
建築3DCGモデリングソフトおすすめ7選徹底比較【2025年版|選び方付き】
建築3DCGモデリングソフトを選ぶ際、「何を基準にすればいいのか」「自分に合ったツールはどれか」と悩む方は少なくありません。設計プレゼンやパース制作において、3DCGはもはや欠かせない表現手段であり、使うソフトによって作業のスピードや表現の幅が大きく変わります。
本記事では、建築3DCGの基本と役割から始まり、目的別の選び方、具体的なおすすめソフト7選、初心者向けの導入ソフト、さらには現場での実体験やよくある疑問への回答まで、幅広く網羅しています。すべての内容は、実務の中で検証された判断基準に基づいており、これから建築3DCGを始める方にも、すでに現場で使っている方にも役立つ情報です。
まずは、自分が「どんな場面で3DCGを使いたいのか」を明確にしながら、最適な一本を見つけてみてください。
建築3DCGモデリングとは?建築設計・パース制作に欠かせない理由
建築3DCGモデリングとは、建物や空間を三次元で可視化するための基盤となる作業です。設計意図を正確に伝えるため、プレゼン・施工・検証のすべての段階で欠かせません。この章では、モデリングの基本と建築設計での役割、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やパースとの違いについて解説します。
建築3DCGの役割と「モデリング」が担う重要な工程
建築3DCGのモデリング工程は、建物の形や構造を視覚的に伝えるためのスタート地点です。モデリングによって、設計図やスケッチでは伝わりにくい空間構成や質感のニュアンスを立体的に表現できます。ここで作られた3Dモデルは、後工程のレンダリングやBIM連携、アニメーション制作にも活用されるため、非常に重要な役割を担っています。
たとえば、住宅の外観デザインを考えるとき、モデリングによって光の当たり方や影の出方を確認できます。これにより、設計段階で気づかなかった調整点を早期に見つけられます。さらに、施工前に施主との合意形成を図る場面でも、視覚的に伝えやすくなる点が大きなメリットです。
要は、モデリングは「見るための設計図」をつくる作業であり、その後のすべての3DCG工程の土台になります。
建築パース・レンダリング・BIMの違いと連携の考え方
建築3DCGと一口にいっても、「パース」「レンダリング」「BIM」といった用語が混在しがちです。これらは似て非なるもので、目的や使い方が異なります。
パースは視覚的な完成イメージを伝えるための静止画、レンダリングはその画を出力する工程やソフト、BIMは建築情報を構造や設備も含めて3Dで管理・共有する仕組みです。建築3DCGはこの中でも特に「見せること」に特化しており、感情や空気感を伝えることができます。
一方で、BIMは施工や維持管理まで含む実務ツールです。両者は対立するものではなく、設計初期〜中盤では3DCGでイメージを固め、実施設計以降はBIMで詳細化するといった使い分けが効率的です。
つまり、建築3DCGとBIMは補完関係にあり、プロジェクトのフェーズごとに適切に併用することで、成果物の質と精度が高まります。
設計・プレゼン・施工段階で3Dモデルを活用するメリット
3Dモデルを建築プロジェクトに活用することで、設計から施工まで多くの場面で恩恵があります。とくにプレゼンやクライアントとの打ち合わせでは、図面だけでは伝わりにくい空間の奥行きや光の広がりをリアルに示せるため、合意形成がスムーズに進みます。
また、施工段階では3Dモデルを元に部材の取り合いや干渉を事前にチェックできるため、手戻りのリスクを減らせます。たとえば、Blenderで作成した内観モデルを基に、家具配置や照明設計の精度を高めるといった使い方も有効です。
さらに、最近ではVRやARと連携して、モデルの中に入り込んだかのような体験を提供できるため、クライアントの満足度も向上します。
結論として、3Dモデルは「図面の補助」ではなく、「プロジェクトを動かす中心的ツール」として位置づけるべきです。
建築3DCGモデリングソフトの選び方【初心者〜プロまで対応】
建築3DCGモデリングソフトは、用途やスキルレベルによって選び方が大きく変わります。どんな建築表現をしたいのか、操作のしやすさや学習環境、将来のキャリアとの相性も考える必要があります。この章では、目的に合った建築3DCGソフトを選ぶための5つの視点を紹介します。
用途別に選ぶ(外観・内装・構造・ビジュアライゼーション)
建築3DCGソフトを選ぶうえで、最も重要なのは「何を表現したいか」を明確にすることです。外観デザインを重視するのか、内装空間を細かく作りたいのか、それとも構造や施工も視野に入れるのかで、選ぶソフトが変わってきます。
たとえば、外観のボリューム設計や都市スケールでの検討にはRhinoやSketchUpが適しています。一方で、内装やインテリアのディテールまで詰めたい場合は3ds MaxやBlenderが選ばれやすいです。構造モデルや施工段階の連携を意識するなら、BIM連携に強いソフト(例:Revit対応の3ds Max)を選ぶと安心です。
つまり、自分の表現したい建築フェーズに強いソフトを選ぶことで、作業効率と完成度の両方が高まります。
操作性・UIの違い:直感操作か高機能かを見極める
3DCGソフトの習得スピードは、操作性やUI(ユーザーインターフェース)のわかりやすさに大きく左右されます。初心者が挫折しやすいポイントでもあるため、ここは慎重に選びたいところです。
SketchUpのようにマウス操作で直感的に建物を引き伸ばして作るタイプは、建築設計者にとって非常に馴染みやすく、短期間で成果が出せます。一方で、3ds Maxのようなプロ向けソフトは、UIに慣れるまで時間がかかりますが、その分高精度・高表現のモデリングが可能です。
「すぐに使いたいのか、それともじっくりスキルを育てたいのか」によって、操作性の方向性を判断すると良いでしょう。
対応フォーマット・BIM連携・外部レンダラーの互換性
建築3DCGは単体で完結せず、他ソフトとの連携が求められる場面が多くあります。そのため、データの互換性や対応フォーマットの確認も重要なポイントです。
たとえば、RevitなどのBIMソフトと連携するなら、FBXやIFC形式の出力に対応している必要があります。さらに、レンダリングに特化したLumionやTwinmotionと連携する場合は、LiveSyncやエクスポート形式に制限がないか確認しましょう。
また、VRayやEnscapeなどの外部レンダラーを使いたい場合、それらに対応しているかもチェックが必要です。互換性が整っていると、プロジェクト全体の作業効率が格段に上がります。
コスト・導入難易度・学習リソースの比較ポイント
建築3DCGソフトは、無料のものから高額なサブスクリプション型まで幅広く存在します。導入コストだけでなく、操作を学ぶ環境も含めて比較することが大切です。
たとえば、Blenderは完全無料で機能も豊富、YouTubeやUdemyに日本語教材が豊富に揃っており、独学でも十分に習得が可能です。一方、3ds MaxやMayaはプロ向けで高機能ですが、サブスクリプション費用が発生します。
費用だけでなく、「自分が継続的に学んでいけるか」という視点で、導入ハードルの低さや教材環境も含めて判断しましょう。
将来性・業界での採用実績をチェックする重要性
学習コストや使いやすさだけでなく、「実務でどれくらい使われているか」も選定の重要な軸です。特に建築設計・インテリア業界への就職やフリーランスとしての活動を見据える場合、業界実績のあるソフトを選ぶことがキャリアに直結します。
たとえば、3ds Maxは建築ビジュアライゼーションの現場で多く使われており、求人でもよく要件に入っています。SketchUpは建築事務所やゼネコンでも幅広く採用されています。こうした情報は、ポートフォリオ作成や案件獲得の武器にもなります。
つまり、学ぶソフトを「キャリアに活かせるか」という視点で選ぶと、後のステップがスムーズになります。
建築3DCGモデリングソフトおすすめ7選【2025年最新版】
建築3DCGソフトは数多くありますが、特徴や得意分野、価格帯もさまざまです。この章では、2025年時点で建築設計やCG制作の現場で支持されている7つの主要ソフトを厳選し、特徴と選ばれる理由をわかりやすく紹介します。
Blender(ブレンダー)|無料で圧倒的に高機能、建築3DCGの新定番
Blenderは完全無料でありながら、建築ビジュアライゼーションに必要なモデリング・マテリアル設定・レンダリング・アニメーションまで一通り対応できる高機能ソフトです。オープンソースとして開発されており、世界中のクリエイターが機能改善に貢献しています。
たとえば、Cyclesと呼ばれる内蔵レンダラーは、PBR(物理ベースレンダリング)対応でリアルな表現が可能です。アドオンの導入によって、建築パーツや家具モデルも簡単に増やせます。また、日本語対応のチュートリアルも多く、独学で学びやすい点も魅力です。
コストをかけずに本格的な建築3DCGを始めたい方に、Blenderは最適な選択肢です。
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SketchUp(スケッチアップ)|直感操作で設計・内装・プレゼンに最適
SketchUpは、直感的な操作性と軽快な動作が特徴の建築向け3DCGソフトです。特に建築設計やインテリアの初期検討、クライアント向けプレゼンに強く、現場でも多くの設計者に使われています。
マウスドラッグで立体を押し出す操作が中心のため、CADやCG未経験でも短期間で使えるようになります。さらに、「3D Warehouse」から無料で建材・家具モデルをダウンロードできる点も便利です。SketchUp Proでは、LayOutという図面連携ツールも使えるため、2D〜3Dの一貫設計が可能です。
設計者が自分のアイデアを素早く形にして伝えるためのツールとして、非常に実用的です。
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3ds Max(スリーディーエスマックス)|建築ビジュアライゼーションの業界標準
3ds Maxは、建築ビジュアライゼーションの現場で長年にわたって使われてきた業界標準ソフトです。モデリング精度、質感表現、アニメーション、レンダリングのいずれもハイエンドな機能を備えています。
たとえば、VRayやCorona Rendererとの連携により、リアルで印象的なパースを短時間で出力できます。建築だけでなく、プロモーション映像やCGアニメーションの制作にも対応可能です。RevitなどBIMソフトとのデータ連携もスムーズで、大規模案件にも耐えられます。
プロとして建築CGで仕事をするなら、候補から外せない一本です。
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Rhino(ライノ)|曲面建築・外装デザインに強い高精度モデラー
Rhinoは、特に曲面や複雑な形状のモデリングに強いソフトで、外装デザインやファサード設計によく使われます。NURBS(滑らかな曲面)ベースのモデリング機能を持ち、設計とデザインの中間領域を扱うプロジェクトに適しています。
建築系では、Zaha Hadid ArchitectsやUNStudioのような先進的な形態操作を行うチームにも採用例があります。また、プラグインの「Grasshopper」を使えば、パラメトリック設計や構造シミュレーションも可能です。
造形の自由度を重視する人にとって、Rhinoは頼れる相棒となります。
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Cinema 4D(シネマ4D)|建築×モーショングラフィックス表現に最適
Cinema 4Dは、映像制作やモーショングラフィックスに強い3DCGソフトですが、建築表現でもその表現力を活かせます。インテリアの動的な演出、建物の紹介ムービー、AR/VR向けのアニメーション制作に適しています。
直感的なタイムライン操作やエフェクト機能が充実しており、After Effectsとの連携もスムーズです。見せ方を重視するプロジェクトで、CG的な演出を加えたい場合に重宝します。
静止画中心では物足りない、という人におすすめです。
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Shade3D(シェード3D)|国産で根強い人気、建築CG教育にも採用
Shade3Dは日本製の3DCGソフトで、親しみやすいUIと日本語サポートの手厚さから、建築系の専門学校や大学でも多く使われています。独自の「自由曲面モデリング」で、柔軟な形状づくりが可能です。
また、国産ならではの法規チェック用テンプレートや、日本の建築基準に沿った寸法設定がしやすい点も評価されています。買い切り型のライセンス体系で導入しやすく、ランニングコストも抑えられます。
教育用途や日本の建築実務に即した使い方をしたい方にとって、有力な選択肢です。
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Maya(マヤ)|アニメから建築まで、汎用性の高いハイエンドCGソフト
Mayaは映画やアニメ制作で知られるハイエンドな3DCGソフトですが、建築表現にも十分なポテンシャルがあります。複雑なアニメーション、流体・煙・破壊などの動的演出ができ、建築コンセプトを映像として伝える用途に活用されています。
また、3ds Maxと同様にVRayやArnoldなど高品質なレンダラーと連携可能で、BIMソフトとのやり取りも可能です。プロジェクトで映像表現やストーリーテリング要素が求められるとき、Mayaの強みが生きます。
建築だけでなく、幅広い3Dスキルを身につけたい人にとって、学ぶ価値のあるソフトです。
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各ソフトの比較表【価格・対応OS・得意分野・習熟難易度】
ソフトを1つひとつ調べるのは大変ですが、重要な比較ポイントを表にまとめると、自分に合うツールが見つけやすくなります。この章では、建築3DCGモデリングソフト7選について、価格・対応OS・得意分野・習熟難易度などの観点で比較しながら整理します。
各ソフトの価格・プラン・ライセンス形態まとめ
建築3DCGソフトは、無料のものから高額なサブスクリプション型までさまざまです。ここでは、主要7ソフトの価格帯やライセンス形態を比較します。
| ソフト名 | 価格(参考) | ライセンス形態 | 学生向けプラン |
|---|---|---|---|
| Blender | 無料 | オープンソース | すべての機能を無料 |
| SketchUp | 約42,000円/年~ | サブスクリプション | 教育版あり(割引) |
| 3ds Max | 約300,000円/年 | サブスクリプション | 学生向け無償提供あり |
| Rhino | 約120,000円〜 | 買い切り+教育割引 | 教育版あり(約半額) |
| Cinema 4D | 約110,000円/年~ | サブスクリプション | 教育用ライセンス無料 |
| Shade3D | 約25,000〜55,000円 | 買い切り | アカデミック版あり |
| Maya | 約300,000円/年 | サブスクリプション | 学生向け無償提供あり |
価格は為替や販売元により変動しますが、長期的な使用や法人利用を考えると、買い切り型や教育プランの有無は判断材料になります。
OS対応・レンダラー互換・ファイル互換性を比較
OSや外部レンダラーとの互換性も、ソフト選びにおいて重要な要素です。特にチーム作業や他ツールとの連携を想定する場合、対応フォーマットやレンダラー対応状況はしっかり確認しましょう。
| ソフト名 | OS対応 | 主な外部レンダラー対応 | 主なファイル形式 |
|---|---|---|---|
| Blender | Win/Mac/Linux | Cycles, Eevee, Octane | FBX, OBJ, STL |
| SketchUp | Win/Mac | V-Ray, Enscape | SKP, DAE, FBX |
| 3ds Max | Windowsのみ | V-Ray, Corona, Arnold | FBX, MAX, DWG |
| Rhino | Win/Mac | V-Ray, Twinmotion, Enscape | 3DM, DWG, FBX |
| Cinema 4D | Win/Mac | Redshift, Octane | FBX, OBJ, C4D |
| Shade3D | Windowsのみ | 内蔵レンダラーのみ | SHD, OBJ, DXF |
| Maya | Win/Mac/Linux | Arnold, V-Ray, Redshift | FBX, MA, MB |
プロジェクトの互換性確保のためにも、FBXやOBJなどの共通形式が扱えるかどうかも確認しておくと安心です。
得意分野と向いているユーザー層(学生・設計士・CGデザイナー)
各ソフトにはそれぞれ得意な表現領域があります。使用目的や職種に合ったものを選ぶと、無理なく習得できます。
| ソフト名 | 得意分野 | 向いているユーザー |
|---|---|---|
| Blender | 建築ビジュアライズ全般 | 独学者、学生、初学者 |
| SketchUp | 設計・プレゼン | 建築士、インテリア設計者 |
| 3ds Max | 高品質CG、建築パース | プロCGデザイナー |
| Rhino | 曲面建築、外装デザイン | 意匠設計者、研究者 |
| Cinema 4D | 映像・アニメーション演出 | 映像系建築プレゼン担当者 |
| Shade3D | 建築教育、国産UI | 建築学生、日本語環境重視 |
| Maya | 建築+アニメ表現、映画系CG | 建築×映像の複合領域志望者 |
「誰が、どの場面で、どこまでの表現をしたいか」によって、最適な選択は変わります。
習得難易度・チュートリアル環境・サポート体制
ソフトを使いこなすには、学習リソースとサポート体制も重要です。特に独学の場合、日本語教材やフォーラムの充実度がカギになります。
| ソフト名 | 習得難易度 | 日本語教材 | サポート体制 |
|---|---|---|---|
| Blender | 中 | 豊富 | フォーラム・Discord |
| SketchUp | 易 | 充実 | 正規代理店サポートあり |
| 3ds Max | 難 | 普通 | Autodesk公式対応 |
| Rhino | 中 | 普通 | 教育機関向けあり |
| Cinema 4D | 中 | 少なめ | 海外フォーラム中心 |
| Shade3D | 中 | 多い | 日本語公式サポート |
| Maya | 難 | 普通 | Autodesk公式対応 |
初心者は、習得のしやすさと情報の探しやすさを重視すると良いでしょう。
初心者におすすめの建築3DCGモデリングソフト
これから建築3DCGを始めたい方にとって、最初のソフト選びはとても大切です。操作が難しすぎると挫折しやすく、学びやすくても将来に活かせないと意味がありません。この章では、初心者におすすめの建築3DCGソフトを4つのタイプ別に紹介します。
無料で始めたいなら「Blender」:機能充実&学習リソース豊富
建築3DCGを無料で始めたい方には、Blenderが最有力候補です。オープンソースながら高機能で、建築表現に必要なモデリング・レンダリング・アニメーションまで1本でこなせます。
たとえば、PBR(物理ベースレンダリング)対応の「Cycles」レンダラーを使えば、リアルな光と質感を再現できます。さらに、YouTubeやブログに日本語解説が多く、教材探しにも困りません。公式のマニュアルやチュートリアルも充実しており、独学でコツコツ学ぶにはぴったりの環境です。
「とりあえずやってみたい」「まずは費用をかけずに試したい」という方は、BlenderでOKです。
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設計・内装プレゼン中心なら「SketchUp」:最短で図面連携可能
CADに慣れている建築設計者やインテリア担当者なら、SketchUpから始めるとスムーズです。直感的な操作で建物の形をサクサク作れ、短時間でプレゼン資料まで仕上げられます。
また、図面と3DモデルをリンクさせるLayOut機能や、設計検討時に便利な「セクション切断」「透視図変更」なども備わっており、設計プロセスとの親和性が高いのが特徴です。
「プレゼンで使える3Dを今すぐ作りたい」「図面と連携しながら効率よく作業したい」という方には、SketchUpが最適です。
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将来プロを目指すなら「3ds Max」:業界での評価と求人ニーズが高い
将来的に建築CGのプロを目指す方には、3ds Maxを早めに触っておくのがおすすめです。プロ現場での採用率が高く、求人でもスキル要件としてよく指定されています。
最初はUIや操作に戸惑うかもしれませんが、慣れることで業界標準の高精度CG表現が可能になります。VRayやCoronaといった高性能レンダラーとの連携もスムーズで、作品のクオリティが一段階上がります。
「ポートフォリオで差をつけたい」「就職や受注を有利に進めたい」という明確な目標があるなら、3ds Maxが頼れる選択肢になります。
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国産サポートを重視するなら「Shade3D」も有力候補
日本語対応やサポート体制を重視する初心者には、Shade3Dも見逃せません。国産ソフトなので、UIやヘルプがすべて日本語で統一されており、安心して学習を進められます。
建築教育機関でも採用実績があり、学習教材やセミナーも国内向けに整備されています。買い切り型でコストも抑えやすく、建築学生や独学者にも向いています。
「日本語の環境でじっくり学びたい」「サポートがあるほうが安心」という方は、Shade3Dも検討してみてください。
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プロが語る建築3DCGソフトの選び方【現場での実体験】
ソフトのスペックや価格だけでなく、「実際の現場でどう使われているか」を知ることは、失敗しない選び方につながります。この章では、建築設計やCG制作の現場で使われている3DCGソフトの実態と、プロの視点で重視されている判断ポイントを紹介します。
建築事務所で実際に使われているモデラーとは
建築業界では、案件の規模や表現目的によって使われるモデラーが異なります。中でもよく使われているのが、3ds Max、SketchUp、Rhinoの3つです。
たとえば、意匠系の設計事務所では、コンセプトのビジュアライズにSketchUpやRhinoが使われることが多く、完成パースやムービー制作には3ds Maxが定番です。設計プロセスの初期ではSketchUpでボリュームを検討し、最終成果物は3ds Maxで仕上げるという使い分けも一般的です。
このように、1つのプロジェクトでも複数のソフトを併用することが珍しくありません。プロの現場では「目的に応じたソフトの使い分け」が実務の基本となっています。
表現力×スピードのバランスが重要な理由
建築CGの現場では、ただリアルな表現ができればよいというわけではありません。限られた納期の中で、どれだけ速く・的確にクオリティの高いビジュアルを出せるかが求められます。
たとえば、短納期のコンペ案件では、SketchUp+Enscapeのような即時レンダリング環境が重宝されます。一方で、広告用やムービー制作など高品質な表現が必要な場合は、3ds Max+VRayでしっかり作り込む必要があります。
要するに、プロは「自分が必要とする表現レベル」と「制作にかけられる時間」のバランスを見極めながらソフトを選んでいるのです。
チーム制作や外注時に発生しやすいデータ互換問題
現場では、複数人や外部パートナーと連携して3DCG制作を進めるケースが多くあります。そこで問題になるのが、異なるソフト間でのデータ互換です。
たとえば、Rhinoで作られた曲面モデルを3ds Maxでレンダリングしようとした際、FBXやOBJに変換しても一部の面が破損したり、マテリアルが反映されなかったりすることがあります。これにより、追加作業や修正が発生し、全体の進行に支障をきたすことも。
プロの現場では、初期段階で「どのソフトで何をつくるか」「どの形式で受け渡すか」を明確にしておくことが重要です。スムーズな協業のために、互換性やエクスポート設定を理解しておく必要があります。
ソフト乗り換え時に注意すべき点(ライセンス・ワークフロー)
現場で使うソフトを変更する際は、ライセンス条件や操作体系、ワークフローへの影響をよく確認してから進める必要があります。
たとえば、SketchUpから3ds Maxに乗り換える場合、マウス操作の感覚が大きく異なるため、習得までに時間がかかります。また、プラグインやスクリプトの互換性がないこともあるため、作業効率が一時的に落ちる可能性があります。
さらに、法人利用ではソフトのライセンス数や共有のルールも重要です。ネットワークライセンスが使えるか、複数台インストールできるかなど、運用面での制約も確認しておきましょう。
結論として、乗り換えは「なにを目的としているのか」「今の業務にどう影響するのか」を整理して進めることが大切です。
よくある質問(FAQ)
建築3DCGをこれから学ぼうとする方や、ソフト選びで迷っている方から寄せられる疑問は多くあります。この章では、よくある質問に対して、初心者にもわかりやすい視点で回答していきます。
Q1.建築3DCGとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の違いは?
建築3DCGとBIMは、どちらも建築設計で使われる3D技術ですが、目的が大きく異なります。
建築3DCGは、空間の見た目や質感、雰囲気をリアルに伝えるための「表現ツール」です。主にパースや動画を通じて設計意図を可視化し、クライアントとの合意形成やプロモーションに使われます。
一方、BIM(Building Information Modeling)は、建物の構造・設備・材料情報などを含めて3Dモデルに統合し、設計から施工・維持管理まで一貫して扱う「情報管理ツール」です。
つまり、建築3DCGは「見せる」、BIMは「管理する」ことを目的としており、プロジェクトのフェーズや目的によって使い分けるのが一般的です。
Q2.モデリングソフトだけでレンダリングやアニメーションもできる?
多くの建築3DCGソフトは、モデリングだけでなくレンダリングやアニメーション機能も備えています。
たとえば、Blenderは「Cycles」や「Eevee」という内蔵レンダラーを使って、高品質な静止画やアニメーションの出力が可能です。3ds Maxも、VRayやArnoldなどのレンダラーと連携して、照明や質感をリアルに再現できます。
ただし、操作が複雑だったり、重たいシーンではパフォーマンスが落ちることもあるため、本格的な映像制作では専用レンダラーとの併用を検討するとよいでしょう。
簡易的な建築パースや動きのあるプレゼン動画であれば、モデリングソフト単体でも十分対応可能です。
Q3.無料ソフトと有料ソフト、どちらを選ぶべき?
建築3DCGを始めたばかりの段階では、まず無料ソフトから始めるのが無理なく続けるコツです。Blenderなどは機能も豊富で、教育コンテンツも充実しているため、独学にも最適です。
一方、有料ソフトはレンダリング品質や業務向けの機能が充実しており、実務での運用やクライアントワークに向いています。たとえば、3ds MaxやRhinoは企業での導入実績が多く、プロジェクトの要件に合わせた制作が可能です。
結論としては、「学習段階=無料ソフト」「実務フェーズ=有料ソフト」と段階に応じて切り替えるのがおすすめです。
Q4.独学で建築3DCGを習得するのに必要な期間は?
独学で建築3DCGを習得するには、目標によって必要な時間が変わります。一般的には、基本操作を覚えるのに1〜3か月、実務的なパースが作れるレベルに到達するには半年〜1年が目安です。
たとえば、Blenderで建築内観を作れるようになるには、最初の1〜2か月でモデリング→マテリアル設定→ライティング→レンダリングの流れを学ぶ必要があります。そこから応用的な構成やアニメーションに挑戦すると、着実にスキルアップできます。
毎日30分でも継続すれば、数か月後には目に見える成長が実感できるでしょう。
Q5.建築学生が利用できる教育ライセンスや無料プランは?
多くのプロ向け3DCGソフトでは、学生向けに無償または割引価格でライセンスを提供しています。以下に主な例を紹介します。
- Autodesk(3ds Max/Maya):学生証登録で3年間無料
- Rhino:教育版ライセンスを約半額で提供
- SketchUp for Schools:教育機関向けに無償提供(条件あり)
- Cinema 4D:教育ライセンス申請により無償使用可能
これらの制度を活用すれば、将来的にプロ仕様のスキルを無理なく身につけることができます。学校に在籍している間に、積極的に申し込んでおくとお得です。
