニティも活発です。

また、アップデートは年1回以上行われており、最新OSやBIM標準への対応が早いことも安心材料です。対照的に、Revitは海外ベースのアップデートが中心で、日本仕様への対応にはややラグがあります。AutoCADは更新頻度は高いですが、BIM対応は限定的です。

このように、Vectorworksは「導入後も安心して使い続けられる」体制が整っています。

導入と活用のポイント

Vectorworksを導入する際は、動作環境やトライアルの使い方、社内での運用方法を理解しておくと安心です。この章では、導入前に確認すべきポイントと、導入後に効率よく活用するための実践的なヒントを紹介します。

動作環境と必要スペックの確認

Vectorworksを快適に使用するには、事前に推奨動作環境を確認しておくことが重要です。とくにレンダリングや3D処理が多い場合、グラフィック性能やメモリ容量が作業効率に直結します。

公式サイトによれば、2025年現在の一般的な推奨スペックは以下の通りです。

• OS：Windows 11 または macOS Sonoma（最新バージョン推奨）
• CPU：Intel Core i7 または Apple M1/M2/M3 シリーズ
• メモリ：16GB以上（32GB推奨）
• GPU：VRAM 4GB以上（8GB推奨）
• ストレージ：SSD（空き容量100GB以上）

ノートPCでも使用できますが、長時間のレンダリングやBIM操作が多い場合は、デスクトップ型またはワークステーションの方が安心です。

導入前に「どの作業が多くなるか」を想定し、必要なスペックを満たすマシン構成を検討してください。

無料トライアル・教育版の活用方法

Vectorworksは、導入前に操作感を確かめられる「無料トライアル版」と、学習用の「教育版」が提供されています。これらを活用することで、購入前の不安を減らすことができます。

無料トライアルは、公式サイトから申請することで14日間利用可能です。機能制限はほとんどなく、製品版とほぼ同じ操作が可能なので、実際の業務に近い形で試せます。

また、教育機関に所属する学生や教員であれば、無償の教育版ライセンスを1年間利用できます。登録には在籍証明書の提出が必要ですが、商用利用は不可です。

まずはトライアル版で「自分の業務に合っているか」を体感してみるのがおすすめです。

初心者向けチュートリアル・講座

Vectorworksは学習コンテンツが豊富に用意されており、初心者でも独学で操作を習得しやすい環境が整っています。まずは公式YouTubeチャンネルやチュートリアルPDFを活用すると、基本操作から段階的に学べます。

特に初心者におすすめなのが、「住宅設計をテーマにした基本操作チュートリアル」です。平面図→3Dモデル→パースまでの流れを一通り体験できるため、実務感覚をつかみやすいです。

また、有料講座では「建築BIM設計」「ランドスケープ設計」など専門分野別の講習もあり、必要なスキルをピンポイントで学ぶことができます。

自分のスキルレベルや目的に合わせて、コンテンツを選びましょう。

チーム導入時のデータ運用のコツ

Vectorworksを複数人で使う場合、データの共有方法やファイル管理ルールを決めておくと、作業効率が格段に上がります。

基本は、プロジェクトごとにフォルダ構成を統一し、ファイル名や保存場所をルール化することが重要です。加えて、「プロジェクト共有機能」を使えば、同じファイルを複数人で同時編集できます。これはチーム作業におけるミスや手戻りを防ぐのに効果的です。

また、クラウドストレージ（Dropbox、Google Driveなど）と組み合わせれば、遠隔チームとの共同作業もスムーズになります。

「誰が・いつ・どこを編集したか」が把握できる環境づくりが、チーム導入成功のカギです。

活用を広げるプラグイン・連携サービス

Vectorworksは、他のツールやサービスと連携するための拡張機能も充実しています。たとえば、以下のようなプラグイン・サービスが業務効率を高めます。

• Twinmotion連携：リアルタイムレンダリングでプレゼン精度アップ
• Dropbox連携：クラウド保存・バージョン管理
• Bluebeam連携：図面レビュー・注釈の効率化
• IFCエクスポート：他BIMソフト（Revit等）とのモデル共有

特にレンダリングやチーム運用を重視する場合は、これらの連携を前提にワークフローを設計すると、長期的な運用が楽になります。

まずは基本操作に慣れた後、必要な機能を徐々に追加する流れでOKです。

Vectorworksの価格・ライセンス体系

Vectorworksの価格はエディションや購入方法によって異なります。導入を検討する際には、ライセンスの種類やサポート内容、長期的な運用コストまで含めて比較することが大切です。この章では、ライセンスの種類とそれぞれの特徴、価格帯、コストの最適化方法を整理します。

永続ライセンスとサブスクリプションの違い

Vectorworksのライセンス形態は、「永続ライセンス」と「サブスクリプション（定額制）」の2種類から選べます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、利用期間や予算に応じて選択することが重要です。

永続ライセンスは、買い切り型で一度購入すればそのバージョンをずっと使えます。長期間にわたって使い続ける予定がある場合に向いており、初期費用は高めですが、長期的にはコストを抑えやすいです。

一方、サブスクリプションは月額または年額で支払う方式で、常に最新版を使えるのが利点です。初期費用を抑えて導入できるため、試験導入や短期プロジェクトにも適しています。

導入前には「頻繁にアップデートしたいか」「どれくらいの期間使うか」を考慮して選びましょう。

各エディションの価格比較

Vectorworksは用途別に複数のエディションがあり、それぞれ価格が異なります。2025年時点での一般的な価格帯（税別）は以下の通りです。

エディション名	永続ライセンス参考価格	主な用途
Fundamentals	約26万円〜	基本的な2D/3D作図
Architect	約38万円〜	建築設計＋BIM機能
Landmark	約38万円〜	ランドスケープ設計
Spotlight	約38万円〜	舞台・照明設計
Design Suite（全部入り）	約48万円〜	全機能を統合した上位版

※サブスクリプションの場合、年額10〜15万円程度のプランが用意されています（プランやキャンペーンにより変動あり）

まずは「どの分野で使うか」「どこまでの機能が必要か」を整理し、過不足のないエディションを選ぶことがコスト最適化の第一歩です。

教育機関・学生向け無償ライセンス

Vectorworksでは、教育目的に限り、無償で利用できる「教育版ライセンス」が提供されています。対象は、教育機関に所属する学生・教職員・研究者などです。

申請には、在籍証明書や学生証の提出が必要ですが、機能制限はなく、製品版と同様に使用できます（ただし商用利用は不可）。ライセンス期間は1年間で、更新も可能です。

学習段階でソフトに慣れることができるため、卒業後の実務にもスムーズに移行しやすいのが利点です。設計系の学科や職業訓練校でも、積極的に導入されています。

コストを抑える運用方法

Vectorworksを導入する際は、「必要な機能に絞ったライセンス選定」と「無償版・割引制度の活用」がコスト最適化のポイントです。

まず、最小限の構成（たとえばFundamentals）から始め、必要に応じて上位エディションへアップグレードする方法があります。また、キャンペーン時には割引価格や複数本ライセンスのパッケージも用意されることがあります。

さらに、既存ユーザーは「アップグレード割引」や「保守契約の継続割引」などの制度を活用できます。定期的に公式サイトや販売代理店の情報をチェックしておくのがおすすめです。

要は、「今すぐ全部入り」ではなく、「必要な機能から段階的に導入」が費用対効果を高めるコツです。

よくある質問（FAQ）

Vectorworksに関して、導入前や操作中によく寄せられる質問をまとめました。初心者がつまずきやすいポイントや、他CADとの違い、OS対応、サポート体制まで、実際の利用シーンに沿ってQ&A形式で解説します。

Q1.Vectorworksは初心者でも扱いやすい？

はい、Vectorworksは初心者にも扱いやすい設計になっています。特にUI（ユーザーインターフェース）は直感的で、マウス操作中心でも基本的な図形の作成やモデリングがスムーズに行えます。

たとえば、「押し出しツール」や「スナップ機能」など、CADに不慣れな人でも感覚的に使える機能が多く、マニュアルを見なくても操作できる場面が多いです。さらに、公式チュートリアルや動画教材も充実しており、段階的にスキルアップできる環境が整っています。

「まずは操作して慣れていく」スタイルで学びやすいのが、Vectorworksの魅力のひとつです。

Q2.BIM機能はRevitと比べてどう違う？

VectorworksもBIM（Building Information Modeling）に対応していますが、Revitとはアプローチが異なります。Revitは「情報の整合性・連携重視」のBIMであるのに対し、Vectorworksは「デザイン重視の柔軟なBIM」が特徴です。

たとえば、Vectorworksでは自由な形状モデリングやビジュアル表現に強みがあり、構造設計や施工管理よりも、意匠設計やプレゼン重視の現場に適しています。もちろん、IFC形式で他BIMソフトとの連携も可能です。

「自由な表現を保ちながらBIMを活用したい」という設計者にとっては、Revitよりも使いやすい選択肢になる場合があります。

Q3.MacとWindowsのどちらでも動作する？

はい、VectorworksはWindowsとmacOSの両方に対応しており、どちらの環境でも同じように動作します。これは、Macユーザーの多いデザイン業界にとって大きなメリットです。

たとえば、自宅ではMac、職場ではWindowsという環境でも、同じプロジェクトファイルを使い回すことができます。両OS間でのファイル互換性も高く、見た目や動作に大きな差はありません。

ただし、OSごとに推奨スペックが異なるため、導入前に公式サイトで確認しておくと安心です。

Q4.他のCADデータを読み込んで編集できる？

はい、Vectorworksは他CADソフトのファイル形式に幅広く対応しており、DWG・DXF・IFCなど主要なデータを読み込み・書き出し可能です。

たとえば、AutoCADで作成した2D図面（DWG）を取り込んでそのまま編集したり、RevitやArchicadからのBIMデータ（IFC）をインポートして3D化することも可能です。SketchUpデータも直接読み込みできます。

この互換性の高さにより、他社との協業や業務フローの中でのCAD移行もスムーズに進められます。

Q5.導入サポートやトレーニングはある？

はい、Vectorworksは国内代理店による手厚いサポート体制が整っています。公式サポートセンターでは、導入前後の技術相談や操作サポートを受けられるほか、トラブル発生時の対応もスピーディです。

また、オンライン講座・ウェビナー・公式YouTubeチャンネルなど、学習リソースも充実しており、初心者から上級者まで段階的にスキルを高めることができます。さらに、ユーザーコミュニティも活発で、質問掲示板や勉強会などの情報交換の場もあります。

「導入して終わり」ではなく、「使いながら学べる環境」が整っている点が、Vectorworksの安心感につながっています。