
AutoCAD・Vectorworks・Jw_cadからBlenderに取り込む手順|DXF・FB対応ガイド
CADソフトで作成した図面や3Dモデルを、Blenderで活用したいと考えたことはありませんか?AutoCAD、Vectorworks、Jw_cadなどのデータをそのまま使うことはできませんが、DXFやFBXを活用することでスムーズに変換可能です。本記事では、各CADソフトからBlenderにデータを取り込む手順を、初心者にも分かりやすく解説します。
変換前の単位や座標の確認、形式ごとの使い分け、変換後のトラブル対策、効率的な編集方法まで、実務でそのまま再現できる具体的手順を網羅しました。これを読めば、CAD図面の2D・3D情報をBlender上で正確に再現し、快適に編集できるようになります。
さらに、チームでの共有や商用利用の注意点、よくある質問への回答も掲載しているため、業務やプロジェクトで安心して活用可能です。この記事を参考に、CADからBlenderへの変換作業を効率的かつ安全に進めてください。
BlenderでCADデータを扱うための基礎知識
BlenderでCADデータを取り扱うには、そもそものデータ構造や設計思想の違いを理解しておくことが重要です。CADはミリ単位の精度や図面表現に特化している一方で、Blenderは3DCGやアニメーションを前提としたポリゴン構造のソフトです。この章では、スムーズな変換作業のために必要な基礎知識を整理します。
CADとBlenderの違いを理解する(設計精度とポリゴン構造の差)
CADとBlenderは、見た目こそ似たように図形やモデルを扱いますが、その中身はまったく別物です。CADは寸法や図面の正確性を重視するソフトで、線や面を「数式的な定義」で管理します。一方、Blenderは3Dモデルを「ポリゴン」という三角形や四角形の面で構成し、視覚的な見た目に強いソフトです。
実務で問題になりやすいのは「曲線や円弧」の変換です。CADでは滑らかな円も、Blenderに取り込むとポリゴンの集まりになってカクついて見えることがあります。これは構造の違いによるもので、Blender側で「分割数」を増やすなどの工夫が必要です。
また、CADは「ミリ単位」で設計するのに対し、Blenderは「メートル単位」が基本です。スケール感に差があるため、変換後にモデルが大きすぎたり小さすぎたりするトラブルが起こりやすいです。こうした点をあらかじめ理解しておくと、変換後の調整作業がスムーズになります。
まとめると、CADとBlenderでは「構造(数式 vs ポリゴン)」と「単位(mm vs m)」が大きく異なるため、変換前後で補正が必須です。
Blenderが対応するファイル形式一覧(DXF・FBX・OBJ・STLなど)
Blenderは非常に柔軟なソフトで、多数のファイル形式を読み書きできます。CADデータの取り込みでは特に「DXF」「FBX」が中心になりますが、用途によって「OBJ」や「STL」も検討できます。
| 形式 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| DXF | 2D・簡易3D。線や寸法中心 | 図面・平面の線データ |
| FBX | 3D形状+マテリアル対応 | 建築モデルやパーツの3D再現 |
| OBJ | シンプルな3D形状。マテリアル設定も可能 | 建築パーツの中間形式 |
| STL | 3Dプリント向け。色やテクスチャ非対応 | モデル出力・3D印刷用 |
AutoCADやVectorworksは、FBXで書き出すと構造やマテリアルがある程度維持されます。Jw_cadの場合はDXFが基本です。OBJやSTLはCADとの直接互換が薄いため、中間形式として使う場面が多いです。
つまり、変換精度や作業効率を考えると「FBX>DXF>OBJ/STL」の順でおすすめです。
データ崩れを防ぐ事前準備(単位・座標・スケールの統一)
CADデータをBlenderに取り込むと、「サイズが大きすぎる」「モデルが遠くにある」「表示が崩れる」といったトラブルがよく起きます。これらの多くは、単位や座標のズレによるものです。
変換前に確認すべきポイントは次の3つです。
- 単位の統一:CAD側で「mm」なら、Blenderも「メートル単位」で読み込む設定にします(1m = 1000mmを意識)。
- 原点合わせ:CAD側でモデルが遠くにある場合、Blenderでは「見えない」「ズームできない」原因になります。あらかじめ原点(0,0)付近に寄せておきましょう。
- スケールチェック:Blenderで読み込んだ際に、スケールが極端に小さい/大きいと操作性が悪くなります。「Sキー」で拡大縮小する前に、単位設定を見直すのが基本です。
たとえば、AutoCADでmm単位の図面をBlenderに読み込むと、1000倍に感じられることがあります。この場合、「Blender > シーン > 単位」でスケールを調整すれば、自然なサイズに整います。
こうした事前準備が、あとで手戻りを減らす一番のポイントです。
変換作業に必要なアドオンやプラグインの確認
Blenderでは、標準で一部のファイル形式に対応していないことがあります。特に「DXF」は初期状態では読み込めず、アドオンを有効にする必要があります。
確認と設定方法は以下の通りです。
- メニューから「編集 > プリファレンス」を開く
- 「アドオン」タブで「Import-Export: AutoCAD DXF Format」を検索
- チェックを入れて有効化
- メニューに「ファイル > インポート > DXF」が追加される
他にも、「FBXインポートがうまくいかない」場合は、Blenderのバージョンによって互換性が異なる可能性があるため、公式フォーラムでの確認や、安定バージョンの利用もおすすめです。
必要な機能が使えないと感じたら、まずはアドオンの有効化をチェックしてみてください。
AutoCADデータをBlenderに取り込む方法
AutoCADからBlenderへ3Dデータを持ち込む際は、DXFやFBX形式での変換が一般的です。それぞれの形式には特徴があり、目的に応じて使い分けることで作業効率と再現性が高まります。この章では、AutoCAD側での書き出しからBlenderでの取り込み、さらには変換後の調整作業までをステップごとに解説します。
① AutoCADでの書き出し設定|DXFとFBXの違いと使い分け
AutoCADデータをBlenderに取り込むには、まず書き出し形式を決める必要があります。代表的なのは「DXF」と「FBX」です。それぞれ得意な領域が異なるため、目的に応じて使い分けるのがコツです。
- DXF(Drawing Exchange Format)は、2Dの線情報や簡易的な3D情報を保存できる形式です。AutoCAD LTでも対応しており、図面の線情報を保持したまま出力できます。ただし、マテリアル情報や複雑な3D形状は再現されにくいです。
- FBX(Filmbox)は、3Dモデルやマテリアル、階層構造などを含めて出力できる形式です。AutoCADのフルバージョンで利用可能で、3Dデータの精度と見た目をある程度維持したい場合に適しています。
たとえば、建築の平面図をBlenderで背景に使いたいならDXF、建物の3D形状そのものを取り込みたいならFBXが向いています。
つまり、**「2D目的ならDXF」「3D活用ならFBX」**が基本の使い分けです。
② Blender側でのインポート手順と単位スケール設定
AutoCADから書き出したDXFまたはFBXをBlenderに取り込むには、適切な手順とスケール調整が必要です。特に「単位」の設定が合っていないと、サイズや位置が崩れやすくなります。
インポート手順:
- Blenderを開く
- メニューから「ファイル > インポート > DXF(またはFBX)」を選択
- 対象ファイルを指定して読み込み
スケール設定のポイント:
- AutoCADは「mm」が基本単位です。
- Blenderは「m(メートル)」が標準なので、読み込み後に1/1000のスケールになります。
- 「シーン > 単位」パネルで「単位スケール = 0.001」に設定するか、インポート時に「スケール = 0.001」を指定するとサイズが自然になります。
実際の現場でも、「読み込んだらモデルが巨大すぎて見えない」というトラブルが頻発します。これは単位ズレが原因なので、変換前後で必ずスケールをチェックしましょう。
③ 図面データの整理とマテリアル調整ポイント
BlenderにインポートしたAutoCADデータは、レイヤやマテリアルがそのままでは整理されていないことが多いです。ここでしっかり整えることで、後の作業がぐっと楽になります。
まずは「アウトライナー」ビューでオブジェクトの構成を確認しましょう。AutoCADのレイヤ構造が階層として読み込まれていれば、「コレクション」ごとに整理されているはずです。
次に、マテリアルを調整します。
- 黒塗りやハッチ部分が真っ黒になっている場合、マテリアル設定を確認し、「ベースカラー」を変更します。
- 透明ガラスなどの素材は、「プリンシプルBSDF」ノードで「透過度」を調整すると自然に見えます。
- ラインのみの図面では、頂点カラーやワイヤーフレーム表示を活用すると視認性が上がります。
このタイミングで不要な要素を削除し、名前をわかりやすく変更しておくと、後工程がスムーズです。
④ AutoCAD特有の要素(ブロック・ハッチ)の扱い方
AutoCADには、他のCADにはない独自の要素がいくつかあります。特に注意すべきは「ブロック」と「ハッチ」です。
- ブロック:AutoCADで繰り返し使う部品のようなものです。Blenderにインポートすると1つのオブジェクトとしてまとまっていることが多く、編集しにくい場合があります。Blender側で「オブジェクト > 変換 > メッシュ」や「編集モードで分離(Pキー)」を使って展開しましょう。
- ハッチ:図面の塗りつぶし表現です。Blenderではこれが数万ポリゴンになってしまい、パフォーマンスを落とす原因になります。可能であればAutoCAD側でハッチを削除、またはBlenderで選択して削除するのがおすすめです。
また、図面に寸法線や注釈が含まれている場合、それらは3Dモデルとして不要なので、変換後に選択して削除しておくとデータが軽くなります。
VectorworksデータをBlenderに取り込む方法
VectorworksからBlenderにデータを移行するには、FBX形式での書き出しがもっとも安定しています。特にクラスやレイヤ構成を保ったまま変換するには、事前の整理とBlender側での再構成がポイントになります。この章では、書き出し準備からマテリアル調整、軽量化の工夫までを段階的に紹介します。
① レイヤ構成とクラス設定を整理して書き出す準備
Vectorworksで作成されたデータは、レイヤやクラスが複雑に入り組んでいることが多く、そのままFBXに書き出すとBlender上で扱いにくくなります。そのため、まずは書き出し前に構成を見直すことが重要です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 不要なレイヤやクラスを削除
作業用やガイド線など、Blenderで使わない要素は削除しておきます。 - オブジェクトの整理
同じ材質やカテゴリごとにグルーピングし、名前を明確にしておくと、Blender側でも管理しやすくなります。 - 構造の統一
レイヤとクラスの役割が重複している場合は、どちらかに集約するとスムーズです。
実務では、「レイヤ=階層構造」「クラス=属性管理」として使い分けると、Blenderでもそのまま再構成しやすくなります。整理が終わったら、FBX形式での書き出し準備に進みましょう。
② FBX書き出し時の注意点(テクスチャ・光源・シンボル)
FBX形式で書き出す際は、Vectorworks独自の要素がうまく変換されないことがあります。事前に調整することで、Blenderへの取り込みが安定します。
- テクスチャのパス確認:FBXはテクスチャファイルへのリンクも含みますが、パスが絶対パスだとBlenderで読み込めない場合があります。可能であれば、書き出し前に「相対パス」に変更し、テクスチャと同じフォルダにFBXを保存してください。
- 光源の初期化:Vectorworksの光源はBlenderでは正しく再現されないことが多いため、不要な光源は削除しておくとよいです。
- シンボルの展開:Vectorworksのシンボル(パーツのようなもの)はBlenderでは複雑な階層として読み込まれることがあります。書き出し前に「Convert to Group」などで通常のオブジェクトに変換しておくと編集しやすくなります。
こうした事前対応で、FBXの互換性が大きく向上します。
③ Blenderでの再構成手順|シーン階層とマテリアル適用
FBXをBlenderにインポートした後は、レイヤやクラス構造を再構築し、マテリアルを整える作業が必要です。特に複雑な建築モデルでは、整理が仕上がりの質を左右します。
シーン階層の整理:
- アウトライナーで「コレクション」を確認し、レイヤ単位で分類されているかをチェックします。
- 意図しないグループ化がある場合は「右クリック > 分離」で調整しましょう。
マテリアルの適用:
- テクスチャが読み込まれていない場合は、「シェーダーエディタ」でマテリアルスロットを再設定します。
- マテリアル名が「Material.001」のようになっている場合は、用途に応じて名称変更すると管理しやすくなります。
- 質感の調整では「スペキュラ」「ラフネス」の数値を見ながらリアルさを再現していきましょう。
作例では、壁材のマテリアルを「Principled BSDF」で設定し、カラーとラフネスを調整するだけでも十分な見た目になります。
④ 複雑な図面を軽量化して快適に編集するコツ
Vectorworksから書き出したFBXデータは、Blenderに取り込むと非常に重くなることがあります。編集が重すぎると作業効率が下がるため、軽量化の工夫をしておきましょう。
軽量化のポイント:
- 非表示レイヤの削除:不要な階層やガイド情報は削除しておきます。
- モディファイアの活用:ポリゴンが多すぎる場合は「Decimate」モディファイアで簡略化できます。
- 細かいパーツの非表示/別シーン化:家具などのディテールパーツは別ファイルに分けると快適です。
たとえば、1万ポリゴン以上のパーツが多数ある場合、「Decimate」で20〜30%に減らしても見た目はあまり変わらず、動作は軽くなります。
必要に応じて「リンクされたライブラリ」として外部ファイル化するのもおすすめです。
Jw_cadデータをBlenderに変換する手順
Jw_cadは国産の2D CADソフトですが、Blenderとは直接互換性がありません。そのため、DXF形式を中継してデータを取り込むのが基本となります。この章では、Jw_cadからのDXF変換方法、Blenderでの読み込み手順、さらに3D化する際の実践ポイントまでを詳しく解説します。
① DXF変換ツール・プラグインの導入と設定
Jw_cadからBlenderにデータを渡すには、まずJw_cadの図面をDXF形式に変換する必要があります。Jw_cad自体にもDXF出力機能はありますが、精度や互換性を考えると外部の変換ツールを使うのが安心です。
おすすめは「Jw_cad DXFコンバータ」や「Jw_win用の外部変換ユーティリティ」です。これらは無料で使え、線種やフォントの互換性にも配慮されています。
導入手順は次の通りです。
- 「Jw_cad DXFコンバータ」をダウンロード
- Jw_cadで対象の図面をJWW形式で保存
- コンバータでJWWファイルを読み込み、DXFに変換
- 設定で「バージョン:AutoCAD R12」などを選ぶとBlenderでも安定しやすい
文字コードの設定は「Shift-JIS」が無難です。UTF-8では文字化けするケースもあるため注意しましょう。
② DXF出力時に気をつける座標・線種・文字化け対策
Jw_cadからのDXF変換時に起きやすい問題が「座標のズレ」や「線種の未反映」「文字化け」です。特にBlender側で図面が「どこにあるかわからない」というケースはよくあります。
事前に以下のチェックを行うと安心です。
- 原点付近に図面を移動:Jw_cadで「全体選択 → 移動」で原点(0,0)に寄せることで、Blenderで表示しやすくなります。
- 線種を標準化:Jw_cad側で実線・破線などを「標準線種」に統一しておくと、Blenderで崩れにくくなります。
- フォントをMSゴシックに変更:変換時に特殊フォントが使われていると、文字が「?」「□」になることがあります。標準フォントに置き換えるのが安全です。
また、ファイル名やフォルダパスに全角文字が入っていると読み込みエラーになることがあるので、英数字だけで構成するとトラブルを回避できます。
③ Blenderへのインポート手順と座標調整のコツ
DXF形式に変換したら、次はBlenderでのインポート作業に移ります。Blenderでは、DXF読み込み機能はアドオンとして提供されているため、事前に有効化しておく必要があります。
インポート手順:
- 「編集 > プリファレンス > アドオン」で「Import-Export: AutoCAD DXF Format」を有効化
- 「ファイル > インポート > DXF」で対象ファイルを選択
- 「単位」を「ミリメートル」に設定(Jw_cadはmmが標準)
- 必要に応じて「位置合わせ」オプションで中心揃えを設定
読み込んだあと、図面が画面外にある場合は「Shift + C」でビューをリセットすると表示されることがあります。また、スケールが極端に小さい場合は、「Sキー」で100倍〜1000倍に拡大すれば見やすくなります。
ズレや非表示の原因はほぼ「原点」か「スケール」の問題です。ここを押さえれば読み込みは安定します。
④ 線分を3D化(メッシュ化)して立体モデルにする方法
Blenderで読み込んだDXFデータは、通常「カーブ」または「エッジ(線分)」として認識されます。これを3D化するには、メッシュ化と厚み付けの処理が必要です。
手順は以下の通りです:
- オブジェクトを選択し、「オブジェクト > コンバート > メッシュ」を選ぶ
- 編集モードで「Aキー」で全選択
- 「Eキー」で押し出し、厚みを加える(数値はmm単位で指定可能)
- または、「モディファイア > Solidify」を使って厚みを追加する
- 必要なら「スムーズシェード」を適用して見た目を整える
たとえば、壁の厚みを30mmにしたい場合は、「押し出し距離 = 0.03m」で入力すればOKです。Solidifyモディファイアなら後から調整もできるため、柔軟性があります。
この手順により、2D線図から簡易的な3Dモデルを作ることができます。プレゼンやモデリングの下地として活用できます。
変換後に起こりやすいトラブルとその解決法
CADデータをBlenderに変換した後は、形状が崩れたり、スケールが合わなかったりといったトラブルが起こりやすくなります。これらは多くのユーザーが共通して直面する問題ですが、原因と対処法を理解しておけば回避可能です。この章では、代表的なトラブルとその解決法を実例とともに紹介します。
DXFファイルが読み込めない・クラッシュする場合の対処
大容量のDXFファイルや複雑な図面をBlenderに読み込む際、クラッシュや読み込み失敗が発生することがあります。多くの場合、原因はファイルサイズや不必要なオブジェクトの多さです。
対処法:
- レイヤ分割
大きな図面は複数のレイヤに分割し、順番に読み込むと安定します。 - 不要オブジェクトの削除
寸法線や補助線、注釈は削除して軽量化します。 - 文字やシンボルの削除
文字化けや特殊シンボルが原因で読み込みが止まる場合があります。読み込む前に削除しておくと安心です。
こうした工夫で、読み込み成功率を高めることができます。
FBXインポート後にスケールや位置がズレる原因と修正法
FBXでのインポート時に、モデルが大きすぎたり小さすぎたり、原点からズレることがあります。原因は主に単位設定の不一致です。
修正のポイント:
- AutoCADやVectorworksは「mm単位」、Blenderは「m単位」が基本
- インポート時にスケールを「0.001」に設定
- 位置がずれている場合は「Shift+C」でビューをリセットし、必要に応じて「Gキー」で移動
単位の調整を忘れると、後工程で寸法や配置の調整に手間がかかるので注意が必要です。
法線の反転・欠損ポリゴンを修正する手順
CADデータから変換したモデルでは、法線の向きや面が欠けていることがあります。見た目が正しくてもレンダリング時に不自然になることがあるため、修正しておくと安心です。
修正方法:
- 編集モードで全選択(Aキー)
- 「Shift+N」で法線を再計算
- 欠けている面は「Fキー」で補完
- 必要に応じて「法線方向を表示」して確認
この手順でモデルのレンダリング品質を保てます。
モデルが重くなるときの軽量化・最適化テクニック
複雑なCADモデルはBlenderに取り込むと重くなり、操作が遅くなることがあります。軽量化の工夫で作業効率を改善できます。
軽量化のポイント:
- 「Decimate」モディファイアでポリゴン数を減らす
- 不要オブジェクトや非表示レイヤを削除
- 可能なら細かいパーツを別ファイルに分割
たとえば、家具や装飾など詳細なパーツは別コレクションに分けて管理すると、メインモデルの動作が軽くなります。
テクスチャが表示されないときの再リンク方法
FBXやDXFで取り込んだモデルのテクスチャが表示されない場合、ファイルパスの問題が原因です。Blender側で再リンクすることで復旧できます。
手順:
- 「ファイル > 外部データ > すべて再リンク」を選択
- テクスチャの保存場所を確認し、正しいフォルダに指定
- 「Shift+R」で更新して表示を確認
事前にテクスチャとモデルを同じフォルダにまとめておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
BlenderでCADデータを扱うときの効率化テクニック
CADデータをBlenderに取り込んだ後、作業効率を高める工夫があると非常に便利です。座標管理やスナップ、アドオンの活用、背景図面の利用など、実務で使えるテクニックをまとめました。この章では、変換後の編集作業を快適にする方法を紹介します。
シーン単位での座標原点管理とスナップ活用
BlenderでCADデータを扱う際、座標原点の管理とスナップ機能を使うことで正確な位置調整が可能になります。特に建築モデルや精密パーツの配置では重要です。
手順とポイント:
- 原点に整列
オブジェクトの原点をシーンの中心に揃えると、スナップや移動がしやすくなります。
「オブジェクト > 原点をジオメトリに移動」で調整可能です。 - スナップ機能の活用
「Shift+Tab」でスナップON/OFFを切り替えます。- 頂点スナップ:線の端点や頂点に正確に合わせる
- 面スナップ:平面上にオブジェクトを固定
- グリッドと単位を活用
シーン単位のグリッドと単位設定(メートル、ミリメートル)を統一すると、CAD図面との整合性が取りやすくなります。
これにより、建築モデルや機械部品など、正確な寸法管理が必要な作業も快適に行えます。
Blenderアドオンを活用したインポート作業の自動化
複数のCADファイルをBlenderに取り込む場合、手作業では時間がかかります。アドオンを活用すると、一括インポートや整列が可能になります。
おすすめアドオン例:
- Batch Import:複数ファイルのDXF/FBXを一括で読み込み
- Auto Align Tools:原点やスケールの自動調整が可能
導入手順は「編集 > プリファレンス > アドオン > インストール」でZIPファイルを読み込み、有効化するだけです。これにより、大量データの変換作業を大幅に効率化できます。
CAD図面を背景に利用して3Dモデリングする方法
CAD図面をBlenderに取り込んだら、背景として配置することで正確な3Dモデリングが可能です。
手順:
- DXFや画像を「背景画像」として配置
- 「Nキー > ビュー > 背景画像」から設定
- 下絵に沿って3Dオブジェクトを配置・押し出し
この方法で、CAD図面を正確なガイドとして使いながら、立体モデルを作ることができます。
チーム共有・商用利用時のフォーマット運用ルール
チームでBlenderとCADデータを共有する場合、ファイル形式や単位、バージョンを統一することが重要です。
- 標準形式をFBXに統一:階層やマテリアル情報が維持されやすい
- 単位設定を全員共通に:mm/メートルの統一でスケールズレを防止
- バージョン管理:Blenderファイルのバージョンを合わせることで互換性を確保
これにより、複数人での編集や商用プロジェクトでも整合性を保ちながら作業できます。
よくある質問(FAQ)
CADデータをBlenderに取り込む際、初心者から上級者まで共通して疑問に思うポイントがあります。本章では、DXFとFBXの選び方や対応ソフト、2D図面の活用法、商用利用時の注意点など、代表的な質問と回答をまとめました。読了後は、実務で迷わず変換作業を進められるようになります。
Q1.DXFとFBXはどちらが精度が高い?
CADデータをBlenderに取り込む際、どちらの形式を使うか迷うことがあります。結論としては、用途によって使い分けるのがポイントです。
- DXF:線情報や2D図面の精度が高く、平面図や下絵用途に最適です。
- FBX:3D形状やマテリアル情報を保持できるため、建築モデルや立体データの再現に向いています。
要は、2DならDXF、3DモデルならFBXが基本の選び方です。
Q2.AutoCAD LTでもBlender用のデータ出力はできる?
AutoCAD LTはフルバージョンのAutoCADに比べて機能制限がありますが、DXF形式であればBlender用に出力可能です。FBX出力は非対応なので注意してください。
DXF出力後は、Blenderで単位やスケールを確認して読み込むことで、問題なく利用できます。
Q3.VectorworksのBIMデータもBlenderに取り込める?
VectorworksのBIMデータはFBX経由でBlenderに取り込むことができます。階層構造やパーツ情報は維持されますが、テクスチャや光源は再調整が必要です。
実務では、FBXで構造情報を持ち込み、Blenderでマテリアルを調整するのが効率的です。
Q4.Blenderで2D図面として利用することは可能?
はい、可能です。DXFを背景画像や下絵としてBlenderに読み込み、3Dモデリングの参考として使用できます。
この方法を使えば、CADの平面図を直接活かした立体化が簡単に行えます。
Q5.商用利用やライセンスに関する注意点は?
CADデータやBlenderの使用にはそれぞれライセンス規約があります。特に注意すべき点は以下です。
- AutoCADのFBX出力データを商用で使用する場合、ライセンス規約を確認
- VectorworksやJw_cadも商用利用は契約内容に従う
- Blender自体はGPLライセンスで商用利用可能ですが、外部データの取り扱いに注意
事前に確認することで、法的トラブルを避けることができます。
