まずは観ていただきたいページ
フォトリアルな建築パースを作る方法|ライティング・レンダリング・テクスチャ設定
フォトリアルな建築パースは、建築設計のプレゼンテーションや広告などで活用される、現実の写真のようにリアルなCGパースです。しかし、リアリティのある建築パースを作るためには、単に3Dモデルを作成するだけでは不十分です。適切な**ライティング(光の設定)、レンダリング(画像生成)、テクスチャ(素材の質感)**を細かく調整することで、初めてフォトリアルな表現が可能になります。
本記事では、フォトリアルな建築パースを作成するための具体的な方法を解説します。ライティングの基本、レンダリング設定の最適化、リアルなテクスチャ設定、Photoshopを活用した仕上げ作業まで、実践的なテクニックを詳しく紹介していきます。建築パースのクオリティを向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. フォトリアルな建築パースとは?
建築パースとは、建築物の完成イメージを視覚的に表現するための3Dビジュアライゼーションのことです。特に「フォトリアルな建築パース」は、現実の写真と見分けがつかないほど精密な表現を目指します。リアルな質感や光の反射、影の表現を緻密に計算し、建築プロジェクトのプレゼンテーションや広告に活用されます。
フォトリアルな建築パースを作成するには、ライティング(光の設定)、レンダリング(計算による画像生成)、テクスチャ(素材の質感表現)の3つの要素が非常に重要です。これらの要素が適切に組み合わさることで、リアリティのある建築パースが完成します。
1-1. フォトリアル建築パースの基本
フォトリアルとは?リアルな質感を再現するポイント
「フォトリアル(Photo-real)」とは、「写真のようにリアルな見た目を再現すること」を指します。建築パースにおいてフォトリアルな表現を実現するには、以下の3つのポイントが重要です。
- ライティング(光の表現)
光の当たり方や影の表現を正確に設定することで、より現実的な空間を作り出せます。たとえば、太陽光がガラスに反射する様子や、室内の間接照明による柔らかい影の表現がリアリティを高めるポイントになります。
→ 建築パースのライティング技術|リアルな光と影を作る方法 - レンダリング(画像の生成)
高品質なレンダリングエンジンを活用し、光の屈折や反射、素材の質感を正確に計算することが重要です。ノイズを抑えつつ、リアルなディテールを表現する設定を行うことで、より精度の高いパースが完成します。
→ 建築パースのレンダリング設定|フォトリアルな仕上げ方のコツ - テクスチャ(素材の質感)
建築素材のリアルな質感を再現するためには、高解像度のテクスチャとPBR(物理ベースレンダリング)マテリアルを活用することが不可欠です。たとえば、木材の細かい凹凸や金属の微細な反射を調整することで、よりリアルな仕上がりになります。
建築パースにおけるライティング・レンダリング・テクスチャの重要性
フォトリアルな建築パースを作るためには、ライティング・レンダリング・テクスチャの3要素がバランスよく組み合わさることが不可欠です。
- ライティングが適切でなければ、空間に不自然な影ができたり、奥行きのないフラットな印象になってしまいます。
- レンダリングの設定が不十分だと、ノイズが多くリアルさに欠ける仕上がりになります。
- テクスチャのクオリティが低いと、素材の質感が伝わらず、リアルな建築パースになりません。
フォトリアルな建築パースを制作する際には、これらの要素を適切に調整し、細部までこだわることが求められます。
2. ライティング設定|光と影を活かしてリアル感を演出
フォトリアルな建築パースを作成する上で、ライティングは非常に重要な要素です。適切な光の設定を行うことで、空間の奥行きや素材の質感をリアルに表現できます。逆に、ライティングが不適切だと、フラットで不自然な印象になってしまいます。
ライティング設定では、光源の種類、影の表現、光の反射と拡散を適切に調整することが重要です。ここでは、まず建築パースで使われる光源の種類と特徴を解説し、その後、リアルなライティングを作る具体的な方法について説明します。
2-1. 建築パースの光源の種類と特徴
建築パースにおいて、光源の設定はシーンの雰囲気やリアリティを大きく左右します。光源にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。適切に使い分けることで、自然な明るさや陰影を再現できます。
太陽光(ダイレクトライト)
太陽光は、建築パースにおいて最も基本的な光源です。遠方から強い直線的な光を放ち、くっきりとした影を作ります。
特徴:
- 方向が一定で、明暗のコントラストが強い
- 時間帯によって光の色温度が変化(朝夕は暖色、昼間は白色)
- 影の形がはっきり出る
活用例:
- 屋外シーンの建築パース
- 時間帯(昼・夕方・朝)の雰囲気を表現
関連記事
→ 建築パースの影の付け方|リアルな陰影表現を作る方法
人工照明(ポイントライト・スポットライト・エリアライト)
建物の内部や夜間のシーンでは、人工照明の設定が重要になります。代表的な光源として、以下のようなものがあります。
- ポイントライト(点光源)
- あらゆる方向に光を放つ小さな光源
- 電球やキャンドルのような照明を再現
- 柔らかい影を作る
- スポットライト(指向性光源)
- 特定の方向に光を当てるライト
- スポットライトや舞台照明のような演出に向く
- 光の減衰や拡散を調整可能
- エリアライト(面光源)
- 面全体から柔らかい光を放つ照明
- 窓からの光や間接照明の再現に最適
- シャドウのエッジがぼやけて自然な印象になる
活用例:
- 室内パースでの照明表現
- 夜景の建築パース
環境光(アンビエントライト・HDRI)
環境光は、シーン全体の明るさを調整するための光源です。特にHDRI(高ダイナミックレンジ画像)を活用すると、よりリアルなライティングを実現できます。
特徴:
- シーン全体に柔らかく光を行き渡らせる
- 直接光では照らしきれない部分を明るくする
- HDRIを使うと、実際の環境光をシミュレーションできる
活用例:
- 屋外のリアルなライティング表現
- ガラスや金属の反射を正確に再現
昼間・夕暮れ・夜間シーンの光の設定
建築パースでは、時間帯によってライティングの調整が必要です。
- 昼間: 太陽光をメインにし、シャープな影を作る
- 夕暮れ: 暖色系の光を設定し、ソフトな影にする
- 夜間: 人工照明を強調し、環境光を低めに設定する
適切な光源を使い分けることで、建築パースのリアリティを大幅に向上させることができます。
2-2. フォトリアルなライティングを作る方法
リアルな建築パースを作成するためには、単に光源を配置するだけでなく、光の反射・影の表現・環境光の調整など、細かいライティング技術が求められます。特に、HDRIを活用した環境光の設定や、影と反射のリアルな表現は、フォトリアルな仕上がりを実現する上で重要なポイントとなります。
HDRIを活用した環境光の設定
HDRI(High Dynamic Range Image)は、実際の環境光を再現するための高精細な画像です。これをライティングに活用することで、自然な明るさとリアルな反射を作り出せます。
HDRIを設定するメリット:
- シーン全体に均一な環境光を与える
- 反射や屈折のリアルな表現が可能
- 実際の空や建物の映り込みをシミュレーションできる
HDRIの活用手順:
- 適切なHDRI画像を選ぶ
- 昼間のシーンなら明るい青空のHDRI
- 夕暮れや夜景なら暖色系のHDRI
- ライティングのバランスを調整する
- HDRIの強度(Intensity)を変更し、光の強さを調整
- 方向を回転させ、適切な光源の位置を決定
- 反射・屈折を考慮する
- 建物のガラスや金属に環境光が適切に映り込むように設定
関連記事
→ Blenderのライティング技術|建築パースに最適な光の設定
影と反射をリアルに見せるテクニック
フォトリアルな建築パースを作るには、影と反射の正確な計算が欠かせません。以下のテクニックを活用すると、よりリアリティのあるライティングが可能になります。
ソフトシャドウを活用する
- 影のエッジをぼかし、より自然な陰影を作る
- エリアライトを使用し、光を拡散させることで柔らかい影を再現
グローバルイルミネーション(GI)の設定
- GI(Global Illumination)を有効にし、光の跳ね返りを再現
- 壁や床への反射光を調整し、自然なライティングを実現
反射と光沢の調整
- 金属やガラスのマテリアルでは、適切な反射率(Reflectivity)を設定
- 表面の粗さ(Roughness)を微調整し、リアルな光沢を表現
フォトリアルな建築パースでは、ライティングの細部まで調整することが重要です。
3. レンダリング設定|リアルなパースを作るための技術
ライティングの設定が完了したら、次に重要なのがレンダリング設定です。レンダリングとは、3Dシーンを計算して最終的な画像を生成するプロセスのことを指します。フォトリアルな建築パースを作るには、レンダリングエンジンの選択や最適なレンダリング設定が不可欠です。
ここでは、まずフォトリアル表現に適したレンダリングエンジンを紹介し、その後、ノイズ除去や被写界深度などの具体的な設定方法について解説していきます。
3-1. レンダリングエンジンの選択
レンダリングエンジンとは、3Dモデルのライティングやマテリアルの情報を計算し、最終的な画像を生成するソフトウェアのことです。建築パースをフォトリアルに仕上げるためには、目的に応じて適切なレンダリングエンジンを選ぶことが重要になります。
レンダリングエンジンは大きく分けて、フォトリアル向けのオフラインレンダリングエンジンと、リアルタイムレンダリングエンジンの2種類があります。
フォトリアル向けのレンダリングエンジン
フォトリアルな表現を追求する場合、物理ベースレンダリング(PBR)に対応したオフラインレンダリングエンジンを選択するのが一般的です。オフラインレンダリングは計算に時間がかかるものの、リアルな光の反射や屈折を正確にシミュレーションできるため、高品質な建築パースを作成できます。
V-Ray(Chaos V-Ray)
- 3ds Max・SketchUp・Rhinoなど、幅広いソフトウェアに対応
- 高度なGI(グローバルイルミネーション)計算によるリアルな陰影表現
- 高品質なノイズ除去機能と高速レンダリングオプション
Cycles(Blender)
- Blenderに標準搭載されている物理ベースレンダリングエンジン
- GPUとCPUのハイブリッドレンダリングに対応
- パストレーシング方式でリアルな光の表現が可能
Corona Renderer
- 3ds Max・Cinema 4D向けの高品質レンダリングエンジン
- 直感的な操作でリアルなマテリアルとライティングを設定可能
- 高速でクリーンなノイズ除去機能を搭載
関連記事
→ BlenderのEevee vs Cycles|建築パースにはどっちを使う?
リアルタイムレンダリング向けエンジン
リアルタイムレンダリングエンジンは、レンダリング時間を短縮しながら、ある程度のフォトリアルな表現を可能にする技術です。建築のプレゼンテーションやVR・ARコンテンツに適しています。
Eevee(Blender)
- レンダリング速度が速く、リアルタイムプレビューが可能
- 反射や影を簡易的に表現するため、素早くシーンを確認できる
- 物理ベースのマテリアルにも対応
Lumion
- 直感的な操作で建築パースを作成可能
- 天候や水の表現、植栽の配置が簡単にできる
- VRプレゼンテーションにも対応
Twinmotion
- Unreal Engineベースのリアルタイムレンダリングエンジン
- 高速なレンダリングと簡単な操作性を兼ね備える
- 建築モデルのアニメーションやインタラクティブなプレゼンテーションが可能
関連記事
→ 3ds Max・Lumion・Twinmotionを比較|フォトリアル表現の違い
どのレンダリングエンジンを選ぶべきか?
スクロールできます
エンジン名 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
V-Ray | 高品質な物理ベースレンダリング | 高精細な建築パース |
Cycles | リアルなライティングと柔軟な設定 | Blenderユーザー向け |
Corona Renderer | 簡単な操作でフォトリアルな表現が可能 | 3ds Max / C4Dユーザー向け |
Eevee | リアルタイムプレビューが可能 | 素早い確認・ビジュアル作成 |
Lumion | 直感的な操作でプレゼン向けのレンダリングが可能 | 建築ビジュアライゼーション |
Twinmotion | VR・インタラクティブなプレゼンが可能 | プレゼン・映像制作 |
フォトリアルな静止画を重視するなら「V-Ray」「Cycles」「Corona Renderer」、素早いプレゼンやインタラクティブなシーン作成を重視するなら「Lumion」「Twinmotion」がおすすめです。
3-2. レンダリング設定の最適化
フォトリアルな建築パースを作成するには、レンダリングエンジンの選択だけでなく、ノイズ除去・レンダリング時間の短縮・被写界深度・アンビエントオクルージョンなどの設定を最適化することが重要です。これらを適切に調整することで、高品質なレンダリングを効率的に行えます。
ノイズ除去とレンダリング時間の短縮テクニック
レンダリングで発生する**ノイズ(ざらつき)**を減らしながら、計算時間を短縮するには以下のテクニックが有効です。
サンプル数(Samples)の最適化
- サンプル数(光の計算回数)を増やすほど高品質なレンダリングが可能
- ただし、必要以上に増やすとレンダリング時間が長くなるため、適切なバランスが重要
デノイザー(ノイズ除去)の活用
- V-Ray、Cycles、Corona Renderer にはAIデノイザーが搭載されており、レンダリング後のノイズを除去可能
- デノイザーを使用すると、少ないサンプル数でも高品質なレンダリングができ、時間を短縮できる
ライトパスの最適化
- 反射・屈折の計算回数(バウンス数)を適切に制限することで、無駄な計算を減らし、レンダリング時間を短縮
GPUレンダリングを活用
- V-Ray GPUやCycles GPUなど、GPU(グラフィックボード)を使ったレンダリングを活用すると、CPUレンダリングより高速に処理可能
関連記事
→ リアルな建築パースを作るためのBlenderレンダリング設定
被写界深度(Depth of Field)の活用
被写界深度(DoF)を適用すると、ピントが合っている部分を際立たせ、よりリアルな写真のような効果を作ることができます。
設定のポイント:
- F値(Aperture)を調整 → 値を小さくすると背景がボケる(浅い被写界深度)
- ピントの位置を正確に設定 → 主題を明確にし、自然な奥行きを演出
活用例:
- 室内の建築パースで、手前の家具を際立たせる
- 屋外シーンで、背景をぼかしながら建物を際立たせる
アンビエントオクルージョン(AO)で陰影を強調
アンビエントオクルージョン(AO)は、物体同士が接する部分にわずかな影を追加し、リアルな奥行きを演出する技術です。
設定のポイント:
- 強度(Intensity) → 影を強調しすぎないように適切に調整
- 半径(Radius) → 影の広がりを調整し、自然な陰影にする
活用例:
- 壁と床の接地面にリアルな影を追加
- 窓枠や家具の隙間にわずかな陰影を入れ、立体感を出す
レンダリング設定の最適化を行うことで、リアルで高品質な建築パースを、効率よくレンダリングすることが可能になります。
4. テクスチャ設定|質感をリアルにする方法
リアルな建築パースを作成するためには、ライティングやレンダリングだけでなく、テクスチャの質感設定が非常に重要です。どんなに正確な光の設定をしても、素材の表現が不十分だとリアリティが損なわれてしまいます。
テクスチャ設定では、高解像度の画像を使用することに加え、PBR(物理ベースレンダリング)マテリアルの活用が不可欠です。ここでは、建築素材ごとのテクスチャ設定のポイントと、フォトリアルなマテリアル作成のコツについて解説します。
4-1. 素材別のテクスチャ設定
建築パースにおいて、木材・金属・ガラスなどの素材ごとの質感をリアルに表現することが重要です。各素材の特性を考慮した適切なテクスチャ設定を行うことで、よりフォトリアルな仕上がりになります。
木材のリアル表現
木材は、建築の床材や家具、壁材などに幅広く使用される素材です。木目の方向や反射の特性を適切に設定することで、自然な仕上がりになります。
設定のポイント:
- 高解像度の木目テクスチャを使用(最低2K~4K)
- バンプマップまたはノーマルマップで木目の凹凸を再現
- 光沢(Roughness)はやや高めに設定し、ツヤを抑える
活用例:
- 無垢材のフローリングには、微細な凹凸を加えてリアルな木目を再現
- ラッカー仕上げの家具では、適度な反射を追加
関連記事
→ 建築パースのテクスチャ設定|木材・金属・ガラスのリアル表現
金属のリアル表現
金属は、建築の外装やインテリアのアクセントに使われる素材で、反射の設定がリアリティを左右します。
設定のポイント:
- 反射率(Reflectivity)を高く設定し、鏡面反射を表現
- ノーマルマップで微細な凹凸をつけ、質感をリアルに
- 金属の種類(ステンレス・アルミ・真鍮)に応じて色味を調整
活用例:
- ステンレスのキッチンでは、ややマットな質感を設定
- アルミフレームの窓枠には、少しザラついたテクスチャを追加
ガラスのリアル表現
ガラスの質感は、屈折率や反射の設定を正確に行うことで、透明感をリアルに再現できます。
設定のポイント:
- 屈折率(IOR)を1.5前後に設定(リアルなガラスの特性)
- 透過率(Transparency)を調整し、完全な透明にはしない
- エッジ部分に少しだけ色味を加えることで厚みを演出
活用例:
- 窓ガラスは環境光を反射させ、外の景色を映り込ませる
- すりガラス(フロストガラス)には、粗さ(Roughness)を加える
素材ごとの適切なテクスチャ設定を行うことで、建築パースのリアリティが大幅に向上します。
4-2. フォトリアルなマテリアル作成のポイント
フォトリアルな建築パースを作成するためには、マテリアルの質感をリアルに再現することが不可欠です。特に、バンプマップやノーマルマップを活用した凹凸表現や、光の反射・屈折・透過の設定を適切に行うことで、よりリアルな仕上がりを実現できます。
バンプマップ・ノーマルマップ・ディスプレイスメントマップの違い
建築素材の凹凸をリアルに表現するためには、バンプマップ・ノーマルマップ・ディスプレイスメントマップの3種類のテクスチャを使い分けることが重要です。
スクロールできます
マップの種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
バンプマップ | モノクロ画像で明暗を使って凹凸を表現 | 木目・タイル・レンガの細かい凹凸表現 |
ノーマルマップ | RGBカラーを用いて光の方向を制御し、より詳細な凹凸を表現 | メタル・石材・ファブリックの精細な質感 |
ディスプレイスメントマップ | 実際にメッシュ(形状)を変形させ、リアルな立体感を作る | コンクリートのひび割れ・石畳の凹凸 |
- リアルな床や壁を作る場合 → ノーマルマップで細かい質感を加え、ディスプレイスメントで大きな凹凸を作成
- 金属やガラスなどの滑らかな素材 → バンプマップのみで微妙な質感を調整
関連記事
→ 建築パースのマテリアル設定|質感をリアルにする方法
反射・屈折・透過の設定方法
光の反射・屈折・透過を適切に設定することで、金属・ガラス・水面などのマテリアルをよりリアルに再現できます。
反射(Reflectivity)の調整
- 金属系のマテリアル(ステンレス・アルミ・クローム)は反射率を100%に近づける
- 木材や布などのマットな素材は反射率を低く設定し、光沢を抑える
屈折(Refraction)の調整
- ガラスや水の透明感をリアルにするために、適切なIOR(屈折率)を設定
- ガラスのIORは1.5前後、水は1.33 にすると、物理的に正確な屈折を再現可能
透過(Transparency)の調整
- 窓ガラスやプラスチックなどは、透過率を調整してリアルな透明感を表現
- すりガラス(フロストガラス)は、ラフネス(Roughness)を高めてぼやけた表現にする
例:
- 鏡のような金属(クローム) → 反射100%、屈折なし
- クリアガラス → 反射50%、屈折1.5、透過100%
- すりガラス → 反射40%、屈折1.5、透過80%、ラフネスを調整
適切なマテリアル設定を行うことで、素材のリアリティが向上し、フォトリアルな建築パースを作成することが可能になります。
5. Photoshopを活用したポストプロダクション
レンダリングによって高品質な建築パースを作成した後、さらにリアリティを向上させるために行うのが**ポストプロダクション(後処理)**です。Photoshopを活用することで、色調の補正やライティングの微調整を行い、より魅力的な仕上がりにすることができます。
ポストプロダクションでは、カラーグレーディング・エフェクトの追加・最終的なディテールの修正といった作業を行います。ここでは、まずレンダリング後の基本的な仕上げ作業について解説し、その後、よりリアルな仕上げのためのテクニックを紹介します。
5-1. レンダリング後の仕上げ作業
レンダリングが完了した後、Photoshopを活用して仕上げ作業を行うことで、建築パースのクオリティをさらに向上させることができます。ポストプロダクションでは、カラーグレーディング、コントラスト調整、エフェクトの追加などを行い、最終的なビジュアルを整えます。
カラーグレーディングで雰囲気を調整
カラーグレーディングとは、画像全体の色調や雰囲気を整える作業のことです。建築パースでは、自然な光の印象を強調したり、時間帯に応じた雰囲気を作るために使用されます。
色温度を調整する
- 昼間のシーン → やや青みを加え、クリアな印象に
- 夕景や夜景のシーン → 暖色系を強調し、温かみのある雰囲気に
レベル補正・カーブを使ってコントラストを最適化
- ハイライトとシャドウを調整し、奥行き感を演出
- 黒つぶれや白飛びを防ぎながら、ディテールを強調
関連記事
→ 建築パースのポストプロダクション|Photoshopでの仕上げ方
レンズフレア・ぼかし効果の追加
レンダリング画像にエフェクトを加えることで、よりフォトリアルな演出が可能になります。
レンズフレア(Lens Flare)の追加
- 窓からの光が強く差し込むシーンに使用し、リアルな雰囲気を演出
- Photoshopの「フィルター」→「描画」→「レンズフレア」で簡単に追加可能
被写界深度(Depth of Field)を強調
- 背景や前景を軽くぼかし、リアルなカメラ撮影風の表現を作る
- 「フィルター」→「ぼかし(ガウス)」を使ってピントが合う部分を調整
微妙なグレイン(ノイズ)を加えてリアリティを向上
- 完全にクリーンなレンダリング画像ではなく、微細なテクスチャを加えることでより自然な仕上がりに
Photoshopでの仕上げ作業を行うことで、レンダリング画像の完成度がさらに向上します。
5-2. よりリアルな仕上げのためのテクニック
レンダリング後の基本的な調整に加え、細部のディテール修正や最終仕上げのチェックを行うことで、建築パースのリアリティをさらに高めることができます。Photoshopを活用して、微調整を加えながら完成度の高いビジュアルに仕上げましょう。
細部の調整と最終仕上げのチェックポイント
レンダリング画像をよりフォトリアルに仕上げるためには、細部のディテールを意識することが重要です。以下のポイントをチェックしながら、最終調整を行いましょう。
シャープネスの微調整
- 「フィルター」→「シャープ」→「アンシャープマスク」を使用し、エッジを強調
- 木目や金属のディテールを引き立て、よりリアルな質感を演出
不要なノイズやアーティファクトの除去
- レンダリング時に発生した不要なノイズを「ぼかしツール」や「修復ブラシツール」で補正
- 床や壁に発生するレンダリングアーティファクト(意図しない影や色ムラ)を調整
窓やガラスの映り込みの調整
- レンダリング後のガラス面に、外部の風景や光の映り込みを追加することでリアリティが向上
- 「レイヤーの不透明度」を調整し、自然な反射を表現
影の強弱をコントロール
- 「レイヤーマスク」や「ブラシツール」を使い、影を柔らかくしたり強調したりして調整
- 環境に合わせて光の反射や影の方向を微調整
関連記事
→ 建築パースの構図とカメラ設定|魅力的なアングルを作るテクニック
Photoshopとレンダリングソフトの連携方法
Photoshopでのポストプロダクションを効果的に進めるためには、レンダリングソフトの設定を適切に行い、レイヤー構成を最適化することが重要です。
レンダリング時にマルチパス(Render Passes)を出力
- ライト、シャドウ、反射、AO(アンビエントオクルージョン)などを個別のレイヤーとして出力する
- Photoshopで各要素を個別に調整できるため、自由度が向上
透明背景(Alpha Channel)の活用
- 背景を透過で出力し、Photoshop上で自由に背景を合成可能
- 建築パースの背景にリアルな空や街並みの画像を合成することで、より完成度を高める
調整レイヤーを活用して非破壊編集
- 「トーンカーブ」や「レベル補正」を調整レイヤーで適用し、元画像を破壊せずに修正可能
- Photoshopでの色調補正の自由度が増し、後から微調整がしやすくなる
これらのテクニックを活用することで、建築パースのリアリティをさらに向上させることができます。
6. まとめ|フォトリアルな建築パースを作るためのポイント
フォトリアルな建築パースを作成するには、ライティング・レンダリング・テクスチャ設定の3つの要素を適切に組み合わせ、仕上げのポストプロダクションを丁寧に行うことが重要です。
以下のポイントを押さえて、よりリアルな建築パースを目指しましょう。
ライティングの工夫でリアルな光と影を演出
- 環境光(HDRI)、太陽光、人工照明を適切に設定する
- 影の落ち方や光の反射を細かく調整し、自然な雰囲気を作る
適切なレンダリングエンジンと最適な設定を選ぶ
- フォトリアルなレンダリングには「V-Ray」「Cycles」「Corona Renderer」などを活用
- ノイズ除去や被写界深度、アンビエントオクルージョンを調整し、クオリティを向上
高品質なテクスチャ設定で素材のリアルさを追求
- 木材・金属・ガラスなど、素材ごとに適切なPBRマテリアルを設定
- バンプマップ・ノーマルマップ・ディスプレイスメントマップを活用し、質感を強調
ポストプロダクションで最終的なリアリティを高める
- Photoshopでカラーグレーディングやコントラスト調整を行い、見栄えを整える
- レンズフレアやぼかし効果を加え、よりフォトリアルな仕上がりにする
これらのテクニックを活用すれば、まるで写真のような建築パースを作成することが可能になります。
関連記事
→ 建築パースのライティング技術|リアルな光と影を作る方法
→ 建築パースのレンダリング設定|フォトリアルな仕上げ方のコツ