Blenderでコンクリートをリアルに見せるマテリアル設定|打ち放し・モルタルの質感再現
打ち放しコンクリートの質感は、建築パースのリアリティを左右する代表的な素材のひとつです。Roughness(表面の粗さ)やBase Color(素材本来の色)を単純な単値で設定するとプラスチック的な質感になり、せっかくのモデリングや照明が活かしきれません。建築の図面ではよく現れる素材なのに、Blenderで再現しようとすると「均一すぎる」「のっぺりして見える」と感じる方が多いはずです。
この記事では、打ち放し・モルタル・コンクリートブロックの3仕上げを設定値の差として整理し、Roughness・Base Color・Normalマップの組み合わせから、型枠跡(Pコン跡・気泡跡)の表現、屋外と屋内での違い、汚れ・経年変化の追加、無料PBRテクスチャの入手先まで深掘りします。
設定値はBlender 4.5 LTS および 5.1 で動作確認した内容です。Blender 4.1 で廃止された Musgrave Texture ノードについては、Noise Texture(Type: Multifractal)への置き換え手順を含めています。
コンクリート仕上げの種類と光学特性
建築パースのコンクリートは、打ち放し・モルタル・コンクリートブロックの3仕上げで設定値が大きく異なります。違いを設定値の差として理解しておくと、現場の図面に合わせて迷わず使い分けられます。
| 仕上げ | Base Color(RGB) | Roughness | Normalマップ強度 | 表面の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 打ち放しコンクリート | 0.3〜0.5(暗めグレー) | 0.7〜0.85 | 0.5〜1.0 | 型枠木目・Pコン跡・気泡跡が残る粗い面 |
| モルタル仕上げ | 0.6〜0.8(明るめグレー) | 0.5〜0.7 | 0.2〜0.5 | コテ仕上げで均一な滑らかな面 |
| コンクリートブロック | 0.45〜0.6(中間グレー) | 0.65〜0.8 | 0.4〜0.7 | 成形型による規則的なテクスチャと目地 |
PBRの基本原則である「コンクリートは非金属=Metallic=0.0」はどの仕上げでも共通です。違いはRoughnessと色味、そしてNormalマップでどこまで凹凸を表現するかに集約されます。
打ち放し・モルタル・ブロックの違いを設定値で理解する
打ち放しコンクリートは型枠が直接コンクリートと接触した生の表面が現れるため、木目の転写・Pコン跡(セパレーター用のタイ穴)・気泡跡など、ざらついた表情が残ります。Roughnessは0.7〜0.85と高めに設定し、表面のムラ感を後述するNoise Textureで重ねます。安藤忠雄の住宅作品に代表されるように、日本の建築では仕上げ精度そのものが設計意図を表現する素材です。
モルタル仕上げは打ち放しの上にコテで塗り重ねる仕上げで、表面が滑らかになります。Roughnessは0.5〜0.7と打ち放しより低く、Base Colorは0.6〜0.8と明るめのグレーになります。コテ目の微細な凹凸は残りますが、型枠跡・Pコン跡は表現しません。住宅の内壁・天井や、外壁の上塗り仕上げで頻出する素材です。
コンクリートブロック(CB)は成形型で量産された規格品で、目地(モルタル充填部分)と本体面の2つの素材が見えます。Roughnessは0.65〜0.8でブロック本体は打ち放しよりやや滑らか。目地部分はモルタル設定で別マテリアルスロットを用意するのが現実解です。倉庫・駐車場・店舗外壁などで使います。
なぜBlenderでコンクリートは「嘘っぽく」見えるのか
Blenderでコンクリートが嘘っぽく見える原因は、ほぼ次の3点に集約されます。設定の順序を間違えると、どれだけ照明を頑張っても「プラスチックを塗ったような面」から抜け出せません。
まず、Roughnessを単一の数値で均一に塗ってしまう問題です。実際のコンクリートは型枠の押さえ跡・劣化具合・湿気の残り方によってRoughnessにムラがあります。0.8の単値で全面を塗ると表面反射が均一になりすぎて、人工的な質感が出ます。
次に、Base Colorが均一なグレー1色で塗られている問題です。コンクリートは骨材(砂利・砂・セメント)の混合具合で必ず色ムラが出る素材で、現実には全く同じ色面が広範囲に続くことはありません。Noise Textureを薄く重ねて0.05〜0.15のMix Factorで微妙な色ムラを乗せると、一気にコンクリートらしさが出ます。
最後に、Normalマップなしで「つるり」とした表面のまま使ってしまう問題です。打ち放しの型枠跡・気泡跡の微細凹凸はNormalマップでしか再現できず、平面のままだと反射が均一になりすぎます。基本的なRoughnessとMetallicの考え方はBlenderのマテリアル設定入門|木・金属・ガラスの考え方で解説しています。
打ち放しコンクリートのマテリアル設定
打ち放しコンクリートは、Base Color・Roughness・Normalマップ・色ムラの4つを順に積み上げて作るのが最短ルートです。単純な単値設定から始めて、ムラとディテールを後から重ねる流れで進めます。
| パラメータ | 推奨値 | 設定の根拠 |
|---|---|---|
| Metallic | 0.0 | コンクリートは非金属。PBR原則 |
| Base Color(RGB) | 0.3〜0.5(中央値 0.4) | 暗めのグレー。0.5を超えると新しすぎる印象 |
| Roughness(基準値) | 0.7〜0.85 | 表面の粗さ。1m離れて微かにザラついて見える程度 |
| Normal Map強さ | 0.5〜1.0 | 型枠跡 0.8〜1.0、気泡跡 0.5〜0.7 |
| Noise Texture(色ムラ)Scale | 5〜20 | 大きなまだら模様。骨材の混合ムラを再現 |
| Mix Factor(色ムラ) | 0.05〜0.15 | 薄く重ねる。0.2を超えると人工的になる |
| Displacement Scale | 0.02〜0.05 | Cyclesでの実深度表現用。Pコン跡の深さ |
Base ColorとRoughnessの設定(打ち放し)
打ち放しコンクリートの最初の2パラメータは、Base ColorとRoughnessです。Principled BSDF(Blenderの汎用PBRシェーダー)の右ペインで直接スライダーから入力できます。
Base ColorはRGB 0.3〜0.5のグレー、中央値の0.4前後が安全圏です。0.5を超えると新築の真っ白なモルタル寄りに見えてしまい、打ち放しの重厚感が失われます。グレースケールにこだわらず、わずかに青みを足した「RGB(0.4, 0.42, 0.44)」のような寒色寄りグレーにすると、シャープな打ち放しの印象になります。
Roughnessは0.7〜0.85の範囲で、表面の粗さに応じて選びます。Roughness Values(sameerbaloch.com)の参照基準でもコンクリートは0.7〜0.9帯で記述されており、海外の建築アーキビズの基準と一致します。Metallic=0.0 は必ず守ります。
Principled BSDF v2(Blender 4.0以降)では Specular がスカラの「Specular Tint+IOR Level」に変更されましたが、IORはデフォルトの1.45のままで問題ありません。コンクリートは非透過素材なので IOR の調整は不要です。v1から移行したファイルでも基本的に同じ見え方になります。
Normalマップで型枠跡・気泡跡を表現する
打ち放しコンクリートの肝は、型枠の木目転写・Pコン跡・気泡跡を Normal マップで再現することです。これがあるかないかで、近景の説得力が決定的に変わります。
ノードの接続は、Image Texture → Normal Map ノード → Principled BSDFの「Normal」端子という3点接続が基本です。Image TextureノードのColor Space(色空間)は必ず「Non-Color(非カラー)」に変更します。デフォルトの「sRGB」のままだとガンマ補正がかかり、Normalマップが色情報として誤読されて表面の凹凸方向が歪みます。これを忘れると「Normalマップを入れたのに変な反射が出る」という典型的なトラブルになります。
Normal Map ノードの「強さ(Strength)」は0.5〜1.0で調整します。型枠跡はやや強め(0.8〜1.0)、気泡跡はやや弱め(0.5〜0.7)が実務的な目安です。Pコン跡(直径20〜30mmのタイ穴)を含む型枠テクスチャは3dtextures.me – Concrete Wall Formwork 016が無料CC0で入手できます。
さらに細かなディテールを足したい場合は、Normal Map → Bump ノード(Distance: 0.1〜0.2、入力にNoise TextureをScale 200〜500で接続)→ Principled BSDF という二段構えの接続が有効です。Normalマップで大きな凹凸を、Bumpノードで微細な粒子感を担当させると、近景でもCG的な平坦さが消えます。
Pコン跡を「Bumpではなく実際の凹凸」として表現したい場合は、Cyclesの Adaptive Subdivision を選択肢に入れます。マテリアル設定の Surface を「Bump Only」から「Displacement and Bump」に変更し、Subdivision Surface モディファイア+Adaptive Subdivision(CyclesのみでEevee非対応)を有効化します。Displacement Scale 0.02〜0.05でPコン跡の深さを物理的に再現できます。Eevee用途では Bump/Normal 留めが現実解です。Normal MapノードやBumpノードの基本操作はBlenderのノードエディターを活用したマテリアルの作り方で解説しています。
色ムラの追加でリアリティを高める(Noise Texture+MixRGB)
Normalマップで凹凸を作ったら、次は色ムラです。骨材の混合ムラ・湿気の残り方・型枠押さえ跡による色の濃淡を、プロシージャル(手続き型)なノードで重ねます。
ノードの接続は、Noise Texture(Scale 5〜20、Detail 8〜12)→ Color Ramp(グレー 0.3〜0.6)→ MixRGB(Multiply または Overlay)→ Base Color という構成です。Mix Factor(係数)は0.05〜0.15に抑えます。0.2を超えると一気に人工的なまだら模様になります。
Texture CoordinateノードからUV出力を使うと、UV展開済みのオブジェクトに対して正しいスケールで色ムラが乗ります。UV展開が済んでいないオブジェクトでは Generated 出力でも代用できますが、形状依存のムラになりやすい点に注意してください。テクスチャのスケール調整・タイリングの詳細は建築パースで使えるBlenderのUV展開・テクスチャマッピングで解説しています。
プロシージャルでコンクリートを作る(テクスチャ不使用)
画像テクスチャを使わず、Blenderのノードだけで打ち放しコンクリートを構築する方法もあります。タイリング(同じ模様の繰り返し)が出ないため、遠景の壁面や繰り返し配置の多いシーンで重宝します。
骨格は3つのノードで作ります。①Noise Texture(Scale 5〜20、Detail 10〜12)で大きな色ムラを作り、②Voronoi Texture(Scale 100〜200、Smoothness 0.3〜0.5、Distance出力をBumpノードへ)で表面の粒子感を加え、③Color Rampで色域を 0.3〜0.5 のグレーに圧縮する、という流れです。これで近景以外では十分なコンクリート面が作れます。
利点は、画像テクスチャ特有のタイリング感がまったく出ないことです。マンション外壁のような同じ壁面が反復するシーンや、遠景の橋脚・擁壁・倉庫のコンクリート壁面で特に有効に働きます。Blenderファイル単体で完結するため、素材管理の手間も減ります。
欠点は、近景(カメラから2m以内)ではPBRテクスチャの細部情報量に届かないことです。型枠跡・Pコン跡・気泡跡といった建築特有のディテールはNormalマップ画像なしでは正確に出せません。実務的な使い分けとしては、遠景・反復配置はプロシージャル、近景の中心となる壁面はPBRテクスチャ、というハイブリッドが標準的な選択になります。
モルタル仕上げのマテリアル設定
モルタル仕上げは、打ち放しに比べて「均一・滑らか・明るい」の3点で設定値が異なります。コテ塗りで仕上げた壁面・天井・外壁の上塗りで頻出するため、住宅・店舗・オフィス系のパースでは打ち放しと同じくらい使う素材です。
| パラメータ | 打ち放し | モルタル | 差の根拠 |
|---|---|---|---|
| Base Color | RGB 0.3〜0.5 | RGB 0.6〜0.8 | コテ塗りでセメント比率が高く明るい |
| Roughness | 0.7〜0.85 | 0.5〜0.7 | コテで均一に押さえた滑らかな面 |
| Normal Map強さ | 0.5〜1.0 | 0.2〜0.5 | コテ目の微細凹凸のみで十分 |
| 使用テクスチャ | 型枠コンクリート系 | 細目プラスター系 | 型枠跡・Pコン跡は不要 |
| 色ムラMix Factor | 0.05〜0.15 | 0.03〜0.08 | モルタルは色が均一に出やすい |
モルタル仕上げの設定値と打ち放しとの違い
モルタル仕上げのBase ColorはRGB 0.6〜0.8前後の明るいグレーが基本で、白系の色味になります。打ち放しと同じテクスチャを使い回すと色味が暗すぎてバランスを崩すため、必ず別のプラスター系テクスチャを当てるか、Base Colorだけ明るくシフトさせます。
Roughnessは0.5〜0.7と打ち放しより低めです。コテで押さえた表面は滑らかで、ある程度の艶を残します。0.5を下回るとプラスチックや塗装面のような印象になるので、下限は守ります。Metallic=0.0 は打ち放しと同じです。
Normalマップは、強さ0.2〜0.5の控えめな設定にします。型枠跡やPコン跡は表現せず、コテ目の微細な凹凸のみが対象です。型枠コンクリート用のテクスチャを流用するとモルタルらしさが消えるため、プラスター系の細目テクスチャを使うか、後述するBumpノードでの代替手法を使います。
コテ目の微細凹凸をノードで表現する
モルタル仕上げのコテ目は、画像テクスチャを使わずノードだけで再現できます。Noise Textureを微細スケールで重ねて Bump ノードに渡す構成です。
接続は、Noise Texture(Scale: 30〜60、Detail: 12〜16)→ Bump Map ノード → Principled BSDFの「Normal」入力という流れです。Bump Mapの「強さ」は0.1〜0.3に抑えます。モルタルは微細な凹凸なので強くしすぎると、人工的なゴム面のような表情になります。
これに加えて、Roughnessにもわずかなムラを乗せると説得力が増します。別のNoise Texture(Scale: 10〜30、Detail: 8〜12)→ Color Ramp(0.5〜0.7に絞る)→ MixRGB → Roughness端子の構成で、Mix Factorは0.03〜0.08に抑えます。住宅案件で内壁モルタル仕上げの寝室・廊下をレンダリングする際、この一段で「塗装のような均一感」から「コテ塗りらしい揺らぎ」に変わります。
汚れ・染みと経年変化の表現
コンクリートを「本物らしく」見せる最後の一押しが、汚れと経年変化の表現です。屋外の雨染み、凹部に溜まる埃、局所的な水染み、経年変色の4つを使い分けると、新築から築20年まで時間軸を描き分けられます。
| 手法 | ノード構成 | 主なパラメータ |
|---|---|---|
| 色ムラ(基本) | Noise Texture → Color Ramp → MixRGB → Base Color | Scale 5〜20、Mix Factor 0.05〜0.15 |
| 屋外の雨染み | Texture Coordinate(Object) → Gradient Texture → Color Ramp → Mix Shader | Gradient方向 -Z、Mix Factor 0.3〜0.5 |
| 経年変色 | Noise Texture(Type: Multifractal) → Color Ramp → MixRGB | Scale 2〜5、Detail 10〜15、Roughness 0.5〜0.7 |
| 局所的な水染み | Voronoi Texture → Color Ramp(白→黒、鋭く絞る) → Mix Shader | Scale 50〜100 |
| 凹部の汚れ集中 | Geometry→Pointiness → Color Ramp → Mix Shader(Cycles) | 凹部0.4〜0.5、凸部0.5〜0.6 |
経年変色の手法は、Blender 4.1 で Musgrave Texture ノードが Noise Texture に統合されました(参照: CG Cookie: Musgraveの移行先)。従来 Musgrave Texture で出していた質感は、Noise Texture の Type: Multifractal で再現できます。Blender 4.5 LTS および 5.1 では Musgrave ノード自体が存在しないため、古いチュートリアルをそのまま真似ると詰まります。
屋外コンクリートの雨染み・汚れを追加する
屋外の建物では、雨水が壁面を伝って下部に汚れを溜める「雨染み(rain streaks)」が必ず発生します。Gradient Textureを使って下部にだけ汚れを集中させる構成が、もっとも簡単で効果的です。
ノードの構成は、Texture Coordinate(Object出力)→ Gradient Texture(Type: Linear)→ Color Ramp(上: 白/透明、下: 黒)→ Mix Shader(ベースと汚れ用の2系統を混合)という流れです。Mix Shader にはベースの Principled BSDF と汚れ用の Diffuse BSDF をつなぎます。Gradient方向を-Z(下方向)に設定することで、建物の下部ほど汚れが乗る状態を再現できます。
Mix Factor は 0.2〜0.4 で控えめに乗せます。露天駐車場の擁壁・庇のない外壁・雨ざらしの塀など雨が直接当たり続ける箇所は 0.4〜0.6 まで上げてよいでしょう。庇下や屋根に守られた壁面では Mix Factor 0.1 程度に抑え、雨筋の影響を弱めます。屋外と屋内の最大の設定差は、この雨染み追加を行うかどうかにあります。
屋内コンクリートの仕上げと屋外との設定の違いまとめ
屋外と屋内では、コンクリートの劣化条件が大きく違うため、設定値もまとめて変える必要があります。建物全体のシーンを組むときは、外壁マテリアルと内壁マテリアルを別スロットで管理し、屋外用と屋内用を切り替えるのが実務標準です。
屋外設定の目安は、Roughness 0.75〜0.85、Base Color暗めグレー(0.3〜0.45)、Normalマップ強め(0.7〜1.0)に、雨染みGradientと経年変色のNoise Texture(Type: Multifractal)を加えます。外気・紫外線・雨水で表面が劣化していくため、色は沈み、表面はざらつき、汚れが溜まります。
屋内設定の目安は、Roughness 0.6〜0.75、Base Color明るめグレー(0.5〜0.65)、Normalマップ弱め(0.3〜0.6)です。雨染みGradientは使わず、局所的な汚れ(Voronoi Textureベースの水染み・コーヒー染み・摩耗)だけを追加します。打ち放しの内壁・天井で多い設定です。住宅の地下室・店舗の打ち放し内装・オフィスエントランスでこの設定が活きます。
凹部の汚れを Pointiness で集中させる(Cycles)/AOノード(Eevee Next)
型枠継ぎ目の溝・Pコン跡の縁・気泡跡の縁といった凹部には、現実のコンクリートでは必ず汚れが溜まります。海外の建築アーキビズで標準的に使われる Pointiness(Geometryノードの出力)を使うと、グラデーションテクスチャやマスク画像なしで自然な凹部汚れが作れます(参照: Blender Studio: Procedural Shading Fundamentals)。
Cyclesの場合は、Geometry ノード → Pointiness 出力 → Color Ramp(凹部側を白、凸部側を黒に絞る)→ Mix Shaderの係数、という接続です。Color Rampのストッパーを「白0.4〜0.5、黒0.5〜0.6」と中央付近で鋭く絞ると、凹部にだけ汚れシェーダー(暗めグレーのDiffuse)が乗ります。
Eevee Next では Pointiness が使えないため、Ambient Occlusion ノード(半径 0.05〜0.2)→ Color Ramp → Mix Shader で代替します。AO の判定距離が短いため、Mapping ノードでスケールを微調整しながら、Cycles と近い見え方を目指します。
この構造は、金属の錆・木材の経年汚れ・タイル目地など、別素材にもそのまま応用できます。ノードグループとして保存しておくと、コンクリート以外のシーンでも繰り返し使えるため、慣れておく価値の高い手法です。Pointinessノード自体の基本動作はBlenderのノードエディターを活用したマテリアルの作り方で解説しています。
コンクリートテクスチャを編集部が試してみた所感
ここまで紹介した設定を、編集部で実際に Blender 4.5 LTS(2025年7月リリースの現行LTS)と Blender 5.1 の両方でテストして比較した所感をまとめます。同じテクスチャ・同じノード構成でも、用途と環境で「使うべき素材サイト」「Bumpか実深度か」の判断が変わります。
打ち放しコンクリートの近景パース(カメラから1〜2m以内、壁面が画面の3割以上を占めるカット)では、3dtextures.me の Concrete Wall Formwork 016 のような型枠跡入りPBRテクスチャがプロシージャル構築よりも明確にリアルでした。Pコン跡・木目転写・気泡跡が物理的に正しい位置に揃っており、Normal Map 強さ 0.9 で Cycles レンダリングしたとき、影の落ち方がスキャンベースの素材ならではの説得力を持ちます。1Kでも近景に耐えますが、A1サイズで印刷するコンペボード用途では4K以上が安心です(3dtextures.me の無料分は1K〜2K、4K以上は Patreon 支援者向け)。
一方で、マンション外壁の遠景・繰り返し配置のシーン(カメラから10m以上、同じ壁面が複数階繰り返される)では、画像テクスチャよりプロシージャル構築の方が良い結果になりました。Noise Texture + Voronoi Texture + Color Ramp の3点で骨格を作ると、タイリングの繰り返しパターンが目に入らず、一画面の中で同じ模様の連続が見える違和感が消えます。中景(カメラから2〜10m)はハイブリッドが安定で、PBRテクスチャをベースにNoise Texture で色ムラを薄く重ねるのが現実解です。
実深度のディスプレイス(Adaptive Subdivision+Displacement and Bump)は、Cyclesの近景クローズアップ専用と割り切るのが運用しやすい選択でした。レンダリング時間が体感で2〜3倍に伸びるため、引きの絵には Bump+Normal の重ねで十分です。Eevee Next では Adaptive Subdivision 自体が使えないため、選択肢自体がBumpに限定されます。建築実務の納品サイズと締切を考えると、近景のメインカットだけCyclesで実深度、その他はEevee Next で Bump 仕上げ、という運用が現場では現実的です。
注意点としては、Blender 4.1 で削除された Musgrave Texture を前提にした古いチュートリアル(YouTube・ブログ含む)が日本語圏にまだ多く残っていることです。コピーしようとして「ノードが見つからない」と止まるケースが頻発します。経年変色を作るときは、Noise Texture の Type を Multifractal に切り替えて、Detail と Roughness(パラメータ名はノード内のRoughnessで、表面粗さのRoughnessとは別物)を調整する流れに置き換えるとスムーズに進みます。
無料PBRテクスチャ素材の入手と使い方
コンクリートのPBRテクスチャは、無料で品質の高い素材が複数のサイトから入手できます。商用利用条件と解像度を確認した上で、用途に合わせて使い分けると素材コストはゼロに近づけられます。
| サイト | 主なラインナップ | 最大解像度 | ライセンス | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ambientCG | Concrete001〜040+(打ち放し・床・外壁) | 8K | CC0(帰属表示不要・商用可) | 数が豊富、ログイン不要 |
| Poly Haven | コンクリート壁・床・パネル各種 | 8K | CC0(帰属表示不要・商用可) | weathered系が充実 |
| 3dtextures.me | 型枠コンクリート(Formwork)特化あり | 1K〜2K(無料)/4K以上は支援者向け | CC0(無料分) | 打ち放しのPコン跡入りテクスチャ |
| Fab(Quixel Megascans) | スキャンベース高品質コンクリート | 8K | CC-BY-NC(商用可・帰属表示必須) | Epic Games運営、登録要 |
コンクリートPBRテクスチャの無料入手先4選
ambientCG(ambientcg.com)はConcrete001〜040+の40種以上をCC0で公開しており、ログイン不要で最大8K解像度のPBRセット(Color・Normal・Roughness・Displacement・AO)が一括ダウンロードできます。打ち放し・床・外壁・コンクリートブロックなど建築用途を網羅しており、最初に登録不要で試したい場合はここから始めるのが効率的です(2026年5月時点)。
Poly Haven(polyhaven.com/textures)も同じくCC0・8K対応で、weathered(経年劣化)系のコンクリートテクスチャが充実しています。汚れや染みが既にテクスチャに焼き込まれた素材が多く、Blender側で汚れノードを組む手間を減らしたい場合に向いています(2026年5月時点)。
3dtextures.me(3dtextures.me/category/concrete/)は打ち放し特化のテクスチャに強みがあります。Concrete Wall Formwork シリーズはPコン跡・型枠継ぎ目・木目転写が物理的に正しい位置で揃っており、近景パース用途で効きます。無料版は1K〜2K、4K以上はPatreon 支援者向けです(2026年5月時点)。
Fab(fab.com)はEpic Gamesが運営する素材プラットフォームで、Quixel Megascans のスキャンベース素材が移管されています。Quixel Bridge は Fab に統合中で、Epic Games Launcher 経由または fab.com から直接ダウンロードできます。ライセンスは CC-BY-NC(商用利用可、帰属表示必須)で、アカウント登録が必要です(2026年5月時点)。8Kスキャン素材の品質は無料系では群を抜いており、近景の中心となる壁面で力を発揮します。
Blenderへのインポート手順(基本)
ダウンロードしたPBRテクスチャセットを Blender で使うときの最短手順を押さえます。ノードエディターでの作業になります。
必要なマップは、Color(BaseColor)・Normal・Roughness の3点が最低限です。Displacement(Displace)と Ambient Occlusion(AO)があれば、近景の精度がさらに上がります。ノードエディターでImage Textureノードをマップの数だけ追加し、それぞれの画像を読み込みます。
接続では、ColorをBase Colorに、Normalを Normal Map ノードを挟んでNormal端子に、RoughnessをそのままRoughness端子に繋ぎます。NormalとRoughness のImage TextureのColor Space は必ず「Non-Color(非カラー)」に変更します。これを忘れると、Normalの方向計算が狂い、Roughnessの値も意図しないガンマがかかります。
UVスケールの調整も忘れずに行います。Texture Coordinate ノードのUV出力 → Mapping ノードのScale で壁面サイズに合わせて倍率を入れます。たとえば1m×2mのコンクリートテクスチャを高さ3mの壁面に貼る場合、Mapping ノードの Scale Y を 1.5 に設定するなど、テクスチャの実寸が建築寸法と合うように調整します。UV展開の詳細は建築パースで使えるBlenderのUV展開・テクスチャマッピングで解説しています。
コンクリートマテリアルを整えた先に広がる景色
コンクリートのマテリアルを実務水準で組めるようになると、建築パースの納品物に明確な変化が起きます。同じカメラアングル・同じ照明でも、素材の粒度が一段上がるだけでクライアントへの伝わり方が大きく変わります。
最初の変化は、住宅・店舗・オフィス案件のリアリティが安定することです。打ち放しの内装提案・コンクリート打ちっ放しの外壁・モルタル仕上げの天井といった、日本の建築で頻出する素材が即座に出せるようになるため、設計提案・コンペボード・施主向けプレゼンの説得力が上がります。安藤忠雄系の打ち放し住宅、無印良品の家のような白いモルタル仕上げ、SANAA の半透明感ある内装、こうした個性ある建築のスタディも自分で組めるようになります。
次の変化は、素材ライブラリの組み立てが進むことです。打ち放し・モルタル・ブロックの3仕上げを Cycles 用と Eevee Next 用で組んでおき、ノードグループ化してアセットブラウザに登録すれば、新しいプロジェクトでも即座に呼び出せます。雨染みGradient・凹部汚れPointinessといった汎用ノードグループは、コンクリート以外の金属・木材・タイルにも応用できるため、いったん作ると長く効きます。
その先には、Cycles と Eevee Next の使い分け、Adaptive Subdivision を使った近景クローズアップ、True Displacement を使った石畳・レンガとの混在表現といった、より高度な領域が見えてきます。コンクリートで身につけた「PBR3パラメータ+Normalマップ+色ムラ+汚れ」の4層構造は、Blenderの建築マテリアル全般に通じる骨格です。木目・ガラス・金属・タイルに展開する際も、同じ4層構造で組み立てられます。
コンクリートの単体設定で止めず、シーン全体の照明・コンポジションと組み合わせて住宅・店舗・オフィスの実案件を1本通して仕上げる流れに進むと、案件納品の歩留まりがさらに上がります。木目・ガラス・金属といった隣接素材も同じ4層構造で組み立てていくと、Blender建築パースの素材ライブラリ全体が一気に整っていきます。
まとめ
打ち放し・モルタル・コンクリートブロックの3仕上げは、Roughness・Base Color・Normalマップ強度の差として整理することで使い分けが明確になります。打ち放しは Roughness 0.7〜0.85 で暗めグレー、モルタルは0.5〜0.7で明るめグレー、ブロックは中間の数値帯で目地を別マテリアルとして管理します。
Normalマップで型枠跡・Pコン跡・気泡跡を再現し、Noise Texture で色ムラを 0.05〜0.15 の Mix Factor で重ねるのが基本構成です。屋外では Gradient Texture で下部の雨染みを追加し、凹部の汚れは Pointiness(Cycles)または Ambient Occlusion(Eevee Next)で集中させます。経年変色を作る際は、Blender 4.1 で削除された Musgrave Texture ではなく、Noise Texture の Type: Multifractal を使います(Blender 4.5 LTS / 5.1 共通)。
無料PBRテクスチャは、ambientCG・Poly Haven・3dtextures.me・Fab(Quixel Megascans)の4サイトを用途別に使い分けると素材コストをゼロ近くに抑えられます。近景のメイン壁面は3dtextures.me や Fab のスキャンベース素材、遠景・反復配置はノードでのプロシージャル構築、というハイブリッドが実務での標準的な選択です。
設定値を覚えるだけでなく、なぜその値になるのかをPBRの原則と一緒に押さえておくと、コンクリート以外の素材にも応用できます。住宅・店舗・オフィスの実案件で、まず打ち放しの内壁から組んでみてください。
あわせて読みたい
- Blenderのマテリアル設定入門|木・金属・ガラスの考え方 — Roughness・Metallic・Transmissionの3パラメータの基本から押さえ直したい方へ
- Blenderのノードエディターを活用したマテリアルの作り方 — Color RampやNormal Map・Pointinessなどのノード操作を体系的に学びたい方へ
- 建築パースで使えるBlenderのUV展開・テクスチャマッピング — テクスチャスケール調整やUV展開の手順を確認したい方へ
- Blender建築パース マテリアル設定ガイド|質感・テクスチャ全集 — 木目・ガラス・金属を含む建築素材全般の設定を俯瞰したい方へ
- Blenderで木目を自然に見せるテクスチャ設定|フローリング・板張りの質感再現 — 内装の床・壁材でコンクリートと組み合わせる素材を整えたい方へ

