Blenderの建築モデリング手順|壁・床・建具から組み立てる基本

Blenderで建築パースのモデリングを始める際、「どこから手をつければよいか」「どの順序で進めるのが効率的か」と迷う方は多いでしょう。建築モデリングは壁 → 床 → 天井 → 建具の順序で進めるのが基本であり、この順序にはCADや施工の考え方と共通する明確な理由があります。

この記事では、Blenderで建築パースの躯体をゼロからモデリングする具体的な手順を、図面の読み込みから建具の組み込みまで段階的に解説します。対象は壁・床・天井・建具で、階段や屋根については扱いません。

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目次

建築モデリングの全体手順を把握する

建築パースの躯体モデリングは、壁 → 床 → 天井 → 建具の順序で進めると手戻りが最小になります。この順序は施工やCAD設計のワークフローとも整合しており、図面からの変換がスムーズです。

モデリング前の準備|図面の読み込みとスケール設定

モデリング開始前に、単位系・下絵・Snap設定の3つを確定させます。この準備工程を省略すると、後工程でスケール不整合が頻発するため注意が必要です。

単位系の設定はScene Properties > Units で Length を Meters に設定し、Scale を 1.000 にしてください。建築パースでは実寸でのモデリングが原則です。

図面の読み込みには2つの方法があります。CADデータ(DXF形式)をインポートする場合は、File > Import > AutoCAD DXF を使用します。画像(PDF・JPG)の場合はAdd > Image > Reference でシーンに配置してください。

配置後はスケール合わせの検証が必須です。図面上の既知の寸法(部屋の幅など)をMeasureツールで計測し、実際の数値と一致しているか確認します。

Snap設定も建築モデリングでは不可欠な項目です。ヘッダーのSnap設定で Increment を有効にし、10mm・50mm・100mm単位のスナップを設定しておくと、寸法精度を保ちながら効率的にモデリングできます。

建築モデリングの進行順序とその理由

壁を最初に立てる理由は、空間の輪郭が確定することにあります。壁が立ち上がれば、床・天井の範囲は壁の内法寸法で自動的に決まるため、寸法の二重管理が不要になります。

建具(窓・ドア)は壁に開口を設ける作業です。壁が完成していなければ開口を作れません。この依存関係も壁を先に作る根拠の一つです。

PERSCでは「壁 → 床 → 天井 → 建具」の順序を全案件に適用しています。この順序はCAD・BIMの設計フローとも整合しており、図面を見ながらの作業がスムーズに進みます。

壁のモデリング手順

壁は建築パースの空間を定義する最も基本的な要素です。平面図をもとに壁の外形線を作成し、高さを立ち上げ、壁厚を付与するのが基本の流れになります。

平面図から壁の外形を作る

Edit Modeで平面図の壁芯(壁の中心線)に沿ってVertexを配置し、Edgeでつないで壁のアウトラインを作成します。Snap to Incrementを有効にしておくと、10mm単位での正確な配置が可能です。

壁厚の付与には3つの方法があり、それぞれ特性が異なります。

手法メリットデメリット推奨場面
Solidify Modifier非破壊で壁厚を後から調整可能T字壁やL字壁の角で破綻する場合がある設計が確定していない初期段階
Extrude Along Normals壁厚の均一性が高い一度確定すると変更が手間壁厚が確定している場合
手動オフセット完全な制御が可能作業時間がかかる壁厚が部分的に異なる場合

実務ではSolidifyを第一選択にするケースが多いです。設計変更に対応しやすい非破壊ワークフローは、建築パース制作で特に重要です。内壁と外壁で壁厚が異なる場合は、オブジェクトを分けてそれぞれSolidifyの値を設定します。

壁の高さを立ち上げる

壁のアウトラインを選択し、E → Z → 2.4(Enter)で天井高2,400mmまで立ち上げます。一般的な住宅の階高(CH: Ceiling Height)は2,400mm、オフィスは2,700mm前後が標準値です。

壁の上端が揃っていない場合は、上端の辺をすべて選択し、S → Z → 0 で一括整列させます。このショートカットは建築モデリングで頻繁に使う操作です。

建築パースでよく参照する寸法値を以下にまとめます。これらは日本の一般的な建築寸法の目安であり、案件ごとに図面で確認してください。

部位一般的な寸法
住宅の天井高2,400mm
オフィスの天井高2,700mm
ドア高2,000〜2,100mm
窓下端高800〜900mm
窓上端高2,000mm
カウンター高850〜900mm

床・天井のモデリング手順

床・天井はカメラに映るかどうかで作成要否と厚み付与を判断します。内観パースでは両方必須ですが、外観パースでは省略できるケースも多い要素です。

床面の作成

壁の内側の底辺(Edge)を選択し、F(Fill)で面を張るのが最もシンプルな方法です。壁とは別オブジェクトとして作成すると、マテリアル設定やメッシュ管理が容易になります。

床に厚みを持たせるかどうかはカメラアングルで判断します。断面が見える場合(階段吹き抜けなど)のみSolidifyで厚み(150〜200mm程度)を付与すれば十分です。

段差がある場合(スキップフロアなど)は、床面にLoop Cutで分割線を入れてからG → Z で高さを調整します。段差の端部にはベベルを加えると、リアリティが向上します。

天井面の作成

内観パースでは天井面が必ず見えるため、作成が必須になります。外観パースで室内が見えない場合は省略可能です。

壁の上端のEdgeを選択し、Fで面を張るのが最もシンプルな方法です。壁と天井の間に微小な隙間ができないよう、壁上端の辺と天井面の辺が正確に一致していることを確認してください。

折り上げ天井や梁の表現が必要な場合は、天井面にLoop Cutを入れてからExtrudeで形状を追加します。梁の寸法は断面で300x300mm〜500x500mm程度が一般的な住宅の目安です。

建具(窓・ドア)のモデリング手順

壁に開口を設け、窓枠・ドア枠を組み込む工程は、建築モデリングの中でもトポロジー管理が重要になる作業です。Boolean演算と手動操作の2つの手法を使い分けます。

壁に開口部を設ける方法

壁に窓やドアの開口を作成する手法は2つあり、それぞれ長所と短所があります。

方法1: Boolean Modifier
矩形のCubeを窓サイズで作成し、壁に対してBoolean > Differenceを適用します。操作がシンプルで直感的ですが、Apply後のトポロジーが乱れやすい点が欠点です。Boolean後はMerge by Distance(距離0.001m程度)で重複頂点を統合し、Recalculate Normalsで法線方向を修正してください。Blender 4.2 LTS以降ではExact Solverの安定性が向上しており、矩形開口であればBooleanで問題なく処理できます。

方法2: Loop Cut + 手動削除
壁にLoop Cutで開口の上端・下端・左端・右端の4本を入れ、開口部分の面を選択して削除(X > Faces)します。トポロジーがきれいに保たれるため、後の編集が容易です。

実務での使い分け基準は形状の複雑さで判断します。単純な矩形開口はBooleanで効率よく処理し、アーチ窓や異形開口は手動が安定します。

窓枠・ドア枠の基本的な作り方

開口部に枠を組み込む手順は、断面プロファイルの作成から始めます。

窓枠はPlaneから断面形状を作り、開口部の周囲に配置します。枠の断面形状のリアリティはカメラ距離で判断してください。近景(2m以内)では面取り・溝・段差を入れますが、遠景(5m以上)では矩形のプロファイルだけで十分です。

ドア枠は矩形のプロファイルをコの字型に配置し、Bevelで面取りを施すのが基本です。枠の幅は一般的なドア枠で30〜40mm程度です。

窓枠・ドア枠の作成に使える参考寸法は以下のとおりです。

部材一般的な寸法
窓枠の見付幅25〜35mm
ドア枠の見付幅30〜40mm
枠の奥行き壁厚に合わせる
ガラスの厚み3〜6mm

まとめ|躯体が完成したら次のステップへ

本記事で扱った建築モデリング手順のポイントを整理します。

  • モデリング順序は壁 → 床 → 天井 → 建具が基本です。この順序はCAD・BIMの設計フローと整合しており、手戻りを最小化できます。
  • スケール設定と図面の読み込みを最初に確定させることが、寸法精度の土台になります。Snap設定(10mm / 50mm / 100mmのIncrement)も初期段階で済ませてください。
  • 壁厚の付与はSolidify Modifierが第一選択です。非破壊ワークフローにより設計変更への対応が容易になります。
  • 開口部はBooleanと手動(Loop Cut + 削除)を使い分けます。矩形開口はBoolean、異形開口は手動が安定する判断基準です。
  • 枠のディテールレベルはカメラ距離で判断します。近景は面取り・溝・段差まで作り込み、遠景は矩形プロファイルで十分です。

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