
BlenderからD5 Renderへ繋ぐ方法【建築3DCG統合ワークフロー完全ガイド】
建築ビジュアライゼーションの現場では、モデリングの柔軟さとレンダリングのスピード、どちらも求められる時代です。そんな中、BlenderとD5 Renderの連携は、設計意図を正確に伝えつつ、見た目のクオリティも高められる効率的なワークフローとして注目されています。
本記事では、Blenderでのモデル準備からD5へのデータ転送、リアルタイムレンダリングによる仕上げ、さらにBIMやCADとの連携まで、実務で役立つノウハウを段階的に解説します。初めて連携に挑戦する方でも再現できるよう、具体的な設定・手順・トラブル対処まで網羅しています。
プロの建築CG制作において再現性と柔軟性を両立したい方に向けて、「世界最高峰の3DCG実務視点」で徹底的にガイドします。
BlenderとD5 Renderを連携するメリットと全体像
建築CGの制作では、BlenderとD5 Renderを組み合わせることで、表現力と作業効率の両方を高めることができます。モデリングや設計はBlender、リアルタイムレンダリングはD5と、それぞれの得意分野を活かして連携させることで、制作全体の品質とスピードが向上します。この記事では、まず両ソフトの役割や特性を整理しながら、連携する意義や全体像を解説します。
BlenderとD5 Renderの強みと使い分け
建築CGにおいて、BlenderとD5 Renderはそれぞれ異なる強みを持っています。Blenderは自由度の高いモデリング機能とシーン構成力が魅力で、細かい形状やパラメトリックな編集にも柔軟に対応できます。一方、D5 Renderはリアルタイムレンダリングに特化しており、インタラクティブな照明調整や即時プレビューによって、ビジュアルの方向性を素早く検証できます。
たとえば、設計初期にBlenderでボリュームスタディを行い、確定したモデルをD5に渡して仕上げる流れが理想です。これにより、設計の自由度を損なわずに、ビジュアルの品質を高められます。また、D5ではマテリアルや光の調整が直感的に行えるため、クライアントとの打ち合わせ時にその場で調整案を提案しやすくなります。
両者の特性を正しく理解し、段階ごとに使い分けることで、作業負荷の分散と成果物の質の両立が実現できます。
Blenderを中継に使うことで得られる制作効率の向上
BIMソフトやCADソフトで作られたデータを、直接D5に読み込むと不具合が出ることがあります。ここでBlenderを中継地点として活用することで、不要なジオメトリの削除や、マテリアル・スケールの調整などを柔軟に行えます。
たとえばRevitで出力したFBXをそのままD5に読み込むと、複雑なマテリアル構造や不要なファミリ情報がそのまま持ち込まれ、D5側での調整が煩雑になります。これをBlenderで一度開いて整理することで、データの軽量化と最適化ができ、D5での処理もスムーズになります。
このように、Blenderは変換や調整のハブとして使うことで、制作工程全体の無駄を減らし、表現力の幅を広げる役割も果たせます。
建築ビジュアライゼーションの理想的な制作フロー
建築CGのワークフローを整理すると、以下の5ステップに分かれます。
- モデリング(Blender):設計意図を反映した正確な形状作成
- マテリアル設定(Blender):PBRに準拠したベース構築
- エクスポート(Blender→D5):形式選定・調整・転送
- レンダリング(D5):質感・照明・カメラ調整
- ポストプロセス(D5または他ソフト):色調補正や空気感の追加
この一連の流れを意識して制作すると、見た目のクオリティだけでなく、作業の再現性や効率も大きく向上します。
特に、初期段階でモデルやマテリアルの命名規則を統一しておくと、後工程での手戻りを最小限にできます。
D5とBlenderで扱う3Dデータ形式の特徴
連携時にはFBX・GLTF・D5専用形式など、複数の3D形式を扱います。それぞれに向き不向きがあるため、用途に応じた選択が重要です。
| 形式 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| FBX | 高い互換性/安定 | RevitやSketchUpからの出力 |
| GLTF | 軽量/リアルタイム向き | Web・VR用途、軽量表示 |
| D5専用形式(.d5aなど) | 精度・互換性が高い | Blender→D5での連携に最適 |
たとえば、BlenderからD5へ直接渡す場合は、D5 Converterで.d5a形式に出力することで、マテリアルやカメラ情報を最も正確に引き継げます。逆に、ファイルサイズが重すぎると処理が遅くなるので、適度なポリゴン数への調整も忘れずに行いましょう。
Blenderでの準備:D5 Render連携を前提にしたシーン設計
D5 Renderとスムーズに連携するためには、Blender側での事前準備が非常に重要です。特にスケールや単位、マテリアル設定、カメラ・ライトの構成などを正しく整えておくことで、D5での再調整を最小限に抑えられます。この章では、D5へのデータ受け渡しを前提にしたBlenderシーンの最適な設計方法を解説します。
モデルスケールと単位設定の基本
BlenderとD5 Renderの連携で最も多いトラブルのひとつが「スケール崩れ」です。これを防ぐには、Blender側で正しい単位設定とスケール管理を行うことが必須です。
まずBlenderの[シーンプロパティ]タブから、「単位系(Unit System)」を「メートル(Metric)」に設定しましょう。D5 Renderもメートル単位でデータを解釈するため、単位がズレるとモデルが極端に小さく表示されるなどの不具合が起こります。
また、モデルのスケール(オブジェクトプロパティ内のスケール値)も必ず1.0に適用([Ctrl+A]→「スケールの適用」)しておくと安心です。たとえば、CADから取り込んだモデルでスケールが0.001のままだと、D5内で極小サイズになってしまいます。
このように、単位とスケールの整合性をBlender側でしっかり保つことが、D5連携の第一歩となります。
シーン整理と命名規則の工夫
複雑な建築シーンでは、オブジェクトやコレクションが大量になります。D5に渡す前に、Blenderでの階層構造と命名をきちんと整理しておくことで、後の作業が格段にしやすくなります。
たとえば、建物全体を「Building」、1階部分を「Floor_01」、各部屋を「Room_01」「Room_02」といった具合にコレクションを分けておきましょう。オブジェクト名も「Wall_01」「Door_01」など、用途や部位がわかる名前にすると、D5でのレイヤー管理やマテリアル割り当ても効率化されます。
このような命名と階層の工夫は、チーム作業や長期プロジェクトでも再利用性を高める鍵になります。
PBRマテリアル設定の注意点
D5 RenderはPBR(物理ベースレンダリング)に対応しており、Blenderからマテリアルを適切に渡すためには、基本構成を理解しておく必要があります。
PBRの基本要素は以下の通りです:
- Base Color(基本色)
- Roughness(粗さ)
- Metallic(金属度)
- Normal(凹凸)
- AO(アンビエントオクルージョン)
これらをBlenderのプリンシプルBSDFノードで設定し、画像テクスチャを各スロットに割り当てておきます。特にRoughnessとMetallicは、グレースケール画像を「Non-Color」で読み込み、正しくマッピングするのが重要です。
また、ノードが複雑すぎるとD5で正しく認識されないことがあるため、ノードはシンプルにまとめましょう。標準的なPBR構成であれば、D5側での再現性も高くなります。
カメラ・ライト配置の最適化
Blenderで設置したカメラやライトは、D5側でもある程度引き継ぐことができます。特にカメラの構図は、シーンの魅せ方に直結する要素なので、あらかじめ意図的に構成しておくと便利です。
たとえば、「Camera_01:外観全体」「Camera_02:リビング俯瞰」など用途に応じたカメラを複数設置し、ネーミングしておくと、D5上でそのまま選択しやすくなります。
ライトに関しても、基本的な位置やタイプ(ポイント、スポット、サン)を指定しておくことで、D5での再設定作業を減らせます。ただし、D5側では独自の光源調整が可能なため、Blenderではあくまで「初期配置」として割り切っておくとよいでしょう。
外部リンク切れを防ぐテクスチャ管理術
テクスチャがD5で読み込まれないトラブルはよくあるミスですが、その多くは「絶対パス」の指定が原因です。Blenderでは、すべての画像テクスチャを「相対パス」に変更しておきましょう。
また、プロジェクト用のフォルダ構成も以下のように統一しておくと安心です:
/Project/
├── Blender/
├── D5/
├── Textures/
このように、テクスチャをプロジェクト内に格納し、相対パスでリンクすることで、環境が変わってもリンク切れを防げます。最終的にD5に渡すときにも、フォルダごと渡すことで再設定の手間が省けます。
D5 Converter for Blenderの導入と設定ガイド
BlenderからD5 Renderへ正確にデータを送るには、「D5 Converter(旧称D5 Bridge)」という公式アドオンの導入が欠かせません。この章では、アドオンの入手からインストール方法、エクスポート設定やLiveSyncの活用まで、連携に必要な手順をひとつずつ解説します。
D5 Converterの入手先と対応バージョン
D5 Converter(旧称:D5 Bridge)は、BlenderとD5 Renderを連携させるための公式アドオンです。入手先は主に2つあり、どちらからでも最新版をダウンロードできます。
- D5公式サイト(https://www.d5render.com/)
- D5 Hubアプリ(D5 Renderのランチャー)
ダウンロードする際は、使用中のBlenderバージョンとの互換性を確認してください。たとえば、D5 Converter v0.5.2はBlender 3.6まで対応していますが、Blender 4.0以降では一部機能が未対応になることがあります(※要検証)。
また、D5 ConverterはZIP形式で提供されるため、展開せずそのままインストールできます。
Blenderへのインストール手順とアドオン有効化の流れ
アドオンのインストールは、Blenderの標準手順で簡単に行えます。
- メニューから「編集 > プリファレンス > アドオン」を開く
- 右上の「インストール」ボタンをクリック
- ダウンロードしたZIPファイルをそのまま選択
- 一覧に表示された「D5 Converter」にチェックを入れて有効化
有効化すると、[サイドバー(Nキー)> D5] タブに専用UIが追加されます。ここからエクスポートやLiveSyncが操作できるようになります。
Blenderを再起動して反映されているかもチェックしておきましょう。
エクスポート設定の最適化
D5 Converterを使ってデータをエクスポートする際は、いくつかのチェックポイントを押さえておくことで、情報の欠落を防げます。
主な引き継ぎ対象:
- オブジェクト形状
- マテリアル(PBR構成推奨)
- カメラ位置と角度
- ライト(基本的な設定)
エクスポート前に「マテリアルを結合」「カメラをエクスポート」などのオプションが表示されるため、必要に応じてONにしておきましょう。たとえば、マテリアルを個別に残したい場合は結合をオフにするのが基本です。
また、アニメーションやノードベースで複雑化したマテリアルは、D5で正しく表示されないことがあるため、事前に簡素化しておくのが安全です。
BlenderからD5へデータを転送する方法
D5 Converterには「Export」ボタンがあり、これを押すことでBlenderのシーンをD5用に変換・出力できます。操作の流れは以下の通りです。
- 必要なオブジェクト・カメラ・ライトを整理
- [D5タブ > Export]をクリック
- 保存先のD5プロジェクトフォルダを指定
- 自動的にD5が起動し、読み込みが始まる
このとき、事前に不要なコレクションや非表示オブジェクトを除外しておくと、D5での処理が軽くなります。最初はテスト用の小さなシーンで出力し、挙動を確認すると安心です。
LiveSyncを活用してリアルタイムで同期する方法
D5 Converterでは「LiveSync」機能も提供されています。これをONにすると、Blender側で加えた変更がD5に即時反映されるため、編集とレンダリングを同時並行で進めることができます。
LiveSyncを使うには:
- D5側でLiveSync受信状態にする(専用ボタンON)
- Blenderで「Start LiveSync」を押す
- 以降の編集内容がリアルタイムで同期される
ただし、モデルが重い場合やPCスペックが不足していると、反応が遅くなることがあります。その場合はLiveSyncを一時停止し、手動エクスポートに切り替えましょう。
D5側でモデルを確認し、正常に読み込まれているかチェックするポイント
エクスポート後は、D5 Render内で以下の点を確認してください:
- モデルのスケールが正しいか
- マテリアルの再現性(色・質感)
- カメラ位置・ライトの配置
- テクスチャが読み込まれているか(リンク切れチェック)
たとえば、壁の質感がマットになるはずがテカテカになっていた場合、Roughnessマップが正しく渡っていない可能性があります。また、カメラが消えている場合はエクスポートオプションでカメラが有効になっているかを再確認しましょう。
D5 Renderでの最終調整と仕上げ工程
BlenderからD5 Renderへデータを渡した後は、D5上で質感やライティング、カメラ調整を通じて最終ビジュアルを仕上げていきます。この章では、D5での確認作業からマテリアル調整、HDRIやポストプロセスによる演出まで、完成度を高める具体的な方法を解説します。
Blenderから読み込んだモデルをD5 Renderで確認する際のチェックリスト
BlenderからD5にモデルを転送した後は、まず読み込み結果の確認を行います。正しく反映されているかをチェックすることで、仕上げ工程での手戻りを防げます。
確認すべきポイントは以下のとおりです:
- スケール:オブジェクトのサイズが意図通りか
- マテリアル:色味や質感が崩れていないか
- テクスチャ:リンク切れや読み込みミスがないか
- カメラ・ライト:配置が反映されているか
- モデルの欠落:パーツ抜けや変形が起きていないか
たとえば、読み込んだ家具モデルのテクスチャが真っ白になっている場合は、Blenderで相対パスが指定されていない可能性があります。この時点で問題を見つけておけば、Blenderに戻って修正しやすくなります。
最初はテスト用シーンで確認し、問題がないことを確かめてから本番データに進むのが安全です。
D5標準マテリアルを活かした質感の微調整
Blenderから引き継いだPBRマテリアルは、基本的な質感をD5でも維持できますが、D5側でより細かく調整することでビジュアルの完成度が大きく上がります。
D5には「ガラス」「金属」「プラスチック」などのプリセットマテリアルがあり、それらを使うことでリアルな質感を簡単に再現できます。たとえば、Blenderでざっくり設定していた床材を、D5側で「フローリング」のマテリアルに置き換えることで、凹凸や反射感の精度が格段に上がります。
また、D5では「反射の強さ」「粗さ」「バンプ量」などをスライダーで直感的に調整できるため、レンダリングしながら質感をチューニングしやすいのも特長です。
照明設定を最適化して建築パースを自然に見せる方法
D5ではリアルタイムで光の変化を確認できるため、自然光と人工光をうまく組み合わせることが重要です。特に室内シーンでは、以下の3点を意識すると自然なライティングに仕上がります。
- 時間帯設定:日中/夕方など、時間による光の角度と色温度を調整
- エリアライトの活用:天井照明や間接照明に最適
- IESライトの適用:照明メーカーの配光パターンを再現
たとえば、午後の外光を表現したい場合は、時間を15:00前後に設定し、窓から入る太陽光の角度をコントロールします。補助光としてエリアライトを使えば、暗くなりがちな室内も自然に明るくできます。
ライティングの設定次第でシーンの印象は大きく変わるので、レンダリングのたびに微調整しながら最適なバランスを見つけましょう。
HDRIを活用したリアルな外光演出のテクニック
屋外シーンでは、HDRI(高輝度画像)を使って自然な空模様と外光を表現するのが効果的です。HDRIは360度の環境情報を持つ画像で、空の色や太陽の位置、反射の映り込みをリアルに再現できます。
D5では標準で複数のHDRIが用意されていますが、外部サイトでダウンロードしたHDRI(.hdr形式)を読み込むことも可能です。たとえば「morning_sunny.hdr」を使うと、朝日が斜めに差し込む柔らかい光が再現できます。
ポイントは、HDRIの回転角度を調整して、建物に対して理想的な影の落ち方にすることです。また、HDRIと物理ライトの併用で、より立体的な表現が可能になります。
カメラアングルと露出・彩度の最終調整
印象的なビジュアルをつくるには、カメラの設定にもこだわりましょう。D5では、以下のような項目を細かく調整できます。
- 焦点距離(Focal Length):広角〜望遠までの画角
- 露出(Exposure):全体の明るさ
- ホワイトバランス(WB):色温度
- 彩度(Saturation):色の鮮やかさ
たとえば、内観シーンで奥行きを出したい場合は焦点距離を24mm前後に設定し、明るさが飛ばない程度に露出を下げるとバランスが取れます。色味が気になるときは、WBと彩度で調整できます。
カメラ設定はシーンの印象を左右する要素なので、複数のアングルを試して最も映える構図を探ってみてください。
ポストプロセス効果で空気感を演出する(被写界深度・色調補正など)
D5 Renderには、レンダリング後の仕上げとして使える「ポストプロセス機能」が搭載されています。これを使うことで、まるで写真のような深みや空気感を加えることができます。
主なポストプロセス項目:
- 被写界深度(DOF):背景をぼかしてフォーカスを強調
- トーンカーブ/彩度調整:色味の微調整
- ビネット/ブルーム:周辺光や光のにじみを加える
たとえば、リビングの内観でソファにピントを合わせ、背景をぼかすと「実写風」の空気感が出てきます。さらにトーンカーブを使ってコントラストを強めると、引き締まった印象になります。
こうした演出効果は使いすぎると不自然になるので、少しずつ調整しながら「ちょうどいい空気感」を探っていくのがコツです。
よくあるトラブルとその解決方法
BlenderとD5 Renderの連携では、スケールずれやマテリアル崩れ、テクスチャのリンク切れなど、いくつか定番のトラブルが発生しがちです。この章では、実務でよくある問題とその対処法をケース別に紹介し、作業の停滞を最小限に抑える方法を解説します。
モデルスケールが合わない場合の修正手順
D5 Renderでモデルが極端に大きく表示されたり、逆に見えないほど小さくなる場合は、Blender側のスケール設定に問題があることが多いです。このトラブルは「単位設定」と「スケールの適用」によって解消できます。
対処手順:
- Blenderの[シーンプロパティ]で単位を「メートル」に設定
→ D5 Renderと一致させることでスケール誤差を防ぎます。 - オブジェクトごとにスケールを1.0にリセット(Ctrl+A→スケールの適用)
→ モデル作業後に適用しておかないと、見た目と出力サイズが一致しません。 - 出力前にカメラとの相対スケールで整合性を確認
→ カメラに対して極端な大きさで表示される場合はスケール異常を疑います。
これらを実行してもズレが直らない場合は、D5側でシーンスケールを調整するのではなく、Blenderで再確認した方が確実です。
マテリアルが崩れる・反映されない時の原因と対処法
マテリアルがD5側で真っ白になったり、意図した質感が再現されない場合、原因は大きく2つあります。
- ノード構造が複雑すぎる
→ D5はBlenderの複雑なノードを正確に読み取れない場合があります。基本のPBRノード構成(Base Color/Roughness/Metallic)に絞りましょう。 - 画像テクスチャの読み込み設定が間違っている
→ 色テクスチャは「sRGB」、それ以外は「Non-Color」に設定し直してください。
また、ノードのミックスやカスタムシェーダーなどは、D5では再現されないため注意が必要です。D5専用のマテリアルプリセットを活用することで、簡易的に調整するのも有効です。
テクスチャが欠落した時の再リンク方法
D5でモデルを開いたときに「テクスチャが反映されていない」「真っ白になる」といった問題は、リンク切れが原因です。
主な対処法:
- Blenderで相対パス設定にする
→ [ファイル > 外部データ > すべてのファイルを相対パスにする] を実行 - プロジェクトフォルダ内に「Textures」フォルダを一元化
→ テクスチャの参照先を統一しておくことで移行時のリンク切れを防ぎます。 - D5内で手動で再読み込みする
→ 該当マテリアルを選択し、「画像を再読み込み」で指定し直します。
初期の段階でフォルダ構成をしっかり整えておくことが、リンク切れを防ぐ一番の予防策です。
Blenderバージョンの違いによるエラーを防ぐポイント
D5 ConverterはBlenderの特定バージョンにのみ対応している場合があります。たとえば、Blender 4.0以降では旧バージョンのConverterが正常動作しないケースがあります。
エラーを避けるためのチェックポイント:
- D5 Converterのリリースノートで対応バージョンを確認する
- Blender本体とアドオンの互換性を事前にテストする
- 新バージョンを使う際は、旧バージョンをバックアップしておく
もしBlenderの最新バージョンで不具合が出た場合は、ひとつ前の安定版(例:3.6 LTS)に戻すことで解消されることがあります。
LiveSync接続が不安定な時の改善策(ネットワークとGPU設定)
LiveSyncの同期が遅延したり、接続が切れる場合は、システム環境の見直しが必要です。
主な改善ポイント:
- GPUドライバの最新版を適用する
- Wi-Fiではなく有線LANで接続する(通信の安定化)
- バックグラウンドアプリを減らしてリソースを確保する
- BlenderとD5を同じPC内で実行する
特にメモリ不足やCPU負荷が高い状態では、リアルタイム同期がスムーズに動作しません。LiveSync中は不要なタブやソフトを閉じて、マシンリソースを最適化しましょう。
応用編:BIM・CADとの連携ワークフロー
BIMやCADで作成された建築データを、Blenderを経由してD5 Renderに渡すことで、より高度なビジュアライゼーションが可能になります。この章では、Revit・Archicad・IFCといった形式への対応方法や、チームでのデータ共有・管理のポイントまで、実務で役立つ連携ワークフローを紹介します。
Revit・ArchicadなどのBIMデータをBlender経由でD5に取り込む方法
BIMデータはそのままD5 Renderに渡すと、余分なジオメトリや属性が多く、ファイルが重くなりがちです。そこで、Blenderを中継として使い、モデルの最適化と整理を行うのが現実的なアプローチです。
代表的なフローは以下の通りです:
- BIMソフト(Revit/Archicadなど)からFBXまたはIFC形式で書き出し
- Blenderでインポートし、不要なオブジェクトや属性を削除
- マテリアルやスケールを調整したうえで、D5用にエクスポート
たとえば、RevitからFBXを書き出す際には、「リンクされたモデルを含めない」設定にすることで、余計なジオメトリを除外できます。Blenderでは階層構造を整理し、PBRマテリアルに差し替えておくことで、D5上での見た目が格段に向上します。
この工程を習慣化することで、BIM→D5間のデータ連携がスムーズになり、設計とビジュアライゼーションの両立がしやすくなります。
IFCデータを活用したマテリアル最適化と軽量化のコツ
IFC(Industry Foundation Classes)はBIMに特化した汎用フォーマットで、建築要素の属性を保持しやすい一方、ポリゴン数が多くなりがちです。D5で快適に扱うためには、Blenderでの軽量化と最適化が必須です。
具体的な最適化の手順:
- 不要なジオメトリ(構造体内部、天井裏など)を削除
- LOD(詳細度)を下げてポリゴン数を削減
- 属性ごとにマテリアルを整理し、PBR対応に変換
たとえば、IFCで取り込んだ壁や床がすべて同じマテリアルになっている場合、それを「Wall_Mat」「Floor_Mat」などに分類し直すと、D5での質感設定が楽になります。また、属性情報(材質・建材名など)を保持したまま、メッシュだけを簡素化できるのがBlenderを経由する利点です。
このような工夫により、D5側での編集作業が大幅に短縮されます。
チーム制作におけるシーン共有とバージョン管理のポイント
複数人で建築CGを制作する場合、BlenderとD5のデータを一元管理する体制が重要です。バージョンずれやファイル破損を防ぐためには、次のような運用がおすすめです。
- NAS(ネットワークドライブ)やクラウドを使った共有
- バージョン管理はファイル名と日付で統一(例:model_231205.blend)
- Gitなどのバージョン管理ツールを導入する(BlenderはGit LFS推奨)
- 「マスターシーン」と「作業シーン」を分けて、統合は定期的に実施
たとえば、建物全体の「master_scene.blend」を基軸にしつつ、チームメンバーごとに「roomA_user1.blend」などを分けて作業すれば、変更点の管理がしやすくなります。D5でもプロジェクトファイルを同様に整理し、共有することで、完成までの流れが可視化されやすくなります。
チーム制作では「どこまで進んでいて、どこを誰が触ったか」を見える化することが、作業の重複やミスを防ぐ最大の対策です。
よくある質問(FAQ)
BlenderとD5 Renderの連携を進める中で、多くの方が共通して抱える疑問があります。この章では、実務でよくある質問をQ&A形式で整理し、必要な仕様や制限、運用時の注意点をわかりやすく解説します。
Q1. Blenderで作ったアニメーションはD5 Renderに反映されますか?
現時点(2025年時点)では、D5 Renderが対応しているのはカメラアニメーションのみです。Blenderで作成したオブジェクトの移動や変形、ボーンアニメーションなどは、D5に正しく反映されません。
たとえば、カメラをパスに沿って動かすような演出は、D5でも問題なく再現できますが、ドアの開閉や人の動きといった動的表現は再構築が必要です。
今後のアップデートで対応が拡大する可能性はありますが、現時点ではアニメーションは「静的表現+カメラ動き」に留めておくのが現実的です。
Q2. Blender側で設定したライトはD5で再現できますか?
Blenderで配置したライト(ポイント/スポット/サンライトなど)は、D5にある程度引き継がれますが、完璧に同じ結果になるとは限りません。
D5は独自のライティングエンジンを持っており、ライトの明るさや影の出方が異なるため、読み込んだ後にD5内で再調整することを前提にしておくとよいでしょう。
また、D5にはIESライトやエリアライトなど専用機能があるため、Blenderではライトの「位置と種類」だけをざっくり指定し、仕上げはD5で詰める運用がおすすめです。
Q3. BlenderのPBRマテリアルをD5で正しく表示する方法は?
BlenderからD5にマテリアルを渡す際は、以下のPBR構成を守ると再現性が高くなります:
- Base Color:色テクスチャ(sRGB)
- Roughness:粗さ(Non-Color)
- Metallic:金属度(Non-Color)
- Normal Map:凹凸(Non-Color)
特に注意が必要なのは色空間の設定です。RoughnessやMetallicなどのグレースケールテクスチャは、必ず「Non-Color」に設定してください。これを間違えると質感が崩れます。
また、ノード構成はシンプルにして、できるだけプリンシプルBSDFのみで構成することで、D5での互換性が高まります。
Q4. D5で編集したマテリアルを再エクスポートしてBlenderに戻せますか?
D5 Renderで調整したマテリアルの内容は、Blender側に戻すことはできません。連携は一方向(Blender→D5)であり、D5での調整結果は別データとして扱う必要があります。
つまり、D5でマテリアルを微調整した後、Blenderの元データを更新した場合には、再度エクスポート+D5でマテリアルを再設定する必要があります。
このため、できるだけマテリアルの基礎はBlenderで整えておき、D5では微調整に留めると管理がしやすくなります。
Q5. D5 Renderでプロジェクトが重くなる原因と軽量化のヒント
D5の動作が重くなる原因は、以下のような要素が重なっていることが多いです:
- 高解像度のテクスチャ(4K以上)を大量使用
- ポリゴン数の多いモデル(特に家具・植栽)
- 不要なオブジェクトがシーンに残っている
- 不透明マテリアルに透明度を持たせている
軽量化のコツとしては:
- テクスチャは2K程度に落とす
- 植栽や車などはインスタンス化(コピーの最適化)
- カリング設定(不要な距離のモデルを非表示)を使う
- 背景や外構は簡略モデルに置き換える
最終的には、作業中用の軽量バージョンと、本番用の高品質バージョンを分けて運用すると、作業効率と品質のバランスが取りやすくなります。
