SketchUpとは?内装設計・建築プレゼンで圧倒的に使われる理由

建築や内装設計の現場で、スピード感と分かりやすさが求められる今、設計者にとって強い味方となるのが「SketchUp(スケッチアップ)」です。初めて3Dソフトに触れる人でも扱いやすく、イメージを即座に形にできるこのツールは、個人設計者から大手設計事務所まで幅広く活用されています。

この記事では、SketchUpの基本機能や他ソフトとの違い、内装設計での使い方、プレゼン表現の強化方法、導入・活用のポイントまでを実務目線で解説しています。プロが現場で感じた使いやすさや効率化のコツをもとに、導入を検討している方はもちろん、すでに使っているけれどもっと活用したい方にも役立つ内容です。読み終えたときには、SketchUpの導入判断ができ、業務フローにどう組み込むべきかが見えてくるはずです。

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目次

SketchUpとは何か?誰でも扱いやすい3Dモデリングソフト

SketchUpは、建築やインテリアの現場で幅広く使われている3Dモデリングソフトです。専門知識がなくても短時間で空間を立体的に形にできる手軽さがあり、個人から企業まで多くの設計者に選ばれています。この章では、SketchUpの基本的な特長と、なぜ業界で圧倒的に普及しているのかを紹介します。

SketchUpの概要と開発背景

SketchUpはもともと建築設計向けに開発された、直感操作型の3Dモデリングソフトです。現在はアメリカのTrimble(トリンブル)社が提供しており、全世界で幅広く使われています。

特徴的なのは、難しい設定をせずに「線を引く」「押し出す」などの操作だけで空間を立体的に作れる点です。たとえば、床に矩形を描いてそのまま上に引き上げれば壁になるというシンプルな作業で、初めての人でも建物の形をすぐに表現できます。

また、Webブラウザ上で動作する無料版から、高機能なPro版まで用意されており、用途に応じて導入しやすいのも強みです。導入のしやすさと操作の直感性により、建築・インテリア・DIYなど多様な分野で使われています。

建築・インテリア業界で広がった理由

SketchUpが建築やインテリアの現場で急速に広まった背景には、操作のしやすさと動作の軽快さがあります。

従来のCADソフトや3Dソフトは、ある程度のトレーニングや専門スキルが必要でしたが、SketchUpは初心者でも直感的に形をつくれるため、設計経験が浅い人でも導入しやすいです。

また、モデリングした内容をすぐに3Dで確認できるので、クライアントへの提案や設計確認の時間が短縮されます。個人設計者から中小事務所、さらに大手設計会社まで、規模にかかわらず幅広い現場で利用されているのが特徴です。

さらに、導入コストが低く、PCへの負担も少ないため、限られた予算やスペック環境でも運用できる点も支持されています。

直感的な操作性と軽快な動作の強み

SketchUpの最大の魅力は「考えながらモデリングできる」操作感にあります。

作業の基本は、マウスと数種類のショートカットキーだけ。複雑なUIや設定がなくても、感覚的にモデリングを進められます。たとえば、壁を引き延ばす・床をくり抜く・角を丸めるなどの操作も数クリックで完結します。

さらに、動作が軽快で、高性能なGPUや大量のメモリがなくてもサクサク動きます。実際に、ノートパソコンで作業しているユーザーも多く、スペックに依存しない柔軟性があります。

このシンプルかつスムーズな操作性が、多くの設計者にとって大きな魅力となっています。

無料版と有料版(Pro)の違いと選び方

SketchUpには大きく分けて無料の「SketchUp Free」と、機能が拡張された「SketchUp Pro」があります。

無料版はWebブラウザ上で動作し、基本的なモデリング機能が利用可能です。簡単な空間設計や学習用としては十分使えますが、商用利用が禁止されている点に注意が必要です。

一方、Pro版はローカルPC上で動作し、「LayOut(2D図面作成)」「拡張機能」「CAD連携」「レンダリングプラグイン対応」など、実務に必要な機能がすべて揃っています。

たとえば、プレゼン資料を作る・寸法付き図面を出力する・他ソフトとデータをやり取りする場合はPro版が必須です。商用利用を考えるなら、最初からProを導入しておくと安心です。

他の3Dソフトと比べたSketchUpの優位性

3Dモデリングソフトは多種多様にありますが、SketchUpには他にはない独自の強みがあります。ここでは、AutoCADやRevit、Blender、3ds Maxといった主要ソフトと比べて、SketchUpがどのような立ち位置にあるのかを整理しながら、導入時の判断材料を提供します。

AutoCADやRevitとの違い(BIMとの関係性)

AutoCADやRevitなどのBIM(Building Information Modeling)ツールと比べて、SketchUpは設計初期の「アイデア出し」に強いという特長があります。

Revitは建築情報を部材ごとに管理し、図面と連動した詳細設計を行うのに最適ですが、操作がやや重く、学習にも時間がかかります。これに対し、SketchUpは形状モデリングがシンプルで、数分で空間のボリューム感を形にできます。

たとえば、施主との初回打ち合わせで「このくらいの広さ」「窓の位置はここ」といった要望をリアルタイムに3Dで反映し、すぐに共有できる点が便利です。Revitにデータを移行する前の「たたき台」としても優秀です。

また、SketchUpからIFC(Industry Foundation Classes)形式でのエクスポートにも対応しており、BIM連携もある程度カバー可能です。

Blender・3ds Maxとの違い(操作・学習コスト)

Blenderや3ds Maxは映画やゲームなどにも使われるプロ仕様の3Dソフトで、高精度な造形やアニメーション制作が可能です。

ただし、操作が複雑で覚えることが多く、建築分野で使いこなすには相応のトレーニングが必要です。特にUIの設定やノードベースの作業に慣れていない初心者には敷居が高いです。

一方、SketchUpは「引く・押す・回す」という基本動作だけで空間をつくれるので、空間設計に特化した作業に集中できます。インテリアや建築の実務に必要な機能に絞っているぶん、覚える範囲も少なく済みます。

実際に、設計事務所で新卒メンバーが1週間で基本操作をマスターするケースも多く、導入教育の時間が短縮できます。

SketchUpが中小事務所・個人設計者に好まれる理由

SketchUpは中小規模の設計事務所やフリーランス設計者に特に支持されています。その理由は「低コスト・軽量・即アウトプット」の三拍子が揃っているからです。

まず、ソフト自体が軽く、特別なハイスペックマシンを用意しなくてもスムーズに動作します。これにより、機材投資が最小限で済みます。

次に、モデリングからパース出力までが短時間で可能なため、クライアントとの打ち合わせや変更対応もスピーディです。たとえば、打ち合わせの場で「この家具をこっちに動かす」といった修正も、その場で反映し、画面を見せながら説明できます。

さらに、ライセンス費用も他のプロ用3Dソフトに比べてリーズナブルで、年間契約でも数万円程度に抑えられます。これらの要素が、少人数体制でも効率よく業務を回したい現場にフィットしています。

内装設計でSketchUpが圧倒的に支持される理由

内装設計の現場では、限られた時間でわかりやすく提案する力が求められます。SketchUpはそのニーズにぴったり合うソフトで、レイアウトの試行錯誤から素材検討、クライアントとの共有までを一貫して行えるのが魅力です。この章では、実務でSketchUpが選ばれる理由を具体的に紹介します。

壁・床・家具のレイアウトを直感的に操作できる

SketchUpでは、空間の各要素を「配置して動かす」という感覚で編集できます。たとえば、家具を選んでドラッグ&ドロップするだけで、レイアウト案をすぐに作成できます。

この直感操作が内装設計において非常に便利です。たとえば、オフィスやカフェのゾーニングでは、什器や間仕切りの位置を少しずつ動かしながら最適配置を探ることがよくあります。SketchUpなら、こうした試行錯誤をリアルタイムで確認しながら進められます。

さらに、「グループ」や「コンポーネント」機能を活用すれば、同じ家具を複数配置しても一括編集が可能になり、レイアウト変更も効率化できます。

「3D Warehouse」で既製品データをすぐに呼び出せる

SketchUpには「3D Warehouse(スリーディー・ウェアハウス)」という無料の3Dモデル共有サイトがあります。ここでは、世界中のユーザーやメーカーがアップした家具・建材・家電などの3Dデータを、そのままSketchUpに読み込めます。

たとえば、IKEAやvitraなどの有名ブランドのソファやテーブル、照明器具なども揃っており、実際のプロジェクトに即したモデル設計が可能です。

実務では「実際の家具サイズで配置を検討したい」「メーカー選定を早めに進めたい」といった要望も多く、この機能は大きな時短になります。

しかも検索も日本語対応しており、モデルの精度も高いため、プレゼン資料にもそのまま活用できます。

クライアントが理解しやすいビジュアルを素早く作れる

2D図面だけでは伝わりにくい「空間の奥行き」や「動線の広さ」も、SketchUpなら3Dで即座に可視化できます。

たとえば、家具のサイズ感や素材感、日当たりのイメージまで立体で表現できるので、クライアントの理解度が飛躍的に上がります。これにより、打ち合わせの回数を減らせたり、提案の説得力を高められたりと、業務効率にもつながります。

また、画面共有やPDF出力でそのまま資料として使えるため、オンライン提案や遠隔対応でも活躍します。

実際に、設計内容を画面越しに確認してもらいながら修正案を即提示した事例も多く、プレゼンの柔軟性が高い点も評価されています。

図面化・寸法調整・素材検討まで一気通貫で行える

SketchUpでは、3Dモデルをそのまま使って「図面化」「寸法の微調整」「素材貼り付け」まで完結できます。

たとえば、家具配置が決まった段階で寸法を記入し、使用するフローリング材や壁紙のテクスチャを反映すれば、そのままクライアントへの提出資料になります。別ソフトに持ち替える手間がなく、一貫したデータ管理が可能です。

さらに、有料版の「LayOut」を使えば、SketchUpモデルを2D図面としてレイアウトし、寸法線や注釈も自由に配置できます。これにより、設計とプレゼン資料作成が同時進行で行えるようになります。

建築プレゼンで映える!SketchUpの表現力と拡張性

プレゼンの印象を大きく左右するのが、ビジュアルの表現力です。SketchUpはそのままでも見やすい3Dモデルを作れますが、レンダリングや外部ツールと連携することで、さらに魅力的な資料に仕上げることができます。この章では、SketchUpの拡張性とプレゼンを強化する手法を紹介します。

V-RayやEnscapeなどのレンダリングプラグインでリアル表現

SketchUp単体でもシンプルで見やすいモデルを作れますが、よりリアルな表現を目指すなら「レンダリングプラグイン」の活用が欠かせません。代表的なものに「V-Ray」や「Enscape」「Thea Render」があります。

たとえば、V-Rayを使えば、自然光・人工照明・反射素材などを細かく調整でき、現実に近い質感を表現できます。一方、Enscapeはリアルタイムレンダリングが可能で、SketchUp上で即時に仕上がりを確認できるのが特徴です。

実務では、クライアントに提出するフォトリアルなパースや、社内プレゼン資料としてのインパクト強化に役立ちます。簡単な設定で高品質なビジュアルを作れるため、プレゼン力の底上げに直結します。

LayOutで図面やパースを一括出力できる

SketchUpの有料版に含まれる「LayOut」は、3Dモデルから2D図面を作成するためのツールです。設計資料やプレゼンボードの作成に非常に便利です。

たとえば、SketchUp上で作成したモデルに寸法線を追加したり、断面図や立面図を自動で生成したりできます。図面のレイアウトも自由に調整できるため、施工会社やクライアント向けの説明資料としてそのまま活用可能です。

実務では「SketchUpでモデリング→LayOutで図面出力」というワークフローが定番になっており、データの整合性を保ったまま効率的に資料を整えられます。

SketchUp Viewer・Trimble Connectで共有しやすい

作ったモデルを関係者と共有する方法も豊富です。無料の「SketchUp Viewer」を使えば、クライアントが自分の端末でモデルを回転・拡大して確認できます。

また、Trimbleが提供するクラウドサービス「Trimble Connect」を使えば、チーム間でのファイル共有や進捗管理が可能になります。Webブラウザやスマートフォン、タブレットでも閲覧できるため、リモート作業や現場確認でも活躍します。

こうした共有手段が整っていることで、モデル確認のスピードが上がり、意思決定も早くなります。

Twinmotion・Lumionとの連携で動画プレゼンにも対応

静止画だけでなく、動きのあるプレゼン資料を作りたい場合は「Twinmotion」や「Lumion」との連携が効果的です。

これらのソフトにSketchUpのモデルを読み込むと、ウォークスルー動画やアニメーションプレゼンを短時間で作成できます。たとえば、建物内部を歩いて回るような視点で空間を紹介したり、昼夜の光の変化をシミュレーションしたりと、臨場感のある表現が可能です。

実際に、不動産や商業施設のプロモーション動画に使われるケースも増えており、インパクト重視のプレゼンに向いています。

SketchUpを使った建築・内装設計ワークフロー

SketchUpは、単なるモデリングツールではなく、設計からプレゼン、修正対応までを一気通貫で進められる設計支援ツールです。この章では、建築・内装設計の現場で実際に使われる作業フローを4つの段階に分けて解説します。

① コンセプト段階:空間イメージを3Dで可視化

設計の初期段階では、アイデアをいかに早く形にできるかが重要です。SketchUpでは、紙に描く感覚で立体の「ボリュームモデル」をすばやく作成できます。

たとえば、矩形ツールで床面を描き、「プッシュ/プル」機能で壁を立ち上げるだけで、空間の大まかな形が完成します。これにより、空間の広がりや高さ関係を直感的に確認でき、コンセプト検討がスムーズに進みます。

この段階では、見た目の完成度よりも「スピードと感覚」が重視されるため、SketchUpのシンプルな操作性が大きな強みとなります。

② 設計段階:スケール調整・素材設定・家具配置

コンセプトが固まったら、次は具体的な寸法調整や素材の検討に入ります。SketchUpではモデル上に直接スケールを当てたり、数値入力でサイズを微調整したりできます。

また、「ペイントツール」を使えば、壁紙や床材のテクスチャを貼り付けて、素材のイメージを具体化できます。さらに、3D Warehouseからソファ・照明・カウンターなどを配置することで、より現実的な空間に近づけられます。

たとえば、木目のフローリングにグレートーンの壁を合わせた空間を再現し、色の相性や光の反射まで検証できます。

③ プレゼン段階:レンダリング・アニメーション作成

設計が進んだら、クライアント向けにわかりやすいビジュアルを作成します。ここでは、レンダリングや動画表現の出番です。

V-RayやEnscapeなどのプラグインを使えば、自然光や反射をリアルに表現できるフォトリアルなパースが作れます。また、SketchUpでカメラパスを設定し、ウォークスルー動画を作ることで、空間全体の雰囲気を伝えやすくなります。

プレゼン資料にはLayOutで図面も含めておくと、視覚と数値の両面から提案できるため、信頼感が高まります。

④ 修正対応:クライアントフィードバックを即反映

クライアントとのやり取りで出てきた修正依頼も、SketchUpならモデルをそのまま編集できるため対応が迅速です。

たとえば、「壁を30cm奥にずらしたい」「棚の高さを10cm下げたい」といった細かな要望も、モデル内の該当部分を数値で入力して修正できます。LayOutの図面もリンクしていれば、自動で更新されるので手間も少なくて済みます。

この柔軟性は、設計プロセスの中で特に効果を発揮し、納期短縮や満足度向上につながります。

SketchUp導入・活用のポイントと注意点

SketchUpを導入する際には、必要なスペックやライセンスの種類、学習方法などを事前に把握しておくことが重要です。この章では、導入時に気をつけたいポイントと、実務で活用するための具体的なコツをまとめました。

推奨スペックと安定動作のための環境設定

SketchUpは比較的軽量な3Dソフトですが、快適に使うには一定のスペックが必要です。公式が推奨する最低環境は以下の通りです。

  • CPU:Intel i5以上(4コア推奨)
  • メモリ(RAM):8GB以上(16GB推奨)
  • GPU:OpenGL 3.1以上対応のグラフィックボード(NVIDIA GeForce推奨)
  • ストレージ:SSD推奨(起動・保存が高速)

とくに大きなモデルや複数プラグインを使う場合は、GPU性能が作業スピードに直結します。ノートPCでも使用は可能ですが、4Kディスプレイや外部モニターを併用する場合は、GPUメモリが2GB以上あると安心です。

また、クラッシュやフリーズを防ぐためには、SketchUpの「自動保存間隔」や「グラフィックアクセラレーション設定」を見直すのも効果的です。

無料版・Pro版・教育版の違いと最適な導入パターン

SketchUpには、目的に応じた複数のプランがあります。

  • SketchUp Free(無料):Webブラウザで動作。基本的な3Dモデリングに対応。ただし商用利用は不可。
  • SketchUp Pro(有料):PCにインストールして使用。LayOutやStyle Builderなどが付属し、商用利用OK。
  • 教育版(学生・教育機関向け):SketchUp Proと同等の機能を、低価格または無料で利用可能。

たとえば、個人の副業レベルでの使用や趣味の場合は、Freeでも十分なケースがありますが、業務で使うならPro一択です。教育機関に所属している場合は、公式サイトから申請することで教育ライセンスを利用できます。

ライセンスは1年ごとのサブスクリプション制ですが、業務効率の高さを考えると十分に元が取れる内容です。

効率的な学習法(公式チュートリアル・YouTube・Udemy)

SketchUpの学習には、順序と教材の選び方が大切です。まずは公式サイトのチュートリアル(英語)で基本操作を確認し、その後YouTubeやUdemyで日本語解説を見ながら手を動かすのが効果的です。

おすすめのステップは以下の通りです。

  1. SketchUp公式の「はじめてのモデリング」動画を見る
  2. YouTubeで「家具配置」や「ウォークスルー」など具体的な操作を検索
  3. Udemyなどの講座で体系的に理解を深める

実際の案件を想定して、自分でモデルをつくってみると理解が早まります。さらに、3D Warehouseから既存モデルをダウンロードして分解・改変することで、操作のコツを体感的に学べます。

実務でのデータ共有・ファイル管理のコツ

SketchUpのプロジェクトが複数人で関わる場合や、クライアントとのやり取りが多い場合は、ファイル管理と共有の仕組みも重要です。

Trimble ConnectやGoogle Driveを使えば、クラウド上でモデルを共有し、バージョン管理も可能です。また、ファイル名に日付や担当者名を入れておくと、履歴の把握がしやすくなります。

フォルダ構成も、下記のように整理しておくと作業がスムーズになります。

  • /01_Model/(SketchUpファイル本体)
  • /02_Output/(書き出し画像やPDF)
  • /03_Material/(使用したテクスチャ素材)

このようにしておけば、他のメンバーや外部スタッフとも円滑に連携できます。

SketchUpを最大限活かすための連携・拡張機能

SketchUpの魅力は基本機能の使いやすさだけでなく、拡張性の高さにもあります。ここでは、業務の効率を上げるために役立つプラグインや外部ツールとの連携方法を紹介します。より高度な表現や作業の自動化も視野に入れたい方におすすめの内容です。

レンダリング用プラグイン(V-Ray, Enscape, Thea)

SketchUpでフォトリアルな表現を行いたい場合、レンダリングプラグインの導入が効果的です。代表的な選択肢には「V-Ray」「Enscape」「Thea Render」などがあります。

  • V-Ray:高度なマテリアル設定とライティング表現が可能で、プロフェッショナル向け。内装・建築の商用パースで多く使われています。
  • Enscape:リアルタイムプレビューが特長。ボタンひとつでSketchUp内のモデルを即座に高画質でレンダリング可能。操作が簡単で学習コストが低いのも魅力です。
  • Thea Render:GPU対応で高速なレンダリングができる中級者向けの選択肢。

これらのプラグインを使うことで、標準機能では難しい照明や素材の質感もリアルに再現でき、プレゼンの説得力が大きく向上します。

建築構造・家具設計向けの拡張ツール

SketchUpには、設計作業を効率化する多くの拡張ツールが存在します。とくに建具や家具の設計に特化したものは、手作業の手間を大幅に削減してくれます。

たとえば以下のようなプラグインがあります:

  • 1001bit Tools:壁や窓、階段などの建築部材を自動生成できるツール群。
  • Profile Builder:壁や巾木、レールなどの繰り返し部材をパスに沿って生成。
  • CabMaker:キャビネットや収納家具を簡単にモデリング可能。

これらは中小事務所でも導入しやすく、標準機能だけではカバーしきれない実務的な要望に応えてくれます。

拡張機能を安全に導入するためのプラグイン管理方法

プラグインを導入する際は、安全性と安定性を意識することが大切です。SketchUpには「Extension Warehouse」という公式の拡張機能ストアがあり、ここからインストールするのが基本です。

導入時のチェックポイントは以下の通りです:

  • 開発元が明示されているか
  • 更新履歴があるか(メンテナンスされているか)
  • ユーザーレビューが多数あるか
  • 対応バージョンが明記されているか

また、プラグインを入れすぎると起動速度が遅くなる場合があります。必要に応じて「SketchUcation Plugin Manager」などで有効・無効を切り替えるとよいでしょう。

SketchUp APIを使ったカスタマイズの可能性

業務フローにSketchUpをより深く組み込みたい場合、「Ruby API」を使ったスクリプト作成でカスタマイズすることも可能です。

たとえば、以下のような用途に応用できます:

  • モデル内の特定オブジェクトを一括変更
  • 部材の数量を自動集計してCSV出力
  • 特定の設計ルールに基づいた自動配置

SketchUp APIは公式ドキュメントが整備されており、プログラミング初心者でも簡単な自動化は可能です。社内ツールとして使えば、繰り返し作業を効率化し、ヒューマンエラーの防止にもつながります。

よくある質問(FAQ)

SketchUpを導入する前後には、多くのユーザーが同じような疑問を持ちます。この章では、よくある質問をピックアップし、実務目線でわかりやすく回答します。導入を検討中の方や、活用中に困った方はぜひ参考にしてください。

Q1.商用利用は無料版でも可能?

いいえ、SketchUpの無料版(SketchUp Free)は非商用利用に限定されています。個人の趣味や学習目的での使用はOKですが、クライアントワークや業務への利用はライセンス違反になります。

商用で使う場合は、有料の「SketchUp Pro」またはビジネス向けのサブスクリプションプランを契約する必要があります。Pro版には、LayOutやStyle Builderも含まれており、プレゼン資料作成やカスタマイズも可能です。

たとえば、施主への提案資料や施工会社との共有など、ビジネスでSketchUpファイルを使う場合は、必ずPro版を使いましょう。

Q2.AutoCADやRevitとのデータ互換性は?

SketchUpは、AutoCADやRevitとのデータ互換性をある程度備えています。主な対応ファイル形式は以下の通りです:

  • インポート:DWG、DXF、IFC(BIM形式)
  • エクスポート:DWG、DXF、IFC、FBX、OBJ など

たとえば、AutoCADで描かれた平面図をSketchUpに取り込んで立体化したり、RevitからIFC形式で出力されたモデルを開いて検討用モデルに変換したりできます。

ただし、完全なBIMデータ連携には限界があるため、BIMとの統合管理を重視する場合はRevitとの併用が現実的です。

Q3.SketchUpで作ったモデルをVRで見ることはできる?

はい、SketchUpモデルはVR(バーチャルリアリティ)対応も可能です。主な方法は以下の通りです:

  • Enscape:SketchUpから直接VR出力可能(HTC ViveやOculusに対応)
  • Kubity / Yulio:スマートフォンを使った簡易VR体験も可能
  • Trimble XR10(HoloLens対応):AR表示対応の業務向けソリューション

たとえば、施主に住宅の完成イメージをVRで体験してもらうことで、平面図だけでは伝えきれない空間感覚をリアルに共有できます。

一部は有料プラグインですが、クライアントへの訴求力を高めたい場面では非常に有効です。

Q4.学生や教育機関向けの特別プランはある?

はい、SketchUpには教育機関・学生向けの特別プランがあります。主な内容は以下の通りです:

  • SketchUp Studio for Students:学生用に提供される年間ライセンス(有料だが割引価格)
  • SketchUp for Schools:Google Workspace / Microsoft 365に対応したWeb版(無料)
  • 教育機関向けライセンス:クラス単位で導入可能なPCライセンス(年間契約)

これらを利用すれば、学校の授業や卒業制作、建築学科での実習にもSketchUpを正式に使えます。申請には学生証や所属証明が必要な場合があります。

Q5.SketchUpとLayOutの違いは?どちらを使えばいい?

  • SketchUp:3Dモデリングを行うメインのアプリケーション
  • LayOut:SketchUpモデルをもとに2D図面やプレゼン資料を作成するアプリ

たとえば、SketchUpで空間を立体的に設計した後、それを使って平面図・断面図・寸法付きの資料を作るときにLayOutを使います。

どちらか一方では不十分で、実務ではこの2つをセットで使うのが基本です。SketchUp Proに含まれているので、導入すれば両方利用できます。

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