「AIって結局、私の仕事の邪魔なの?味方なの?」建築ビジュアライズの現場から、やさしく教えます。

「最近、AIがすごいって聞くけど、私たちの仕事どうなっちゃうの?」
そんな不安を抱えながら、今日も図面と向き合っているCADオペレーターのみなさん、お疲れ様です。
効率化だ、スピードアップだと言われても、実際に現場でどう使えばいいのか、どこまで任せていいのか、迷ってしまうことってありますよね 。
でも大丈夫。結論から言うと、AIは敵ではありません。
むしろ、ちょっとクセはあるけど頼りになる「後輩」や「アシスタント」みたいなものなんです。
今日は、そんなAI君とうまく付き合っていくための「現場の知恵」を、コーヒー片手にゆっくりお話ししましょう。実際の制作フローやツールの選び方まで、しっかりと整理していきますよ 。
まずはここから。建築ビジュアルの現場で、AIは今どこにいるの?
まず最初に、今の建築ビジュアル制作の現場で、AIがどんなポジションにいるのかをハッキリさせておきましょう 。
今のところ、AIはあくまで「制作補助」という立ち位置に定着しつつあります 。
よく「AIが全部やってくれるんでしょ?」なんて勘違いされますが、全工程をAI任せにするのは現実的ではありません 。
AIが得意なこと(自動化・効率化)と、私たち人間がやらなきゃいけないこと(判断・品質管理)。この2つを明確に分けることが、現場で平和に過ごすための第一歩です 。
何でもできるわけじゃない? AIが得意な「補助作業」を整理しましょう
では、AI君は具体的に何が得意なのでしょうか?
今の現場では、「ラフ案の自動生成」や「画像のノイズ除去」「色調補正」といった補助的な作業で大活躍しています 。
彼らは大量の画像データを持っているので、人間がウンウン唸っている間に、短時間で複数の案をパッと出してくれます 。
使い方はこんな感じです。
私たちが設計意図や要望をテキストや画像で入力すると、AIがそれっぽい画像を自動で作ってくれます 。
そして、出てきた案を私たちが選んで、修正を加える。この流れが一般的ですね 。
ただ、ここで一つ注意点があります。
AI君、一発で完璧な仕事をしてくれることは滅多にありません。
「なんか違うな」と思って2〜5回くらい作り直させたり(再生成)、微調整したりすることがほとんどです 。
(※もちろん、使うツールや案件によって回数は変わるので、自分の現場で試してみてくださいね )
「AIだから一瞬で終わる」と思わず、あくまでサポート役として役割を整理してあげることが、効率と品質のバランスを保つコツです 。
ここがプロの腕の見せ所! 「人がやるべきこと」と「AIに任せること」
さて、ここが一番大事なポイントです。どこまで任せて、どこから人間が引き取るか。
AIは「パターン認識」や「画像生成」は超得意ですが、「設計意図」や「空気感(ニュアンス)」を理解するのは苦手です 。
建物の用途がどうとか、周りの環境と合っているかとか、法規制的にOKかとか……そういう「文脈」を読むのは、やっぱり私たちの仕事なんです 。
ざっくり分けるとこうなります。
- AIに任せること: ラフ案の生成、色味の調整、簡単なマテリアル(素材感)の表現など 。
- 人間がやること: カメラアングルの最終決定、構造の整合性チェック、クライアントの細かな要望の反映 。
だから、AIが出してきたものをそのまま「はい完成!」とするのはNG。必ず設計図や要件と照らし合わせて、「本当にこれでいいの?」と確認することが必須です 。
現場ごとに「この作業はAIが得意」「これは苦手」というリストを作って、都度見直していくと、手戻りやトラブルがぐっと減りますよ 。
気をつけて! 最初からAI頼みだと起きちゃう「現場の悲劇」
もし、最初から「AIがなんとかしてくれるでしょ」という前提で進めてしまうと、どうなると思いますか?
よくあるのが、設計図とは似ても似つかない出力が出てきたり、現実にはありえない構造の建物が描かれてしまったりするケースです 。
AIは過去のデータから「それっぽい」画像を作るだけなので、私たちの現場の要望にぴったり合うとは限らないんです 。
例えば……
- 設計図と窓の位置やサイズが全然違う!
- 法規上、絶対に建てられないような形状になっている!
こんな画像をそのままクライアントに見せたら大変ですよね。「え、これ図面と違くない?」なんて言われたら、信頼が一瞬で崩れてしまいます 。
AIに頼りすぎると、こういう「細部の破綻」や「現実離れ」をつい見逃してしまいがち 。
だからこそ、最終チェックは必ず人間の目で厳しく行って、修正を加える。そうすることで、はじめてプロの仕事として成立するんです 。
いつもの作業が変わるかも。制作フローとAIの「新しい関係性」
「じゃあ、仕事の進め方はどう変わるの?」
基本的には、これまでの3DCG制作の流れがガラッと変わるわけではありません 。
ただ、AIが入ることで一部の工程が劇的に速くなったり、役割分担が変わったりします 。
どのタイミングでAIを使うかで、残業時間が減るかどうかが決まる……と言っても過言ではありません 。
全体像を見てみましょう。企画から仕上げまで、AIはどこに顔を出す?
建築ビジュアル制作の一般的な流れは、こんな感じですよね。
- 企画・ラフ案作成
- 3DCGモデリング
- マテリアル設定
- ライティング
- レンダリング
- 仕上げ加工(レタッチ)
この中で、AIが特にいい顔をする(効果を発揮する)のは、最初と最後。つまり「ラフ案作成」と「仕上げ加工」です 。
ラフ案作成では、テキストや手描きのスケッチをAIに投げて、パパッと複数のイメージを作ってもらいます 。
そして最後の仕上げでは、ノイズを除去したり、色調を整えたりするのにAIを使います 。
逆に、間のモデリングやライティング、レンダリングといった工程は、今のところ人間が手作業で進めるのが中心です 。
全体の流れを見渡して、「あ、ここはAI君の出番ね」と都度判断していくのが、賢い進め方です 。
安心してね。AIが来ても「変わらない」大切な工程があります
「私の得意なモデリング、なくなっちゃうの?」と心配しているあなた、安心してください。
AIを導入しても、変わらない(変えられない)工程があります 。
それは、「3DCGモデリング」「マテリアル設定」「カメラアングルの決定」です 。
なぜなら、建築ビジュアルにおいて「寸法」や「構造」は命だから。
設計図通りに正確な形を作るには、やっぱり3DCGソフトでカチカチとモデリングする必要があります 。
質感や色味をリアルにするマテリアル設定も、細かい調整はAIにはまだ荷が重い。ここには私たちの経験や知識がどうしても必要なんです 。
AIにはできない、省略できない部分。ここをしっかり把握して、そこには惜しまず人間の手間をかける。これが品質と効率を両立させる秘訣です 。
劇的ビフォーアフター? AIで「ガラッと変わる」工程はここ!
一方で、AIのおかげで劇的に変わる工程もあります。
先ほどもお伝えした「ラフ案作成」と「仕上げ加工」ですね 。
特にラフ案作成のスピード感は圧倒的です。
設計意図や要望を入力すれば、早ければ10〜30分程度で、複数のラフ案が手に入ります 。
(※もちろん、これもツールや案件の規模によりますよ! )
これまでの「ゼロから悩んでスケッチを描く時間」が大幅に短縮されるので、アイデア出しや方向性を決めるのがすごく楽になります 。
仕上げ加工でも、AIが自動でノイズを取ってくれたり色を直してくれたりするので、地味に大変だった手作業の負担が減ります 。
「ここが変わるんだ」と知っておくだけで、仕事の配分がうまくできるようになりますよ。AIの出力は必ずチェックしつつ、便利なところはどんどん甘えちゃいましょう 。
スピード勝負の味方! 「ラフ作成」と「比較検討」こそAIの独壇場です
「で、具体的にどこが一番使えるの?」と聞かれたら、私は迷わずこう答えます。
「とにかく数を出したい時」です 。
AIを使ったラフ作成は、アイデア出しや比較検討のスピードを劇的に上げてくれます 。今まで私たちが徹夜して描いていたスケッチの山を、AI君は涼しい顔して一瞬で積み上げてくれるわけです。
ただし、ここでも「AIの得意・不得意」を見極める冷静な目が必要です 。
とにかく数が欲しいとき! ラフ案生成でAIが輝く条件とは
AIによるラフ案生成が最も輝くのは、「初期段階で、多様なアイデアを素早く出したい時」です 。
まだガチガチに設計が決まっていなくて、「コンセプトの方向性をいくつか検討したい」とか「クライアントに松竹梅で提案したい」なんて時に、ものすごい威力を発揮します 。
使い方はシンプル。設計意図や要望をテキストで打ち込んで、AIに10〜20案くらいババッ!とラフパースを作らせるんです 。
その中から「お、これいいじゃん」という案を選んで、必要に応じて再生成したり微調整したりします 。
ちなみに、ここでもやっぱりAI君は気まぐれ。一発で完璧な絵が出てくることは少なくて、だいたい2〜4回くらいの手戻り(再生成)は覚悟しておいてください 。
それでも、人間がゼロから描くよりは遥かに速いですから、ご安心を。
「どれにする?」を高速化。比較検討をスムーズにするAI活用術
「A案もいいけどB案も捨てがたい……」なんて迷っている時間、もったいないですよね。
AIを使えば、複数案の比較検討が驚くほどスムーズになります 。
従来なら、1つの案を作るのに数時間から半日かかっていた3DCG作成が、AIなら同じ時間で10案以上出すことも可能です 。
「外観の色を変えたパターンが見たい」「周りの植栽を変えてみて」といった要望にも、即座に応えられるようになります。
ただし、ただ数を出すだけじゃダメ。
「外観の色」「形状」「周辺環境とのバランス」など、「何を比較したいのか」という評価基準を事前にリストアップしておくのが、先輩からのアドバイスです 。
そうしないと、大量の画像に溺れて「結局どれがいいんだっけ?」と迷子になっちゃいますからね 。
窓がない!? ラフ工程でよくある「AIパースの破綻」にご注意を
AI君にお願いする時、一番気をつけなきゃいけないのがこれ。「破綻」です。
AIは「それっぽい絵」を作る天才ですが、建築の構造なんてこれっぽっちも理解していません。
だから平気で、現実には存在しない構造を描いたり、窓やドアの位置が不自然だったりする絵を出してきます 。
「なんかカッコいいけど、この柱、どこも支えてなくない?」みたいなことがよく起こります 。
これをそのままクライアントに見せたら、「え、御社ってこういう適当な設計するんですか?」と信頼ガタ落ちです 。
ラフ工程だからといって油断せず、必ず設計図と照らし合わせて「嘘をついていないか」を確認すること 。これが私たちの守るべき防衛線です。
最強のコンビネーション。「下地3DCG × AI補助」でクオリティを底上げ!
「AIの破綻が怖いなら、どうすればいいの?」
いい質問です。そこで登場するのが、今の現場のトレンドである「下地3DCG × AI補助」という組み合わせです 。
全部AIに任せるんじゃなくて、骨組みは人間がしっかり作って、肉付けをAIにやってもらう。このハイブリッド方式が、効率と品質を両立させる最適解なんです 。
どうしてわざわざ作るの? 「下地3DCG」が絶対に必要な理由
「せっかくAI使うのに、結局3DCG作るんですか?」なんて言わないで。
下地3DCGを作る意味は、ものすごく大きいです 。
理由は単純。「寸法」と「構造」を正確に守るためです 。
先ほど言ったように、AIだけでパースを作ると、どうしても架空の形状や破綻が生まれてしまいます 。
でも、私たちが設計図通りに3DCGで基本形状を作ってしまえば、建物のプロポーションは崩れません。その上にAIで質感や雰囲気を乗せることで、「現実的」かつ「魅力的」なビジュアルが完成するんです 。
手間は少しかかりますが、後で「窓の位置が違う!」と修正になるより、結果的にずっと早くて確実ですよ 。
AIも迷わない。下地があるとパースが「安定」するメカニズム
下地3DCGがあると、実はAI君にとっても嬉しいんです。
なぜなら、参照する情報(ガイド)が増えるから 。
AIは入力された画像をもとに絵を作ります。真っ白なキャンバスから描かせるより、「形はこれ、アングルはこれ」と正確な3DCGを渡してあげた方が、AIも迷わずに済みます 。
結果として、出力結果が安定しやすくなり、トンチンカンな絵が出てくる確率がグンと下がります 。
下地がないとAIは過去のデータから勝手に推測(妄想)し始めますが、下地があればしっかり現実に即した絵を作ってくれるんです 。
流れを作れば怖くない。3DCGからAIへバトンを繋ぐワークフロー
じゃあ、具体的にどう進めるのか。ワークフローを整理してみましょう 。
- 3DCG作成: 設計図をもとに、人間がモデルを作ります。カメラアングルやライティングもここで決めちゃいます 。
- レンダリング(簡易): 下地用の画像を書き出します。
- AI入力: その画像をAIに渡して、「質感」や「雰囲気」をプラスしてもらいます 。
- 人間チェック: 出来上がったものを人間が確認し、修正します 。
この「バトンリレー」をしっかり設計することが大事です 。
3DCGからAIへ、そして最後はまた人間へ。この流れを作れれば、AIはもう怖くありません。
使いどころを見極めて。「AIレンダリング」が効く時、効かない時
さて、AIの機能の一つに「AIレンダリング」というものがあります。
これも魔法のツールのように思えますが、使うタイミングを間違えると痛い目に遭います 。
「効く時」と「効かない時」をしっかり見極めるのが、プロの技量です。
サクッと雰囲気を出したいなら。AIレンダリングが向いているのはこんな時
AIレンダリングが最高に役立つのは、「短時間で複数案を出したい時」や「雰囲気をサクッと確認したい時」です 。
例えば、下地画像をAIに入れて、「夕景バージョンが見たい」「もっとモダンな素材に変えて」といったリクエストをすれば、10〜30分程度でいくつものバリエーションを見せてくれます 。
ノイズ除去や色調補正も得意なので、初期のコンセプト提案や、社内検討用の資料作りにはもってこいです 。
従来のレンダリングも現役です。AIとの賢い「役割分担」
「じゃあ、今までのレンダリングソフトはもう要らないの?」
いいえ、絶対に捨てないでください(笑)。従来のレンダリングもまだまだ現役です 。
正確な光のシミュレーション、厳密なマテリアル設定、そして最終的な高画質の仕上げ。これらはやっぱり、従来のレンダリングソフトの独壇場です 。
特に「クライアント提出用の最終パース」は、AI任せにせず、従来のレンダリングでカチッと仕上げるのが無難です 。
- 初期段階・アイデア出し → AIレンダリングで手早く
- 最終仕上げ・勝負パース → 従来レンダリングで確実に
この使い分けが、現場を平和に保つコツですよ。
最後で台無し? 仕上げ工程で「品質が揺れる」理由を知っておこう
仕上げのレタッチ工程でもAIは便利ですが、ここにも落とし穴があります。
それは、AIが勝手に「余計なことをする」リスクです 。
AIは良かれと思って、意図しないディテールを書き足したり、質感を勝手に変えてしまったりすることがあります 。
設計者がこだわって選んだタイルの色が微妙に変わっていたり、シンプルな壁に変な模様が入っていたり……。
これでは、せっかく積み上げてきた品質が最後の最後で台無しになってしまいます 。
だからこそ、仕上げでAIを使う時は、人間の最終チェックが絶対に欠かせません 。
「AI君、ありがとう。でもここは直させてもらうね」と、最後の手綱は私たちがしっかり握っておきましょう。
クオリティは譲れない。AI時代の「品質管理」マインドセット
「AI君、仕事速いけどちょっと雑じゃない?」
現場で一緒に働いていると、そんな風に感じる瞬間が必ず来ます。
どれだけAIが進化しても、最終的な成果物のクオリティに責任を持つのは、私たち人間の仕事です。
「AIがやったんで……」なんて言い訳は、プロの世界では通用しませんからね。
ここでは、AI時代だからこそ必要な、新しい「品質管理」の心得をお伝えします。
なぜ崩れるの? AIパースの品質低下を招く「犯人」を探せ
AIを使ってパースを作ると、なぜか「なんか安っぽい」「違和感がある」仕上がりになることがあります。この品質低下を招く犯人は、一体誰なんでしょうか?
主な原因は、AI特有の「文脈の無視」と「ディテールの省略」です。
AIは画像全体のバランスを取るのは上手ですが、「建築としての整合性」や「素材の厳密な質感」には無頓着です。
だから、木目が異常に大きかったり、影の落ちる方向がおかしかったりと、細かい部分でボロが出やすいんです。
また、私たちが「こういう雰囲気にしたい」という意図をAIにうまく伝えきれていない(プロンプト不足)場合も、期待外れの出力になります。
犯人はAI君だけじゃなく、実は私たちの指示の出し方にも潜んでいるかもしれませんよ?
ここだけは見て! 人間様が必ずチェックすべき「5つのポイント」
出来上がったパースを前に「どこを見ればいいの?」と迷ったら、この5つだけは必ずチェックしてください。
ここさえ押さえておけば、大きな事故は防げます。
- 構造・寸法: 柱や梁の位置、窓のサイズが設計図通りか?(※一番大事!)
- マテリアル(素材感): 指定したタイルや木材の質感が出ているか?
- 周辺環境: 植栽の種類や空の様子が、建設予定地と合っているか?
- 光と影: 太陽の位置や照明の効果が不自然じゃないか?
- ノイズ・汚れ: 拡大した時に、謎のシミや歪みがないか?
特に「構造・寸法」はAIが最も苦手とするところ。人間の目で厳しくチェックして、少しでも怪しいところがあれば修正必須です。
ここからは私の仕事。AIに任せていい範囲の「境界線」を引こう
品質を守るためには、「ここまではAI、ここからは私」という境界線を引くことが重要です。
- AIに任せてOK: 空や植栽などの背景、点景(人物や車)、全体の色調補正、ノイズ除去。
- 人間がやるべき: 建物のメイン形状、重要な外壁の素材、特徴的なディテール、カメラアングル。
要するに、「絵の主役」は人間が作り込み、「脇役や演出」はAIに手伝ってもらうというイメージです。
この境界線が曖昧だと、主役の顔(建物の顔)までAIにいじられて、別の建物になっちゃいますからね。ご注意を。
迷ったときの道しるべ。実務でAIを使うための「判断軸」
「結局、今のプロジェクトでAIを使うべき? 使わないべき?」
そんな迷いが生じた時に立ち返るべき判断軸は、意外とシンプルです。
「誰のために」「何のために」作るのか。ここを整理すれば、答えは自然と見えてきます。
クライアントもニッコリ? 提案・合意形成でのAI活用法
クライアントとの打ち合わせ、特に初期段階の「イメージのすり合わせ」では、AIは最強の武器になります。
言葉だけで「モダンで温かみのある……」と説明しても、お互いの頭の中にある絵は全然違ったりしますよね。
そんな時、AIでパパッと数パターンの画像を出して「AとB、どっちの方向性が近いですか?」と聞けば、一瞬で合意形成ができます。
「あ、Bの雰囲気いいね!」となれば、その後の作業の手戻りも激減。
完成度は70点くらいでもいいので、「方向性を握るためのツール」として割り切って使うのが、賢い活用法です。
早いだけじゃダメ。時間短縮と品質の「バランス」をとるコツ
「AI使ったのに、修正に時間がかかって結局遅くなった……」
これ、AI導入アルアルです(笑)。
時間短縮だけを追い求めると、逆に品質チェックや修正に追われることになります。
大事なのはバランスです。
「60点のものを速く出す」のか、「時間はかかっても100点を目指す」のか。
例えば、社内検討用なら「速さ優先」でAIフル活用。
コンペや広告用なら「品質優先」で、AIはあくまで下地作りやレタッチのみに限定する。
今の作業のゴールがどこにあるのかを常に意識して、アクセルの踏み加減を調整しましょう。
「思ってたのと違う」を防ぐ。成果物の「期待値」を揃えよう
AIで作ったパースを提出する時、クライアントにどう伝えるかも重要です。
もし、AIで作った「あくまでイメージ」の画像を、「これが完成予想図です!」と言って渡してしまったら……?
後で「細部が違う」とクレームになるのは目に見えています。
「これはAIで作成したイメージ案なので、細部のデザインは変更になる可能性があります」と一言添えるだけで、トラブルは防げます。
期待値のコントロールも、私たち編集者……じゃなかった、クリエイターの大事な仕事ですよ。
ツール選びで失敗したくないあなたへ。選定前に整理すべき視点
世の中には「AIパース作成ツール」が溢れています。「どれを使えばいいの?」と悩む前に、まずはツール選びの「モノサシ」を持ちましょう。
ランキング記事を見る前に、この3つの視点を整理してみてください。
テキスト? 画像? 「入力形式」でわかるツールの向き不向き
まず見るべきは、どうやって指示を出すか(入力形式)です。
- テキスト入力(Text-to-Image)
言葉だけで画像を作るタイプ。「ふわっとしたアイデア出し」には強いですが、具体的な形状の指定は苦手です。 - 画像入力(Image-to-Image)
手書きスケッチや3DCG下地を読み込ませるタイプ。建築の実務で使うなら、形状をコントロールしやすいこちらが断然おすすめです。
自分の業務フローに合った入力形式を選ばないと、「指示が全然伝わらない!」とストレスを溜めることになりますよ。
直しやすいって大事。「修正しやすさ」と「再現性」の違い
次に重要なのが、「修正のしやすさ」と「再現性」です。
「窓をもうちょっと右にずらして」と言われた時、前の画像の雰囲気を保ったまま修正できるか?
これができないツールだと、修正のたびに全く違う絵が出てきてしまい、仕事になりません。
「領域を指定して描き直す機能(インペイント)」や、「構図を固定する機能(ControlNetなど)」が充実しているツールを選ぶのが、現場で生き残るための条件です。
一発出しの綺麗さより、「直せること」の方が、実務では100倍大事なんです。
情報を鵜呑みにしない! 比較記事の賢い「読み分け方」
Webで「AIツール比較」なんて検索すると、いろんな記事が出てきますが、全部を鵜呑みにしちゃダメですよ。
その記事が「誰に向けて書かれているか」を見てください。
趣味でイラストを描く人と、私たちのように図面通りに建物を建てる人では、求める機能が全く違います。
「建築」「パース」「実務」といったキーワードが含まれているか、実際に建築のフローで検証されているかを確認しましょう。
私たちの仕事に寄り添ってくれるツールなのか、しっかり見極める目を養ってくださいね。
学びの地図を広げよう。学習ロードマップにおける「AIの現在地」
「わかった、AIが便利なのはわかった。じゃあ早速AIツールの勉強を始めよう!」
……ちょっとストップ! そのやる気は素晴らしいですが、学ぶ順番を間違えると遠回りになっちゃいますよ。
建築ビジュアルの世界において、AIはあくまで「オプション装備」です。
車の運転もできないのに、いきなりニトロエンジンの使い方を覚えようとしているようなもの。まずはハンドルを握れるようになりましょう。
全体を見渡して。建築ビジュアル学習におけるAIの立ち位置
私たちの学習ロードマップの中で、AIはどこに位置するのか。
それはズバリ、「基礎スキルの上に積み上げる応用スキル」です。
いきなりAIから入ると、「きれいな絵は出せるけど、図面が読めない」「修正指示に対応できない」という、現場で一番困るタイプの人材になってしまいます。
まずは従来の3DCGソフトの操作、モデリング、マテリアル設定の基礎を固める。その上で、「便利ツール」としてAIを学ぶ。この順番が王道であり、結局は一番の近道です。
急がば回れ。AIの前に身につけておきたい「基礎スキル」
「えー、地味な作業は飛ばしたいのに」なんて顔しないの(笑)。
具体的に、AIを触る前にこれだけはやっておけ、というスキルは以下の2つです。
- 3DCGモデリング力
設計図通りに、正確な建物モデルを作る力です。これがないと、AI用の「下地」すら作れません。 - カメラ・ライティングの知識
「どこから見るとカッコいいか」「光をどう当てると魅力的か」という演出の基礎体力です。
これらがあれば、AIが出してきた絵を見て「ここがおかしい」「光の向きが変だ」と瞬時に判断できますし、修正も自分でできます。
基礎スキルは、AIという暴れ馬を乗りこなすための「免許証」みたいなもの。まずは免許を取りに行きましょうね。
迷子にならないために。目的別に「次の記事」へ進むガイド
基礎ができたら、あとは自分の目的に合わせてAIスキルを伸ばしていくだけです。
迷子にならないように、少しだけガイドしておきますね。
- 「アイデア出しをもっと速くしたい!」
→ そんなあなたは、「ラフ案生成・比較検討」のテクニックを深掘りしましょう。Text-to-Image(テキストから画像生成)のプロンプト技術などが役立ちます。 - 「画像のクオリティをもっと上げたい!」
→ そんなあなたは、「仕上げ加工・レタッチ」の技術へ。アップスケーリング(高解像度化)や、部分修正(インペイント)のスキルが武器になります。
自分の今の課題に合わせて、必要な情報をピンポイントで学んでいくのが、賢い大人の勉強法ですよ。
みんなのギモンに答えます! AI×建築ビジュアルの「よくある質問」
最後に、現場の新人さんや、AI導入を迷っている方からよく聞かれる質問に、Q&A形式でズバッとお答えします。
モヤモヤはここで解消していってくださいね。
Q. 正直、AIだけでパースって作れるんですか?
A. 現状では「No」です。
「ラフ案」や「イメージ図」なら作れます。でも、私たちが仕事で求められる「設計図通りの正確な建築パース」を、AIだけで完結させるのは今の技術では不可能です。
寸法、構造、マテリアルの指定……これらを完璧に守るには、どうしても3DCGソフトと人間の手が必要です。
「AIだけで楽して完工!」という夢は、もう少し先のお話ですね。
Q. 未経験なんですけど、どういう順番で学べばいいですか?
A. 「手作業」→「AI」の順でお願いします。
しつこいようですが、まずはBlenderやSketchUp、3ds Maxなどの3DCGソフトを使って、自力でパースを作れるようになってください。
「AIで作った絵のどこがおかしいか」に気づく目は、自分で苦労して作った経験からしか養われません。
基礎がないままAIを使うと、プロとしての品質責任を果たせなくなってしまいますから。
Q. 楽してるとスキルが身につかないんじゃ…?
A. 大丈夫。「別のスキル」が身につきます。
確かに、単純な作業量は減るので、その部分の「忍耐力」みたいなものは減るかもしれません(笑)。
でもその分、浮いた時間で「より良いデザインを考える」「新しい表現を試す」「クライアントと対話する」といった、より本質的なクリエイティブに時間を使えるようになります。
「作業のスキル」から「判断と提案のスキル」へ。AIはあなたの仕事をレベルアップさせてくれるはずです。
Q. 仕事で勝手にAI使って、怒られたりしませんか?
A. それは……怒られるかもしれません(汗)。
会社によっては、セキュリティや著作権の観点から、AIツールの使用を禁止・制限している場合があります。
特に、クライアントの未公開データをWeb上のAIサービスにアップロードするのは、情報漏洩のリスクがあるので絶対NG! という現場も多いです。
「便利だから」とこっそり使うのではなく、必ず上司やチームに確認して、ルールを守って使ってくださいね。信頼はお金じゃ買えませんから。
さいごに
「AIは魔法の杖じゃない。使いこなすためには、私たち自身の『3DCGの基礎体力』がモノを言う」
……というのが、今日の結論でした。
「AIをバリバリ使いこなしたいけど、まずは土台となる3DCGをしっかり学びたい」
「修正指示を自分でできるようになって、現場で頼られる人になりたい」
もし今、あなたがそんな風に思い始めているなら、それは素晴らしい「プロへの第一歩」です。
でも、独学だと何から手をつけていいか分からないし、挫折しそうで不安ですよね。
そんなあなたに、先輩としてこっそり……いや、堂々とおすすめしたいのが、「PERSC(パースク)」の3DCGコースです。
建築ビジュアル制作に特化したオンラインスクールなので、今日お話ししたような「実務で使える技術」を、基礎のキから体系的に学ぶことができます。
AIに振り回されるのではなく、AIを乗りこなすための「確かな技術(Blenderスキル)」がここで手に入りますよ。
▼AI時代に必須の「基礎」を固めるならこちら
建築3DCGコース | PERSC(パースク)
「いきなり受講するのはちょっと……」「私にできるかな?」と不安な方のために、無料の体験カリキュラムも用意されています。
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(PERSC JOURNAL 編集部 / 橘 美咲)


