建築パースのポストプロダクション|Photoshopでの仕上げ方

建築パースをフォトリアルに仕上げるためには、3Dソフトでのレンダリングだけでなく、**ポストプロダクション(後処理)**が欠かせません。特に、Photoshopを活用した色調補正やライティング調整、ディテールの強化によって、建築パースのクオリティは飛躍的に向上します。

ポストプロダクションの目的は、リアルな光の演出や空気感の追加、建築物の魅力を最大限に引き出すことです。しかし、適切な調整を行わなければ、不自然な色合いや影のズレなど、作品の完成度を損なう可能性もあります。そのため、正しい手順とテクニックを理解し、効果的な処理を行うことが重要です。

本記事では、Photoshopを活用したポストプロダクションの基本から応用テクニックまでを詳しく解説します。色・光・影の調整、演出効果の追加、仕上げのポイントを押さえ、建築パースをより魅力的に仕上げる方法を学んでいきましょう。

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目次

1.建築パースにおけるポストプロダクションとは?

建築パースの制作において、ポストプロダクションは欠かせない工程です。3Dレンダリングで生成された画像は、そのままでも完成度の高いものになりますが、フォトリアルな仕上がりを追求するには、Photoshopなどの画像編集ソフトを活用した最終調整が必要になります。

ポストプロダクションの役割とは?

ポストプロダクションとは、レンダリング後に行う画像の仕上げ作業を指します。この工程では、色や光の調整、ディテールの補完、演出効果の追加などを行い、よりリアルで魅力的な建築パースに仕上げます。建築パースの完成度を大きく左右する重要なプロセスといえるでしょう。

Photoshopでの主な作業内容

ポストプロダクションでは、Photoshopを使って以下のような作業を行います。

  • 色調整(Color Correction):明るさやコントラストを調整し、最適な色合いを作る
  • 光の補正(Lighting Adjustment):建物や環境の光の強さ・方向を自然に整える
  • テクスチャ補完(Texture Enhancement):レンダリングで不足した細かい質感を追加する
  • ノイズ除去(Noise Reduction):レンダリング時に発生した不要なノイズを取り除く
  • 演出効果の追加(Visual Effects):霧や光のエフェクトを加え、シーンの雰囲気を高める

これらの作業によって、建築パースは単なる3D画像から、実際の写真のようなリアリティを持つ作品へと仕上げられます。

なぜポストプロダクションが重要なのか?

3Dソフトのレンダリング機能だけでは、完全なフォトリアリズムを再現することは難しい場合があります。特に、次のような点がレンダリングでは限界があるため、ポストプロダクションによる調整が不可欠です。

  • レンダリング時間の短縮:細部まで高品質なレンダリングを行うと膨大な時間がかかるため、ある程度の調整を後処理で補う
  • レンダリングの不完全な部分を補正:特定の光の表現やテクスチャの不足をPhotoshopで修正
  • よりアーティスティックな仕上げを可能にする:シーンの雰囲気やストーリー性を強調するためのエフェクトを追加

このように、ポストプロダクションは建築パースのクオリティを大きく向上させるため、非常に重要な工程となります。

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2.ポストプロダクションの3つのステップ

建築パースのポストプロダクションは、単なる修正作業ではなく、完成度を飛躍的に向上させるための重要なプロセスです。ここでは、Photoshopを活用した3つの主要なステップを紹介します。

STEP 1: 基本調整(色・光・コントラスト)

まず最初に行うのは、画像全体のバランスを整える基本調整です。建築パースの印象を決定づける工程であり、以下のような作業を行います。

  • 色調補正(Color Correction):画像全体のカラーバランスを整え、レンダリング時の色の偏りを修正
  • トーンカーブ(Curves):明るさとコントラストを調整し、メリハリのある画像にする
  • レベル補正(Levels):白・グレー・黒のバランスを調整し、適切なダイナミックレンジを確保
  • 色温度(Color Temperature)の調整:シーンに合わせて暖色系・寒色系の色味を調整

特に、昼光・夕景・夜景の建築パースでは、色温度のコントロールが重要です。例えば、夕景では暖かみのあるオレンジ系の色調に調整し、夜景では青みがかったトーンを強調すると、よりリアルな雰囲気を作り出せます。

STEP 2: ディテールの強化

次に、画像の細部を調整し、建物や周囲の質感を強化していきます。ディテールのクオリティが上がることで、よりシャープでリアルな建築パースに仕上がります。

  • シャープネス(Unsharp Mask / スマートシャープ):エッジ部分を強調し、建物の輪郭やテクスチャを鮮明にする
  • ノイズ除去(Noise Reduction):レンダリング時に発生する不要な粒子やムラを取り除く
  • 被写界深度(Depth of Field, DOF):手前や奥をぼかし、リアルな奥行きを演出

特に、被写界深度の調整は、カメラの焦点を意識したリアルな視覚効果を生み出すために有効です。例えば、手前の植栽やオブジェクトを若干ぼかすことで、建物に視線を誘導できます。

STEP 3: 雰囲気演出(ムードの追加)

最後に、シーンの雰囲気を演出するための効果を加えます。単なる3D画像ではなく、よりドラマティックで印象的な建築パースに仕上げることが目的です。

  • 空の差し替え(Sky Replacement):より美しい空の画像を合成し、シーンに合わせた雰囲気を作る
  • 光のレイヤー(Light Overlay):窓や街灯の光を強調し、暖かみや奥行きを演出
  • フォグ・ミスト効果(Fog / Mist Effect):遠景に霧を加えて、立体感と雰囲気を強化

例えば、夕景のパースでは、建物の窓から暖色系の光を加えることで、居心地の良い雰囲気を演出できます。また、都市部の鳥瞰パースでは、遠景に軽く霧を加えることで、遠近感を強調し、よりリアルな景観を表現できます。

このように、3つのステップを順に進めることで、建築パースのクオリティを飛躍的に向上させることができます。

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3.Photoshopでの具体的な作業フロー

建築パースのポストプロダクションでは、Photoshopを活用した細かい調整が重要になります。ここでは、実際の作業フローに沿って、効果的な仕上げ方を解説します。

1. カメラRAWフィルターで色調を調整

まず最初に、カメラRAWフィルター(Camera RAW Filter)を使用して、画像全体の色調を整えます。これは、写真の現像処理のように、細かく色や光の調整を行える強力なツールです。

  • 露光量(Exposure):全体の明るさを最適化
  • コントラスト(Contrast):画像のメリハリを強化
  • ハイライト・シャドウ(Highlights / Shadows):明るい部分と暗い部分のディテールを調整
  • ホワイトバランス(White Balance):昼光・夕景・夜景に合わせた色温度を設定

特に屋外の建築パースでは、自然な光の雰囲気を再現することが重要です。青空の下では少し寒色寄りに、夕景では暖色寄りに調整するとリアルな印象になります。

2. レイヤーマスクを使って光や影を調整

レンダリングされた画像では、光や影の表現が不十分なことがあります。そのため、Photoshopのレイヤーマスク(Layer Mask)を活用して、よりリアルなライティングを再現します。

  • ライトマスク(Light Mask):太陽光や室内の照明が差し込む部分を明るく調整
  • シャドウマスク(Shadow Mask):建物の立体感を強調するため、影の部分を引き締める

例えば、窓の部分に光のグラデーションを追加することで、室内の明かりが自然に外へ漏れるように演出できます。また、シャドウマスクを活用し、建物の形状に沿った自然な影を作ることで、立体感が増します。

3. 合成でディテールを追加

建築パースのリアリティを高めるために、人物・車・植栽などのオブジェクトを追加します。

  • 人物や車:スケール感を出すために配置
  • 植栽や芝生:建物周辺の自然な雰囲気を演出
  • 環境要素(標識・ベンチ・街灯など):都市景観のリアルさを強化

これらの素材は、以下のようなサイトから入手できます。

スクロールできます
用途推奨サイト
人物・車素材Renderpeople、3Dwarehouse
テクスチャ素材Textures.com、Poliigon
植栽・背景Evermotion、CGTrader

ポイント

  • 光の方向と影の角度を一致させる(異なる光源の合成は不自然に見える)
  • 遠近感を意識して適切なスケールで配置(人物や車のサイズがバラバラにならないように)

4. グレーディングで雰囲気を整える

最後に、カラールックアップ(Color Lookup Table, LUT)を適用し、画像全体の雰囲気を統一します。これにより、単なる3Dレンダリング画像から、より映画的で魅力的なパースに仕上げることができます。

  • ブルー系のLUT → モダンでクールな印象
  • オレンジ系のLUT → 温かみのある居心地の良い雰囲気
  • モノクロLUT → スタイリッシュなコンセプトパース

また、最終仕上げとして、「レンズ補正(Lens Correction)」を適用し、歪みを調整することで、より自然なパース表現に仕上げられます。

このように、「色調整 → 光と影の調整 → ディテール追加 → 雰囲気の統一」という流れで作業を進めることで、フォトリアルな建築パースを完成させることができます。

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4.シーン別|ポストプロダクションのポイント

建築パースのポストプロダクションは、シーンごとに最適な処理を行うことが重要です。外観・内観・鳥瞰パースのそれぞれにおいて、リアルな仕上がりを実現するためのポイントを紹介します。

外観パース(Exterior Rendering)

外観パースでは、建物だけでなく周囲の環境もリアルに表現することが求められます。特に、空や植栽、車などの要素を適切に配置し、自然な街並みを作ることが重要です。

外観パースの仕上げポイント

  • 空の差し替え(Sky Replacement):晴天・曇り・夕焼けなど、シーンに適した空を選ぶ
  • ライティング調整:太陽光の角度を考慮し、影の位置を調整
  • 環境要素の追加:街路樹・ベンチ・歩行者などを配置し、生活感を演出

特に夕景のパースでは、太陽光と人工光のバランスが重要になります。建物の窓や街灯からの光を強調し、暖かみのある雰囲気を演出しましょう。

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内観パース(Interior Rendering)

内観パースでは、照明の演出がリアルな表現のカギを握ります。間接照明や反射の調整によって、空間の雰囲気を引き出します。

内観パースの仕上げポイント

  • 間接照明(Indirect Lighting)の追加:コーブライト・フットライトを加えて奥行きを演出
  • 光の反射調整:床やガラスにライトレイヤーを適用し、光の拡散を再現
  • 素材感の強化:木材・布・ガラスなどの質感を強調

例えば、高級感のあるリビング空間では、暖色系の間接照明を強調することで、居心地の良い雰囲気を演出できます。一方、オフィス空間では、クールな青白い光を使うことで、モダンな印象を作れます。

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鳥瞰パース(Aerial Rendering)

鳥瞰パースでは、遠近感とスケール感の表現が重要になります。特に、遠景の処理や空気遠近法(Aerial Perspective)を活用し、リアルな都市景観を作りましょう。

鳥瞰パースの仕上げポイント

  • フォグ(Fog)の追加:遠景に霧を加え、距離感を演出
  • 人・車・街灯の配置:都市の活気を表現するために適切に配置
  • 色のグラデーション調整:遠景ほど青みがかるように調整し、奥行きを出す

例えば、広大な都市の鳥瞰パースでは、遠くのビル群を薄くぼかし、手前をシャープに仕上げることで、よりリアルな遠近感を表現できます。また、夜景パースでは、街灯や車のライトを強調し、ダイナミックな都市の雰囲気を作ることがポイントです。

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5.Photoshopポストプロダクションのプロ向けテクニック

Photoshopを使った基本的なポストプロダクションをマスターしたら、さらに高度なテクニックを活用することで、よりリアルで印象的な建築パースに仕上げることができます。ここでは、プロが実践する3つのテクニックを紹介します。

① カラーグレーディングの深掘り

カラーグレーディングは、建築パースの雰囲気を大きく左右する要素の一つです。単に色調補正を行うのではなく、特定の色域を強調することで、より印象的な仕上がりにできます。

活用できるツール

  • チャンネルミキサー(Channel Mixer):特定の色成分を調整し、色彩のバランスを最適化
  • カラールックアップ(Color Lookup Table, LUT):フィルム調の色合いやシネマティックな雰囲気を追加
  • ヴィネット(Vignette):画面の周辺を暗くし、視線を中心に誘導

例えば、モダンな高層ビルの外観パースでは、青系のトーンを強調してクールな印象を作り、木材を多用した温かみのある住宅パースでは、暖色系のLUTを適用して、より心地よい雰囲気を演出できます。

② 光と影のディテール強化

リアルな建築パースを作る上で、光と影のコントロールは欠かせません。レンダリングだけでは表現しきれない細かい陰影を手動で調整することで、建物の質感や立体感を強調できます。

主な手法

  • 覆い焼きツール(Dodge Tool):光が当たる部分を明るくし、ハイライトを強調
  • 焼き込みツール(Burn Tool):影の部分を暗くし、コントラストを強化
  • グラデーションマップ(Gradient Map):光と影の流れを補正し、より自然な陰影を再現

例えば、窓から差し込む光をより強調したい場合は、覆い焼きツールで光の当たる部分を明るくし、同時に焼き込みツールで影を引き締めることで、奥行きのあるライティングを作ることができます。

③ 大気効果の追加

建築パースにおいて、空気感を演出することはリアリティの向上につながります。特に、遠景にフォグを加えることで、空間の奥行きをより強調することが可能です。

効果的なエフェクト

  • フォグレイヤー(Fog Layer):遠くの建物を霞ませ、自然な遠近感を演出
  • レンズフレア(Lens Flare):太陽光の輝きを再現し、よりドラマティックな表現を追加
  • パーティクルブラシ(Particle Brush):微細な光の粒子を加え、リアルな空気感を表現

例えば、鳥瞰パースの都市景観では、遠くのビルに薄い霧を追加することで、奥行きを強調できます。また、夕景の外観パースでは、レンズフレアを適用することで、ドラマチックな光の表現が可能になります。

この3つのテクニックを活用することで、建築パースのクオリティをワンランク上のレベルに引き上げることができます。

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6.効果的な素材・ツールリスト

建築パースのポストプロダクションを効率的に行うためには、適切な素材やツールを活用することが重要です。ここでは、Photoshopでの仕上げ作業に役立つおすすめのリソースを紹介します。

1. HDRI画像(空・光環境の設定)

HDRI(High Dynamic Range Imaging)画像は、リアルな空と光環境を再現するために欠かせません。特に、建築パースのライティング設定やポストプロダクションでの空の差し替えに活用できます。

スクロールできます
カテゴリ推奨サイト用途
HDRI画像Poly Haven環境光や空の設定に最適
HDRI Havenリアルな空の背景をレンダリングに適用

活用ポイント

  • Photoshopの「空の置き換え(Sky Replacement)」機能と組み合わせると、簡単に背景を変更可能
  • 夕景や曇りのシーン用のHDRIを適用することで、建築パースの雰囲気を強化

2. 建築用テクスチャ(マテリアルの強化)

レンダリング画像の質感を向上させるには、高品質なテクスチャ素材を活用すると効果的です。

スクロールできます
カテゴリ推奨サイト用途
テクスチャ素材Textures.com建築用マテリアル(木材、金属、コンクリートなど)
Poliigon高解像度のPBRテクスチャ(物理ベースレンダリング)

活用ポイント

  • Photoshopの「レイヤースタイル」機能を使い、レンダリング画像にリアルな質感を追加
  • ノーマルマップ(Normal Map)を適用すると、陰影の表現を強化できる

3. 人物・車・植栽の素材(スケール感を追加)

建築パースのリアリティを高めるためには、スケール感を示すための人物や車の要素が重要です。

スクロールできます
カテゴリ推奨サイト用途
人物素材Renderpeople3Dスキャンされたリアルな人物素材
Cutout People背景透過済みの2D人物を配置可能
車・植栽CGTrader3D車両や樹木のモデル

活用ポイント

  • レイヤーマスクを活用し、影を調整して自然な合成に仕上げる
  • ブレンドモード(Multiply / Overlay)を使用し、環境光に馴染ませる

4. 無料プラグイン(作業の効率化)

Photoshopには、ポストプロダクションをよりスムーズにするためのプラグインが多数あります。

スクロールできます
プラグイン名用途
Nik Collectionカラーグレーディング・シャープネス調整
Flaming Pear Flood水面の反射効果を追加
RA Beauty Retouchスムーズなトーン補正・微調整

活用ポイント

  • Nik Collection の「Color Efex Pro」を使うと、ワンクリックでシネマティックなカラー調整が可能
  • Flaming Pear Flood を使うと、水辺のリアルな反射効果を表現できる

5. ブラシ素材(エフェクトの追加)

フォグや光のエフェクトを追加する際には、Photoshopのブラシ素材を活用すると便利です。

スクロールできます
カテゴリ推奨サイト用途
フォグ・霧Brusheezy霧・ミスト効果のブラシ素材
光のエフェクトDeviantArtレンズフレア・光のライン

活用ポイント

  • オーバーレイ(Overlay)モードで光の効果を追加し、建築パースの演出を強化
  • 低不透明度の霧ブラシを重ねることで、自然な遠近感を演出

このようなツールや素材を活用することで、建築パースのポストプロダクションをより効率的に進めることができます。

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7.ポストプロダクションでよくある失敗と対策

建築パースのポストプロダクションでは、仕上がりの品質を左右する重要な工程が多く含まれます。しかし、調整を誤ると、不自然な仕上がりになってしまうこともあります。ここでは、よくある失敗例とその対策を紹介します。

1. 色が不自然になる

原因

  • カラーグレーディングを過剰に行い、全体の色バランスが崩れる
  • トーンカーブやレベル補正を極端に適用し、不自然な色合いになる

対策

適用前後を比較しながら調整する

  • Photoshopの「ヒストリー(履歴)」機能を活用し、適用前後の色を確認
  • 調整レイヤー(Adjustment Layer)を使い、元画像を保持しながら微調整する

ホワイトバランスを適正に保つ

  • 色温度(Color Temperature)を適正に設定し、シーンに合った自然な色合いにする
  • 参照画像を用意し、実際の写真と比較しながら調整

2. 光が不自然に見える

原因

  • 光源の位置や角度が間違っており、影の方向と矛盾している
  • 窓や街灯の光を過剰に強調しすぎて、不自然な発光になっている

対策

影の方向を事前に確認する

  • レンダリング時の光源の位置を確認し、光の当たり方を整える
  • Photoshopの「レイヤーマスク」を使い、光の強さを段階的に調整

グラデーションを活用する

  • 光の境界をぼかし、自然な光の広がりを作る
  • 光の色温度をシーンに応じて微調整し、より現実的な照明環境を再現

3. 影が硬すぎる

原因

  • シャドウレイヤーの不適切な設定により、影が極端に濃くなっている
  • 影のエッジがシャープすぎて、不自然に見える

対策

ソフトシャドウを適用する

  • 影のエッジを「ガウスぼかし(Gaussian Blur)」で滑らかにする
  • 不透明度を調整し、周囲の環境に溶け込む影を作る

影の色を調整する

  • 完全な黒ではなく、周囲の環境光を反映した暗色に調整(例:夕景なら青みがかった影)

4. 合成が不自然になる

原因

  • 人物・車・植栽の遠近感が一致していない
  • 光の向きが合っておらず、合成オブジェクトが浮いて見える

対策

パースガイドを活用し、遠近感を統一する

  • Photoshopの「パースワープ(Perspective Warp)」を使い、オブジェクトの角度を調整
  • 既存の建物と比較し、人物や車のサイズを適正にする

影や反射を追加する

  • 新しく配置したオブジェクトに対し、適切な影を加えて馴染ませる
  • 反射面がある場合(ガラス・水面)は、反転した画像を重ねて透過率を調整する

5. テクスチャがぼやける

原因

  • 使用したテクスチャの解像度が低く、細部が潰れてしまっている
  • スケールの設定が合っておらず、質感がリアルに見えない

対策

高解像度のテクスチャを使用する

  • 2K(2048×2048px)~4K(4096×4096px)の高解像度テクスチャを選ぶ
  • PoliigonやTextures.comなどのサイトを活用し、高品質な素材を確保する

シャープネスを適用する

  • 「アンシャープマスク(Unsharp Mask)」を使用し、テクスチャのディテールを強調
  • スマートシャープ(Smart Sharpen)を活用し、細部を鮮明に仕上げる

このような失敗を避けることで、よりリアルで完成度の高い建築パースを作成できます。

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8.ポストプロダクションの仕上げチェックリスト

建築パースのポストプロダクションでは、細部まで確認しながら仕上げることが重要です。レンダリング後の調整が適切に行われているかを確認するため、以下のチェックリストを活用しましょう。

1. 全体のバランスを確認する(色・光・影)

☐ カラーグレーディングは適切か(色が過度に強調されていないか)
☐ 光源の位置と影の方向が正しいか
☐ コントラストが適切で、暗すぎる・明るすぎる部分がないか

2. ノイズやアーティファクトを除去する

☐ 不要なノイズやレンダリングのムラが残っていないか
☐ 「ノイズ除去(Noise Reduction)」を適用し、適度にディテールを保っているか
☐ JPG圧縮や解像度の低下による画質の劣化がないか

3. 人物・植栽・オブジェクトのスケールを確認

☐ 人物・車・植栽などのサイズが適切か
☐ 遠近感が統一されているか(パースラインに沿って配置されているか)
☐ 影や反射が正しく追加され、背景と馴染んでいるか

4. フォーカルポイント(視線の誘導)が明確か

☐ 主役(建物や空間)の視認性が確保されているか
☐ 背景や装飾要素が主張しすぎていないか
☐ ヴィネット(Vignette)や被写界深度(Depth of Field)を適用し、視線誘導を工夫しているか

5. 雰囲気や演出効果が適切か

☐ 空の色や環境光がシーンの時間帯に合っているか
☐ 夕景や夜景では、光の強さと色温度がリアルに表現されているか
☐ フォグやレンズフレアなどの効果が不自然でないか

6. クライアントの要望に沿った仕上がりになっているか

☐ 指定された色調や雰囲気が適切に再現されているか
☐ クライアントの意図に沿った構図・アングルになっているか
☐ 仕上げ前後の比較を行い、完成度をチェックしたか

このチェックリストを活用することで、建築パースのポストプロダクションの最終仕上げをより確実に行うことができます。仕上がりのクオリティを向上させ、フォトリアルな完成度を目指しましょう。

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9.まとめ

建築パースのポストプロダクションは、レンダリング後の最終仕上げとして、作品の完成度を大きく左右する重要な工程です。Photoshopを活用することで、色調補正や光影調整、ディテールの強化、演出効果の追加など、フォトリアルな仕上がりを実現できます。

特に、ポストプロダクションでは以下のポイントが重要です。

  • 色・光・影の基本調整:カメラRAWフィルターやレイヤーマスクを活用し、自然な光と影を再現
  • ディテールの強化:シャープネスやノイズ除去を適用し、建物の質感を鮮明にする
  • シーンに応じた演出:外観・内観・鳥瞰パースごとに最適な処理を行い、リアルな雰囲気を演出
  • 高度なPhotoshopテクニック:カラーグレーディングや大気効果を駆使し、視覚的に魅力的な建築パースを仕上げる

また、ポストプロダクションを成功させるためには、適切な素材やツールの活用も欠かせません。高品質なHDRI画像やテクスチャ、リアルな人物・車・植栽素材を使用することで、レンダリング画像をより自然に仕上げることができます。

最後に、仕上げチェックリストを活用し、色調や光のバランス、スケール感、フォーカルポイントなどを細かく確認することで、クライアントの要望に沿った高品質な建築パースを提供できるようになります。

ポストプロダクションの技術を磨き、よりリアルで魅力的な建築ビジュアライゼーションを目指しましょう。

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