CGTraderとは？プロ向け3Dモデル・素材を扱う世界最大級サイト

3Dモデルの販売や購入を検討している方にとって、「CGTrader」は非常に有力な選択肢のひとつです。世界中のプロフェッショナルに支持され、建築ビジュアライゼーションやゲーム開発、AR/VRコンテンツまで幅広く対応しているこのプラットフォームは、個人・企業問わず多くの場面で活用されています。

この記事では、CGTraderの基本情報から特徴、利用方法、他マーケットとの比較、さらには販売・購入時の注意点まで、実務に役立つ視点で詳しく解説しました。プロとしての収益化を目指す方はもちろん、副業や学習の一環として活用したい方にも参考になる内容です。

現場で再現できる具体的な手順や設定、判断基準を盛り込みながら、CGTraderを最大限に活かすためのノウハウを整理しました。この記事を読めば、自信を持ってこのマーケットプレイスを使いこなせるようになります。

CGTraderの概要と基本情報

CGTraderは、世界中で3Dモデルの売買が行われているオンラインマーケットプレイスです。2011年に設立され、建築やゲーム業界をはじめとする多くのプロフェッショナルに利用されています。この章では、CGTraderの基本情報や対応ファイル形式、支持される理由について紹介します。

CGTraderとは？世界190カ国以上で利用される3Dモデルマーケット

CGTraderは、190カ国以上のユーザーに利用されている大規模な3Dモデルマーケットプレイスです。主に建築、ゲーム、プロダクトデザイン、AR/VRなどの分野で使われる3Dモデルが取引されています。個人の趣味用途から、企業の商用プロジェクトまで、幅広いニーズに対応しており、売買の双方が簡単に行えるのが特徴です。

取引には無料登録だけで始められ、ユーザーは3Dモデルの購入・販売・受託制作など多彩な利用方法を選べます。マーケットプレイスの運営はオンラインで完結し、地理的制約がないため、国際的なプロジェクトにも活用されています。

要は、CGTraderはプロから初心者までが活用できるグローバルな3Dモデルの売買プラットフォームです。

運営企業と設立背景──3D業界のプロが作ったマーケットプレイス

CGTraderは2011年に、リトアニアの3D業界出身者によって設立されました。創業者は「クリエイターが不公平な報酬構造に苦しむ状況を変えたい」という思いから、CGTraderを立ち上げました。そのため、販売者の利益率が高く、クリエイター主体で設計された仕組みが特徴です。

運営企業はスタートアップとして始まりましたが、現在ではグローバル展開し、多くの投資を受けて成長を続けています。プラットフォーム自体も継続的に改善され、ユーザー体験や支援体制が充実しています。

このように、CGTraderは3D業界の課題から生まれた、実務に根ざしたマーケットです。

登録ユーザー数・掲載モデル数・対応ファイル形式などの基本データ

CGTraderには現在、数十万人の登録ユーザーと数十万点の3Dモデルが掲載されています。利用できるファイル形式も豊富で、主に以下のような形式に対応しています。

• FBX：Autodesk製品との互換性が高く、ゲーム開発で多用
• OBJ：多くの3Dソフトで読込可能な中間形式
• STL：3Dプリント向けの標準フォーマット
• BLEND：Blender専用のネイティブ形式

そのほかにも3DS、MAX、DAEなどにも対応しており、用途に合わせた形式選択ができます。これにより、ユーザーは自分の制作環境やプロジェクト要件に合ったモデルを選びやすくなっています。

つまり、CGTraderは対応フォーマットの幅広さも魅力のひとつです。

世界中のデザイナー・企業がCGTraderを選ぶ理由

CGTraderがプロから選ばれる大きな理由は、「高品質なモデルが揃っていること」と「販売支援体制が整っていること」です。掲載モデルは多くが実務向けで、PBRマテリアルやローポリ/ハイポリ両対応など、用途に応じた選択が可能です。

また、販売者には最大80%のロイヤリティが支払われるほか、売上管理や販売戦略に関するサポートも受けられます。さらに、サイト全体がグローバル対応しており、英語圏を中心とした世界中のバイヤーにアプローチできます。

実務では、短納期でクオリティの高いモデルが必要になることも多く、CGTraderはそうした要求に応えるプラットフォームといえます。

CGTraderの主な特徴と強み

CGTraderは、他の3Dマーケットプレイスと比べて、プロユースを意識した特徴が際立っています。高品質な3Dモデルのラインナップ、販売者に有利なロイヤリティ設定、法人向けサービスの充実など、クリエイターにも企業にも使いやすい設計になっています。この章では、その強みを4つの観点から紹介します。

高品質3Dモデルと幅広いカテゴリ（ゲーム・建築・AR・VR・印刷用など）

CGTraderの最大の魅力のひとつは、ジャンルを問わず高品質な3Dモデルが豊富に揃っていることです。ゲーム用のローポリモデルから、建築ビジュアライゼーション向けの高精細なモデル、さらには3DプリントやAR/VR対応のアセットまで、多様なニーズに対応しています。

カテゴリは細かく分類されており、以下のような目的別で探しやすくなっています。

• ゲーム開発（低ポリ／リアルタイム向け）
• 建築ビジュアライゼーション（高解像度／PBR対応）
• AR・VR向けの軽量モデル
• 3Dプリント用のSTL形式モデル
• キャラクター、乗り物、家具、環境などのジャンル別分類

たとえば、建築用途であれば「外観」「インテリア」「家具」といった分類から目的に応じたモデルを絞り込みやすいです。ジャンルごとに専門的な品質が担保されており、実務ですぐに使えるのが強みです。

つまり、CGTraderはモデルの質・量・分類の3点で、あらゆる3D制作分野をカバーしています。

プロクリエイター重視のロイヤリティ率と販売支援体制

CGTraderでは、クリエイターが最大80%のロイヤリティを受け取れる仕組みが用意されています。これは業界でも高水準であり、販売者にとって非常に魅力的な条件です。収益率は売上実績や活動量によって変動しますが、継続的な出品と販売で高率を維持できます。

また、CGTraderは販売者向けにさまざまな支援を提供しています。

• 出品ガイドラインと品質チェックリスト
• SEO対策のアドバイス（タイトル・タグなど）
• 売上やアクセス分析ツール（ダッシュボード）
• 価格設定のベンチマーク提示

これにより、ただ出品するだけでなく、売れやすくする工夫や改善がしやすい環境が整っています。初心者にもやさしく、上級者には利益率で報いる構造です。

要は、CGTraderはプロにとって「売って終わり」ではない、継続的に収益を最大化できる仕組みがあるということです。

企業向け「CGTrader Enterprise」やカスタム3D制作サービス

CGTraderは個人だけでなく、法人ユーザー向けにも特化したサービスを提供しています。たとえば「CGTrader Enterprise」では、企業が一括で3Dモデルを調達・管理できる機能や、カスタム制作の依頼が可能です。

主な法人向けサービスには次のようなものがあります。

• オーダーメイドの3Dモデル制作依頼（設計図ベースでの受託制作）
• ライセンス契約の一元管理（大量導入や社内共有向け）
• eコマース向けの3D商品ビューア対応（WebGL連携など）

たとえば、大手家具メーカーが製品の3Dビジュアル化にCGTraderを活用し、ECサイト上で360度ビュー表示を実現した事例もあります。こうしたサービスはBtoBにおいても非常に有効です。

つまり、CGTraderは「マーケットプレイス」だけでなく、「3D制作の外注先」としても機能します。

AI・メタバース時代に対応した3Dコンテンツ流通の仕組み

近年、AIによる3Dモデル生成やメタバースでのアセット需要が急増しています。CGTraderはこれらの流れに素早く対応し、次世代型3Dコンテンツの流通基盤としても進化しています。

具体的には、以下のような機能や対応が整っています。

• AI生成モデルの出品・販売カテゴリ追加
• メタバース用モデル（軽量・最適化済）の専用タグ設定
• Web3やNFT関連の実証的プロジェクトとの連携（要検証）
• 複数プラットフォーム（Unreal, Unityなど）対応モデルの提供

たとえば、メタバースプラットフォーム向けに、アバターやワールド用モデルを出品するクリエイターも増えています。軽量でリアルタイム処理に最適化された設計が求められるため、対応形式やポリゴン制御が重要です。

結果として、CGTraderは時代の変化に即応しながら、3Dモデルの価値流通を支える基盤となっています。

CGTraderで3Dモデルを購入する方法

CGTraderでは、無料登録をすれば誰でもすぐに3Dモデルを購入できます。ただし、購入時にはモデルの仕様やライセンスの種類をしっかり確認しておかないと、後でトラブルになる可能性もあります。この章では、購入の流れと注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

① 無料登録からモデル検索までの基本ステップ

CGTraderで3Dモデルを購入するには、まず無料のユーザー登録が必要です。メールアドレスかGoogleアカウントなどを使って、数分で登録できます。登録後はすぐにモデル検索が可能になります。

モデルは以下のような方法で探せます。

• キーワード検索（例：「house」「car」「furniture」など）
• カテゴリ検索（例：建築／キャラクター／乗り物など）
• フィルター機能（価格帯、ファイル形式、ライセンス種別）

たとえば、「low poly house FBX」で検索すれば、ゲーム向けの家のローポリモデルが一覧表示されます。検索結果はプレビュー画像付きで表示され、各モデルの詳細ページにアクセスすればさらに詳しい情報を確認できます。

まずは検索機能を活用して、自分の用途に合うモデルを見つけるのが第一歩です。

② モデルのプレビュー・ポリゴン数・テクスチャの確認ポイント

モデル購入の前には、以下の情報をしっかり確認しておくことが大切です。特にゲームや建築ビジュアライゼーションなど、用途が明確な場合はスペックに注意しましょう。

確認すべきポイントは次の通りです。

• ポリゴン数／頂点数：処理負荷に直結するため重要（例：ローポリ＝3,000以下）
• テクスチャサイズと形式：解像度（例：2048px）とPNG/JPGなどの形式
• UV展開の有無：テクスチャ適用のしやすさに影響
• 対応ソフト／ファイル形式：FBX、OBJ、BLENDなど自分の環境に合うか
• レンダラー互換性：Cycles、V-Ray、Unreal Engineなど対応確認

たとえば、Blenderで使う場合は「BLEND形式＋Cycles対応＋テクスチャ付き」で探すと安心です。

このように、仕様を確認せずに購入すると「思っていたものと違う」トラブルの原因になります。事前チェックが購入成功のカギです。

③ 決済方法・ライセンス選択・ダウンロードの流れ

モデルが決まったら、カートに入れて決済へ進みます。決済方法は以下から選べます。

• クレジットカード（VISA／Mastercard／AMEXなど）
• PayPal
• Apple Pay（対応環境のみ）

決済後は、利用目的に応じたライセンス選択が必要です。商用利用を予定している場合は、必ず「商用ライセンス」を選びましょう。ライセンス選択後、ダウンロードリンクが表示され、ZIP形式などでデータを取得できます。

たとえば、Web制作案件など収益が発生するプロジェクトで使う場合は、商用ライセンスが必須になります。

ダウンロード後は、モデルの読み込み確認とシーンテストをしてから本番投入するのが安全です。

商用利用・個人利用の違いと注意すべき権利範囲

CGTraderでは、モデルごとにライセンスが設定されており、商用利用と個人利用で使える範囲が異なります。

• 個人ライセンス：非営利目的（学習・趣味など）でのみ使用可能
• 商用ライセンス：収益を伴うプロジェクトでの利用が可能
• 拡張ライセンス：再販・再配布など特別な用途にも対応（要確認）

たとえば、YouTube動画で収益化している場合は「個人利用」には当てはまりません。商用扱いになるため、商用ライセンスが必要です。

また、ライセンスによってはモデルの改変やクライアントへの提供が禁止されている場合もあるため、事前にライセンス文面を確認することが大切です。

要は、「無料モデルだから大丈夫」と思い込まず、利用範囲の明示を確認しておくことがトラブル回避につながります。

CGTraderで3Dモデルを販売する方法

CGTraderでは、誰でも3Dモデルを出品して収益を得ることができます。特にプロクリエイターにとっては、ロイヤリティが高く、販売支援機能も充実しているため、副業や事業の一環として活用しやすい環境です。この章では、出品から売上管理までの流れと、売れるためのポイントを解説します。

① 出品前に押さえたい要件と最適なモデル形式

CGTraderで3Dモデルを出品する前に、モデルの品質や形式を最適化しておくことが重要です。販売されやすいモデルには、視覚的な美しさだけでなく、技術的な要件も求められます。

出品前にチェックすべきポイントは次のとおりです。

• ポリゴン数：用途に応じた適正値（例：ローポリは〜5,000、ハイポリは10万以上も可）
• テクスチャ：2048px以上推奨／形式はPNGまたはJPEG
• UVマッピング：重複のないクリーンなUV展開
• スケール単位：メートルまたはミリメートルで統一（Blenderではmが推奨）
• 原点位置・回転：原点を底面中央に／X軸に対して正面
• 形式：FBX、OBJ、STL、BLENDなど用途に合った保存

たとえば、建築用インテリアモデルを出品する場合、1/1スケールかつBLEND形式＋PBRマテリアルでの出品が好まれます。

つまり、モデルの「見た目」と「使いやすさ」の両方を意識して調整することで、購入されやすくなります。

② SEO対策を意識したタイトル・タグ・説明文の書き方

CGTraderでは、検索結果からのアクセスが売上を左右します。そのため、SEO（検索最適化）を意識したデータ登録がとても重要です。

具体的な対策ポイントは以下のとおりです。

• タイトル：モデルの特徴＋用途を明記（例：「Modern Wooden Chair for Interior Rendering」）
• タグ：5〜10個が目安。素材名、用途、ジャンル、形状などを入れる
• 説明文：モデルの特徴・用途・対応ソフト・注意点などを段落形式で記述
• 言語：基本は英語。日本語併記はOKだが、英語優先が無難

たとえば、ゲーム用の兵器モデルを出品するなら「Low Poly Sci-Fi Gun for Unity/Unreal」にし、タグに「gun」「sci-fi」「lowpoly」「PBR」などを設定すると検索にヒットしやすくなります。

こうしたSEOの工夫をすることで、露出が増えて売上につながりやすくなります。

③ 販売後の売上管理・ロイヤリティ率・支払い方法

モデルが売れたら、ダッシュボードから売上やアクセス状況を確認できます。CGTraderでは、販売実績や出品数に応じてロイヤリティ率が段階的に上昇する仕組みです（最大80%）。

主な支払い関連の情報は次のとおりです。

• 支払い方法：PayPal、Payoneer、銀行振込（条件あり）
• 最低支払額：$50〜（初期設定は$100、設定変更可能）
• 通貨：基本は米ドル
• 支払サイクル：毎月1回（通常は月末締め→翌月15日支払い）

売上画面では「モデル別の販売数」「クリック数」「カート追加率」などが見られるため、どのモデルが人気かを把握しやすくなっています。

収益を伸ばすには、こうしたデータを定期的に確認して改善につなげることが欠かせません。

高評価を得るためのコツ（プレビュー画像・価格設定・サポート）

CGTraderで評価を上げるには、見た目や価格だけでなく、購入後の対応にも気を配る必要があります。

購入者から高評価を得るためのコツは以下の通りです。

• プレビュー画像：高解像度・異なる角度・ワイヤーフレーム表示などを含める
• 価格設定：競合と比較して適正価格にする（例：同カテゴリ平均±20%以内が目安）
• モデル説明：購入者が疑問を持たないよう詳細に記述する
• サポート対応：問い合わせには1〜2営業日以内に返信するのが理想

たとえば、Blender用の家具モデルを販売する際、CyclesとEeveeの両対応を明記し、レンダー結果の比較画像を掲載することで、信頼感が増して評価が上がりやすくなります。

評価が高くなるほど検索順位やCVR（購入率）も上がるため、丁寧な運用が成果を左右します。

CGTraderと他3Dマーケットプレイスの比較

3Dモデルの販売や購入を考える際、CGTrader以外のマーケットプレイスとの違いを知っておくと、自分に合った使い方が見えてきます。この章では、SketchfabやTurbosquidなどとの比較を通じて、CGTraderの位置づけや選び方のポイントを整理します。

Sketchfab・Turbosquid・Blend Swapとの違い

CGTraderはプロ向けの3Dモデル販売に特化している一方で、他の主要マーケットプレイスにもそれぞれ異なる強みがあります。目的に応じて使い分けることが大切です。

以下に代表的な3Dマーケットとの違いを簡単にまとめます。

サイト名	特徴	主なユーザー層
CGTrader	高ロイヤリティ、商用利用向け、企業サービスあり	プロ、法人
Sketchfab	ブラウザ上の3Dビュー対応、埋め込みが簡単	教育機関、展示系
Turbosquid	品質審査が厳しい、ロイヤリティはやや低め	プロ、法人
Blend Swap	無料モデル中心、CCライセンス	学習者、趣味ユーザー

たとえば、プロジェクトでクライアントにプレゼンをしたい場合は、Sketchfabの埋め込みビュー機能が便利です。一方で、商用販売や収益化を重視するなら、CGTraderやTurbosquidが適しています。

このように、販売戦略や使用目的に合わせてプラットフォームを選ぶのが効率的です。

手数料・報酬率・販売サポートの比較表

販売者にとって大きな違いとなるのが、手数料や報酬率、サポートの内容です。CGTraderは販売者に有利な報酬構造をとっており、ここが差別化ポイントといえます。

サイト名	ロイヤリティ率	出品サポート	特記事項
CGTrader	最大80%（実績連動）	SEO/価格設定アドバイスあり	法人向け契約あり
Turbosquid	最大80%（独占契約時）／非独占は40〜60%	品質審査が厳しい	独占契約が前提になることが多い
Sketchfab	約70%（固定）	出品ガイドあり	ビュー機能が強み
Blend Swap	無料提供（収益なし）	なし	学習・交流重視

このように、CGTraderは「非独占でも最大80%」という条件が販売者にとって大きなメリットになります。

趣味〜プロ向けまで、目的別おすすめサイトまとめ

ユーザーの目的やスキルレベルによって、最適なマーケットプレイスは異なります。以下に目的別のおすすめサイトを整理しました。

目的	おすすめサイト	理由
学習・趣味	Blend Swap、Sketchfab（無料モデル）	無料で使える／手軽に始められる
副業・収益化	CGTrader、Turbosquid	高ロイヤリティ／商用対応／販売支援あり
法人利用・委託制作	CGTrader Enterprise、Sketchfab（展示）	専用ライセンス／カスタム対応あり

たとえば、Blender初心者が学習用モデルを探すならBlend Swapで十分です。収益を得たい中級者以上にはCGTraderが最適です。

このように、目的とスキルに応じた使い分けが成果に直結します。

複数サイトを併用する際の注意点と戦略

CGTraderだけでなく、他のマーケットプレイスにも同じモデルを出品することは可能ですが、いくつかの注意点があります。主なポイントは次のとおりです。

• 価格を統一する：同じモデルで価格差があると信頼を失う
• ライセンス条件の整合性：商用／個人利用などの範囲を統一する
• 販売データの管理：各サイトの売上・問い合わせを把握しておく
• 独占契約に注意：Turbosquidなどは独占契約で報酬率が変わる

たとえば、CGTraderとSketchfabを併用する場合、Sketchfabは展示用／CGTraderは販売用と役割を分けるのもひとつの戦略です。

複数サイト併用には管理コストがかかりますが、正しく運用すればリーチを広げることができます。

CGTraderのメリット・デメリットを整理

CGTraderは3Dモデル販売の中でも特に収益性が高く、国際的なプロジェクトにも使える優れたプラットフォームです。ただし、競争や言語の壁といった注意点もあります。この章では、CGTraderのメリットとデメリットを整理し、どんな人に向いているのかを解説します。

メリット：高収益性・国際的な販売網・信頼性の高さ

CGTraderの大きなメリットは、販売者にとって収益性が高いことです。ロイヤリティは最大80%と業界最高水準であり、非独占契約でも高い報酬を得られる点が魅力です。

さらに、CGTraderは190カ国以上で利用されており、世界中のプロフェッショナルが買い手として存在します。そのため、日本国内だけでなく、英語圏・欧州圏など幅広いマーケットにアクセスできます。

加えて、プラットフォーム自体の信頼性も高く、運営企業は10年以上の実績があり、法人向け契約やサポート体制も整っています。購入者レビューや取引履歴も透明で、信頼されやすい環境が整っている点も大きな利点です。

つまり、CGTraderは「収益力×信頼性×国際性」を兼ね備えたマーケットプレイスです。

デメリット：競合が多く、英語での出品が基本

一方で、CGTraderにはいくつかのハードルも存在します。まず、競合が非常に多いという点です。特に建築・ゲームカテゴリは人気がある反面、既に数多くのモデルが出品されており、埋もれてしまうリスクがあります。

また、出品や説明文、タグの記載は基本的に英語が求められます。自動翻訳機能もありますが、英語での情報発信が弱いと検索にヒットしにくくなります。

たとえば、モデルの説明が日本語のみだと、英語圏ユーザーには届きにくく、購入率が下がる傾向があります。

このように、競争環境と言語対応は初心者にはややハードルが高いポイントといえます。

向いている人・向いていない人の特徴

CGTraderの特徴から考えると、向いている人・そうでない人がはっきりと分かれます。

向いている人：

• 収益化を重視するプロ／副業クリエイター
• 英語対応ができる、もしくは学ぶ意欲がある人
• 実務レベルの3Dモデルを作れる中級者以上

向いていない人：

• 英語に不安があり、設定や説明文の記述が難しい人
• 趣味用途のみで販売目的がない人
• 他人の評価やレビューにプレッシャーを感じやすい人

特に、「実績を積みたい」「副収入を得たい」と考える3D制作者には、CGTraderは非常に向いている環境です。

効率よく成果を出すための運用ポイント

CGTraderで成果を出すには、出品しただけでは足りません。継続的に改善しながら運用することで、徐々に評価や売上が上がっていきます。

以下の運用ポイントを意識すると効果的です。

1. 人気カテゴリを狙う（建築内装／家具／ゲームキャラなど）
2. モデルをシリーズ化（例：椅子シリーズ／街並みセットなど）
3. SEOを徹底する（タグ／説明文／プレビュー画像を強化）
4. 定期的に新作を追加（検索露出がアップ）
5. レビュー対応を丁寧にする（信頼性と評価向上に直結）

たとえば、毎月2〜3点ずつモデルを追加し続けた結果、半年後には安定した収益が出始めたという事例もあります。

つまり、戦略的に運用すれば、CGTraderは継続的な収益源として育てていけるプラットフォームです。

CGTraderを活用する際の注意点

CGTraderは便利で収益性の高いマーケットですが、活用するにはいくつかの注意点もあります。特にライセンスの違いや知的財産権、利用規約の理解不足はトラブルの原因になりやすいため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

商用ライセンスと拡張ライセンスの違い

CGTraderでは、3Dモデルの購入時に選択するライセンスによって、使用できる範囲が異なります。最も基本的な「スタンダードライセンス（商用ライセンス）」と、それよりも広い用途に使える「拡張ライセンス」が存在します。

• 商用ライセンス：広告、映像、ゲーム、建築プレゼンなどの商業目的で使用可能。ただし、再販や再配布は禁止。
• 拡張ライセンス：再販用製品（ゲーム内課金・NFT・3Dプリント製品）など、二次的販売や大量配布が可能。

たとえば、自社ECサイトで3Dプリント用商品としてモデルを販売する場合は、商用ライセンスではなく拡張ライセンスが必要になります。

ライセンス違反があると、利用停止や損害賠償のリスクもあるため、購入時には「何に使うのか」を明確にして選ぶようにしましょう。

知的財産権の保護と盗用防止策

CGTraderではオリジナルモデルの出品が原則ですが、他人の著作物に似た構造やデザインがあると、盗用や権利侵害とみなされる可能性があります。また、出品者側も自分の作品を不正利用されるリスクがあるため、予防策が必要です。

モデル出品者が取れる盗用防止策は以下の通りです。

• プレビュー画像に透かしを入れる
• 一部だけを表示し、全体はダウンロード後に確認できるようにする
• ダミーテクスチャやローポリ化での展示
• ファイル内に自分の署名やReadmeを同梱する

たとえば、Blenderファイルに自分のクリエイター名とライセンス条件を記載したテキストファイルを含めるだけでも、後からの証明材料になります。

このように、権利を守る意識を持って出品することが、トラブル防止にもつながります。

トラブルを避けるための利用規約チェックポイント

CGTraderには公式の「Terms & Conditions（利用規約）」と「Licensing Terms（ライセンス規約）」があり、すべてのユーザーがこれに同意する形で取引が行われます。内容を把握せずに使うと、意図せぬ違反になりかねません。

特にチェックすべきポイントは以下の3つです。

1. 著作権と使用権の範囲
2. 購入モデルの禁止行為（再配布・転売など）
3. 返金・クレームの対応条件

たとえば、モデルを一部改変して再出品する行為は、明確に禁止されています。販売者としては、販売後の責任範囲（例：エラー報告への対応義務）なども把握しておく必要があります。

最低限、以下のリンクは一度は目を通しておくと安心です。

• CGTrader利用規約
• ライセンスガイド

規約を理解していれば、購入者とのトラブルも事前に防ぎやすくなります。

安全に利用するための支払い・サポート体制

CGTraderは基本的に安全な取引環境を提供していますが、支払い方法やサポート窓口の確認は事前に行っておくと安心です。支払い関連の仕組みとサポート体制は以下のようになっています。

• 支払い方法：クレジットカード／PayPal／Apple Payなど主要決済に対応
• 支払通貨：USD（米ドル）で統一されている
• サポート対応：英語が基本だが、日本語の問い合わせも一部対応可
• 返金方針：原則返金不可だが、明らかな不具合があれば運営が仲裁する場合あり

たとえば、モデルがダウンロードできない、ファイルが破損しているといったケースでは、CGTraderの公式サポートが状況を調査して対応します。販売者・購入者ともに誠実な対応を心がけることが、スムーズな解決につながります。

安心して長く使うには、支払い・サポートの基盤も理解しておくことが重要です。

よくある質問（FAQ）

ここでは、CGTraderを利用する際に多くの人が抱く疑問をQ&A形式でまとめました。登録や手数料、対応ソフト、支払い条件など、事前に知っておくと安心な情報をコンパクトに解説します。

Q1.登録や出品は本当に無料？手数料はかかる？

CGTraderへの登録とモデル出品は完全に無料です。誰でもアカウントを作成し、すぐに3Dモデルのアップロードと販売が可能になります。ただし、販売が成立した際には販売価格に応じた手数料が引かれます。

手数料率は以下の通りです（2025年時点）：

• 非独占出品：最大20%（ロイヤリティ80%）
• CGTrader独占出品：最大90%のロイヤリティが可能（審査あり）

つまり、「出品するだけ」なら一切のコストはかからず、売れた場合のみプラットフォーム手数料が発生する仕組みです。副業として始めやすいのも、この無料モデルのおかげです。

Q2.どんな3Dソフトに対応している？（Blender・Maya・3dsMaxなど）

CGTraderは、主要な3D制作ソフトに広く対応しています。ファイル形式ベースでアップロード・ダウンロードが行われるため、使い慣れたツールに合わせた出品・購入ができます。

対応している主なファイル形式：

• FBX（Maya／3ds Max／Unityなどで使用）
• OBJ（多くの汎用3Dソフトに対応）
• STL（3Dプリント用途で標準的）
• BLEND（Blender専用）
• MAX（3ds Max）
• DAE／GLTF／PLYなども対応

たとえば、BlenderユーザーならBLENDファイルに加えてFBXやOBJでも保存しておくと、より多くの購入者に対応できます。

つまり、ファイル形式を複数用意することで、販売チャンスを広げられます。

Q3.モデルの審査や承認にかかる時間は？

CGTraderに出品したモデルは、自動承認もしくは簡易審査ののちに公開されます。通常は1〜3営業日以内に承認されますが、状況により多少前後することもあります。

• 初回出品時や企業カテゴリの場合：やや時間がかかる傾向
• 高解像度モデル／複数形式アップロード：承認がスムーズになりやすい
• 審査でリジェクトされた場合：修正内容が通知され、再アップロード可能

たとえば、説明文に未翻訳の箇所がある、プレビュー画像が不十分といったケースでは、一時的に承認が保留されることがあります。

承認待ち中でも、修正と再提出を通じて品質を高められるので、前向きに対応しましょう。

Q4.売上の支払い方法・通貨・最低支払額は？

CGTraderでの売上は、月ごとに集計され、指定の方法で支払われます。支払い関連の基本情報は以下の通りです。

• 支払い方法：PayPal／Payoneer／銀行振込（条件あり）
• 通貨：米ドル（USD）
• 最低支払額：$50（PayPal／Payoneer）※設定により変更可能
• 支払いサイクル：月末締め→翌月15日〜20日頃に送金

たとえば、月に$70の売上があった場合、翌月15日前後にPayPal経由で自動支払いされます。アカウント設定画面から最低支払額を$100などに引き上げることも可能です。

定期的にダッシュボードを確認し、支払い履歴を管理すると安心です。

Q5.日本語対応はある？サポート体制はどうなっている？

CGTraderの公式サイトは基本的に英語表示が標準ですが、日本語環境でも問題なく利用可能です。また、Google翻訳を活用したページ閲覧や、ブラウザ翻訳機能にも対応しています。

サポート体制は以下の通りです。

• 問い合わせ対応：英語が基本だが、日本語での質問も可能（翻訳対応）
• チュートリアル・FAQ：英語中心だが図解付きでわかりやすい
• 緊急サポート：販売トラブルなどには優先対応の体制あり

たとえば、購入モデルが開けない・破損していた場合は、公式サポートに英語または簡単な日本語で問い合わせれば、対応してもらえます。

要は、「英語必須」と構えず、翻訳ツールや定型文でのやりとりを活用すれば、日本語ユーザーでも十分に利用できます。