ArchiCAD × Twinmotion連携ガイド|リアルタイム3Dプレゼンを最速で仕上げる方法

ArchiCADで設計した建物を、もっと直感的に伝えたいと感じたことはありませんか?Twinmotionとの連携を使えば、設計変更をリアルタイムで3Dビジュアルに反映し、そのまま静止画・動画・パノラマまで出力できます。つまり、プレゼンのスピードと説得力を同時に高められるのです。

本記事では、「ArchiCAD × Twinmotion」の最速連携法を、準備から操作手順、活用テクニック、実務事例、トラブル対処、よくある質問まで体系的に解説します。世界最高峰の建築3DCG実務をベースに、誰でもすぐに使えるノウハウを詰め込みました。

これからTwinmotionを始めたい方はもちろん、すでに使っている方も、見落としがちな設定や活用法を見直すヒントが見つかるはずです。

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目次

ArchiCADとTwinmotionを連携する魅力と効果

ArchiCADとTwinmotionを連携すると、設計のスピードと伝わりやすさが大きく向上します。設計変更がリアルタイムに反映され、静止画・動画・360°パノラマまで一気に出力できるため、クライアント対応や社内検討もスムーズに進みます。この記事では、Twinmotionを活用することで得られる4つの効果をご紹介します。

設計変更を即時に反映できるリアルタイムレンダリングの強み

Twinmotionは「リアルタイム3Dレンダラー」として、ArchiCADからの設計変更を瞬時に反映できます。これにより、設計の検討スピードが圧倒的に上がり、試行錯誤の回数も増やせます。特に「Live Sync(ライブシンク)」機能を使えば、ArchiCAD側で部屋の大きさや素材を変えた瞬間に、Twinmotionでもビジュアルが即更新されます。

たとえば、壁の素材を「石」から「木目」に変えたとき、Twinmotionでは即座に質感が変化し、クライアントやチーム内での確認がその場でできます。この即時性が、これまでの静止画ベースのパース確認とは比べものにならない説得力を生みます。

つまり、「つくって→見せて→直す」のサイクルが短縮され、設計プロセス全体が高速化されるのです。

パース・アニメーション・パノラマをワンクリックで生成

Twinmotionを使えば、静止画のパースだけでなく、動画(アニメーション)や360°パノラマもボタンひとつで作成できます。操作もシンプルで、レンダリング設定を選んで出力するだけなので、専門知識がなくても高品質なビジュアルを作れます。

たとえば、建物の外観を朝→昼→夕方に切り替える「時間帯の変化アニメーション」や、360°で空間全体を見渡せる「バーチャルパノラマ」は、施主への説明やコンペで大きな説得力を持ちます。アニメーションはカメラワークも指定でき、空間の奥行きや動線の流れも伝えやすくなります。

このようにTwinmotionは、提案の「幅」と「深さ」を同時に広げてくれるツールです。

クライアント対応のスピードと説得力が大幅にアップ

Twinmotionの即時反映機能により、打合せ中でもその場でデザイン変更を見せられます。これにより、クライアントとのやり取りが「口頭」や「図面」だけでなく、リアルタイムのビジュアル付きに変わり、説得力が格段に増します。

たとえば、クライアントが「天井をもう少し高くしたい」と言った際に、ArchiCADで数値を変更すればTwinmotionですぐに反映され、空間の印象をその場で確認できます。これにより、「あとで図面を送ります」といったやり取りが不要になり、意思決定のスピードが劇的に向上します。

現場での即時修正が可能になることで、信頼感も増し、満足度の高い提案が可能になります。

設計チーム内の情報共有・検討効率も向上

Twinmotionはクライアント向けだけでなく、社内での設計検討にも大きな効果を発揮します。3Dモデルをもとに複数人でリアルタイムに確認できるため、合意形成がスムーズになります。

たとえば、設計者・構造担当・設備担当がそれぞれの視点でモデルを確認し、干渉や機能面をその場で議論できます。また、デザインの方向性を全員がビジュアルで共有できるので、「イメージのズレ」も減ります。

導入が進んでいる設計事務所では、社内プレゼンでもTwinmotionを使用し、方向性確認→フィードバック→修正までをその場で回すスタイルが定着しつつあります。

Twinmotion連携に必要な環境と初期設定

Twinmotionをスムーズに使うには、事前の環境整備が欠かせません。ArchiCADとの互換性や必要なプラグイン、PCスペック、データ管理のルールなどを整えておくことで、作業途中のトラブルを減らし、快適に連携できます。ここでは導入前にチェックすべき4つのポイントを解説します。

対応バージョン・プラグイン(Datasmith Exporter)の確認

まず確認すべきなのは、ArchiCADとTwinmotionの対応バージョンです。互換性がない組み合わせだと、連携機能やデータ転送が正常に動きません。特に「Live Sync(ライブシンク)」機能を使うには、対応するバージョン同士である必要があります。

次に必要なのが「Datasmith Exporter」のインストールです。これはEpic Gamesが提供する公式プラグインで、ArchiCADからTwinmotionへデータを送るための橋渡しをしてくれます。以下が基本的な導入手順です。

  1. Epic Games Launcherをインストール(Twinmotionを導入済みであれば済んでいる場合もあり)
  2. 「Twinmotion」タブから「プラグイン」セクションを開く
  3. 対応するArchiCADバージョン用のDatasmith Exporterを選択してインストール
  4. ArchiCADを再起動し、「Datasmith」または「Twinmotion」タブが表示されているか確認

この段階でLive Syncやデータエクスポート機能が使えるようになります。

ArchiCADモデルを軽量化し、Twinmotion転送を安定化

Twinmotionはリアルタイムレンダリングを行うため、扱うモデルが重いと動作が遅くなったりクラッシュする原因になります。そのため、ArchiCAD側でのモデル軽量化が重要です。

以下のような作業を事前に行うことで、連携時のトラブルを防げます。

  • 表示されないオブジェクト(家具、仮設要素など)の削除または非表示化
  • 多数のポリゴンを含む複雑な形状の簡略化(特に曲面や装飾部材)
  • 未使用の材質や複製されたレイヤーの整理
  • 不要な詳細パーツや2D図形の削除

たとえば、植栽や人などをArchiCADから配置している場合は、Twinmotion側で再配置するほうが軽量かつ表現力のある仕上がりになります。

モデルを軽くすることで、Twinmotion側の動作が安定し、Live Syncでの即時反映もスムーズになります。

Twinmotion側でのレンダリング品質設定と推奨PCスペック

Twinmotionの魅力を引き出すには、ハードウェアと描画設定のバランスが大切です。とくにGPU性能とVRAM容量は快適な作業に直結します。

【推奨スペック(公式より参考)】

  • GPU:NVIDIA RTX 3060以上(VRAM 8GB以上)
  • CPU:Intel Core i7 第10世代以上
  • メモリ:16〜32GB
  • ストレージ:NVMe SSD推奨

Twinmotion内の「設定」→「レンダリング品質」では、以下の3段階が選べます。

  • ドラフト:動作優先。編集作業中に推奨。
  • 中品質:画質と軽さのバランス。確認用。
  • 高品質:最終出力用。静止画・動画の書き出し時に使用。

たとえば、「高品質+リアルタイム陰影+反射ON」にするとPC負荷が大きくなるため、ノートPCではカクつく場合があります。作業中は「中品質」で編集し、出力時だけ「高品質」に切り替えるのがおすすめです。

事前に行うべきプロジェクトフォルダ構成とリンク管理

モデルの転送後、テクスチャが外れる・パスが切れるなどのトラブルは、フォルダ管理を適切にしておけば防げます。Twinmotionでは、モデルファイルに加えてマテリアル・テクスチャ・リンク情報が多数存在するため、整理された構成が重要です。

【基本の構成ルール】

  • 1つの親フォルダにすべてのデータを格納(例:プロジェクト名フォルダ)
    • /model(ArchiCADモデル保存用)
    • /textures(マテリアル画像を保存)
    • /render(Twinmotionの出力データ)
    • /backup(旧バージョン保存)

【運用のポイント】

  • 相対パスで管理できるように、Twinmotionプロジェクトを親フォルダ内に保存
  • テクスチャのファイル名を日本語・空白なしで統一(文字化けや認識エラー防止)

これらを最初に整えておくだけで、転送トラブルの8割は未然に防げます。

ArchiCADからTwinmotionへのリアルタイム連携手順

ArchiCADとTwinmotionをリアルタイムでつなぐには、Live Sync機能の使い方と作業フローを押さえておくことが重要です。一連の流れを理解すれば、設計変更→3D反映→ビジュアル調整→プレゼン出力までをスムーズに行えます。この章では、基本となる4ステップの連携手順を解説します。

① ArchiCADの「Live Sync」機能を有効化する

Twinmotionとのリアルタイム連携の起点になるのが「Live Sync(ライブシンク)」機能です。これをオンにすることで、ArchiCADのモデル変更がTwinmotion側に即座に反映されるようになります。

操作方法は以下の通りです。

  1. ArchiCADを起動し、対象プロジェクトを開く
  2. 上部メニューから「Twinmotion」または「Datasmith」タブを表示
  3. 「Live Syncを開始」をクリック
  4. Twinmotionが自動的に起動または既存のプロジェクトに接続される

このとき、Twinmotionが自動的にモデルを読み込み、初回は「カメラ位置」「光源設定」「マテリアル」もある程度引き継がれます。Live Syncをオンにした状態で作業を進めれば、設計の試行錯誤がそのままビジュアルに反映されるので便利です。

なお、Twinmotionが起動しない場合やリンクに失敗する場合は、バージョン不一致やExporterの未インストールが原因であることが多いです。

② モデルをTwinmotionに転送し、同期状態を確認

Live Syncを起動したら、まずはモデルが正しく転送・同期されているかをチェックします。ここで確認すべきは以下の3点です。

  • モデル全体の形状・位置が合っているか
  • マテリアル(色や質感)が正常に適用されているか
  • カメラ視点や地面レベルがズレていないか

Twinmotion上では「シーンのアウトライナー(オブジェクト一覧)」を開いて、各オブジェクトが構造的に整理されているかを見ておくと安心です。

また、モデルを初回インポート後にLive Syncで変更を加えた場合、「正しく反映されているか」を1カ所だけでも確認しておくと、以降の作業の安心感が違います。

たとえば、部屋の壁色を変えてすぐに反映されたかどうかを見ておけば、他の変更もリアルタイムで同期されているとわかります。

③ 材質・照明・植栽などTwinmotion上で調整する

モデルをTwinmotionに転送できたら、次は見た目を整える仕上げ作業です。ArchiCADから受け渡されたデータは、ベースの状態なので、Twinmotion特有のツールで質感・光・環境を整える必要があります。

おすすめの初期調整ポイントは次の通りです。

  • マテリアル再割り当て:リアルな木目や金属、ガラス素材に差し替え
  • ライティング:時間帯・太陽角度・天候を調整し、自然光を最適化
  • 植栽や人物の配置:Twinmotionのライブラリからリアルな3D素材を配置
  • 空と背景の設定:HDRIやスカイドームを使って空の印象を調整

たとえば、床材がただの「白色」だったものを「PBR(物理ベースレンダリング)対応のフローリング素材」に差し替えるだけで、空間の印象は大きく変わります。

この段階で、「プレゼンに使える状態」に仕上げていくイメージです。

④ 設計変更をArchiCADで新し、Twinmotionに即反映

Twinmotionの強みは「変更への即応性」です。設計途中で変更が入った場合でも、ArchiCAD側で修正すれば、その内容がTwinmotionにリアルタイムで反映されます。

実際の手順はシンプルです。

  1. ArchiCADで要素(壁、窓、素材など)を修正
  2. Live Syncが有効な状態なら、自動的にTwinmotionに反映される
  3. Twinmotion側での表示を確認(ズレ・不具合があれば再調整)

ただし、場合によっては以下のような注意点もあります。

  • 新規追加されたオブジェクトがTwinmotion上に表示されない → Live Sync再起動で解決
  • マテリアルが上書きされる → Twinmotion側で再割り当てが必要な場合あり

「動かしながら確認・仕上げる」スタイルに慣れると、Twinmotionは設計の“リアルタイム編集スタジオ”のような存在になります。

Twinmotionで魅せる建築プレゼンテーションの作り方

Twinmotionの強みは、見せ方の工夫で建築プレゼンの印象を格段に高められる点です。リアルな光の再現や、動きのある演出、さまざまな出力形式を活用することで、空間の魅力をより直感的に伝えられます。ここでは、表現力を最大限に引き出す4つの活用テクニックをご紹介します。

環境設定とライティングでリアリティを高めるコツ

Twinmotionでは「光と空気感」の演出がリアリティの鍵を握ります。特に太陽の位置、時間帯、天候設定を調整するだけで、同じ建物でも全く異なる印象を与えることができます。

まずは「ロケーション設定」で建設地に近い緯度・経度を入力し、太陽の動きをリアルに再現します。そのうえで、以下の項目を調整してみてください。

  • 時間帯:朝・昼・夕方で影の向きと明るさが変わる
  • 天候:晴れ・曇り・雨などを選んで光の拡散や反射を演出
  • 雲密度・霧:空気の厚みや距離感を出すのに効果的
  • HDRI(高ダイナミックレンジ画像):背景に自然な空や街並みを追加可能

たとえば「夕方17時、晴れ、HDRI背景あり」で設定すると、建物の陰影が深く出て、シーンがドラマチックに見えます。これだけでもクライアントへの印象は大きく変わります。

カメラワーク・ウォークスルー・アニメーションの演出法

Twinmotionでは、空間の魅力を「動き」で伝えることができます。中でもウォークスルーやアニメーションは、平面図や静止画では伝わりにくいスケール感や流れを補完する手段です。

主な演出方法は以下の通りです。

  • カメラパス:複数ポイントをつないで、なめらかな動線を作成
  • ウォークスルー:人が歩く視点で室内を案内(高さ目安1.6m)
  • オービット(回転):建物を中心に視点が回る演出
  • トラックイン・アウト:ズームや引きの動きでメリハリを演出

たとえば、エントランス→ロビー→リビングへとカメラを流すことで、来訪者の動線を自然にイメージさせることができます。動きのスピードや切り替えタイミングを工夫すれば、1分程度の簡易動画でも印象的なプレゼンになります。

雨・時間帯・人・車など動的要素の活用で臨場感を出す

静止した建物だけでなく、動きのある要素を加えることでプレゼンに「空気感」が生まれます。Twinmotionでは、以下のような要素を簡単に追加できます。

  • 人のアニメーション(歩行・会話・着座など)
  • 車両の走行・停止
  • 木の揺れや風による草の動き
  • 雨・雪などの天候変化
  • 時間帯による街灯や窓の照明切り替え

たとえば、夕方の時間設定で人や車が動いているシーンを作ると、単なるCG以上の「暮らしのイメージ」を伝えられます。これが説得力のあるプレゼンにつながります。

動的要素は入れすぎると演出がくどくなるため、1〜2種類を場面に応じて活用するのがおすすめです。

レンダリング出力(静止画・動画・360°パノラマ)の最適化

Twinmotionでは、プレゼン用途に合わせてさまざまな形式で出力できます。それぞれに最適な設定を把握しておくことで、作業効率と画質のバランスが取れます。

【主な出力形式とポイント】

スクロールできます
出力形式特徴推奨設定(例)
静止画(Image)一枚絵での説明に最適解像度1920×1080〜4K/画質:高品質
動画(Video)空間の動きを伝えられるフレームレート30fps/H.264形式
360°パノラマWebやVRでの閲覧向け解像度4096×2048以上/JPEG推奨

たとえば、コンペ提出用には高解像度の静止画と30秒程度のアニメーション動画を組み合わせるのが効果的です。また、360°パノラマはWeb共有にも適しており、スマホで空間を見回せる体験が好評です。

実務でのTwinmotion活用シーンと事例

Twinmotionは建築設計だけでなく、教育や研究、照明シミュレーションまで幅広く活用されています。リアルタイム性と高い表現力を活かすことで、あらゆる分野で設計の「伝わり方」を進化させています。この章では、実際のプロジェクトや応用事例を4つ紹介します。

住宅設計のプレゼンで即時可視化する事例

戸建て住宅のプレゼンでは、施主の「イメージと実物のギャップ」を埋めることが重要です。Twinmotionを使えば、設計中の空間を即座にビジュアル化し、色や素材の違いまでリアルに提示できます。

たとえば、リビングの天井を板張りにするか白いクロスにするか悩んでいる施主に対して、Twinmotion上でマテリアルを切り替えて比較表示できます。これにより、施主自身が「選んだ理由」を納得しやすくなり、設計への理解と満足度が高まります。

また、外観パースと合わせて「日中」「夕景」「夜間」の3パターンを出力しておけば、時間帯ごとの雰囲気を伝えることも可能です。住宅設計における可視化のスピードと深度が格段にアップします。

商業施設・オフィスの照明シミュレーション活用

商業空間やオフィスでは、照明のシミュレーションが設計提案の大きな要素になります。Twinmotionでは光源の色温度・強さ・拡散範囲を細かく設定でき、時間帯による変化も再現可能です。

たとえば、カフェの照明計画を検討する際、「夕方の店内で温かみのある雰囲気を演出したい」といった要望に対して、光源の色温度を2700Kに設定し、天井ダウンライトの配光を調整することで、具体的なイメージをその場で確認できます。

さらに、複数パターンを並べて比較できるため、光の印象を複数案で示すことも容易です。これは特に、施主が照明に詳しくない場合に効果的で、合意形成がスムーズに進みます。

学生設計課題でTwinmotionを使うメリット

建築系の学生にとって、設計意図を「伝える力」は評価に直結します。Twinmotionを使えば、CG表現に慣れていない学生でも直感的な操作で完成度の高いパースやアニメーションを作ることができます。

たとえば、3DCADで設計した建築モデルをTwinmotionにインポートし、時間帯・カメラアングル・光の演出を加えるだけで、説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。操作が簡単なので、制作にかかる時間を圧縮しながら、仕上がりの質を上げられます。

また、レンダリングの待ち時間が短いため、提出直前まで修正を加えられるのも大きな利点です。設計の試行錯誤を促進し、表現力と検討力を同時に鍛えられます。

Unreal Engineとの連携によるさらなる表現拡張

Twinmotionで仕上げたデータは、さらに高度な演出を求める場合、Unreal Engine(ゲームエンジン)に移行して再構築することが可能です。これは、より自由度の高いアニメーションやインタラクティブな体験型プレゼンに発展させたい場合に有効です。

移行には「Datasmith」形式でエクスポートし、Unreal Engineでインポートする流れになります。マテリアルやカメラ、ライティングの初期設定も引き継がれるため、ゼロから作り直す必要はありません。

たとえば、住宅展示場のVR化や、商業施設のリアルタイムウォークスルーを開発するプロジェクトでは、この連携が活用されています。Twinmotionを起点にすることで、Unreal Engineへの入り口としてもスムーズに使えます。

よくあるトラブルと対処法

Twinmotionとの連携では、高速かつ便利な一方で、設定ミスやデータ不整合による不具合も発生しがちです。特にLive Syncの不調やマテリアル崩れ、重すぎる動作などはよくある悩みです。この章では、実際に起こりやすい4つのトラブルとその対処法を紹介します。

モデルの同期が反映されない場合の確認ポイント

TwinmotionとArchiCADのLive Syncがうまくいかない場合、多くは設定や操作タイミングのミスが原因です。以下の基本チェックポイントを押さえておけば、ほとんどの問題は早期に解決できます。

まず確認すべきは、以下の4点です。

  1. ArchiCAD側で「Live Sync」が有効になっているか
  2. Twinmotion側で該当プロジェクトが開いているか
  3. 両ソフトが対応バージョンで連携しているか(例:ArchiCAD 27とTwinmotion 2023.2)
  4. 初回リンク時に「モデル構造が正しく読み込まれたか」

また、Live Sync中にArchiCADで大きな変更を行ったあと、Twinmotionに反映されないケースでは、一度Live Syncを停止→再接続することで復旧することがあります。

それでも解決しない場合は、手動で「Datasmithエクスポート」→Twinmotionにインポートという手順も検討してください。

マテリアルや光源が崩れるときの原因と対処

モデルの同期後、Twinmotion上でマテリアルが真っ白になったり、光源が異常に暗くなることがあります。こうした現象は、主に以下の理由で発生します。

  • ArchiCADから渡されたマテリアルの「UV設定」が適切でない
  • Twinmotion側でマテリアルが上書きされた(Live Sync再開時に戻ることも)
  • 光源が重複して配置されている、または強度が過剰・不足している

対処法としては、まずTwinmotion内で問題のマテリアルを選び、「再割り当て」または「新規マテリアル作成」で置き換えましょう。マッピングのズレが気になる場合は、UVスケールを調整します。

光源に関しては、Twinmotionの「ライティング」タブで光量や影の有無を見直し、リアルな陰影を再現できるよう調整してください。特に「全体が暗い」場合は、太陽の角度かカメラ露出が原因であることが多いです。

Twinmotionが重い・カクつく場合のパフォーマンス改善

Twinmotionでモデル操作中に動作が重くなると、作業効率が一気に下がります。原因の多くはモデルのポリゴン数・描画設定・PCスペックのバランスにあります。

以下の設定を見直して、パフォーマンスを改善しましょう。

  • LOD(詳細度)設定:遠距離表示では自動で簡略化されるように設定
  • 描画距離:必要以上に遠くまで描かないよう調整
  • 画質モード:作業中は「ドラフト」または「中品質」に下げる
  • 解像度:リアルタイム表示の出力サイズをフルHD以下に抑える
  • 影の数・反射:負荷が大きいため、編集時はOFFにするのが無難

たとえば、全体の描画距離を300m→100mに下げるだけでも、フレームレートが倍近く改善されることがあります。作業中と最終レンダリング時の設定は分けて使うのが鉄則です。

大規模プロジェクトでの軽量化・分割管理テクニック

マンションや公共施設など、大規模なプロジェクトではファイルサイズが膨大になり、Twinmotionの動作が不安定になることがあります。このような場合は、モデルの分割と軽量化が有効です。

【おすすめの対処方法】

  • ArchiCADで階ごと・エリアごとにモデルを分割(建物A・B、1階・2階など)
  • 不要な家具や小物はTwinmotion内で配置(インポート時の負荷軽減)
  • 軽量モードでLive Syncを運用し、重くなったら一時停止
  • テクスチャ解像度を中程度に抑える(4096px→2048pxなど)

また、Twinmotion上で「リンクファイル」機能を活用すれば、個別に読み込んだ複数のモデルを1つのシーンに統合できます。これにより、チームでの分業や階層ごとの編集がしやすくなります。

よくある質問(FAQ)

ArchiCADとTwinmotionを連携する中で、多くの方が抱える疑問は共通しています。特に、テクスチャの反映・ソフトの違い・動作スペック・保存管理などはつまずきやすいポイントです。この章では、よくある質問5つをピックアップし、実務的な回答をわかりやすく解説します。

ArchiCADからTwinmotionにテクスチャが反映されないときは?

テクスチャがTwinmotion側で正しく表示されない場合は、マテリアルのリンク切れやUV(貼り方)の設定ミスが原因であることが多いです。

まずは以下を確認してください。

  • ArchiCADのマテリアルが適切な画像ファイル(JPEG/PNGなど)を参照しているか
  • 画像ファイルがプロジェクトフォルダ内に存在し、Twinmotionから参照可能な位置にあるか
  • UVマッピングが正しく設定されているか(面ごとの向きやスケール)

解決策としては、Twinmotion側でマテリアルを手動で再割り当てし、スケールや回転を調整する方法が有効です。また、画像ファイルのパスが日本語や空白を含むと、読み込み不具合の原因になるので注意しましょう。

無料版と商用版Twinmotionの機能差はある?

はい、無料版と商用版では以下のような違いがあります。

項目無料版商用版
商用利用不可(非営利用途のみ)可(商用プロジェクトOK)
解像度制限最大フルHDまで最大8Kまで対応
テクニカルサポートなしEpic Gamesのサポート対象
出力ロゴTwinmotionロゴが入る場合ありロゴなしで出力可能

学生・教育機関での使用や、社内検討用などであれば無料版で十分ですが、クライアントへの納品やコンペ提出などの商用利用では、商用版ライセンスが必要です。

推奨スペックとGPU設定のポイントは?

Twinmotionの快適動作には、GPU(グラフィックスボード)の性能が最も重要です。特にVRAM(GPUメモリ)の容量によって、扱えるモデルの大きさや表示のスムーズさが大きく変わります。

【推奨スペック】

  • GPU:NVIDIA RTX 3060以上(VRAM 8GB以上)
  • CPU:Intel Core i7 第10世代以上
  • メモリ:16GB以上
  • ストレージ:NVMe SSD推奨

また、Twinmotion内の「パフォーマンス設定」で描画品質や解像度を調整すれば、負荷を減らすことができます。重いプロジェクトでは、編集時は「中品質+解像度低め」にし、出力時のみ高品質に切り替える運用がおすすめです。

TwinmotionからUnreal Engineにデータ移行できる?

はい、Twinmotionで作成したプロジェクトは、「Datasmith形式」でエクスポートすることで、Unreal Engineへ移行可能です。

手順は以下の通りです。

  1. Twinmotionから「エクスポート」→「Unreal Engine用(Datasmith)」を選択
  2. 出力された.udatasmithファイルとフォルダ一式をUnreal Engineでインポート
  3. カメラ・マテリアル・ライティングなどの構成もほぼ維持されている

この方法を使えば、Twinmotionで素早く構築したシーンを、より高精度な演出やインタラクティブ表現が可能なUnreal Engineで再活用できます。VRやゲーム的な操作が必要な場面で効果を発揮します。

連携データの保存・バックアップのベストプラクティスは?

TwinmotionとArchiCADを連携させる場合、データ構成と保存ルールを整理しておくことで、トラブルやリンク切れを防げます。

【保存のコツ】

  • すべてのデータを1つの親フォルダに集約(モデル・テクスチャ・Twinmotionプロジェクトなど)
  • ファイル名に日本語や空白を使わず、英数字+アンダースコアで統一
  • 週次または日次でバックアップコピーを自動作成(履歴を残す)

特に、Twinmotionのファイルは外部リンクに依存しているため、パスが変わると読み込みに失敗することがあります。「絶対パス」ではなく「相対パス」で管理できるように構成しておくと安心です。

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